姉と世界に2人だけ取り残されたので、姉をお嫁さんにした弟が、神様を目指すために神のダンジョンに挑む物語 作:XX(旧山川海のすけ)
黄金の鍵を使い、階段の封を解き。
俺たちは地下3階に到達した。
螺旋階段を降りて、だ。
……ここはこの位置取りだけど。
地下4階への階段はここにはない。
ということは、直通エレベーターの位置の関係上、地下4階へのルートは、だいぶ歩かされることになるだろうな。
そんなことを、宝珠を使って階層の登録を行いながら考える。
「じゃあさ、これから1週間くらい、慣らしと稼ぎ、修行の意味も込めて……」
ここでの宝物狩りを頑張ろうね。
少年のようなサッパリした笑顔で言う由宇。
……どうもこの子に「由宇さん」って言う気が起きないんだ。
無論、下に見てるって意味じゃない。
そんなことを言えば、修司さんが怒るだろうし。
なんというか、女友達というか。
そんな感じなんだよな。
とはいえ。
向こうが俺をどう思ってるかは正確なところは分からんし。
「川上妹氏」
「何かな山本旦那氏?」
……こういう呼び方になっている。
まぁ、嫌ではない。
「俺らパーティー、所謂盾役というのが不在だけど、本当にこれで良いんだね?」
そう……
いないんだよね。このパーティー。
前衛でガチガチに戦うメンバーが。
本来なら忍者、侍、長物使いがその対象のはずなんだけど……
狩人、治癒士、盗賊、魔術師の
装甲の薄いパーティーなんだよな。
俺のそんな根深い疑問に対して
「大丈夫大丈夫。安心してよ」
カラカラと笑う彼女。
「オニイの魔術師の火力で怯ませて、アタシがサブ長物使いのダッシュ力で敵を仕留めていく……これだけでもだいぶいけるから」
そんな彼女の話を、今の由宇の格好を見ながら聞き
まあ、身軽そうだし。
それにまあ、お手並みは拝見させてもらうわ。
俺は俺で頑張るし。
……そういう感想を持った。
今日の由宇は……
緑色のインナーの上に、装甲薄めの茶色い革鎧。
下は短パンで、足はスニーカー。
こんな格好だった。
うん。実に盗賊っぽい。
武器として、短剣を持ってて。
彼女曰くこれは「鎧通しの短剣」というもので。
切れ味がすこぶる良いらしい。
そうなのか。
俺がちょっと感心しながら彼女の話を聞いていると
俺の隣に紗耶香が立ち
あまり彼女ばかり見ないで、私の格好もちょっとは見て下さい。
そんな感じで、俺の手を握ってくる。
まあ、お前がそういう気持ちになるのは俺を愛してくれているからだしな。
俺は奥さんに視線をやった。
彼女は……
翼のローブっていう、背中に翼の意匠が描かれている灰色のローブを身に着けていて。
このローブ、とっさのときに身を軽くする魔法が掛かっているんだよな。
あと
持ってる杖は炎の杖。
攻撃魔法フレアボルト……初心者位階の攻撃魔法。小さい炎弾を飛ばし、敵1体を焼く魔法……それを無制限で使える。
そういうマジックアイテム。
前の階に居たときに購入したんだけど、本来はこの階で取れるらしい。
タマミさんの店で買ったときは1本8万ゴッドの高級品だったけど……
由宇曰く
「あの店は、販売額の半額で引き取るよ」
だってさ。
つまり、あの店で売っても4万ゴッドの稼ぎしかないそうだ。
……業突く張りだー。
まあそこまで確認して、そっと耳元に口を寄せ
「これからの攻略中は、気の緩むことは厳禁な?」
そう、嗜める。
一応俺たち、死の危険のある場所に踏み込んでるんだしさ。
前の階ではちょっと羽目を外して色々やったような気がするんだけど。
ここではマズい気がするし。
俺の言葉に、彼女は少しだけ悲しそうな顔をした。
なので俺は最後に
「愛してるよ紗耶香」
そう耳元で言ったんだ。
こういう言葉、言葉にするのが大事だろ。
実際彼女、俺の言葉ですごく嬉しそうに微笑むんだ。
……守りたい。
そう、素直に思った。