姉と世界に2人だけ取り残されたので、姉をお嫁さんにした弟が、神様を目指すために神のダンジョンに挑む物語 作:XX(旧山川海のすけ)
魔物を全て倒したので、宝箱を開ける
「じゃあ、任せてちょうだいね」
盗賊は由宇なので。
俺たちは数メートル後退する。
地下3階にもなれば、危険な罠が多そうな気がするよ。
「シースルー使いましょうか?」
「んー……お願いして良い?」
紗耶香の提案に、由宇は唇に触れつつ考えて。
そう返答。
まあ、安全に行きたいよな。
ゲームじゃ無いんだから。
シースルー……
シースルートラップのことだ。
宝箱の罠を看破する魔法。
初心者位階はほぼヒールとこれの2つだけがレギュラーかな。
他はほとんど使わない。
シースルー1回でヒールが1つ潰れるわけだけど。
今はヒールの上位魔法ヒールプラスがある。
ただのヒールと違い、骨折まで治療が出来る回復魔法が。
ヒールプラスがあるから、ヒールが要らないってわけじゃないけど、それは決断の材料にはなるよ。
「シースルートラップ!」
集中し、発声。
紗耶香のシースルートラップで、宝箱の罠が判明する。
「罠は死神の鎌、です」
死神の鎌か……
解除に失敗すると、パーティーメンバーの誰かの命が死神に狙われる。
そういう罠。
だから、何が何でも発動させてはいけないよな。
罠名を聞くと、由宇は神妙な顔つきになった。
「ああ……厄介な罠だね。でもまぁ、罠が厄介だと宝箱の中身が良くなるのが世の中の
そう言って、パン、と顔を叩き。
「いっちょやってみるよ!」
その言葉と共に、手に盗賊ツールを持って宝箱に立ち向かっていく。
……この盗賊ツールを見ると、地下1階を思い出す。
地下1階の鍵の掛かってない宝箱の中身って、これ1択なんだよね。
当然って言えば当然だけどさ……
魔物を倒して得た宝箱の中身が、これだったときの残念ぶり。
……うんざりしたよなぁ。
なんて
そんな油断したことを考えていたのが悪かったのか
「あっ」
由宇がさ、そんな聞き流せない声を発したんだ。
やっちまった、みたいな。
それと同時に
俺と紗耶香は、現実の街に転移していた。
俺も紗耶香も、試練に立ち向かう迷宮攻略者のいでたちではなく。
普通の、これからデートに向かう恋人同士に見える姿で
俺はちょっと大人っぽい印象を与える服装だった。
色も落ち着いた地味目の色が多めな気がする。
まるで、年上の恋人に負けないように精一杯頑張った高校生男子。
そんな感じ……いや、まんまか。
そして紗耶香は……
落ち着いた色のワンピースの上に、布地が透けるように薄いカーディガンを着た、大人の女性のデート衣装。
色々考えて、年齢に見合った格好を選択。
……そういう設定か。
「拓斗さん、これは……」
「ああ、これは……」
動揺を見せる紗耶香に、俺は頷いた。
これは……由宇が死神の鎌の解除に失敗した。
これに間違いない。
……やってくれたなぁ。
宝箱の罠である「死神の鎌」の詳細なんだけど。
発動するとね、ターゲットの意識が仮想現実みたいな空間に飛んでしまうんだ。
そして、そこでおよそ6時間以内に、死神が1回だけ命を狙ってくるそうな。
この6時間は、仮想現実での6時間なので、現実では一瞬。
だけど……その仮想現実の6時間の間に、ターゲットが死神に暗殺されてしまうと、その一瞬の間に死んでしまうとのこと。
そしてそのターゲットには、己のパートナーが護衛として共に来ることが許されている。
……まあ、許されていると言いながら、実質強制なんだけどな。
だからまあ、状況を簡単にまとめて説明すると……
俺か紗耶香が死神に命を狙われていて。
これから6時間、俺たちは互いが死神に暗殺されないように警戒しなければならない。
……そういうことなんだよ。
「悩んでますね。拓斗さん」
俺がそう、悩んでいると。
落ち着いていきましょう。拓斗さん。
そんな感じで。
紗耶香が俺を気遣う言葉を掛けてくれた。
……絶対に彼女だけは守らないとな。
大切な妻なんだから。