※この作品はR-18です。

姉と世界に2人だけ取り残されたので、姉をお嫁さんにした弟が、神様を目指すために神のダンジョンに挑む物語   作:XX(旧山川海のすけ)

47 / 202
第47話 姉を妻にするということ

「とりあえず人が居ないところに行こうか」

 

 俺は妻の手を引いて移動しようとした。

 

 説明書によると、死神は奇想天外な方法で襲撃してきたりはしないそうだ。

 

 例えば突如ワープしてきたり。

 影から剣を突き刺してきたり。

 遠くから呪殺してきたり。

 

 普通に、接近してくる誰かを警戒しろ。

 普通に生活しててあり得る襲撃を掛けてくる。

 

 そう書いてた。

 

 だから人込みを避ければ安全は確保できる。

 

 だけど……

 

「拓斗さん」

 

 彼女は動かなくて。

 顔を見たら

 

 ……ちょっと興奮していた。

 

 彼女、持っていたハンドバックを開けて中を見せてくれてたんだけど。

 

 ……諭吉の束でパンパンになっていた。

 

 

 

「こういうところに、愛するあなたと、ふたりで入ってみたかったんですよ」

 

 そして。

 

 俺たちはちょっと小洒落たレストランに入って食事することにしたんだよ。

 フランス料理だ。

 

 丸いテーブルの向こうの席で、彼女はニコニコしている。

 

 ……予約なしで入れるところもあるんだな。

 まあ、明らかな高級店では無いんだけどさ。

 

 何かの肉料理、スープ、サラダ。

 あと、焼き立てのパン。

 

 給仕してくれる人が近づいてくるとき、警戒してしまう。

 

 でもまあ、大丈夫で。

 段々警戒が薄まっていくような気がした。

 

 ……料理も美味しかったし。

 

 ナイフやフォークの使い方で不安になるなぁ。

 

 俺、こんなことを1回もしないでこっちに来たから。

 それに

 

「なかなか美味しいですね。拓斗さん」

 

 ……デートしたかったってのはある。

 彼女と。

 

 姉弟から一足飛びで夫婦になって、共同生活で。

 そのまま肉体関係になって、妊娠。

 出産を経て、育児だからなぁ。

 

 ……恋人期間って無かったかも。

 

 いや、肉体関係を結んで、来斗が産まれるまでは結構イチャイチャしてたかもしれないけどさ。

 街が無人で、こういうサービス無かったしな。

 

 レストラン……

 

 なんだか、小学校に上がる前。

 家族旅行で車で観光地に行き。

 道中、家族で入ったサービスエリアのファミレスを思い出した。

 

 そのときは彼女は中学生で。

 ……そのときから、綺麗で可愛かったな。

 

 今思えば、だけど。

 

 そして同時に。

 そんな時代から知ってる女性が奥さんになっている現状に俺は……

 

 なんだか……色々グチャグチャになる感覚があった。

 

 あのとき、一緒にファミレスのテーブルを囲んだ家族と俺はキスして。

 抱きしめて。

 

 女として愛してセックスして子供を産ませて、今、子育てしてる。

 

 ……普通じゃない。

 普通じゃないけど……

 

 同時に、こう思った。

 

 神話の神が自身の肉親を妻や夫に迎えているのに、人間にはそれを禁じているのは、実際にやるとこういう感覚があるからじゃないのか、と。

 自身が何か人間外のものになってしまった感覚というか……

 

 そのとき

 

「拓斗さん?」

 

 俺の手が止まったのを見て、不審に思ったのか。

 紗耶香がそう声を掛けて来た。

 

 俺は

 

「あ、ごめん。何でもない」

 

 彼女に微笑み掛け、そしてこう思った。

 

 ……考えない方が良いな。これは

 

 色々あるけどさ。

 俺が紗耶香を今、妻として心から愛していることに嘘は一切ないって言い切れるから。

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