※この作品はR-18です。

姉と世界に2人だけ取り残されたので、姉をお嫁さんにした弟が、神様を目指すために神のダンジョンに挑む物語   作:XX(旧山川海のすけ)

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第51話 痛恨のミス

 地下3階で稼ぎ始めて1週間くらい経った。

 ……ここの状況にはだいぶ慣れた気がする。

 

 なので

 

「明日、挑もうか。奥の扉」

 

 川上妹氏こと、由宇に切り出される。

 

 ……いよいよか。

 

 ここ1週間の稼ぎは、ほぼゴッド稼ぎで終わった。

 クラスのランクアップも起きてない。

 

 だったらもう、決断するべきときなのかもしれない。

 

「気を引き締めましょう」

 

 紗耶香は神妙な顔でそう呼びかける。

 当然だ。

 

 遊び半分で挑めるものじゃないはずだ。

 

 わざわざ、もうひとつの創造神候補生ペアと組まないと挑戦できない試練なのだし。

 

 これに関して向こうも同感らしく

 

「今日は何か美味しいものを食べようね」

 

 そんなことを由宇が言う。

 川上家は今日は焼き肉をするらしい。

 

 うちは……どうしよう?

 

「ウチはすき焼きにしない? あなた」

 

 そんなことを紗耶香が囁く。

 すき焼きか……

 

 割り下を作るのは男の仕事だよな。

 

 だから

 

「割り下作ったこと無いけど、どうしよう……」

 

 そう漏らすと

 

「私が作れるから」

 

 紗耶香がそう言ってくれる。

 え……?

 

 一瞬、理解ができないような感覚があった。

 

 何で? っていう感じだ。

 

 紗耶香は最初、俺のそんな反応に戸惑っていたんだけど。

 数瞬後、理解を示し。

 

 そっと俺を抱きしめ、耳元でこう囁いた。

 

「……そう思い込むのはお父さんがやっていたからでしょ? ……辛くなるから、拘らないで」

 

 あ……

 

 そうだ……

 俺はお父さんがすき焼きのときの仕事をいつも見ていたから、それが常識だと思い込んでいたのか。

 冷静に考えたら、男だからすき焼きの割り下を作らないといけないという理由は無いのに。

 

 俺はこのときばかりは、こう返した。

 

「分かったよ。……姉さん」

 

 姉さんは俺を優しく抱きしめてくれた。

 

 

 

 川上兄妹と地下1階で別れる。

 

 ……どうも、川上兄妹の出口の行き先と、俺たちの出口の行き先は別らしいんだ。

 

 この迷宮を出ると、俺たちは駅前地下道の出入り口に出るけど。

 川上兄妹はまた別の地下道の出入り口に出るらしい。

 

 同じところから出て、違う場所に出る。

 

 ……だから。

 川上兄妹の家に俺たちが行くことはできないんだ。

 

 少しだけ、残念だった。

 

 ……この世界で、子供を持つ家族は他には川上兄妹しか無いからな。

 家族ぐるみの付き合いというやつをしてみたかったよ……。

 

 それは向こうも同じみたいで

 

「ウチの子も、他所の子と遊ぶのははじめてだからね。残念かな」

 

 寂しそうに微笑みながら、由宇。

 

 ……向こうも同じなのか。

 俺は川上さんたちに親近感を持った。

 

 この一週間、組んで戦ってきたけど。

 なんというか、素直な人たち。

 そういう印象を俺は持ったんだ。

 

 ……多分、紗耶香も同じ気持ちだと思う。

 川上妹氏とも、良好な関係を築いているように思えるし。

 

 

 

 そしてその晩のウチの夕食は、紗耶香の提案通りすき焼きにした。

 

 ……2才になる息子は食べ物はほとんど大人と同じで良いけど生卵はキツイと思い。

 卵なしで食べさせることになった。

 

 ……アホだった。

 夫婦揃って。

 

 俺たちはテーブルを家族で囲み。

 俺と紗耶香だけが、落ち込んで黙り込んでいた。

 

 食卓ですべての準備を済ませ。

 さあ家族団らんだ。

 

 その段階で発覚したんだ。

 

 提案時に気づけば良かったのに。

 つーか、食材を集めているときに気づけ。

 

 まあ、すき焼きは味がついてるものだから、食べれはするけど。

 判断ミスは否めないわな。

 

 川上さんちは、焼き肉は時間かかるからやっぱやめて、カレーを作るって言ってた。

 素直にこっちもそうすれば、皆食べれたのにな。

 

 そんな夫婦そろっての判断ミス。

 紗耶香は悔しそうに

 

「……当たり前過ぎて、生卵が普通の食べ物でないことに気づけなかったわ。不覚……」

 

 本当に。

 俺もだけどな。

 

 ……2人いる意味が……

 

 次はこんな失敗をしないで済むようにしような。

 俺と紗耶香は目で会話し。

 

 卵なしで「美味しい美味しい」言いつつ肉を食べている息子の頭を。

 

 俺と彼女は

 ゆっくりと撫でた。

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