※この作品はR-18です。

姉と世界に2人だけ取り残されたので、姉をお嫁さんにした弟が、神様を目指すために神のダンジョンに挑む物語   作:XX(旧山川海のすけ)

63 / 202
第63話 戦いの聖水

 蛇人間の除霊士マスタファは表情は読めないけれど、声音はにこやかで

 

「怨霊の通り道の怨霊たちに阻まれましたか?」

 

 そんなことを言ってきた。

 

 怨霊の通り道……

 あそこ、そういう名前なのか。

 

 俺は彼に

 

「ああ。多分アンタの言う通りだよ」

 

 頷き、そう返す。

 

 彼は俺の答えを聞き、楽しそうに

 

「試したかどうかは分かりませんが、ターンアンデッドを何回ぶちかましても、あそこは絶対に浄化されませんよ」

 

 ……やっぱりか、と思える忠告。

 彼はその理由として「あの道は、通行を阻むために現世から怨霊を絶えず呼び寄せているんです。ターンアンデッドなんかでは、焼け石に水なんですよ」と、言った。

 

「じゃあどうすればいいんですか?」

 

 紗耶香が俺の後を継ぐ。

 俺はそこにちょっとときめいてしまった。

 ……俺と同じ目的で動いてくれた……!

 

 マスタファは紗耶香の言葉に

 

「ターンアンデッドは殺虫剤のようなものなんですよ。言ってみれば。……あそこを通るために必要なのは殺虫剤じゃなく、虫よけスプレーなんですよね」

 

 ……なるほど。

 とても分かりやすい例えだ。

 

 言うなればあの通路は、部屋いっぱいに蠅が飛んでいる汚部屋なんだな。

 そんなところを殺虫剤のスプレーひとつで浄化できるわけがない。

 

 だから浄化は諦めて、蠅がいても問題が起きない方策を考えるべき。

 

 ……そういうことなんだな?

 

 だから

 

「虫よけスプレーはあるんですか?」

 

 そう、訊ねる。

 必要なのはそれだろう?

 

 そしたら

 

「……ありますよ。戦いの聖水って言うんですが」

 

 あっさりと教えてくれた。

 すると

 

「戦いの聖水だって?」

 

 修司さんが驚きと共にそんなことを

 

 ……知ってんの?

 

 俺はちょっと意外だったから

 

「修司さん、ご存じなんですか?」

 

 そう訊くと

 

「俺の保有クラスに薬士があるのは知ってるだろう?」

 

 ……なんでも。

 薬鑑定のスキルが身につくと、全ての薬品の名前が頭の中に入るそうで。

 

「名前が変だったから覚えていたんだ」

 

 ……なるほど。

 

 でも、名前だけなので効果だとか外観だとか、実のあることは今は分からないらしい。

 実際にメインクラスに指定しないと。

 

 ……なるほど。

 

 でもまあ、これでこのマスタファという人物の話の裏取りはできそうかな。

 この人物の言う「戦いの聖水」の話が、修司さんのクラス「薬士」の熟練者能力で吟味して問題ないなら真実ってことになると思うし。

 

 そんな感じで

 保証が出来たので、俺は訊いた。

 

「戦いの聖水って何なんだ?」

 

 すると即答してくれたよ。

 

「男性のおしっこです」

 

 ……にこやかに。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。