※この作品はR-18です。

姉と世界に2人だけ取り残されたので、姉をお嫁さんにした弟が、神様を目指すために神のダンジョンに挑む物語   作:XX(旧山川海のすけ)

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第76話 川上兄妹がここに至るまで

「まあ、そのときの1回でイッパツで妊娠しちゃったんだけどね」

 

 頬を指先で掻きながら照れ臭そうにそんなことを

 

 普通に聞くととんでもないこと言う由宇。

 

「避妊しなかったの?」

 

 そう紗耶香が思わず、という感じでそう訊くと

 

 由宇は頷いて

 

「流れ的にオニイに最初に抱かれるときは避妊は違うと思ったんだよね」

 

 ……うーん

 

 雰囲気に流されて避妊怠るのはなぁ

 俺は子供作る気も無いのに無責任に中に出したことは1回も無かったから、正直その言葉には頷けなかった。

 

 で、生理が止まったのと、妊娠検査薬で陽性になったのと。

 そういうことがあって、どうしようと思ったときに川上兄妹の周囲からヒトが消えたらしい。

 

 そこからの流れは俺たちと一緒で。

 兄の修司さんと相談して、産むことを決意。

 

 その後の初産は異様に安産で。

 紗耶香と同じ感じで、流れるように陣痛から出産まで行ったそうだ。

 

 そんな出産から1年後。

 最初の子供の結子(ゆうこ)ちゃんが1才になったときに発語があって、意味不明のことを伝えられた。

 

 そして由宇は普段からパソコンを弄る習慣があったので、その後即気づいた。

 パソコンに妙なフォルダがあることに。

 

 世の中止まってしまったからもう必要無いと、てんでパソコンを触らなかったウチとは全然違う。

 それで説明書を読んで……

 

 最初は半信半疑。

 

 ただそれでも。

 説明書を一読して、現行で持ってるクラスで一番強そうな「長物使い」「侍」

 この2つをクラスに指定しておくことは忘れなかった。

 

 説明書に出て来た魔物という存在にもし遭遇したら、戦闘能力の高いクラスで無いと詰む。

 そういう思いがあったらしく。

 

 正直、ナイス判断だと思う。

 

 で、彼女らの町でゴブリンに遭遇。

 俺と同様、そこでダンジョンの入り口を見つけたらしい。

 

 

「それでアタシは、アタシら夫婦の運命を理解したよ。もうアタシたち、神様になること以外、良い未来は無いんだって」

 

 遠い目で、由宇。

 

 ……俺たちもそうだったなあ、と思いつつ聞く。

 俺たちが俺たちの幸せを追う場合、他の道は閉ざされているんだ。

 

 彼女は続ける。

 少し、嬉しそうに

 

 こんなことを

 

「でも、ラッキーだったとは思うかな。ここなら遺伝子異常気にせずオニイの赤ちゃんいくらでも産めるし、育てられる」

 

 あと、ご飯の材料にお金が要らないからね。

 子供がいくらいても貧乏にならないの最高だよ。

 

 そう、どこか少年っぽい笑顔で微笑みながら言うんだ。

 

 ……俺たちもそこは嬉しいんだよな。

 ここなら最愛の人と幸せな家庭を築けるんだ。

 

 こんな幸せなこと、無いよな。

 

 

 ただ……

 

「……もう2度と、父さんや母さんに会えないのは結構辛いけどね」

 

 その言葉を口にしたとき。

 由宇の目からさすがに光が消えた。

 

 修司さんも無言だった。

 

 ……うん。

 

 普段考えないようにしているけど。

 

 俺たちだって、そうだよ……

 いくら表向きは幸せな状況でも、その事実は圧し掛かってくるよな……

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