姉と世界に2人だけ取り残されたので、姉をお嫁さんにした弟が、神様を目指すために神のダンジョンに挑む物語 作:XX(旧山川海のすけ)
「俺と?」
「ええ」
正直、ワクワクしている。
男性と一緒に2人で居たいときもあるんだ。
それは向こうも同じだったみたいで
「……キミが良いなら、是非お願いしたいね。正直、上級職が来たときに俺だけ対象外の状態は不味いなぁ、って思っていたんだ」
にこやかに。
乗り気だった。
……やったぜ。
俺は心でガッツポーズを取る。
「オニイ、アタシら居なくて大丈夫なの?」
「あなた、私が居なくて大丈夫ですか?」
由宇と紗耶香が不安げにそう訊いてくる。
まぁ、そういう心配は分かる。
特に俺は、紗耶香の学者の能力を頼りにしてたところはあるしな。
……でもさ
「由宇、その辺は大丈夫だ。山本さん夫婦と合流する前は、俺たち2人でやってただろ」
修司さんの過去の実績。
それがあるし
「……紙人を多めに作ってくれれば、上手くやるから大丈夫だよ」
分身の術と空蝉の術が余分に使える環境があれば、まあ大丈夫。
その自信があった。
地下6階はドラゴンのフロアだった。
紗耶香がいないから名前は確証無いんだけどさ……
ワイバーンだとか、ヒュドラだとか。
あと、有名RPGで登場する、オーソドックスな翼の無い緑色のオオトカゲ系のドラゴンとか。
「ブリザード!」
修司さんがコモドオオトカゲそっくりの火を吐くトカゲたちを、ブリザード……指定の空間を氷雪の嵐で攻撃する熟練位階の攻撃魔法……で攻撃する。
吹雪の嵐に巻き込まれて……寒さに弱いのか、その一撃でほぼ壊滅するオオトカゲたち。
そして俺は生き残りたちの首を、手刀で刎ねていく。
……うん。調子がいい。
「上手くいきすぎて怖いですね」
「ああ、キミのサポートのお陰だよ」
宝箱を開けられないので、魔物を全滅させた後。
宝箱の傍で座って会話する。
「修司さんは子育て歴10年なんですよね?」
「うん、まあそのくらいだね」
……弁当を持たせてもらってるんだよね。
俺たち。
座って双方、嫁さんに作ってもらった弁当箱を開けていた。
「……家事ってどうしてます?」
ちょっと訊きたかったこと。
それを訊く。
俺の家は……
正直、俺は出来てる自信ない。
紗耶香が辛そうなときに、何もしない自分が許せないというか。
一応、やってはいる。
掃除とか、洗濯とか。
でもさ……正直、完璧に出来てるとはとても言えんのよ。
気持ちだけで出来るってもんではないだろ?
そう思ったんだけど……
「俺はまあ、大学通うために家出てたから、家事はしてたよ」
そういう修司さん。
だけど……
「俺は自分一人が快適に過ごせればいいってだけの家事だしな。それが完璧かどうかは分からん」
で、由宇は川上さんちのお母さんの影響で、高校生にして料理は他人に振舞えるレベルで出来たそうで。
「俺の料理は鍋しか無いので、料理だけは由宇に任せてるな。……アイツが調子悪いときはよく、今夜は鍋で良いか? って聞いてるよ」
……鍋。
そんなに鍋がいいのか。男の料理としては。
知らんかった。
ウチは……完全に紗耶香だなぁ。
紗耶香が調子悪いときは……
コンビニ弁当。
……だって俺、マジで何も作れないもの。
米を炊いて、卵焼きを作ったり、市販のカレーを作ったり。
そんな誰でも出来ることしか出来ない。
やっぱ夫歴の長い人は違う……
自分の出来なさ加減に落ち込んでしまう。
すると
「やって貰って当然って思って無ければ良いんじゃ無いのか?」
俺の様子から何か察してくれたのか、そんなことを言ってもらえた。
まぁ、思って無いですよ。
だって大切な女性だし。
紗耶香は。
そんな紗耶香にご飯を毎食作って貰えて、それが当然だとか無いだろ。
この弁当も、作ってくれたからお礼は言ってる。
……俺は別にコンビニ弁当でも良かったんだけどな。
負担は掛けたくなかったから。
そんなことを思いながら、俺は唐揚げを口に入れた。
……美味い。
妻の愛が染みる……
ありがとう……