※この作品はR-18です。

姉と世界に2人だけ取り残されたので、姉をお嫁さんにした弟が、神様を目指すために神のダンジョンに挑む物語   作:XX(旧山川海のすけ)

98 / 202
第98話 クリスマスに向けて

 そしてまたしばらく時間が経った。

 

 この世界の暦の上では12月。

 

 寒くなって来た。

 

 ……去年はそうだなぁ。

 

 明日香が紗耶香のお腹にいて。

 クリスマスの食べ物は俺が集めたんだっけ。

 

 紗耶香に作らせるわけにはいかないし。

 俺が料理できれば良かったんだけどさ……

 

 俺の料理なんて……

 食わせられないからな。

 

 ……情けねぇ。

 

 その気になれば鍋を作れる修司さんを尊敬してしまう。

 なんとかならんかな。俺も……

 

 そんなことを考えながら。

 

 今年も俺は、大型スーパー「アマノドー」で、クリスマス特別商品を買い物かごに入れていく。

 

 ……店員も何もいないのにさ。

 

 2月には豆と恵方巻が並ぶし。

 

 3月にはちらし寿司と菱餅。

 

 7月には土用の丑の日で鰻。

 

 ……こんな感じで、イベントごとのアイテムはちゃんと手に入ってしまうんだよね。

 

 お金を払う必要は無いから、節約の概念は無いのだけど……

 

 ウチの家では、必要な分以上は確保しない。

 それがルールになっていた。

 

 言い出したのは紗耶香なんだよな。

 

 まあ、元々姉だったんだし。

 当たり前なのかもしれないけど。

 

 そうしないと、感覚が壊れる。

 そして際限なく堕落していく。

 

 ……もっともな意見だと思ったし。

 そんな言葉が普通に出る奥さんが、ますます好きになった。

 

 ……あ、そうだ。

 

 クリスマスだから、コレも確保しないと。

 

 クリスマスプレゼントもどき。

 

 ……まあ、飴玉なんだけどね。

 ちょっとだけお高いやつ。

 

 アマノドーの中の、高級洋菓子店で陳列している商品なんだけど。

 1袋1000円する高い飴。

 

 これを子供たちが寝た後に、枕元に置くんだ。

 ……本当は玩具を置いてあげたいけど。

 

 ここの世界、子供の玩具事情に不利だから。

 

 テレビ番組やってないからね。

 映像作品は無料動画かDVDで見るしか無いし。

 

 そういうので子供向けは、昔の作品で。

 玩具は手に入れにくいから。

 

 ……自宅の玩具はブロックと積み木、ぬいぐるみ、玩具の刀。

 そんな感じで、プリンセスシリーズの変身アイテムや、戦隊ロボやライダーベルトは無いんだよ。

 

 こういうところも、こっちで辛いところだな。

 お金を払えないという負い目の問題もあるけどさ。

 

 

 

「ただいまー」

 

 クリスマス物資を確保して、家に帰って来た。

 

 すると玄関で

 

「ご苦労様です。あなた」

 

 俺をお腹が大きくなった紗耶香が出迎えてくれる。

 マタニティウェア。

 

 その後ろに来斗が。

 腕の中に抱っこされている明日香がいた。

 

「パパおかえり」

 

 息子も出迎えてくれる。

 嬉しい。

 

 明日香も発語はあったんだけど、この子は挨拶の概念をまだ習得してないので無言だった。

 

 俺は頭を撫でてやった。

 これが挨拶の代わりだ。

 

「クリスマスチキンは3人分確保したよ。言われた通り」

 

 紗耶香に物資が入ったエコバックを渡しながらそう言うと

 彼女は

 

「どうせ明日香は全部食べるの無理ですしね」

 

 明日香には紗耶香が自分の分を分けるんだろう。

 来斗も、全部は食べられないかもしれない。

 

 その食べ残しは、俺が食べるかな。

 ……じゃあ、2人分の方が良かったんでは?

 

 俺はそこに、唐突に気づいた。

 

 俺の分……紗耶香と分けるかなぁ?

 あ、でも……吐いちゃうかもしれないのか。

 

 相談するか。後で。

 

 そんなことを、俺は妻に抱擁の挨拶をしながら考えた。

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