※この作品はR-18です。

仄暗い雪の底から   作:竹@竹林にて。

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暗転

 

 およそ人権の総てを剥奪され、あまつさえ凌辱の限りを受ける憧れの先輩を目の当たりにして数時間。東北きりたんは、嗜虐を尽くす姉に言われるがまま寝室の床に座り込んでいた。

 外へ連絡の取り様は無い、肝心のスマートフォンは姉に取り上げられて金庫の中へと放られた。下着になることを強要され、見に付けているのはキャミソールとパンツだけ。そこに、部屋で動くのが精々な長さの足錠を付けられて。いよいよ自らも監禁されるに相応しい姿へと変えられてしまった。

 しかし、いつもと変わらぬようにして恐ろしく内面を澱ませた姉は、犯してくださいと言わんばかりの姿を晒す妹になど目もくれない。当然だろう。姉の東北ずん子は、

 

「あれ?またイっちゃった?まったく、堪え性がないなぁ。それじゃあもう一回追加ね?」

「い、いや…っ!許してくださ、あぁ!?」

「わがまま言っちゃ駄目だよー?これはゆかりちゃんの為の特訓なんだからー?」

 

 未だ、結月ゆかりの凌辱に夢中なのだ。下手をすればこの場にいる三人が並んで眠れそうなほどに部屋の大部分を占領するベッドの上、仰向けにされたゆかりの身体をずん子の手が這いまわる。

 裸に剥かれた身体は、ずん子の開発の賜か、単にずん子が優れた手腕を有しているのか。胸に、内腿に、腹部や首筋に触れる度にゆかりは高い声を上げる。腕や頬を撫ぜれば息を詰まらせ身体を震わせる。何より、立てられた脚に隠れて見られない女性器に触れる度に響くおよそ人体から出ているとは思えない湿り気に満ちた音が響き、口から飛び出す声が一際高く脚も痙攣を繰り返す。腰が浮き上がり、すぐにベッドに沈んで、荒く息を整えた。

年相応に知識は得ているとはいえ、きりたんにまともな自慰行為の経験は無い。何度か性器に触れはしたが、痛みや違和感が強く快感を得るところまでは行かなかった。だが、快感に対しての知識に欠ける彼女でさえ、今のゆかりが全身で享受しているそれが快感であることは分かった。

月並みな経験であるが、インターネットサイトで姉の目を盗んで見たそういう動画で喘ぎ『気持ちいい、イく』と叫んでいた女性の声や姿と重なって見えたから。しかし、目の前で犯されている筈のゆかりは、無理矢理に与えられている快感の筈なのに。否、だからこそだろうか、ボロボロと止まらない涙も汗も、太腿に滴る液も動画の比ではない。画面越しと現実は違う、部屋に籠る熱量がそうさせているのだ、などという言葉で誤魔化せるものでもないだろう。

目の前で喘ぎ乱れる、ゆかりの姿に始めは見るまい、見てはいけないと理性で堪えていたきりたんは、しかし、繰り広げられる禁忌に惹かれてか、部屋を覆う熱気で理性がやられたのか、すぐそこで繰り広げられる淫靡な光景に心を奪われていた。瞼を閉じることさえ惜しいと言わんばかりに目を見開き、目の前で繰り広げられる饗宴に釘づけになっていた。

それゆえに、否、それなのにきりたんは気付くことができなかった。ずん子が、ゆかりへの愛撫を続けるその傍らで、きりたんの視線がこちらへと向けられていたことに気付き、妖しげな笑いを浮かべていたことに。

 

「ゆかりちゃん?ちょっと待っててね?」

「ふ、ぇ…!?あ、あぁん!?」

 

 耳元で普段と変わらない、それ故におぞましい調子でゆかりに語りかけるとずん子は返事など聞かずバイブをずん、とゆかりの女性器へと刺し込んだ。膣内への強い衝撃にまたも嬌声を上げる。そのまま電源をオンにしてやればずん子による導きもないままに、ゆかりは涙を流しながら身体を跳ねさせる。

 そうして、ベッドの上から身体を滑らせて立ち上がるとずん子はきりたんの方へ進む。それに恐怖を感じながらも動くことはできない。目の前の、淫猥でいることを強いられた彼女から目を離すことが出来ないのだ。戸惑い、混乱し、自由意志を放棄した妹の後ろへ回り込んだずん子は耳元に顔を寄せてくすりと笑いながら呟いた。

 

「ねぇ、きりたん」

「…ぁん、ですか?」

 

 声が掠れて言葉を十分に紡げない。熱気?冷や汗?切り揃えられた髪を雫が伝う。反して、口の中は渇きで満ちる。呼吸が浅い、苦しい。緊張?興奮?多分どちらもだ、自分のことは自分で分かる。だから、嫌だ。何で興奮しているんだ、愚かな自分は。この場で誰よりも幼き少女の脳は急速に容量を食い散らかされてもうまともに動く気配はない。

 

「興奮、してるよね?」

 

 途端、先程までの硬直が嘘のように、弾け飛ぶようにして振り向いた。信じられないものを見るような、険しい顔つきできりたんはずん子の顔を見た。相変わらずの人畜無害そうな優しい笑顔、だからこそ恐怖を感じずにはいられなかった。わぁこわい、なんてこちらの台詞だと言いたくなるような言葉を紡ぎ右手をきりたんの顎へと添えた。

 そのままぐい、と顔の向きを変えゆかりの方へと視線を戻させる。当然、視界の先には、

 

「ほら、言えるよね?『私は、ゆかりさんが犯されているところを見て興奮していました』って?」

「…い、言いません…っ!」

 

 きりたんは目を閉じてゆかりの痴態を視界に捉えることを防いだ。ずん子の誘導に、ひいては実の姉が与える恐怖に逆らうためでもあったのだが、真意はそうではない。

 自らの内側からせり上がる、年齢に対して余りに淫らな衝動を抑える為であった。きりたんは実際、ずん子の言葉を何一つ否定など出来やしなかった。幾ら頭から追い出そうと念じてもその二文字は消えなかった。ずん子の指が動く度に鳴り響く水音、湿気と共に感じる熱気、何よりずん子の一挙一動に合わせて響くゆかりの今にも泣きだそうな喘ぎ声に身体の奥の方が疼くのを感じた。違う、違う。そう思おうとすれば思うほどにきりたんは、

 

「んー、じゃあ仕方ないかぁ」

「え?、ぁ」

 

 不意に先程より近く、耳元で響く姉の声に意識が引き戻される。そう、声に反応した、それでつい目を開いてしまった。

 

「あ、あ、もうい、やぁ!あぁっ!」

 

 ゆかりの喘ぎ声が聞こえる。ゆかりの痴態が見える。聞いているだけで喉が痛くなるような、それなのにもっと聞かせてほしいと思う様な高くて甘い声が聞こえる。下腹部を愛液で溢れさせ、涙も唾液もだらしなく溢れさせて体面も無く叫ぶ姿が見える。

 ズクン、と身体の奥が一際熱くなる。

 

「あ、ぁああ、あ」

 

 自分は喘いでいるのだろうか?呻いているのだろうか?きりたんは分からない。ただ、口から漏れだす声が止まらない。

 

「あ、あぁん!や、はぁああっ!!? …ぁ、ああ…」

 

 ゆかりが叫び身体が跳ねて一瞬沈黙が訪れる。そうして、またゆかりは壊れたぜんまい玩具の様に身体を震わせて声を漏らすのだが、きりたんはそこで漸く自分の息が酷く荒くなっていたことに、ゆかりに合わせる様にして声を漏らしていたことに、それ故に日常的に身体を動かさない彼女には少なくない負担になる程に疲労が蓄積されていたことに気付いた。

 その疲労感に負けて、後ろに倒れ込み姉に身体を預ける。ずん子はそれを優しく受け止めて、それがきりたんにはどうしようもなく屈辱だった。

 

「…やっぱり、興奮してた?」

「してな、…してない、ですっ!」

 

 自分の様態を、無理矢理にでも否定する様に叫ぶ。のけ反るようにして後ろに倒れかけた身体を懇親の力で前に倒す。割座、所謂女の子座りで荒い息をするきりたんの耳元で尚もずん子は囁く。

 

「うん、そうだね。分かった。…でも、じゃあ仕方ないよね」

「何が、ですか!?」

「それなら、きりたんにゆかりちゃん分けてあげる必要ないかなって。わたし、きりたんが楽しんでくれると思ったから分けてあげたかったけど、そう思わないなら別にいいよね?私一人で楽しんじゃおうかなぁ?」

「…っ」

 

 そこまで言われて、きりたんはいよいよ逃げ場を失った心持になった。ここでずん子が提示したどちらの選択肢を取ってもゆかりを救えはしない。彼女を共に犯すか、彼女を見捨てるかの二択など最早選択肢の意味を為してはいないだろう。

 そう思い悩み頭痛を引き起こしている彼女を嘲る様に、ずん子はゆかりの喘ぐベッドにゆっくりと近寄りながら、わざとらしく呟いた。

 

「別に楽しまなくてもいいのにね?私って案外加減とか知らないらしいから、もしかしたらゆかりちゃんに無理させちゃってるかも、だし。もし、きりたんが代わりにゆっくりやってくれたら休憩になるかもしれないのにね?」

 

 でも、仕方ないよね?

 そこまで言って、ずん子は右足に重みがかかり歩くという行為を阻害されたのを感じてにやけるのを堪えられなかった。代わりの笑顔を無理くりに貼り付けて、ずん子は振り向いた。今にも泣き出しそうな、何かを吐き出しそうな様子で、きりたんは声を震わせながら言った。

 

「…だったら、ゆかりさんが休憩できるように、私が代わりにやります。…私に、ゆかりさんを、分けてください。…お願い、おねがいします…!」

 

 そう言い切ったきりたんがいよいよ耐えきれなくなったのか、床に額を預けたのを見てずん子は貼り付けた笑顔を厭らしく歪ませた。

 

 

 

***

 

 

 

「よっ、と」

「ひゃうっ!」

 

 ぬるり、とゆかりの秘部からバイブが取り出される。ついその瞬間まで、ゆかりの胎内に収まっていたグロテスクな疑似性器は粘液で塗れており、厭らしく光沢を放っている。

 

「きりたんは、使うのはこれでいいのかな?」

「…別に、何でも構いません」

 

 つれないなぁ、なんて笑いながら言うずん子を正直苛立たしく思いながら、きりたんはいよいよゆかりと目を合わせた。強張った表情で対面したゆかりはやはりというか、酷く怯えた表情で、縋る様な眼差しでこちらを見据えていた。

 …当然であろう、どのような理由であれ自分はこれから彼女を犯すのだ。今から犯す人間に笑顔など向けられようものか。だが、今のきりたんにはこれしか彼女を守るすべがないのだ。それがどれほど非情な物であろうと。

 

「じゃあ、これを持ってもらえるかな」

 

 何時の間にやら、ずん子が後ろに回り込んでその手に液体で塗れた性玩具を握らせる。手に伝う精液の生々しい感触にぞわりと寒気が立った。後ろの姉はそんなこと露知らず、自らの身体で妹の身体を推して誘導する。気付けば、目の前には仰向けのゆかりがいる。

にちゃ、という小さな水音に続いて、小さく息を詰まらせる声が聞こえた。ずん子が目聡くゆかりの入口にバイブの先を宛がったからだ。

 

「それじゃあ、もうまっすぐ押し込めば入るからね?やってみて?」

「…はい。」

 

 ずん子の跳ねるような楽しそうな声も、ゆかりの怯えているような縋るような表情も、もう何もかもが痛かった。不快だった。頭痛がする、辛い、もう何も考えたくない。ただ無機質にゆっくり前後させればいいのだ、何も考える必要はないのだ。そうするだけで、自分はゆかりさんの負担を幾分か減らせるのだ。そう、きりたんは自分に言い聞かせる。

 

「…ごめんなさい」

 

 それだけ呟いて、きりたんは握らされた疑似性器を前へと押し進めた。ゆかりは身体の下、背後で一括りにされた手でシーツをきつく握り、目も同様に強く閉じた。

 そのまま、僅かばかりの水音を立てながらゆっくりと挿入していく。まっすぐに閉じられた口から小さく喘ぎが漏れる。半ば恐る恐るといった感じで侵入させるうちに、自分の呼吸が荒くなっていくのに果たしてきりたんは気付く余地などなかった。それにずん子が気付いたのとほぼ同時だった。

 

「ひゃう…!?」

 

 ゆかりが唐突に身を丸めて嬌声を上げる。所謂Gスポットと呼ばれる女性器内の敏感な箇所を刺激したのだ。だが、そんなことはきりたんの知るところではない。重要なのは、自らの行為によってゆかりが喘ぎを抑えきれなかったというその事実である。

 その瞬間であった、きりたんの理性がブツンと切れたのは。

 

「あ、あぁ、ひ、ぃう、い、や、い、ぃやあ!?」

 

 何かが吹っ切れた様に、きりたんは性玩具を持った手の動きを速めた。そうなると当然、性玩具が入り出ていく動きも速くなる。また、早さは動きを粗雑にする。壊れ物を扱う様にゆるやかであった動きは壁にぶつけて叩き壊す様に荒々しいものになっていく。

 するとどうだろう。

 

「ぃや、やめ、てぇええ!」

 

 ゆかりは身体を痙攣させながら、懇願する。しかしきりたんは止まろうとしない。止まれるはずがない、その制止の声が届いていないのだから。

 その間もゆかりが感じる快感はただひたすらに増していく。胎内をえぐる様に乱暴に擦り上げる性具は、ゆかりの内側にある弱いところを全てこそげ落とす様に刺激する。それは入るときにも、出るときにも同じだった。

 加えて、挿入される度にずん、ずんと子宮口を叩きつけられる。初め手を奪ったずん子にさえされたことのない様な、最早痛みしか感じない筈のその動きさえ快感と捉えるほどに性感が高まってしまっている。呼吸さえ覚束ない、ゆかりの視界は涙でぼやけた。もう限界だ、早く終わって。そう願うゆかりは、

 

 ヴヴ、ヴヴヴ…!

「やっ、あぁ…!?なん、…っ!?」

 

 予想外の刺激に、身を逸らして一層喘ぎを高くした。

 吹っ切れた様子のきりたんに不満であったのか、単に見ているだけに飽きたのか、それは定かでないがずん子がバイブのスイッチを入れたためである。きりたんの乱雑に突っ込む動きに、バイブ自体が有する無機質な振動がゆかりを更に責め立てる。

 掘削機がそうするように振動しながら抉る様に膣内をかき混ぜる。最奥に突き込まれたその先もまた震え、子宮に快感を伝わせる。更に、急な玩具の稼働に魔が差されたと苛立ったのかそれを胎内に入れては出すその動きが更に激しさが増すのだからゆかりからすれば堪ったものではない。もういつ途切れるやもしれぬ意識を保つのでいっぱいいっぱいだった。

 

「も、だめ、アッ…、ァ…!」

 

 そこまで声を絞り出して、ゆかりは気絶した。度重なる絶頂に、心身共に疲れ果てていた。寧ろ、よくこれまで意識を保てていただろう。

 

「は、あ、ゆかりさ…、ゆかりさん…!」

 

 だが、その中でひとり、未だ正気に戻れぬ少女がいた。

 きりたんは、ゆかりが気絶したというその事実すら認識できぬまま、ただただ衝動に任せてゆかりの胎内へと疑似性器を叩き付ける。もう、反応もない。無意識に息を零し、寝言のように呻き声を漏らすただそれだけである。

 しかし、そのことできりたんを責めるのは酷だろう。性行為すらまともに体験したことの無い彼女にとって、この饗宴は余りに刺激的であり少女の精神で耐えられるものでもなかったのだ。

 

「はい、一回止めようか?きりたん」

「ぇ、…あ、ぁ」

 

 ずん子が制止をかける。未だ動いていたきりたんの手首を掴み、もう片方の腕で後ろから抱き抱えるようにする。

 そうして漸く素面に戻ったきりたんは、目の前の光景の変わりように理解が追い付かなかった。目の前にはゆかりが嬲られた末に気絶して倒れている。シーツも自分も、ゆかりの秘部から溢れ出た精液で塗れておりべったりとくっついている。記憶の限り、先程まではゆかりは息を詰まらせて軽く喘いでいただけなのに。局部から滴る秘汁も、ひくつく肉襞を濡れそぼらせる程度であった筈なのに。

 

「いやぁ、突然あんな風に本気になるからびっくりしちゃったよ?」

 

 本気に?誰が?

 

「でも、やっぱり興奮してたんだね?あんなに熱心に動かしてたもの」

 

 興奮?何に?動かしていた?何を?

 

「安心しちゃったなぁ、私。やっぱりきりたんもゆかりちゃんのことを犯したかったんだね?」

 

 犯した?私が?ゆかりさんを?おかした?

 

「こんなに、私よりも熱心に犯したんだもの?もう、きりたんは私と一緒だよね。仲間だね?」

 

 なかま?ねえさまと?  おかした? ゆかりさんを? わたしが?

 

 そこが思考の限界だった。がたがた、と全身が震えて涙が止まらない。急激に歪み始める視界と思考の端で手に取ったグロテスクな玩具が手から零れ落ちるのを見た。肩を抱き、その場で蹲る。吐き気が込み上げて、碌にものも詰められていない内臓から胃液と僅かながらの残留物が零れ落ちる。そこまでやって、もう限界だった。

 

「い、や…。いやぁあああああああああああ!」

 

 幼い少女の嘆きが響いた。それが誰かに届くことは無かったけれど。

 

 

 

***

 

 

 

「…後片付けしないと、ですね」

 

 一しきり叫んで下着が汚れるのも構わずその場に倒れ伏した妹と、その少し前に二人がかりの責めで意識を飛ばした愛しい人の姿を見て、ずん子はポそりと呟いた。

 一先ずは、ときりたんの着ていた衣類を全て剥ぎ取り代わりにバスタオルを何枚か被せてやる。少し考えて、そのバスタオルから一枚拝借して辺りの床を適当に拭いた。むっと臭うバスタオルと一緒に衣類を洗濯場に持っていきバスタオルだけ別にして洗濯機へ放り込んだ。ひとまず洗濯機を回してしまおうと、洗面台脇の洗剤を取ろうとして、ずん子はそこに置かれたスマートフォンに気付いた。

 

 もう充電も殆ど残っていないそれはずん子のもので、脇のボタンを押すとLINEのメッセージが映し出される。

 

『弦巻マキ

  -どう?ゆかりちゃんについて何か分かった事ある?ごめんね、殆ど毎日聞いちゃって…』

 

 与えられたメッセージに、普段通りの彼女が控えめに入れるスタンプは無い。それがマキの余裕の無さを示しているようでずん子は笑った。

 

『いいえ、大丈夫です。

 お力になれず、ごめんなさい…』

 

 さっとパスワードを解除してずん子はそれだけ打ち込んだ。

 分かったことなんて言えるわけないでしょう?私が閉じ込めているんですもの。

 嘲る様に心の中で呟いて、ずん子はスマートフォンの代わりに洗剤を手に取りながら、誰に言うでもなく独り呟いた。

 

「貴女のせいなんですからね、マキさん?」

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