「本当に、なんなんですか、この森は…」
そう呟く軽装の美しい冒険者といった風体の少女の名は結月ゆかり。魔法を使える盗賊、魔法戦士という実在の職業の名を考慮すれば魔法盗賊という名称が相応しい様に思える彼女は、多くのダンジョンや遺跡に侵入しては金目になりそうなものを頂戴するといった余り褒めようもないことを生業としている。一応、たまに悪名高い貴族や地主を闇討ち成敗して元の所有者に金品を返すという義賊然としたこともやるので本人はそれでチャラだと思ってはいるが。
そんな調子のいい魔法盗賊は今、次の都市を目指す為に通らねばならない森の中で立ち往生を強いられていた。
『おい、嬢ちゃん。どんだけ腕が経つのかわからねぇが、あの森に入るのだけはやめといたほうがいいぞ。あそこは「帰らずの森」って有名な所でな、これまでも何人か冒険者が入ってったんだが、そいつら見事に全員帰ってきてねぇんだ。だから、幾ら遠回りになろうが、この森を迂回して進んだ方が身のためだ』
森の手前の町のギルドでそう言われたのを思い返してももう遅い。そもそも、路銀が足りていない現状、迂回する為の十分な食料や装備を揃えられなかった。その町で割のいい仕事もなかった以上森をまっすぐ進むという方法しか考えられなかったのだ。
そして、いざ肝心の『帰らずの森』入ってみれば道らしい道もない森が広がっていているだけ。この程度、冒険者なら何とかなるのではないか、とロープとナイフの目印を駆使して進もうとしたのがかれこれ半日ほど前。それから日が傾こうとするまでのゆかりの成果といえば、
「これで三回目、ですよ…。何でまっすぐ進んだ筈なのに元の場所に戻るんですか…」
ただ森の中を行ったり来たりしているという有様であった。情けないことこの上ないが、流石にただこの事態を黙って受け入れるほど落ちぶれている訳ではない。
「流石にこれはなにかあるでしょう…。感覚を狂わされた?多分違いますね、歩くのに支障はありませんでしたから。となると…、魔物の仕業?アルラウネか、ドリヤードの類でしょうか?」
『おや、鋭いね。一日足らずでそれに気付くなんて』
「…!誰ですか!姿を見せなさい!」
『人の縄張りに勝手に入って、出てこいとは酷いなぁ…。そこに張ったロープを辿ってきなよ、今度は邪魔したりしないからさ』
そう言ったきり、声の主はゆかりの問いかけに反応しなくなった。何を問うても、暴言を吐いても露知らずといった様子だった。
(この先に罠でも仕掛けられてたら面倒ですが、進むしかありませんね…)
意を決しゆかりは警戒しながら縄を辿り森の奥へと進む。先程の声は遠隔での通信魔法だろう。アルラウネは本来魔法を使えない筈である、それがこのような魔法を使えるということは何らかの要因で生まれた変異種の可能性が高い。少なくとも、普通のアルラウネよりも余程狡猾で厄介な相手だろう。そう思い、腰元に装備したナイフに手をかけながら進む。いつ攻撃を受けるかも分からない、ゆかりは一歩一歩慎重に進んでいく。
そんなゆかりの警戒も虚しく、攻撃はおろか簡易なトラップすらない平和な道を歩き終えれば、その中心に大きな花の蕾が生えた円状の空間へと導かれた。
「弱らせる必要もないと考えているとは、随分強気な方なんですね。いるんでしょう、早く蕾から姿を見せたらどうなんです」
『せっかちだなぁ、分かったよ」
そうしてふわりと花開いた蕾の中から現れたのは、美しい女性の姿をした魔物娘であった。花の中心から生える様にして佇むその女性の肌は病的なほどに白く、髪も同様に白い。そのせいか、一点だけ紫色に染まった前髪がよく映えていた。憂いを帯びた表情を映し出す顔も整っていて美しい。場違いだと理解していながらも、それがゆかりが彼女を見たときの率直な感想だった。
「…ふふっ、そんなに見つめられると照れちゃうな」
「…な、何バカなことを言ってるんですか!ゆかりさんが魔物に見惚れるわけないでしょう!?」
「まぁ、いいけどね。とりあえず、自己紹介でもしておこうか。私は、見た通りのアルラウネ。名前は、そうだな…。“フラワ”でいいか、分かりやすいし」
「…適当なんですね」
「まぁ、魔物の界隈からすれば例外はあるけど基本的に種族が何かが重要だしね。あぁ、これもどうでもいいか。それで、君の名前は?…あぁ、ゆかりだったね、よろしく」
「…っ!そ、そうですよ!よく覚えてましたね!」
「…は、ははは!面白いね、君は!」
お腹を抱えながら心底愉快そうに笑うフラワ。その様子に恥ずかしさを覚えたのか怒りを覚えたのか、ゆかりは右手に魔力を集めて炎の球を作り出すとフラワに向けて撃ち放った。
「おっと、危ないなぁ。そんなにカッカしないでよ」
「五月蠅いです!私は早いとここの森を抜けたいんです!そこをどいてください!今なら迷わせたことも許してあげますよ!」
「勝手に入ってきたのはそっちなんだけどなぁ…。それに、君を逃がすのはちょっと嫌、かなぁ?」
「…?どうしたんです、私が勝手にテリトリーの中に入ったからですか?随分と心が狭いんですね」
「はは、まぁそういう事にしてあげるよ。というわけで、荒っぽいことはしたくないんだ。大人しく降伏してもらっていいかな?」
「はっ、まだ戦ってもいないのに降伏する冒険者が何処にいるっていうんですか?ここは黙って押し通してもらいますよ!」
「いや、その必要はないよ。だって―――――結果はもう見えてるから」
その言葉と同時、フラワの足元で開く花弁と地面との境から10近い数の蔦が一斉にゆかり目掛けて勢いよく伸びていく。それを着弾すれすれで回避すると、ゆかりは草むらの上を転がりながら腰元に構えた短剣のうちの一本を構えた。そうして、フラワを視界に納めるとそちらへ向かおうと身体を跳ね起こした。しかし、
「無駄だよ、周りを見てみなよ」
「…っ!」
その言葉の通り、ゆかりが態勢を整え終わったその頃にはすでに周囲に大量の触手が迫っていた。それらが我先にとゆかり目掛けて突っ込んでいく。それに対処しようと回避と防御に専念すれば蔦の数が増えていく。それに業を煮やしたゆかりは、
「くっ…、《焔》!」
短剣を構えていない左腕に魔力を溜め込み、振りかざしながらそう叫んだ。途端、ゆかりを取り巻くように炎の波が放たれた。彼女を中心に燃え盛る炎の波は瞬く間に纏わりつかんとする蔦の群れを焼き払い、そして消えてしまった。
「はぁ、はっ…。どうしたんです、これぐらいならまだまだ幾らでも闘えますよ?」
そんなゆかりの挑発に、しかしフラワは尚も余裕を崩さない。
「うん、すごいね。でも、大丈夫かな?だいぶ息が上がっているようだけど」
「何、言ってるんですか。まだまだ、余裕で…っ!まさか…」
「君の思った通りだよ?実は君が森に入った辺りから、私の花粉を飛ばしてたからね。そろそろ身体も火照ってくる頃なんじゃない?」
「くっ…!これだから魔物は嫌いなんです!でも、ならさっさと貴女を倒せばいいだけで…!」
「おっと、足元がお留守だよ?」
「な、え、きゃああ!?」
駆け出そうとしたゆかりは、しかし隠れ潜みながら迫っていた蔦に足を絡め取られ宙へ投げ出される。そうして短剣も放りだしてしまい無防備になった冒険者へ、更に魔物娘の追撃が迫る。木々の葉の隙間から、茂みから伸び出した蔦がゆかりの四肢を拘束する。そうして瞬く間にゆかりは大の字に宙づりされた状態で、フラワのすぐ目の前にまで運ばれてしまった。
「ふふ、いい格好だね。これでチェックメイトかな?」
「…っ!舐めないでください…!《ほむ》…!」
「おっと、危ない」
「んむぅ!!?」
詠唱と同時に周囲に熱く迸る魔力にも動じずに、フラワはただ先端に蕾のついた蔦をどこからか伸ばして詠唱を続けようとするゆかりの口内へと突っ込んだ。突然に口を塞がれた衝撃に詠唱は中断され、魔力は霧散してしまう。
「むぐぉ、ん、ぐぅう!」
それでもなおフラワはゆかりへの侵略は止まらない。蔦を引き出したかと思えばいきなりに喉元まで突き入れる。口内を満たす衝撃に呼吸もままならない、蕾から滴り落ちる甘ったるい蜜が息苦しさを加速させる。
そうして何度蔦が口内を往復したことだろう、突如として口内から喉元までに居座った蔦の先端がその体積を増して空気の通る隙間すら許さないほどに膨らんだ。
(く、くるし…!?)
呼吸もままならないゆかりの目の端から涙が伝う。段々と頭に回る酸素が少なくなっていくのが分かり、反抗心が恐怖と諦観にすり替わっていく。一体いつまでこの責め苦が続くのだろう、早く解放して。それだけしか考えられなくなっていく。
果たして、その思いが通じたのかは定かでないが、その苦痛は終わりを迎える。喉元を圧迫し続けていた蕾がぶる、と微かに震えて。
「む、ぅ、うぅむううううう!!?」
ゆかりは喉元で蕾の体積が小さくなっていくのと、その先端から放たれた何かが喉奥へ放たれるのを感じ取る。酸欠を訴えていた脳は口元の拘束が緩んだと見るや即座に酸素を取り込めと命じたのだろう、喉と蔦の間に出来た隙間の間に自らを捩じ込むように空気が肺へと流れてゆく。そのせいで胃へと目掛けて流れ込む謎の液体を飲み下してしまう。
「ん…そろそろかな?」
フラワがそう言ったのが合図になったようにどくん、どくん、と脈動する蔦の動きが次第に落ち着いていく。最後にぴゅ、ぴゅ、と残った液を絞り出すように舌の上に吐き出して、蔦は口内から離れていった。
「っ、え、ごほっ、ごほっ!!」
最早体面など気にする余裕もなく、ゆかりは目から零れ落ちる涙とともに咳き込んで口の中から澱んだ甘ったるい液を吐き出した。
「ふふ、あれだけ反抗的だったのに随分大人しくなっちゃって。まぁ、それも仕方ないかな」
そうくすくすと笑うフラワに苛立ちが走る。何か言い返そうと口を開こうとしたときだった。
「っ、…あ、ああっ!」
どくん、と鼓動が逸るのを感じる。身体も熱い、封じられて早まった呼吸のせいかとも思ったが一向に落ち着く様子を見せない脈拍がその考えを一蹴する。何より、ただでさえ思考を溶かす熱で鈍くなる一方の頭を満たす下腹部からの疼きが、ゆかりに理解と困惑を同時に運んでくる。
「ど、どうしてこんな、早く…」
「んー…、どうしてと言われてもね。私が相手した人間は雄も雌もこんなになるからそんなものかって思ってるけど。何分比較対象がいないから」
「おか、おかし…。こんなの、普通じゃ…」
「…ふぅん。淫魔か、私と同じアルラウネか分からないけど、もう経験あるんだ。…なんだろう、腹立つなぁ」
フラワの及ぼした催淫効果は並のサキュバスやインキュバスといった魔物のもたらすそれとは比較にならないもので、全身を想定の何倍も速く渇きと疼きを走らせる。身体も思考も情欲が発散されるのを求めていたことに覚えた危機感は、何故か不機嫌さを顕わにするフラワの態度で更に強くなる。しかし、その危機感がどれほど抵抗することを命じても肝心の身体が動いてくれない。興奮で熱くなるのとは対照的に全身の力は抜け、蔦に絡め取られた腕に身体を任せてしまう。
「まぁ、これだけ可愛かったら仕方ないか、っと」
「あ、ふぁ…。は、はなし、て」
「はい、じゃあ大人しくしててね。大丈夫、乱暴はしないよ。服脱がさせてもらうだけだから」
苛立ちを適当に納得させてフラワはゆかりを蔦から外して抱きとめる。抵抗のない身体を受け止めて、自身を隠していた花弁の一つにゆかりを優しく寝かせるとフラワはその服に手をかけた。抵抗したくても出来ない、反論しようにも満足に言葉も紡げないほどに脱力してしまった少女の服を手早く剥ぎ取っていき、ゆかりは出会って間もない花の魔物に一糸纏わぬ姿を晒してしまう。
「それじゃあ、私の目的を果たさせてもらおうかな。なぁに、心配はいらないよ。君はただ気持ちよくなってくれればいいから、んん」
「ぁ、うぁ…、ん!」
ちゅ、とフラワはゆかりの唇に自らのそれを重ねる。そのまま、力が抜けて半分開きかけていたゆかりの唇のその隙間にフラワは舌を差し込み、だらりと口内でしな垂れていたゆかりの舌を絡め取った。ぬちゅ、と僅かに開いた口の端から二人分混ざった唾液と熱い息を零しながら、フラワは抱きしめるようにゆかりの身体に自らの素肌を重ねる。二人の凹凸の少ないながら女性らしい柔らかさを秘めた裸身が、胸の先端でつんと固く立ち上がった蕾が絡み合い、二人を昂らせていく。
「んちゅ、じゅ、じゅる、んぁ、ん」
「ふぁ、ん、ちゅ、んぅ…ん」
重なり合わせた唇から熱く湿った粘度の高い音を漏らす二人の体温は興奮と共に自ずと高まっていくのを感じる。唇を合わせたばかりでは植物と同様に感じなかった熱が僅かながらにフラワの身体から感じる。ゆかりは快感でぼんやりとした思考の端で、植物のアルラウネでも興奮で身体は熱くなるのか、と考えていた。
「は、ぁ。きもちい…。やっぱり。薄々感じてたけど美味しいね、君の性」
「ふぁ…、ぅ、え…?」
「こんなに可愛くて、性も美味しくて…。いよいよ、誰にも渡したくなくなっちゃったな…、ちゅ」
「ん、ぅう…、あっ…」
ゆかりの眦から零れた涙を舌で舐め取りながら、薄い肉つきの胸を撫でるように揉みしだく。ふにふにと掌全体で心地よい柔らかさを堪能しながら、掌を押しつけるようにして慎ましく立ち上がった乳首を刺激すれば、ゆかりは汗ばんだ小さい身体を震わせて甘い声を漏らした。その反応に興奮を煽られて、フラワは頬を撫で上げていた舌を下へ下へと移動させる。赤く色づいた頬を舌先で撫で上げて、首筋にちゅ、と軽く口付ける。
「ひ、ん…」
僅かに汗の溜まった鎖骨に軽く歯を立てて、残った噛み跡に舌を這わす。
「いっ、ん、ぅ」
そのまま舌を滑らせ、掌で挟むようにして膨らみが強調された胸を昇る。その頂上まで辿り着けば先端に、ちゅ、と音を立てて吸いついた。
「あぁっ!」
「ふふ、どこも敏感」
舌先と指先で胸の蕾を弄びながら笑う魔物娘に一切反論も出来ず為すがままのゆかりはただ快感に涙を流す。目の前の規格外なアルラウネの淫蜜に狂わされた身体は、本来では前戯に過ぎないそんな愛撫でも軽い絶頂に身を震わせてしまう。全身を溶かすような熱で茹った身体も思考も、それ故に与えられた快感で軽い充足感で満たされていた。それ以上の快感を与えられたならどうなるか、本来なら黄色信号を上げる理性が働かないのも無理のないことだった。
「ん、そろそろいいかな」
「そ、ろそろ…?」
「こっちの方も、ね」
「んぁあ!」
ゆかりが身体を一際強く跳ねさせたのは、フラワが胸を弄んでいないもう一つの手で少女の脚の付け根に手を這わしたからだ。微熱に浮かされ胸で数度の軽い絶頂を与えられ、秘裂からは指が滑り入るに十分な程に濡れていた。すらりと長い指が入口付近の浅いところをかき混ぜるたびに股からは蜜が、口からは嬌声が溢れ出る。
「あぁ、あっ!だめ、つよ、いぃ!」
「はは、すごい。もうびしょ濡れじゃんか」
余りに強い快感で叫ぶゆかりの様子に当てられたフラワも興奮と喜悦が隠しきれない様子で、声の調子も上がり口元も歪んでいる。それまで胸元を貪っていた身体を起こし、フラワはゆかりの脚の間へ身体を滑らせる。上半身を倒してゆかりの秘部の目の前に陣取れば、そこはしとどに蜜を流して洪水の様相を呈していた。興奮を煽られたフラワはこく、と唾を飲み込むと自らの指を飲み込む秘裂に口付けた。
「あっ、あぁっ!だめ、い、いっちゃ、んん!」
早くイけばいい、こちらは上質な性を求めているのだ。そう言おうかと考えフラワはすぐにその思案を性衝動に任せて棄却する。噴水の様に溢れさせる甘い蜜が、かき乱される度に口から零す心地いい嬌声が、絶頂の度に全身から放出される上質な性が、欲しい。貪欲に駆られ、フラワはそれまで浅いところを掻きだしていた指を奥まで差し込む。指毎舐め取るように秘所に舌を這わせば面白い位に鳴いてくれる、なんて上質な獲物だろうか、興奮から来る熱に浮かされた短絡的な思考に任せて目の前の身体を貪るフラワの視界にふくらと腫れあがった淫核が映る。それに誘われるようにして指を差し込んでいない左手が動きその指先で皮の上からすり、と軽く擦る。
「んんん!っ、あぁ!」
それだけの刺激でゆかりは軽くではあるがまたしても絶頂した。その様子にも、フラワは追撃を緩めない。充血しきった秘芯を、皮をするりと剥いて顕わにしてやる。一度秘唇から唇を離して息を吹きかける。それだけでゆかりは短く息を吐いて身体を震わせた。その様子が可笑しくて、赤く腫れた蕾にとん、とんと軽く指で弾く。それを何回か繰り返した。
「あ、あん!あっ、あ、あぁ!」
「はは、面白い…!楽器みたい…!」
自らの指先に合わせて喘ぐゆかりの姿に、フラワは興奮のままに熱い息を漏らして笑う。そう笑ったのも一瞬でフラワは再び秘芯に狙いを定めて顔を近付けた。ゆら、と顔を近付けて唇を秘芯に触れさせる。ゆかりはびくり、と身体を震わせたがそれで終わらない。フラワの白い歯が愛液に塗れた蕾を挟む。それと同時、膣内に潜りこんでいたフラワの指先が子宮口を押し上げた。
「あ、あぁああああっ!」
その刺激にゆかりが決壊する。一際大きく叫び声をあげて、身体を大きく震わせた。背が花弁から離れるくらいに身体を弓なりに強張らせ、再び背を花弁に預ける。はー、はー、と大きく息を吐きながらゆかりは涙を流す。上体を起こすのに合わせて秘裂から抜かれた指の刺激にまたぴくり、と身体を震わせる。その様子に絶頂していないフラワもは、は、と荒い息を零しながら指に纏わりついた蜜を舐め取る。何回か舌を上下に這わせて、自分の指を纏うものがすっかり自分の唾液に置き換わったフラワがゆかりの耳元に手を付いて馬乗りの様にして顔を近付けた。
「やっぱり、最高だよ。これだけの性、出してくれる娘なんて、私初めて…!」
うっとりと半ば夢見心地といった様子でフラワは喋る。ともすればゆかりが聞いているのかも関係なく、ただの独り言かもしれないといった様子で。
しかし、それも無理はないことだった。魔物は人間の性や血肉を吸収することで自らの力を高めることが出来る。それはアルラウネであるフラワも同様であり、そして幾度となく絶頂へと導いたゆかりから得た性は、二人の相性がそうさせたのかそもそもゆかりが特異な性の持ち主なのか、フラワの力を格段に高めていた。量も質も、今まで喰らってきた冒険者のどれとも比較にならない。力が自分の中に満ちて行く感覚が堪らなく心地よい。言い知れぬ全能感にフラワは自らの身体を震わせた。
「…な、して」
「ん?」
「もぅ、はなして…。これだけ、せいをむさぼれば、じゅうぶんでしょ…。いっそ、ころしてでもいいから、わたしをかいほうしなさぃ…」
まだ虚ろな目で呼吸も荒いままではあるが、どうにか喋れるまでに意識を持ち直し快感にも慣れたゆかりが懇願とも命令とも取れない言葉をフラワに放つ。それにフラワは少し驚いた様子を見せた。
「まだ喋れるんだ、ホント期待以上…」
「かいほう、して…。もう、ぃきたくな…」
「…駄目だよ。もう逃がさないから」
「にが、さ…?」
「うん、逃がさない。この森に入った時から他の冒険者とは違う感じがしてたけど、全部思った以上だったから。可愛くて、いい性を持っていて、ここまでやって気もやらない…。決めた。他の冒険者は期待外ればっかりで森の養分にしてたけど、君…、ううん、ゆかりだったね。ゆかりは違う。そんな酷いことはしない。ゆかりを私のつがいにしてあげる」
「つが、い」
つがい、フラワが発したその言葉にゆかりがびくりと肩を震わせた。その言葉通りの意味で取れば夫婦のそれだが、魔物の言うそれ、特に性を貪るタイプの魔物では意味が違う。『私は今から貴女を飼殺しにして性奴隷にします』と宣言しているに等しい。
「い、いや…」
自分を身下ろしてくるフラワの笑顔が途端に恐ろしいものに見えて、ゆかりは花弁の上で身を捩るようにして後ろへ後ろへと逃げる。それで逃げられるとは到底思えたものではないが、散々に絶頂へ導かれ挙句つがいにすると言われて心の折れたゆかりに何もせず魔物のされるがままという選択肢はなかった。
「言ったでしょ、逃がさないって」
しかし、現実は残酷である。死角から迫った蔦がゆかりの両腕を絡み取り、釣り上げる様にして頭上に固定される。一瞬の浮遊感から完全に逃げ場を失ったゆかりの視線の先にはフラワと無数の蔦が迫っている。それでもなお逃げようと捕らわれた腕を振り回すがぎしぎしと音を立てるだけで拘束が解ける様子は微塵も感じられない。
「もう諦めなよ。大丈夫、いやってほど気持ちよくしてあげるから。その性を私に頂戴?ね、ゆかり」
「や、い、いや、いや、んむぅっ…!?」
恐怖のあまり無意識に叫ぼうと開かれた口に蔦が突き入れられる。ゆかりは口内で感じる蔦の形と、何より喉の奥に吐き出された液体がもたらすずぐんとした下腹部の熱に突き入れられたその蕾が自らを快楽の奈落へと叩き落としたものであることを悟り、絶望の中で全てを諦めた。
その時から、どれほどの時間が経過したのかゆかりに分かるはずもない。そも、快楽で茹り続けた頭で何を考えることが出来るであろう。
「あ、ふぁあ、あぁん!」
「ふふ、相変わらずゆかりはナカとソト同時に弱いね。まぁ、誰だってそうなのかな?」
縛られることで赤く擦れた腕を労るようにその日は花弁の上で座ったままでの行為だった。花弁の上に力なく座るゆかりを背後から抱き締める様にして支えるフラワは、出会った頃より幾分か育った胸へと腕を伸ばし全体を捏ねるようにして揉みしだく。もう片方の腕は秘裂の上で赤く腫れあがった蕾を捉え、指先で優しく摘みあげ上下に扱いている。本数の足りない腕の代わりに膣内を埋めるのは、しかし手足のように自由自在に操る蔦であった。最初はざらざらとした表面の感触が痛い、と不満を零していたが回数を重ねるごとにより強い刺激を求めるようになった今ではこちらを多く使っている。表面の感触もそうだが、長く質量もある上にフラワ自身の器用さも相まって膣奥の子宮口と入口すぐの弱点を同時に刺激できるのが気に入ったらしい。
「ひぅ、だ、んっ!…や、だ!ふら、わ、んぅ!」
「うん?どうしたの」
何かを言いかけて、思わず喘ぐゆかりに気付いて責め手を弱める。ゆかりは振り返るようにフラワを見て、紅潮させた頬と快楽の涙を見せながら縋るように呟いた。
「ほかのひとのはなし、しないで…、わたしだけ見て…!おねがい、ふら、んぅう!?」
「ん…、は。…ほんと、可愛すぎだって、ゆかり…!ぅん…」
始めの頃からでは想像もできない発言に思わず唇を奪ったフラワは、その興奮に煽られるまま胸を弄っていた方の掌でゆかりの頬を押さえより深く唇を貪る。そのままの勢いで秘裂に挿入した蔦と、その上で赤く自己主張する秘芯を扱く指先の動きを激しくする。最早数え切れないほどにフラワに抱かれ、その度によりイきやすい身体へと開発されていたゆかりはその刺激に耐えきれる筈も無く絶頂へと導かれる。
「は、ぁ。…どう、気持ちいい?」
「ぁ、ぅ、ん…。もっと、もっとほしいの…、ふらわぁ」
「ん。じゃあ今度は、指でイかせてあげる」
ずる、と蔦を抜きフラワは正面からゆかりを抱きしめると、そのまま優しく花弁の上に寝かせ上から覆い被さる。ざらざらとした蔦の強い愛撫で快楽を一層強く感じるようになった秘唇に指を這わせ、そのまま細く長いその指をするりと潜りこませれば、フラワの背中に回されたゆかりの腕には自ずと力が入り、間もなく高い嬌声が森奥に響いた。
ゆかりは知らない。自らがフラワのつがいとなって既に数年の年月が経過していることを。
ゆかりは知らない。フラワに抱かれ続け、その魔力を浴び続けた自分が既に人間を逸脱した何かになり果てていることを。
ゆかりは知らない。『帰らずの森』と呼ばれ疎まれていたその森がじわじわとその範囲を広げ、挙句近くの村や町を飲み込み多くの人々を遠方の地へ追いやったことを。
ゆかりは知らない。『帰らずの森』と呼ばれ疎まれていたその森に入った冒険者たちが、蔦の魔物に惨たらしく殺され続けていることを。
ゆかりは知らない。ゆかりの冒険は終わってしまったのだから。
用語解説
【魔物】
身体的能力や魔力に優れた生物。人間や動物の血肉を喰らうことで食欲を満たし、更に性を得ることで自身の魔物としての力を増すことで成長する。姿形は様々だが、その特性から人間から忌み嫌われている。
【魔物娘】
魔物が様々な要因によって進化し、美しい女性の姿と優れた知性、魔物以上の力を得た生物。更なる特性として、捕食以外に性交によっても人間の性を得ることが可能になっている。効率も性交の方が良い為に魔物娘の多くは気に入った人間をつがいと称して性奴隷にして飼い殺しにしている。更に、つがいになった人間は次第に魔力に当てられ人間という種族を逸脱した存在になってしまう。あらゆる点で人間社会に害悪であり魔物以上に恐れられている。
【性】
生物が有する生命エネルギーのうちの一つ。精と表記すると精液などと紛らわしいので、こちらの字が当てられている。人間を追い込んだ時、特に性的快楽を与えた時に多く放出される。魔物娘の餌とも称され、世界中の王国の騎士団や冒険者の間で放出を抑える研究がされているが効果は無いに等しい。
【ギルド】
世界中に支部を持つ冒険者組合。依頼者と冒険者との仲介や危険領域の調査、魔物娘や盗賊団などの危険因子の討伐隊の編成などの業務を中心に冒険者生活をサポートする冒険者にとっては無くてはならない組織。逆にギルドの存在しない地域はある種の未開拓地域と思われている節があり、冒険者もあまり訪れない。
***
キャラクター紹介
【ゆかり】
旅の冒険者。冒険者ギルドに所属しているが、密かに無許可で遺跡漁りや悪徳金持ち狩りでも生計を立ててる不良冒険者。生まれが生まれだが実力はそれなりで冒険者養成施設であるアカデミー出身の冒険者の中でも上位に位置している。物語の都合上常に受けの立場が確約されている悲しき存在。質も量も異常な程の性を持つ魔物娘のご飯。ごめんね。
物心ついた時には孤児であり過去には大規模な盗賊団に拾われ奴隷として過ごしていた時期がある(幸い幼い頃なので処女は奪われなかった)。その後ギルドの面々と共に盗賊団の討伐に訪れたアカデミーの教授である老魔術師に才能を見出される形で拾われ、以後は彼が病死するまでアカデミーで学んでいた。師を失った後は卒業を待たずにアカデミーを飛び出して同期より一足先に冒険者として活動している。周囲から人間だと思われているし、本人も自身を人間だと思っているが…。
元ネタは結月ゆかり。元々冒険者のゆかりさんを魔物娘に虐めてほしかったシリーズなので負け確の存在です。改めてごめんなさい。
【フラワ】
特異種のアルラウネ。通常種のアルラウネとは比較にならない力を持つ。『帰らずの森』と恐れられる森の実質的支配者であり、森内にこそ限られるが植物の操作や遠隔意志通達魔法、花粉や蔦を用いた強力な制圧能力を有する。ストーリー以前から脅威的な魔物娘として恐れられていたが、ゆかりをつがいとして以降森さえも自身の意思で拡げられる程の規格外の力を得た。
ちなみに魔物『娘』であるので当然女性器も存在しており男性を狩ることもあったが、ゆかりをつがいにしてからは完全にゆかり専になり彼女以外の性を貪ってはおらず、完全に餌として(捕食・肉食的な意味で)貪り食っている。
元ネタはVOCALOID兼ガイノイドtalkのflower。花=アルラウネという安直な発想と、ある同人誌の影響だったりゆか花好きだったりで採用しました。