「そいじゃ、乾杯!」
「はい、乾杯です」
ジパングの北方、山間部に位置する温泉で栄える宿場町のギルドで、ゆかりは黄髪を短く纏めた壮年の男性冒険者と盃を交わしあっていた。
「うん、美味い!やっぱりジパングの酒は最高だな!」
「相変わらず酒好きですね、宗麟さんは。…まぁ、確かにジパングのお酒は美味しいです。大陸のとは全然違って最初は戸惑いましたけど」
「そうだろう?うちの国の数少ない自慢だからな。今日は儂の奢りだからじゃんじゃん飲んでくれ」
「はは、ありがとうございます」
ジパング入国後気に入って長らく飲んでいるショウチュウの炭酸割りのグラスに口付けるゆかりの向かいで、漸く見慣れてきた変わった酒器からやたらと小さな土器のグラス、猪口に酒を注ぐ男性冒険者は宗麟という名のジパング出身で世界各地を旅する冒険者だった。
初めて出会ったギルドで声を掛けられたときは軽薄そうな態度に怪訝そうな表情を隠しもせずに、その翌日に案内を引き受けると言いながら後をついてきた時は明らかな警戒を向けたものだった。恐らくはゆかりの報酬に群がるハイエナ紛いの弱小冒険者か、そうでなければ女冒険者を狙って乱暴を働く不埒もののどちらかだろうと思い、いざとなれば実力で排除しようと決めていたのだった。
しかし、そんなゆかりの予想を宗麟は容易く裏切ってみせた。たしかにへらへらとした態度こそ変わらなかったが、宗麟はゆかりを冒険者としても女性としても尊重した。必要があれば喜んで手を貸す、女性としては扱いつつ性的には決して手を出さない、何より戦闘に入ればそれなりに手練のゆかりに劣らずといった実力と確かな観察眼で支えてやるといった具合に、ゆかりを全面的に支えてやったのだ。そこまでされれば流石にゆかりも気を許さねば失礼だろうと謝罪と共に態度を軟化させ、気付けばひと月以上ジパングを共に旅していた。
「んで、どうだろう、ここの宿場町は?ギルドがここまで栄えてたのは流石の儂も予想外だったが、温泉もいいしいい町だろう?若い時分に立ち寄ったんだが、ここは是非訪れてほしかったんだ」
「ええ、いい町だと思いますよ?泉質も良かったですし」
「だろう?まぁ、水着姿で混浴に入ってきたのには流石に驚いたが」
「む…。仕方ないじゃないですか。私の国では温泉に裸で入る文化が無かったんですから。むしろ、皆が裸で入浴してるのが驚きでしたよ…。男の人のアレなんて、久々に見ました…」
「あっはっは。それは災難だったな。まぁこんな災難も、あと10年もすればいい思い出になるってもんだ。あ、お姉ちゃん。焼き鳥追加ね、塩でよろしく」
「冒険者に中々無茶言いますね…。まぁ、宗麟さんは生き抜けることが出来た相当の強者でしょうから、そう言えるんでしょうけど…」
笑いながら給仕の若い女性店員につまみの追加を頼む宗麟をじとりと睨みながら、ゆかりはグラスに残ったショウチュウに口を付ける。その心地よい苦味と香りに少し機嫌を回復させて、ゆかりはグラスをテーブルに戻して宗麟に視線を向けた。
「そういえば、宗麟さん」
「ん、なんだい?」
「この町まで来た本当の目的ってなんですか?」
さも当たり前のようにゆかりの口から放たれた言葉に、宗麟は思わず怯み啜っていた鶏肉の煮物の汁を零しそうになった。
「も、目的って…。思い出の温泉町だから、気の合う冒険者を招待しようかなってだけだよ」
「その割にはお宿もご飯も適当に選んで、懐かしの場所とかにも特に誘わないじゃないですか。そもそも宗麟さん、出会って間もない私が言うことじゃないでしょうけど、割と遊び人気質だからもっと遊べる場所も備えた宿場町を選びますよね?この前立ち寄ったギンザンとかアキュウみたいな、ね。明らかにそっちにいた時の方が楽しそうだったんで、何か目的があってここに誘ったと考えるのが自然かなって」
「ぐ、ぐぬぬ…」
「まぁ、さっき慌てて煮物の茶碗戻したところ見るに、私の勘が当たってるみたいですけど。あ、すみません、お姉さん。ショウチュウの炭酸割りをもう一杯お願いします、濃いめで」
今度はゆかりが店員を呼び止めて酒の追加を頼んでいる間に、宗麟は悩ましげな表情を浮かべて視線を彷徨わせていた。そうして、一度唸り声を上げて猪口に入った酒を煽ると意を決したようにゆかりに視線を向けた。
「全く…、敵わないなぁゆかり君は」
「お、ということはやっぱり何かある感じですか」
「あぁ、とびっきり危険な話がね」
そう言って宗麟は懐から1枚の用紙を取り出した。一見ギルドの依頼書や手配書に見えるそれは、しかし吹雪の中に佇む女性と注意喚起という微妙に異なるニュアンスのものだった。
「『吹雪女に警戒せよ』…?魔物娘ですか?」
「あぁ、そうらしいね」
「らしい?確定情報ではないんです?」
「何せ、遭遇したり被害に遭った人間の殆どが行方不明だからねぇ。20年は前から毎年のように被害が出てるもんだから、儂もすっかり滅入ってるわけ」
「…なんか、いやに詳しかったり当事者みたいに話したり…。訳ありです?」
「あぁ。…こんな訳、でね」
そう言って宗麟は、まるで手袋でも剥ぎ取るように左腕に手を伸ばし指を差し込んだ。そうして脱ぎ捨てられたものと更にその先に現れたものにゆかりは息を飲んだ。宗麟の左腕を覆っていた皮膚を模した精巧な手袋も、その下から姿を見せた薄らと魔力を帯びた重厚な銀製の義手も、ひと月ほどを共に過ごしていた筈のゆかりの理解の外にあるものであったから。言葉こそ発しなかったがゆかりのその驚きように満足したようで、宗麟はそそくさと隠すように銀腕の上に手袋を被せた。
「いいだろう?そいつを倒す為に拵えてもらった特別製なんだ」
「…えぇ。私も、魔工具にはそれなりに詳しいつもりでいましたが完全に理解の外でした。…それで、このタイミングでわざわざ見せるってことは、それを着けるようになったのもその吹雪女絡みと見ていいですか」
「まぁね。…少し昔語りをしようか」
そう呟いて宗麟は猪口をくいと傾けて酒を煽ると少しばかりぼんやりと宙を眺めてから口を開いた。
「あれは20年くらい前かな。まぁ当時の時点でゆかり君よりも歳上だったけど、その頃の儂はまだまだ若手の冒険者でね。その癖、仲間達と若手の期待の星とか持て囃されてねぇ。まぁ、天狗になってたんだな、今思えば」
「天狗…?」
「あぁ、うちの国の慣用句だから気にしなくていい。要は調子に乗ってたんだ。もう、儂らならどんな魔物でも狩れるに違いないなんて大それた考えを抱くようになって、そんな風に馬鹿やってた時にこいつの話を聞いたんだよ」
そう言って注意喚起の用紙を掲げてみせた。
「当時はまだ、最近こういう魔物が出て悪さしてるらしい、みたいな話が出始めたばかりでね。危険性も何も知られてなかったから、話を聞いた儂らは軽い気持ちで討伐に向かったよ」
「…それで、返り討ちにあったと?」
「…そんな生易しいもんじゃあない。儂は4人の仲間と向かったが、儂以外は帰って来れなかった」
そう、静かな調子で吐露する宗麟の言葉を黙って聞くゆかりの手元で握られたグラスの中で、溶けて姿勢の崩れた氷がカランと鳴る。そんな小さな音さえ高く響いて、しかし2人は反応らしい反応も見せなかった。
「雪山に出るらしいと荷物を抱えて登ってった儂らは、その山を半分も登らないうちに前も見えんくらいの猛吹雪に襲われて散り散りにはぐれてしまったんだ。定石として、洞穴とかを探して一先ず休もうと立ち止まって目を凝らそうとした儂の耳に聞こえたんだよ、この世のものとは思えん不気味な笑い声が」
「…っ!」
「吹雪の音と相まって前後左右どこから聞こえてくるのか分からんかった儂は、えらく怖くなってな。直ぐに刀を構えて周囲に視線を飛ばしながら警戒してたんだが、急に突風に吹かれてな。ぐらりと体勢を崩して雪に左腕を着いたんだ。…そしたら、どうなったと思う?」
「…凍ってしまった、とか?そんな、馬鹿な話あるわけないですよね?」
「…その通りだよ。着いた左腕に何か強烈な違和感を覚えて引き上げようとしたら、引き止められるような感覚に襲われて、視線を向けてみたら氷で覆われていた。今思えば、魔法的な力だったんだろう。まぁ、兎も角として未熟な当時の儂は腕がカチカチに凍っちまったのと、その間も取り囲むように聞こえてくる笑い声にすっかり怯えちまってなぁ…。もう腕切り落として荷物も捨てて逃げ出しちまったんだよ」
「…よく、腕を切り落とす勇気がありましたね」
「人間追い詰められれば変に動くもんさね、これが。まぁそれで、ほうほうの体で下山して死にかけた儂は暫く療養させてもらったんだが、結局仲間は帰ってこなかった。これが事の顛末ってことよ」
「…」
そんな宗麟の昔語りに耳を傾けていたゆかりは、緊張を紛らわすように氷も大分小さくなったグラスのショウチュウを煽った。炭酸の気も抜けて美味しさ半減といった具合だったが、それでも幾分か気晴らしにはなってくれた。
「それから暫くは身の程にあった依頼をこなすようになって、雪が降る時期には度々この宿場町まで訪れて注意喚起とかしたり、そんな枯れた日々を過ごしてたんだ。それでも、なんとか力をつけて仲間の無念を晴らせられないかと思っててな。ここ最近の力ならそろそろいける、というよりもそろそろ年齢の衰えが出そうだから、今年はいよいよ挑戦しようと色々準備してきてたんだ」
特製の義手とかな、と左手を掲げて笑ってみせる宗麟の様子に、しかしゆかりの表情は晴れない。グラスも空のままだ。
「…それで、これをわざわざ私に話すってことは、つまりそういうことですか?」
「あぁ、端的に言おう。このジジイの敵討ちに協力してはくれまいか」
「はぁー…、やっぱりです?」
重い話を誤魔化すように笑いながらも真っ直ぐな視線を向ける宗麟の様子に、ゆかりは深い溜息を吐いて額を掌で支えながらテーブルに上半身の体重を預けた。
「あぁ。若いのに目を見張る実力を持ってるとギルドで出会った時から思っとったんだ。それでひと月共に旅をして確信に変わった。技量も身のこなしも一線級で、その上魔法まで使いこなせる。一人で行く覚悟も勿論あるが、ゆかり君がいてくれるならとても心強いんだ」
「いやぁ…、実力を高く評価して頂けるのは冒険者冥利に尽きますよ?でも、流石の私でも荷が重いように感じます。相手の実態もただただ凶悪なことしか分かりませんし、それも20年以上力を蓄えてる可能性もあるんでしょう?2人がかりで勝てるかどうかも定かでない相手に立ち向かうのはちょっと…」
そう申し訳なさそうに言うゆかりの様子に、宗麟は少し残念そうに、しかし分かりきっていたように小さく息を漏らしただけだった。
「…まぁ、そうか。ごめんな、急に変な話をしちまって。死ぬかもしれないと思ったら、誰でもいい、って訳でもねぇが誰かに聞いてほしくてな。つまんない話をした詫びだ、これで機嫌直してくれ」
そう言って、宗麟は腰に下げていた冒険者用の鞄からとすん、と重みある革袋を取り出してゆかりの前に置いた。
「…?なんです、これ?」
「金貨だよ、30枚くらいはあったかな」
「さっ…!?」
革袋の中を覗き見ようとしたゆかりは、ぬるくなった酒を猪口に注いだ宗麟の発言に目を見開いて驚いた。
「な、なんで私にこんなもの渡すんですか…!?わざわざ私に渡す義理もないでしょう…!?」
「だから詫びだって。それに、どうせ死ぬかもしれないなら良いように使ってほしいかなってさ。あ、もし生きて帰れたとき用に金銭の用意はあるし、今日の飲み代もちゃんと儂持ちだからそこは安心してくれていい。まぁジジイの世話焼きだとでも思って軽い気持ちで受け取ってくれ。…さぁ、辛気臭い話は止めだ!今日はとことん飲んでくれ!お姉ちゃん!もう一、二本燗つけてくれ!あと、魚で何か美味いつまみはあるかな?」
本当に何も気にしていない様子で笑いながら店員の女性に注文を頼みながら酒を煽る宗麟の姿を、少し不服そうな視線を向けながらゆかりもまた無言でグラスを傾けた。ギルドの少々下世話な賑わいの中で、二人の宴は日付が変わる少し前、宗麟の足取りが幾らか怪しくなるまで続いた。
***
「…いやはや、驚いた。昨日は大分飲んだからまだ寝てるかと思ってたよ。早速帰るのかい?それにしても、まだ馬車も出てない時間のはずだが」
昨日の夜更けにふらふらと宿に帰ったとは思えないしっかりとした足取りで、日が出るかどうかの時分に装備をまとめて旅立とうとした宗麟は、宿の入口の引き戸に背を預けて欠伸を漏らすゆかりの姿に思わず面食らった。
「…なに、私だって冒険者としての矜持があるってだけですよ」
「え?」
「依頼料だけ貰ってはいさようなら、なんて賢しい小物冒険者がやるような真似は嫌だって言ってるんです。貰った分はきっちり働かせてもらいますから」
壁から背を離して宗麟の前に移動したゆかりは彼の顔を見上げながら真剣な様子でそう言い放った。それに数瞬目を見開いて驚いた宗麟は、手にした爆刃を地面に預けて空いた手を目元に当てて俯いたかと思うと、
「…ふ、ふふふ…、はは!あっはっは!」
高く、大きく、宿の店番が驚くような笑い声を上げてまだ少々暗い天を仰いだ。
「…ふぅ!いやぁ、これは嬉しい誤算だ。てっきり見限られたと思ってたもんだから驚いたよ。ゆかり君が同行してくれるなら頼もしいことこの上ない!よろしく頼むよ」
「こちらこそ。…あ、働きはしますが死ぬのは嫌ですからね。敵わないと思ったら全然逃げ出しますので、そこはご理解お願いします」
「あぁ、勿論」
そう言って差し出された宗麟の手にゆかりも手を差し出した。
***
「じゃあ、儂が先行するからゆかり君は後ろからついてきてくれ。向かう先は雪山になる。もしも吹雪ではぐれでもしたら、避難できる洞穴を探すか直ぐに下山しよう」
「了解です」
そう言葉を交わして二人は宿場町から程近い雪に覆われた山へ向けて足を進め始めた。
「ところどころ凍ってるだろうから気をつけてくれ。まぁ、滑り止めは靴に着けてるだろうが」
「当然ですよ、こんな雪山ですからね」
登り始めこそ雪が道端に少し積もっている程度だったが、町が小さく見えるまで登れば道らしい道は積もった雪で見えず偶に積雪の下にがり、と氷の感触さえ感じる始末であった。もっとも手練の冒険者である二人からすればさしたる障害でもなく足場の悪い雪道を特に苦もなく登る。日が登りきる少し前には山の中腹にある山小屋に辿り着くことが出来た。
「ふぅ…。とりあえずここで少し休憩しよう。ここまではそう苦労せずに来れたが、山の天気は変わりやすい。ましてや敵は多分天候に何か作用できる類のやつだ。吹雪いてもいいようにここで体力を回復しておくべきだ」
「そうですね。…にしても、こんな山中、しかも危険な魔物が出るなんて場所に、山小屋なんてあるんですね。設備もそれなりに揃ってますし」
「ん?あぁ…。なんでも雪滑り用に作ったやつらしい。この辺りは夏頃でも雪が残ってて、かつその時期は吹雪女みたいな凶悪な魔物は出ないらしいからね」
「ふぅん…。吹雪女は夏には出ないんですか。アレですね。伝承だかでチラッと聞いた雪女みたいです。能力的にも近しいでしょうし」
「まぁ確かに。だが、雪女みたいな可愛いもんじゃないだろう。この10年くらいで何度か雪女の分類になる魔物娘を討伐してきたが、あんなに強いやつ一度も見てないからな。大概は片手間で討伐できたよ」
「へぇ、流石ですね。…あ」
「どうかしたかい?」
「あ、すみません…。ちょっと天気が崩れてきたかなって…」
水筒に口付けながら中の茶を飲んで窓の外に視線を向けたゆかりの目に、それまで雲ひとつなく晴れていた空に暗い雲が現れ始めたのが映る。その様子に宗麟も忌々しげに眉をひそめた。
「あぁ、くそ…。天候は相手に有利か…。せっかく晴れの日を選んだってのに」
「どうします?日を改めますか?」
「…いや、儂は行く。今日がそう良くはない日でも、今日以上に良い日がないとは限らないからね。何より、ここまで準備して今更引き下がるのも出来ないよ」
「そうですか。まぁ、既に乗ると決めてますからね。付き合いますよ」
「すまない。…いや、ありがとう」
水筒を仕舞い鞄を拾い直したゆかりの様子に、感謝の意を口にして宗麟も装備をまとめると山小屋を後にした。
***
「ここからはいつ吹雪いてもおかしくはないだろう。この縄を握っててくれ。少なくともはぐれる危険性はいくらか無くなるはずだ」
「流石、抜け目ないですね」
「救助隊に聞いた手法だよ。儂も握りながら登るから、必要があれば強く引っ張ってくれ。危険を感じたら直ぐに下山しよう」
「了解です」
言葉と共に渡された縄を握り締めて、ゆかりは先行する宗麟の背を見ながら曇り空が広がり始めた雪山登りを再開した。
登り始めてそう時間も経たないうちに、ゆかりは先程あった雪山の意味を理解する。積もった雪が一段と深いものになったのだ。恐らくは、これを見越した上でこれ以上登るのは危険だとかを知らせるためにあそこに建てられたのだろう。
そう物思いに耽っていたゆかりの鼻にちらり、と冷たいものが舞い落ちる。視線を上に向ければ白い粒がゆらり、と降ってきた。雪だ。
「宗麟さん、雪、降ってきましたね。先を急いだ方がいいかもしれません」
「…」
「…?宗麟さん!」
「ん、あ、あぁ!すまん!ちょっと聞いてなかった!」
「…もしかしなくても、緊張してます?」
「…そりゃあね?二十年越しの敵討ちだ。緊張もするさ」
「…じゃあ、私も気を散らさないように余程のこと以外は黙ってますね。先を急ぎましょう」
「…助かる」
そうゴーグルで表情の分かりにくい顔にぎこちなく笑みを浮かべながら、宗麟は視線を山の先に戻して大きく息を吐くと再び足を進めた。ゆかりはそれに続く。たまに安全の確認をする以外の言葉を除いて、静かな登山が再開された。
雪を踏みしめる。雪から足を引き抜く。白い息を吐く。登るにつれて寒さを増す雪山を視線を彷徨わせながら進む。しかし、視線の先に吹雪女を思わせる魔物の姿は映らない。段々と降る雪が増していく。視界が白に染まり、景色の境界が曖昧になる。ゴーグルに張り付く雪で視界が覆われ、少しずつ宗麟の背が離れていくように感じられた。
これ以上は危険か。宗麟には悪いが下山の提言をしようか。そう考えて一度下げた顔を上げ直したゆかりを突然の強い風が襲った。
「わ…っ、ぷ…!?」
一瞬驚き視線を伏せたゆかりの耳にキュオウ、キュオウと高く響く音が届き、顔で受け止める風と雪が強くなる。先を登っている筈の宗麟の背も見えなくなる。吹雪だ。そう判断するのとゆかりが縄を強く引くのは殆ど同時だった。これ以上は言うまでもなく危険だ、一度帰らねばなるまいと。
しかし、それさえ遅いのだとゆかりは気付かされる。
「か、軽い…?…っ!?そ、宗麟さん!宗麟さん!?」
引いた縄に重さはなく、疑念を持って最後まで引き抜いたその先の光景にゆかりは背筋の凍る思いをした。縄の先に宗麟はおらず、ただ氷に覆われて切れた縄の断片があるだけだった。
咄嗟に口から出た叫び声も勢いを増す風の音にかき消される。ならばと魔力を拾って宗麟を探そうと意識を集中させるが、己をなぎ倒さんとするように吹き荒れる吹雪そのものが魔力を帯びていて感知を阻害する。どれだけ意識して精度を高めて探しても、宗麟の温かな魔力は感じられなかった。焦るゆかりを余所目に吹雪の勢いは増し事態は悪化する一方で。そして、ついには声が響いた。ゆかりのものでも、ましてや宗麟のものでもない高く響く女の笑い声が。
『くすくす…、あは、あはは…。あはははは…!』
雪女のイメージとは少しずれた不気味な無邪気さを含んだ笑い声に気圧されて一瞬怯えた表情を浮かべたゆかりであったが、直ぐに持ち直すと魔力で薄く纏った防壁に炎の膜を張って虚空を睨みつけた。その様子に、笑い声の主も少し肩透かしを食らったようだった。
『ははははは…、ん、あれ?あんまりびっくりしてない?えー…、つまんないなー…。いつもだったら怖がって逃げ出そうとするのにー…』
「…生憎、それなりに修羅場はくぐってきているので。声、聞こえてますか?姿を見せなさい、それくらいサービスしてくれませんか?」
「さーびす?んー、よく分からないけど遠いからやだ。会いにくるなら邪魔しないから来てよ、そこの洞窟だからさ。…あ、でも帰るのはやめてね。なんだかんだ会う気満々になったかも、もし帰ったらつまらないからね。じゃー待ってるよー」
幼げですらある調子の残る声が途切れると、それまでびゅうびゅうと全身を包むように吹き荒れていた吹雪は嘘のように落ち着きを見せた。否、正確には違う。ゆかりの背後、下り道に関しては相変わらず吹雪いているままだ。吹き止んだのはゆかりの正面、これまで進んでいた道の先だけ。原理など甚だ謎だが、誘われているのは間違いない。どうせこうなってしまっては帰ることもできないだろう。なるようになれ。でも、せめて警戒だけはしておこう。十中八九宗麟の言っていた吹雪女で、そしてつい先程から姿を消した宗麟の行方を知る唯一のものであろうから。ゆかりは雪を一歩、二歩と踏みしめた。
***
「…はぁ、長い洞窟ですね」
半日近い登山からの少々の疲労を見せながらゆかりは洞窟を下る。吹雪女の言う洞窟は直ぐに見つかったのだが、凍って足場の悪く、その上暗いそこを下るのは少々骨だった。せめてもの救いは枝分かれのない一本道であることくらいか。そうして洞窟を見つけるまでの時間も含めて時間にして三十分程、ゆかりはそれまでの暗さが嘘のように明るい、氷で作られた広く開かれた広間に辿り着いた。その空間の一番奥、祭壇の様に段差が何段か作られたその奥で台座のような場所に座って待っていた、丈の短い和服に身を包む薄氷のような青白さを見せる長髪の少女がゆかりの姿を見止めて笑いながら口を開いた。
「お、思ったより早かったねぇ。いやぁ、ようこそ私のお屋敷へ」
「…えぇ、お待たせしました。吹雪女、さんでいいですか?」
明らかに場違いな無邪気な笑顔を浮かべる少女とは対照的に警戒心を隠しもせずに浮かべて睨むゆかりの様子に、少女も笑うのをやめて不満げに頬を膨らませる。
「なにそれぇ!可愛くないからやだよ、吹雪女なんかさぁ。私のことは雪さんって呼んで?可愛いでしょ、雪さんって」
「…はぁ、分かりましたよ。雪さん」
わざとらしく溜息を付いて、ゆかりは目の前の少女の言った通りの名前で呼んでやる。すると、雪は皮肉も効かないようで満足げに笑みを深くした。
「ありがとありがと!いやぁ、人をここに招待するのは初めてだからさ、私ちょっと興奮しちゃってるかも!いつもは外ですぐに食べちゃうから、わざわざここに来てもらうのって新鮮だね!」
「それは光栄ですね。なんで私をわざわざ紹介してくれたんですか?」
「えー?だっておじいちゃんがつがいにいい人紹介してくれるって言ってたって、オコジョが言ってたもん。んで、ほんとに美味しそうな人来たなぁって思ってたけど、怖がらないからちょっと残念」
「おじいちゃん、ですか…。そのおじいちゃんとは違うでしょうが、私が探してるおじいちゃんに心当たりはありませんか?宗麟という名前の、金髪を短くまとめて、大きな剣を担いだ方なんですけれど」
「え、あ、うん!あ、いや、違う…。い、いやぁ、知らないかなぁ?」
「…知ってますね。まぁ、いいです。ひとしきり追い詰めた後で聞き出すとしますから」
そう言って腰に差していた短剣を構えるゆかりの様子を見て、再び雪は頬を膨らませて自身が怒っていることを主張した。
「むー!追い詰めるって何さ!私、そんなに弱くないよ!?逆に、雪さんがお前のこととっ捕まえてつがいにしてやるんだから!…あ、お前の名前なんて言うの?」
「…ゆかりって、言います!」
名乗りながらゆかりは足場の悪さを気にしない勢いで跳躍すると、台座で座っていた雪へ向けて短剣を振り下ろした。
「ひ、うひゃぁああっ!?きゅ、急に攻撃なんて卑怯じゃない!?もっと正々堂々勝負しなよ!?」
「吹雪撒き散らして邪魔してきたあなたが言うことではないでしょう?ほら、お代わりです!」
「え、あ、ちょ、ちょっとぉ!?」
初撃を頭を抱えるように身体を庇いながら避けた雪に向けて、ゆかりは着地したその脚を更に跳ねさせて二撃目、三撃目と短剣を振るう。それを危なっかしい動きで辛うじて回避する雪の様子に、ゆかりは少々のあっけなさと期待を覚えた。明らかに魔物娘で、天候を操るほどの強力な存在であるように思えた雪があからさまに近接戦に慣れていない様子であるのを見て勝算があるのではと感じ始めたのだ。そのまま一刃二刃と振るって、雪が着ていた和服の袖を切り裂いてみせた。
「あ、ちょ、ちょっと!この服、気に入ってたんだよ!最近の若い子の間で流行ってるっておじいちゃんが言ってたから、買って来てもらったのにぃ!」
「そのおじいちゃんとやらも気になるところですが…。どうです?今のところ、こちらが優勢なようですが?」
「な、舐めるなよ!人間…、じゃなかった、ゆかり!これだけ距離があれば十分なんだよ!喰らえ!」
「む、ぅあ…っ!?」
大人三人分あるかないか、ゆかりであれば跳ぶ必要もなく詰められる距離を空けて軽口を叩いたゆかりへ向けて、手を振り下ろした雪の背後から吹雪が吹き荒れる。閉じられた空間で媒体となる風もない筈の洞穴の中で、それでも先程まで吹雪を操っていた吹雪女の面目躍如というべきか猛烈な吹雪をゆかりに浴びせた。そのまま自分は吹雪の中を突っ切るように後退してゆかりを出迎えるまで余裕綽々で座り込んでいた台座の上へと戻り安心したように息を付いた。
「ふぅ、焦ったけど所詮は人間なんだね!このまま雪に埋もれさせて凍えさせてやるんだから!安心していいよ!もしも凍死しそうだったらつがいにする前に、魔力に当てて眷属にしてやるんだから!」
そう自信満々に叫んで先程とは違う悪意の籠った笑い声をあげる雪であったが、自身でも見えづらくなるほどの吹雪の中に違和感を覚えた。吹雪に見舞われているゆかりの生命力が弱っている様子が感じられない。それどころか、白く染まる視界の先から感じられる魔力はその強さを増しているように思える。どうしたものか、と不用意に弱めた吹雪の白の隙間から、
「っ、《焔断ち》!」
「ひぇ!?に、にゃぁああっ!?」
その白を断ち切るように刃に熱炎を纏った短剣が、熱を帯びた魔力壁で身体を守るゆかりと共に迫って来た。その勢いに吹雪の勢いを強めることも忘れて思わず後退する雪であったが、後方に固い感触を覚えてそれ以上下がれなくなる。壁だった。
「ふ、りゃぁああっ!」
「ぐ、ぅえ…っ!!?」
それを見逃す筈もなく、身体のところどころに雪を纏いながら、ゆかりは熱刃で雪の首元を貫いてみせた。貫かれた雪は喉から最早声ともつかない音を漏らしてその場に崩れ落ちた。しかし、その場に跪いて俯いた雪から刃も抜かずに、ゆかりは短剣越しに感じた手ごたえに違和感を覚えた。
(硬い…?肉の感触じゃない…!?)
その感触にぞわりとした、気温によるものとは明らかに異なる寒気を覚えて咄嗟に刀身に魔力を込める。
「っ、ほ、《ほむ》…っ!」
「ふ、フふフ…、アは、アハハハハハハハハハハハハ!!」
その魔法を遮るように、首元を貫かれた筈の雪の口から、突然壊れたような大きな笑い声が響いた。ただでさえ強力だった先程さえも比にならない膨大な魔力と共に広がるその声に怯んで思わず詠唱をとめてしまったゆかりの握る刀身が急に重くなる。
「…っ!?ちぃ…っ!」
貫いた刀身を覆うように、貫かれた雪の首元の傷を塞ぐように氷が張りつき、そのままビキビキと無機質な音を立てながら氷が刀身を伝いゆかりの手を目掛けて侵食する。自身目掛けて昇ってくる氷に恐怖を覚えて、ゆかりは咄嗟に短剣から手を離して雪から距離を取った。
「アハハハハハハハッ!!すごい、すごいねお前…、じゃなかった!ゆかり!こんなに強いとは思わなかった!つがいにしても眷属にしてもすごくよさそうだよ!あ、眷属とつがい、どっちもにすればいいのか?アハハハハッ!」
そう、相変わらず無邪気さを伴った笑い声を上げながら首元を貫かれているとは思えない笑顔を浮かべる雪に、ゆかりは対照的に驚愕と警戒、恐怖を伴った表情を浮かべて声を上げる。
「なん、でっ…!なんで、精霊種なんてもんが魔物娘になってるんですか…っ!?」
精霊種。生物としての肉体を持たない、魔物を含む生物とは一線を画す超常の存在。格として生物種より上位の存在であり、大気や自然の魔力を得るだけで事足りる氷精である筈の雪が、人間の性という純粋な魔力と比べれば薄汚いものを喰らう魔物娘という存在に堕ちたのがゆかりには信じられなかった。
「せーれー?とか魔物娘、とか私は知らないんだよ!雪さんは雪さんなんだから!ただ、生意気な人間を狩るのに丁度いいからっておじいちゃんに言われたんだよ!それまで食べたことなかったけど、性って魔力より美味しく感じるし簡単に強くなれるから私は満足だよ!」
「っ!おじいちゃんとやら、何してくれてるんですか…!こんなの、ギルドに報告しないとよっぽどやばいじゃないですか…!」
そう吐き捨てるように呟きながら、太腿に保険として備えていた先程のものより短い短剣を構える。笑いながら爛々とした剣呑な目つきをゆかりに飛ばす雪を相手取るには心許ないが、それでもただ魔法だけで相手取るよりはましだとゆかりは考えた。
「ぎるど、とかどうでもいいよ!ゆかりは私のつがいになってこれからずっと一緒に暮らすんだから!」
「お断り、です!」
「いいの!私が決めたから!でも、活きが良すぎるのも困りものだから、これから本気でいくから!ほら、見てみてよ!」
そう叫びながら、雪は大気に魔力を介して何本もの氷柱めいた氷の刃を作り出した。
「っ!?この…!」
「ふふ、殺さないように気を付けるから頑張ってね!そいやぁっ!」
「っ、《焔》っ!…くうぅっ!」
自身目掛けて放たれた幾つもの氷の刃に向けて炎の波を放つ。魔力の残量がどうかなど考える余裕もなく放たれた豪炎は氷刃の多くを打ち消したが、それでも決して少なくない刃がゆかりを襲った。
「うあぁあああっ!?」
叫びながら身を翻して、ゆかりは回避に専念する。 なんとか避けられてはいるものの、刃が纏う氷の魔力で装備している防寒着にところどころ霜柱や氷結晶が張り付いており、ゆかりが相当に追い詰められていることをこれでもかと表していた。
「ほら、足元がお留守なんだよ!」
「うぁっ!くっ…!」
魔法を放つ余裕もないゆかりの脚を狙って、雪は軌道をずらした刃を飛ばした。気配を感じて回避行動をとる寸前に至った刃に太腿を裂かれてゆかりは地面を転がるように崩れ落ちた。傷はそれほど深くはないものの想定外のダメージに怯んでしまう。
「こ、の…っ!」
「もう終わりなんだよ!そぉいっ!」
「あぁっ!あ、うあぁ…っ!?」
それでも直ぐに体勢を整えようとするゆかりだったが、雪はその一瞬の隙を見逃さなかった。立ち上がろうとするゆかりの後ろから氷の柱を突き上げる。勢いよく生やされて背中を押し上げた氷塊を包むように氷の結晶が地面から素早く駆け上がり、ゆかりの腕と脚を覆い隠して柱に固定する。瞬く間にゆかりは、背を反らした大の字の体勢で氷の柱に身体を封じられてしまった。
「アハハ!お疲れ様なんだよ、ゆかり!それじゃ、あとは私の好きなようにさせてもらうね?安心してほしいんだよ!つがいはきっと大切にするから!」
「ば…、馬鹿言わないでください…っ!まだ、私は…っ!ほ、《焔》ぁっ!…っ!?」
笑いながら近寄る雪に抗おうと、ゆかりはありったけの魔力を練り上げて炎の魔法を放とうとした。しかし、それも徒労に終わる。魔力が尽きた訳でも、魔力の練り方を誤ったわけでもないのに、確かに寸前まで魔力は蓄積されていたはずなのに、詠唱と同時に魔力は空中に霧散して消えていったのだ。僅かに身構えた雪も、少々驚いた顔を浮かべてかと思えば直ぐに納得したような表情に変わった。
「あ、魔法封印してくれたのかな、おじいちゃん?もう、もっと早くやってくれればよかったのに。カホゴ?なのかどっちなのか分からないんだから…」
「なっ…、そんな…っ!?」
そう、握り拳で開いた掌を叩くという余りに分かりやすい雪の仕草に、ゆかりは驚愕と絶望の声を上げた。手法やその原理など分かる筈もないが事実として魔法は封じられている。ただでさえ手足も動かせない現状、最早ゆかりの生殺与奪は全て雪の手に握られているのだ。
「ふっふっふ…。さぁ、ゆかり?観念するんだよ?」
「や…っ!く、来るな…!来ないで…!」
「怯えなくていいって。私、こう見えても優しいんだから!」
そう言いながら、雪はそれまで喉元を貫いていた短剣を無造作に引き抜いて放り投げる。その勢いでひび割れるようについた傷も、ピキピキと瞬時に氷が駆け昇り塞いで元通りになってしまう。これだけで分かる。存在として、余りに格が違うのだ。そんな存在が歩み寄って来るのに怯えながら身を捩るが当然どうにかなる筈もない。あっという間に短剣の傷の殆どが修復した雪が目の前に迫り、ゆかりの身に纏っていたそれなりの厚さのある着衣に手を掛けた。
「ちょっと寒かったり、もしかしたら痛いかもだけど我慢してね?上手く加減できるか分からないけど気を付けるから」
「な、なにを…、っ!?や、つめ、た…!?」
「こうやれば、わざわざ脱がせなくても服剥ぎ取れるからねぇ。私賢いでしょ?」
「や、やめて…!冷たい、からぁ…!」
「我慢だよー?すぐに気持ちよくしてあげるからねぇ?」
雪の手が触れた箇所からゆかりの衣服がパキパキと音を立てて凍っていく。肌を凍らすことこそなかったが、それまで戦闘や魔法で辛うじて熱さを保っていたゆかりの身体に氷と化していく着衣の冷たさは中々に堪えた。
「はい、じゃあ剥ぎ取るよ?はい、ぱりぱりぃ」
「ひ、つめ、た…!?さ、寒い…!や、あぁ…!」
そうして凍った衣服をバキバキと毟るように剥ぎ取って雪はゆかりの肌を寒さ厳しい外気に晒していく。氷は辛うじて下着を凍らすことこそなかったが、そんなこと些末なこと。氷の中の手足以外の衣服の殆どを毟り取られて寒々しい下着姿を晒すゆかりは、寒さとそれ以上の恐怖で身を震わせていた。その震えなど知った気すらせずに、雪はゆかりの胸を覆っていた布地に指を這わせて氷をなぞるように走らせてから丁寧に引き千切った。
「あれ?ゆかりも乳首ぷくって膨らんでるじゃん?思ったより乗り気?」
「ち、違う…!寒いだけです…!」
「むぅ、ノリ悪いなぁ…。まぁいいや。いただきますなんだよ」
少し不満げな様子も直ぐに持ち直して、雪は控えめに膨らんだゆかりの胸に顔を寄せると、同時に添えていた掌で柔肉を中央に押し上げてその頂点に咲く蕾に舌を這わせた。そのままちゅ、ちゅ、と唇を押し付けては舌で舐め上げて、微かに立ち上るゆかりの性を味わう。鼻歌交じりに性を頂く雪であったが、いつもより上質な性の気配に更に期限が上向きになる。性技に関しては稚拙と言って差し支えない雪の愛撫では純粋な魔物娘のそれで得られる性より量としては余程少ないが、ゆかりの性は質として今までの冒険者の性より美味しく感じられて雪は嬉しく思った。成程確かに、漠然と考えていたつがいの話も性を得るものとしては未熟な面のある雪からしても今までの獲物と比べて余程相応しいと感じられた。
「ぁ…、はぅ…!ひ、い、いた…っ!つ、冷たい…!」
しかし、一方で愛撫を受け取っているゆかりの反応は芳しくない。防衛反応も合わさって微弱な快感は得ているのだろうが、それ以上に人間の身には負担にしかなり得ない氷雪の精霊種としての寒さ冷たさはゆかりに快感を上回る痛みさえ感じさせているようだった。
「ちゅ、ん…。ゆかり、気持ちよくないの?」
「ぅ…。み、見れば分かるでしょう…?こんなの、痛いくらいに冷たいだけです…っ!」
素直じゃないとか強がりとかではなく、純粋な嫌悪を含ませて反論するゆかりの様子に雪も不満げに頬を膨らませる。そうして、少しの間思案した雪は「あっ」と声を上げるとその顔に先程の不満げさとはほぼほぼ真逆の悪戯っぽい笑顔を浮かべると、氷塊に縛られたゆかりに自身の身体を預けるように身を寄せて顔をずい、と近寄せた。
「な、なんですか…?」
「ごめんごめん、ゆかり!私、今までただただ食べるばっかりだったから、つがいにするときどうするのがいいか、って教えてもらってたの忘れてたよ!」
そう言って雪はゆかりの顔を挟むように両頬に手を添えて、その後を察して怯えたように顔を振ろうとしたゆかりの唇に自身のそれを重ね合わせた。
「んー、ちゅっ」
「んむ…っ!」
唇からも感じる身を切るような冷たさに僅かに身を捩るゆかりであったが、今までの性を貪られた魔物や魔物娘がそれが当然であるように差し込んできた舌の気配は感じなかった。それに安堵とも肩透かしともつかない感情を抱きかけたゆかりであったが、それをペンキで上から塗り潰すような衝撃が襲う。
「ん、む…。ふ、ふぅううううううううっ!」
「んむぅ!?ん、んううううっ!!?」
重ねられた唇の先、雪の身体の奥から戦闘の際に吹き荒らしていた吹雪のような冷気の奔流がゆかりの体内目掛けて勢いよく吹き込まれたのだ。身体の内側を引き裂くような冷気に恐怖を覚えて身を捩るが、いつの間にやら頬から背と腰に手が回って抱き着く姿勢になった雪によって阻まれる。魔法や魔力に関してそれなりに理解あるゆかりは、雪から吹き込まれる冷気が自分の放つ魔法とは比較しようもないほどの純度と密度の魔力の本流であると直感的に理解させられた。
そんなものが自分の体内に夥しいほどの量で侵入しているその事実に今日一番の焦燥を覚えるも、手足を拘束されているうえに魔物娘どころか精霊種として遥かに優れた力を持つ雪に抱き留められているためにどうしようもなく、ただただ自分の有する空気と替わるように体内に冷気が入り込んでくるのを怯えながら受け入れることしか出来ない。次第に呼吸が苦しくなったゆかりの眦から涙が零れたのに気付いた雪が唇を離すまで、延々とゆかりは魔力の込められた冷気を吹き込まれ続けた。
「ぁ…、は、はぅ…」
「ぷはぁ…。どう、ゆかり?身体は大丈夫?」
大丈夫なわけなどあるか。最早無事であるかも定かでない身体と意識に鞭打ってどうにか苦言を呈しようと口を開きかけたゆかりを、違和感という言葉では表し足り得ない衝撃が襲う。
「ぁ…っ!ひ、ゃ、ぁあああああっ…!?」
「お?作り替えられ始めたかな?私のとびきりの冷気を送り込むと、私の眷属になるんだっておじいちゃんが言ってたんだよ!このままゆかりの身体作り替えて、私の眷属でつがいにしてあげるからね?」
外気と体内に送り込まれた冷気で冷え込んだ身体は、痛みかどうかさえ定かではない感覚に襲われながら少しづつ、というには些か早い速度で変わっていく。直感的にゆかりはそれを理解した。氷塊の中の手足から人間の皮膚が剥がれていくような感覚に襲われて、未知への恐怖にゆかりの瞳から大粒の涙が零れる。
「や、やだ…!こんなの、やだ…っ!ご、ごめんなさい…!許して、許してください…!私の身体…、これ以上変えないで…っ!」
震える声で、恥も外聞もなく謝罪の言葉を吐きながら助けを乞うゆかりの姿に、それまで楽しげにしていた雪も少々の焦りを覚えて口を開いた。
「わわ…っ!だ、大丈夫だよ!ゆかり!気持ちよくするから、大丈夫だから!」
そう慌てたように叫ぶと、雪は先程そうしたようにゆかりの胸元に顔を埋めて舌と唇でゆかりの胸の頂を責め立てる。変化は直ぐに訪れた。
「はむ、ちゅ…!れる…」
「ぁ…?ひ、ぅ…っ!な、なぁ、あ…!?」
ゆかりは困惑の中に、先程まで含んでいた恐怖とは明らかに相容れない快楽の響きを含 んだ声を上げた。雪の舌と唇から感じていた痛みが無い。苦しくない。不快感や恐怖が微塵もない。それを補完するように代わりに雪の冷気を帯びた唇の感触からゆかりが覚えたのは、誤魔化し目的とは明らかに異なるはっきりとした快感。それに、それまでは僅かばかりも感じ得なかった心地よさ。まるでそれを覚えるのが当然であるように、ゆかりの人間はおろか生物の枠組みから逸脱しつつある身体は、雪の持つ冷気を母の温もりの様に安心を与えるものと受け止めた。僅かばかりでも冷静さが残っていれば、身体の変容を察知して何かしら対処をしようかなど考えたかもしれない。しかし、これまでの疲労や敗北で追い詰められ理性崩壊の兆しを見せていたゆかりは自らを保つために縋る藁をこれに決めてしまった。一度転がり始めた岩はもう止められない。
「んむっ!んはぁ、ゆかり、気持ちいい?出てくる性、凄く増えてきたよ?」
「あ、あぁ…!い、いいです…!も、もっとぉ…っ!」
「…!あははっ!うん、分かった!頑張るよ!んちゅ、れろれろ…」
快楽に溺れることを選んだゆかりに強請られて責め立てる雪も、響きを増していく嬌声と共に格段に溢れ出した性を得たことで充足感を覚えた。美味しい性もそうだし、なによりつがいに認定したゆかりに求められている事実にこれまで覚えたことのない多好感に見舞われ、雪は更に欲望に駆られて責めを激しくする。その度にゆかりは嬌声も性も溢れさせて、雪は満足感とそれを上回る渇望を同時に覚えた。
「れろ、れるれる…、ちゅうっ!はぁ…っ!美味しいよぉ、ゆかり!」
「は、あぁ…!きもち、気持ちいいです…!雪、さん…!」
「あはは!気が合うねぇ!やっぱりつがいにぴったりだよ!…あ、そうだ!つがいにするんだったら、一緒に眷属にしちゃうんだった!ゆかり、ちょっと待って!」
興奮のままに笑いながら、雪はそれまで着ていたお気に入りの筈の着物を乱暴に脱ぎ捨てて、白く同時に氷のような透明感も感じさせる裸体を晒した。人間を模して形作ったその下半身、生物でないために当然の様に無毛の秘所に雪は魔力を込める。そうして数瞬の間を置いて、まるで身体を裂くようにしてつるりとした表面を持つ氷で出来た棒状の器官を生やしてみせた。
「う、わぁ…!」
「ふふ、凄いでしょ、ゆかり!雌の人間を犯すときに使ってた特別製なんだよ!おちんちん、だっけ?雄に生えてるやつを真似して生やしたの!これで、ゆかりを中からかき混ぜて、最後に雄の出す白い液みたいに魔力びゅーって出してゆかりを完全に眷属にしてあげる!」
仁王立ちで股間に生やした氷製の疑似性器を見せつけながら、雪は片手間に殆ど人外に作り替えられつつあるゆかりの脚を氷塊から解放させる。雪の股座に視線を奪われながら感嘆の声を漏らしたゆかりは、一拍間を置いて脚が自由になったことに気付くと躊躇いなくその脚を広げて自身の秘所を雪に晒してみせた。
「は、早くください…!気持ちよく…、早く気持ちよくして…っ!」
「あはは!欲しがりさんだねぇ、ゆかり!いいよ!私も性もっと欲しいから沢山気持ちよくなってね?」
恥ずかしげもなく自身の氷棒を強請るゆかりに嬉しくなった雪は、ゆかりの腰をがしりと掴むと身体を作り替えられながらもまだ熱量を残すゆかりの秘裂に狙いを定めて、自身の腰をゆかりの元へと押し進めた。
「あ…!ぅ、あ…、あぁ…っ!」
「あは!早速出てきたね?そんなに気持ちいいんだ、ゆかり?」
「ぁ、い、いいです…!冷たくて、安心します…っ!もっと、激しく、突いて…っ!」
「うん!じゃあ、行くね!ふっ、ふっ!」
「あっ、あぁ、ああんっ!」
性の量も濃さも増し、更にゆかりが涙を浮かべつつも切羽詰まった様子で懇願したことにたまらなく喜びを覚えて雪は、荒々しい勢いで激しく腰を打ち付ける。技術は兎も角威力に優れた腰遣いはゆかりの精神を性的な充足感で追い詰めていく。ぱちゅんぱちゅんと小気味いい音が響き、まだ確かな熱さを秘めたゆかりの膣内を、その熱量を受け止めてなお一向に溶けることのない魔力を帯びた氷の疑似性器が穿つ。それが五回十回と膣奥を叩くたびにゆかりの口から響く嬌声は高く大きいものになっていく。腕はまだ封じられたままのゆかりの身体を彼女の代わりに雪が支え、二人は冷たさの中で昂っていった。
「あはは!ゆかり!美味しいよ!こんなの、私初めて!ゆかりは、ずっと幸せにしてあげるから!いいでしょ?」
「ああぁんっ!い、いいです!うれし、ぃ…っ!気持ちいい、ですぅ…!だ、だから…っ!」
「んー?なに?どうしたの、ゆかり?」
「おね、がい…っ!なかに、はやくぅ…!ゆきさんの、つがいに…、し、てえ…っ!」
「…!うん!じゃあもうあげる!ゆかり!つがいになって!ふ、ふぅうんっ!」
「ぁ、あ、あはああああああぁあんっ!!!」
快楽の涙に溺れながらの懇願に、雪の楽しみたいがゆえの我慢が利くはずもなかった。興奮のままに、段々と全身が作り替えられているゆかりの膣内に向けて、とどめと言わんばかりに精液代わりの冷たい魔力が注ぎ込まれる。体外でも受けるには十分に冷たい、当然膣内で受けるには危険極まりないはずの魔力の奔流を作り替えられつつある身体で受け止めて、ゆかりは何物にも代え難い快楽と幸福、安心を覚えながら、意識を吹雪の様に白く染め上げながら気絶した。
***
「…おー、おー。お盛んだねぇ」
揶揄うような呆れる様な調子の男性の声が、雪山の洞窟の最奥、その筈なのに明るさの保たれた空間に響く。その空間の入り口から最も遠い部屋奥の台座の上で二体の精霊種、正確には精霊種を基体とした魔物娘が交わりに耽っていた。如何にも氷精めいた青白く透明感ある長髪と肌を持つ女は、床に背を預けて自身の腰の上に乗ったもう一人の女の膣に氷製の疑似性器で突き上げて快楽を与えている。それを乗り掛かる体勢で受け止める、透明感ある肌と青白くありつつも少々の紫を残したやや短い髪の娘は、涙を流して快楽に喘ぎながら身体から性を溢れさせていた。
「あ…っ!雪、さま…!雪様ぁ…!」
「あはは、ゆかりの性はやっぱり美味しいや!ほら、もっと頂戴!それ、それっ!」
「あ、い、いいっ!あげます、あげますからぁっ!だから、もっとぉ…っ!」
衣服を纏わぬままに互いの為に尽くす二人は、空間に入って来た男性に気付いている様子はない。はぁ、と頭を掻きながら溜息を付いて、金髪を短くまとめた壮年の男性は少し声を張り上げた。
「おーい、雪ちゃーん!どうだい、調子は?」
「んぇ?あ、宗麟おじいちゃん!最高なんだよ!ゆかりの性美味しいし、ゆかり可愛いし!ほら、こんなに声も可愛い!」
「あ、あぁっ!は、ひうんっ!」
「あー、ちょっと休憩してくれない?ゆかり君とも話したいし、そろそろゆかり君休ませてあげなー?」
「えー?まぁいっか!ほら、ゆかり!ちょっと休憩しよー?」
「あ、はふぅ…」
宗麟の言葉に素直に従って、雪はそれまでゆかりの膣内を穿っていた氷棒を一度霧散させて倒れ込んでくるゆかりの身体を受け止めた。与えられていた快楽が急に途絶えて物憂げな表情を浮かべていたゆかりだったが、その代わりとでも言うように頭を優しく撫でる雪の自分より少しだけ大きな手の感触に途方もない安心感を覚えて、自分の身体を受け止めた雪の程よく膨らんだ胸に頭を預けた。
「すっかり懐かれちゃってまぁ。いいだろう、つがいってのも?ゆかり君はいい子だったから、人間嫌いな雪ちゃんでも気に入ると思ってさ」
「うん!本当にゆかりはいい子なんだよ!おじいちゃんのことだから、また騙されるかと思ったよ!」
「いやぁ、信用ないなぁ…。これまでの人間もそうだけど、儂結構大変な思いしてるんだからね?雪ちゃんが性欲しいって言う度に、それなりに良さげな人間見繕って、それっぽい話で騙して雪山まで誘導するのも大変なんだよ?」
「でも、ただのせーれーしゅ?だっけ?それだった私を魔物娘に変えたのはおじいちゃんなんだから責任取るべきでしょー?それに、おじいちゃんだったら無理矢理人間攫ってこれるでしょ?私なんか比べもんにならないくらい強いんだから。わざわざ人間の振りする必要ないでしょ?」
痛いところを付かれたというように、精霊種を魔物娘に作り替える無理難題さえ片手間で熟す、人間が仮定した神という規格外の枠組みに易々と届きうる、精霊種でさえとても比較にならない異常存在である宗麟を名乗る男は苦笑した。
「いやぁ、増えすぎたら面倒だとは思ってるけどさ。儂って人間のこと結構好きだから、変に軋轢生んだり減らしすぎたりするのも嫌なんだよねぇ?ほら、この義手とか格好良くない?ついつい散財しちゃってさぁ…」
「…趣味悪いんだよ。私は人間好きじゃないからさぁ、そこはおじいちゃんと話合わないんだよ」
普段から快活一辺倒と言ってもいい雪にしては珍しい、じとりとした視線をその顔に浮かべて宗麟を見る。その視線を受け止めて苦笑しながら視線を逸らす宗麟の様子にやはり珍しく溜息を付いた雪に、あからさまに不安げな視線を向けながらゆかりは口を開いた。
「雪様…」
「んー?どうしたの、ゆかり?」
「雪様は、人間のこと嫌いなんですか?」
「んー。あんまり好きじゃないんだよ。あいつら、私の縄張りに勝手に入ってきて好き勝手荒らしてくから」
「…じゃあ、人間だった私のことも…」
「あ、いや!ゆかりのことは大好きだよ!もう人間じゃない私の眷属になったし、それに人間だったとしても私はゆかりのことは絶対好きなんだよ!」
「本当ですか…?嫌いにならないですか…?」
「うん!絶対嫌いにならない!約束するよ!」
「…え、えへへ…。嬉しいです、雪様…」
泣きそうになっていた表情を途端にぱぁっと明るくして、ゆかりは雪の胸元にぐりぐりと自身の額を愛おしげに擦りつけた。それを見た宗麟は少し面食らったように、今日だけで何度目か分からない苦笑を浮かべた。雪のつがいになる前のゆかりは、冒険者としてのがめつさめいたものは多少持ち合わせていたが基本的に理性的でそれなりに思慮深さを持っていた女性だった。そんな彼女が直情的な無垢さを見せて全面的に雪に甘えている。その様子に一定の満足感と少々の勿体なさを宗麟は感じていた。
「ふふ、ゆかりは可愛いねぇ!おじいちゃん、そろそろゆかりといちゃいちゃしていい?」
「ん?あぁ、ちょっと待ってね。ゆかり君に聞きたいことがちょっとあるから」
「んぇ…?…なんですか、宗麟さん?」
宗麟に視線を向けられたゆかりは、怯えのような警戒のような小動物めいた視線を返した。それを安心させるようににこやかな笑みを作って宗麟は口を開いた。
「ゆかり君、儂のこと嫌いになったりしたかい?まぁ、嫌いになられても仕方ないけれど、今は幸せかい?幸せかどうかだけは聞いておきたくてね」
「え?…んー、嘘つかれたのは嫌でした」
「あー…。やっぱそうだよねぇ」
「でも、大好きな雪様と一緒でとっても幸せなので許します。嫌いじゃないです」
「あ、そう?それならよかった」
無邪気に笑ったゆかりにつられるように笑みを浮かべて、宗麟は人間の振りをするために持っていた荷物を地面から拾い直して今度は雪の方を見た。
「うん。満足したから、儂は帰るよ。あとは好きなだけいちゃいちゃすればいい。あ、でもやりすぎ注意ね。まだ眷属になりたてだから、やりすぎるとゆかり君バテバテになっちゃうかもだから」
「うん、気を付けるんだよ!それじゃ、ゆかり!またいちゃいちゃしよう!」
「はい、よろしくお願いします。雪様…」
楽しげに笑う雪にゆかりはうっとりとした視線を浮かべて甘えるように頬を擦り合わせた。その仕草に邪魔しちゃいかんと宗麟は足早に立ち去る。部屋を出た後ろから響いた嬌声に元気だなと苦笑いを浮かべながら、次は誰の世話を焼きに行こうかと宗麟は考えを巡らせるのだった。
【雪】
吹雪女として恐れられていた存在。魔物娘の一種である雪女やその亜種と思われていたが、正体は生物の肉体などを必要としない自然などの概念的な力が形を持って現れたとされる雪、あるいは冬の精霊種。生物より格上であり、宗麟によって魔物娘に堕とされた後も桁違いの力は健在。魔物娘としては半人前で性行や性の獲得については拙いと言っていいが、元から強力なのであまり気にならない。単純な実力ならイタコに勝りうる。一方で縄張りさえ守れればあまり頓着しないので、人間社会に対する危険度ではイタコと比べればかなり控えめではあったりする。イタコが危険因子過ぎるだけではあるのだが。
元ネタはVOICEVOXのwhitecul。雪さん。割とぴえーん声のイメージで、無邪気さやそれ故の残酷さを演出しようと書いてみました。性に関するイメージが薄かったので強力故にえっちには不慣れみたいな感じで書きましたが少し失敗したかも。でも精霊種の話は何処かで書きたかったので、一つ勉強としておきます。
【宗麟】
冒険者を偽っている化物。魔物とか精霊種とかの枠組に収めることも出来ない超常の存在で、惑星をどうにか出来るレベルで強い。面倒なので現在はやっていないが、暇だった頃は戯れに神の真似事をしていたことも。人間も動物も魔物も魔物娘も惑星に住む生命は大概好きで、それ故か余程の事がない限りは基本的にどの種族にも肩入れしない。最近は人間増えすぎて面倒かもな、くらいには考えてるが人間の文化はかなり好き。あとは基本的に孤独な魔物娘の世話を焼くのも好きで、ちょくちょく顔を出しては話をしたりしている。
元ネタはVOICEVOXの麒ヶ島宗麟。雪さんを書くにあたって精霊種でさえもどうにか出来ないトンデモ存在を出したいなと思い、恐らく麒麟モチーフで飄々としてる強者感ある宗麟さんを採用しました。まぁ麒麟モチーフだとして、幻獣としての麒麟は聖獣で有難い存在とされているので魔物娘にもよくする宗麟さんはイメージとズレるかもですが。それにしても、出したのが自分とはいえ男性キャラの紹介文書くことになるとは思わなんだ。