今回は彩澄姉妹のお二人、というかりりせさんメインのお話です。かなり前から温めていた話になるのですが、人間でアカデミーの生徒で錬金術師のりりせさんがゆかりさんに片想いしているお話になりました。りりせさんは魔物娘より人間のエリートとして描きたいなと思いまして、アカデミー時代のゆかりさんの旧友という感じに。そしてしゅおちゃんをりりせ作の人造人間ということにしました。りりせメインと先述しましたが少ししゅおちゃんが割食ってしまった感じがあるので、いつかしゅおちゃんに配分振った作品を書いてみたいです。
「……ふぅ、この街も久しぶりですね。流石に半年は経ってないと思いますが……」
そう馬車隊に運賃を支払うと、ゆかりは普段の冒険ではそう持たない大袋を担いで灰の都『アッシュリア』の外壁をくぐった。火山の麓というだけあり火山灰が鬱陶しいのはあるが、相変わらずそれが気にならない程に活気に満ちた街だとゆかりは思う。近港から揚がってから時間もそう経っていない魚は灰除けの布の下で未だに鮮度を保っているし、すれ違う冒険者やそれを取り締まる警固番も多い。商人の客引きの声が響き、少し路地を見ればまだ昼だというのに酒場の前で酔っ払いが喧嘩を始めて野次馬がそれを囃し立てる。治安は兎も角、活気だけ見ればアカデミーを管理していた王都にも劣らないだろう。ギルドも世界でも屈指の規模であるし、加えて言うならば非合法な斡旋事業も取り締まりが追い付かない程に現れている。それらに付随する宿屋や装備屋、飲み屋や果ては売春宿に至るまで充実度合はそこらの都市の追随を許しはしない。
その喧騒をかき分けながら進むゆかりの目的地はギルドや宿屋街のある大通りから少し入った、貧民街一歩手前の恐らく地価が安いであろうエリアの一角にあるその地区の中では相当な大きさを誇る一軒家であった。一軒家とは言うが、飾り気のない長方形の外観をしたその建物は表に雑に“彩澄堂”と書かれた看板を掲げており、ついでに嘘か真か分からない薬効と値段を記載した張り紙も張り出してある。そんな怪しげで訪れる者がいるかも分からない建物の扉をノックすれば「はーい」と少し舌足らずな声が返ってきて、たたたと足音が響きすぐに扉が開いた。
「はいはい。どうも、彩澄堂でございます……ってゆかりさんじゃないですか。お久しぶりです」
「お久しぶりです、しゅおちゃん。りりせはいますか?」
「はい、勿論。お姉は出不精の研究オタクですから。なにはともあれ、お疲れでしょう? とりあえず、中でゆっくりしてください」
「いつもご丁寧にありがとうございます。それでは、失礼しますね」
ゆかりは自身がしゅおと呼んだ、店の立地を考えると不相応に上質でガーリーな服装に身を包んだ少女、正確には少女の姿を模して造られた人造人間に彩澄堂と名付けられた商店の中へと通される。カウンター手前のスペースこそ足元は片付いていたがしゅおに誘われたその奥、カウンターの向こう側の基本的には店の人間しか立ち入らない領域に関してはテーブルや棚の上に所狭しとフラスコに入った魔法薬や錬金術の素材が並び、床には行き場を無くした資料や学術書が山を作っている。その一角で辛うじて客人を受け入れようと構えるソファとローテーブルまでゆかりはしゅおの後ろを歩きながら器用に大袋を躱すように運んでいった。僅かにフラスコを鳴らす程度で被害を収めたゆかりが一息つきながらソファに身を預けている間に、しゅおは相変わらず舌足らずな幼い声でりりせと呼ばれた自身のマスターを呼びながら建物の奥へと向かっていった。その背中を見守りながら袋の中身を一応確認するゆかりの耳にしゅおが向かった奥の部屋からカツカツと靴のかかとが床を叩く音が響く。そんな高飛車な音に僅かに溜息を零して待ち構えていると、アカデミーの教授が被っていたような偉そうな黒帽を被った、帽子と同じ黒い白衣(阿呆の様に聞こえるかもしれないが、実際そう言い表すのが一番簡単なのだから仕方ない)に身を包んだ若い女性が顔を出した。
「ちょっと! 急に来ても用意が出来ないから、来るときは連絡寄越しなさいっていつも言ってるじゃないの!」
「……旅をしながら生計を立てている冒険者にそれは無理ってもんじゃないですか? お久しぶりです、りりせ」
「……もう、いいわよ。久しぶり、ゆかり」
呆れたように大袈裟に二回目の溜息を付きながらもその表情に笑みを浮かべながらゆかりは険しい表情を浮かべながら現れた女性、魔道具店『彩澄堂』の店主にして冒険者の都『アッシュリア』はおろか大陸全体を見ても指折りの錬金術師であるりりせに挨拶がてら頭を下げた。
*****
「ゆかりさん、お茶です。どうぞ」
「ありがとうございます、しゅおちゃん。……それにしても、また散らかってませんか?」
「仕方ないじゃないの、依頼が次から次へと来るんだから。片付けてる暇なんてこれっぽちも無いもの。どこに何が置いてあるか覚えてるだけでも十分じゃない?」
「そんなんだから、しゅおちゃんが苦労するんですよ……。あなたほど稼いでいれば助手なんて幾らでも雇えるんですから、早く研究街に出しゃばって大仰に新装開店すればいいじゃないですか」
「分かってないわね、ゆかり。私が欲しいのはただの助手じゃなくて有能な助手なの。アカデミーはおろか錬金術とおままごとの違いも分からないような足手まといを雇う気なんてさらさらないの。それに、研究街は地価も税金も高いし、いちいち申請とか誓約とかあってめんどくさいのよ、ほんとに。ここで冒険者相手にしゅおと研究に勤しむ方がよっぽど効率的だわ」
しゅおから受け渡されたお茶に口付けながら苦言を呈するゆかりの視線の先で、りりせはいつもの様に何の薬品か分からない液体で満たされた試験管を持ちながら別の液体を注いで黒煙を吐き出させている。赤かったはずの試験管の中身が濁った紫色に変わったのを満足そうに眺めるりりせの様子にゆかりは傍らでお盆を抱えるしゅおと一緒になって溜息を漏らした。
「あなたはまたそうやって高慢ちきに他の人を見下すんですから……。その内友達無くしますよ?」
「はっ、友達なんかいらないわよ。私の腕を評価してくれる依頼人と、私の出した依頼を完遂してくれる優秀な下請けと、しゅおがいれば私は万事OKなのよ私は」
「そう言って、最近人と話してないって落ち込んでるんですよ? どうにかしてくれませんか? ゆかりさん」
「ちょ…! しゅお、何言ってるのよ!?」
「まぁ、そんなことだろうとは思ってましたけれど……。ほんと、アカデミーの頃から何も変わってませんね。優秀で孤高を気取っている癖に根は寂しがり屋って、めんどくさい子なんですよ。しゅおちゃんも苦労するでしょう?」
「ええ、全く。依頼も破茶滅茶に難易度高いのを相手の実力とか一切気にせず出すから、なかなか信頼関係を築ける下請けさんも出来なくて……。ゆかりさんがいてくれて本当によかったと思ってます」
「ふふ、お互い苦労しますね?」
「しゅお、黙りなさい! マスター命令よ、マスター命令! ゆかりも耳でも閉じてなさいよ!」
端正な顔立ちを歪ませながら声を張るりりせの様子など知らぬ様子でくすくすと笑い合うゆかりとしゅおに歯噛みしながら、りりせはわざとらしく深い溜息をついてゆかりが素材を詰め込んだ大袋に手を掛けて覗き込んだ。
「全く、もういいわよ……! それより素材よ素材! 半年ぶりに顔出したんだから、いい具合に揃えてきたんでしょうね!?」
「あぁ、そこら辺は多分大丈夫ですよ。これでもそれなりに名うての冒険者のつもりですから。しゅおちゃんのご飯と相場よりずっと高い依頼料にありつけるんですから、頑張りもしますしね」
「しゅおのご飯の方が上なのかしら……。まぁ、しゅおは家事も超一流だから仕方ないけど……、ってこれって“魔鉄蠍の殼尾”じゃない!? しかも、熱も入ってないかなりいい状態……! ゆかり、あなたこんなのどうやって手に入れたのよ!?」
「依頼したのはあなたでしょうが……。まぁ、ギルドの伝手で有名な大剣使いのクランを紹介してもらって一緒に。慣れないパーティ仕事だったので疲れましたよ、ほんとに」
「いやぁ、無理させちゃって悪いわね! これなら上質な魔毒がかなりの量手に入るわ……! ありがとう、ゆかり!」
「どういたしまして。しかし、蠍の毒を何に使うんです? 毒薬か血清ですか?」
「確かにそれもあるけど、どちらかと言えば溶液の方が主ね。火山地帯とかの魔物の硬い外殻なんかを溶かして身体の中の器官を取り出す時とかに使ったり……、え!? “緋色サボテン”まであるじゃない! 凄いわね、ゆかり! あなた、最高よ!」
「お、おぅ……。喜んでいただけたなら何よりです……」
「はぁ、ああなったお姉は暫く止まりませんねぇ。あ、ゆかりさんお茶のお代りどうです?」
それまでの不満を漏らした様子が嘘の様に上機嫌になりながら、りりせは袋を覗き込んで中身を丁寧に取り出してはその効用や用途を誰がまともに聞いてる訳でもないのに説明してを繰り返す。それに適当な相槌を打ちながらゆかりはしゅおとの世間話に花を咲かせていた。そんないつもの光景だったが、透明なボトルを取り出してりりせの顔色が僅かに曇った。中には、明らかに人間のそれではない魔力が満ちた白濁した液体が半分ほど入れられている。
「……ねぇ、ゆかり。これってまさか、“淫魔の愛液”?」
「ん? んー……。あぁ、そうですね。襲われたのを返り討ちにした時にちょろまかしました。低級っぽかったですが、素材としては悪いものじゃないでしょう?」
「いや、冒険者だから仕方ないとはいえ、またゆかりさん魔物娘に襲われたんですか? いい加減お祓いとかしてもらった方がいいですよ」
「生憎と私はそういうの信じてないので……。まぁ、退魔系の魔法は一通り覚えてるのである程度は大丈夫でしょう。実際、今生きてますしね」
しゅおの呆れ混じりの心配にも得意になって返すゆかりの様子に溜息ひとつ零すと、りりせはボトルを他の素材より幾らか煩雑に近くの机に置いて何時の間にやら取り出したボードに固定した用紙に素材名を記入した。
「まぁ、リストアップしてない素材が手に入ること自体は割と願ったり叶ったりだけど。この愛液も半分中級くらいの淫魔のものでしょうから色々使えそうだし。今生きてるってことは、犯される前に仕留めたんでしょ?」
「え、犯されましたよ?」
カシャン。流石に動揺が隠せなかったりりせの手元から万年筆が転がり落ちる。そのまま拾い上げることもせずに信じられないものを見る視線を向けたりりせと、同様の視線を向けるしゅおに流石に自分の発言の異常性に気付いたゆかりはティーカップ片手に気まずそうにするしかなかった。
「あんたねぇ、何で犯されてるのよ! アカデミーの授業でも『性と魔力を奪われたら人間なんて一切抵抗出来なくなるから、魔物娘を相手にするなら絶対犯されるな』って散々言われてたじゃないの!」
「い、いや、いざ実戦してみたら、魔物娘って絶頂した相手から性を奪う時が一番隙だらけになるんで、偶に遭う雑魚くらいなら一回イった方が楽なんですよ。実際師匠も時々言ってましたし、旅先で寄ったギルドの人も結構そうしてますし……」
「それはあんたのぶっ飛んでた師匠とか生き残ってるギルドの人がおかしいだけで、魔物娘にそうされて死んでった冒険者がどんだけいると思って……、あぁもう!」
「 と言いますか、今の口ぶりだと明らかに一回二回の話じゃないですよね、魔物娘に犯されたの。正直に言ってください、ゆかりさん。今まで私達が知らない間にどれだけ犯されましたか? どれだけ死にかけましたか?」
「……そんだけ言われちゃったら、言いたくなくなるんですが……」
挟まれるように二人に詰め寄られたゆかりが苦し紛れにそう言うと、二人はいよいよ今日一番深い溜息をゆかりに向かって吐き出した。
「……つまるところ、私達の知らないところで魔物娘に散々犯されて死にかけて返り討ちにして殺してたってことですか」
「呆れたわね……。いい、ゆかり! あんた今後一切弟子取ったりするんじゃないわよ! 戦闘とは無縁の私達にこれだけ言われるあんたじゃ師匠になるには荷が重すぎるわ! てか、あんたのやり方を普通の冒険者がやったら死人が溢れ返るわよ!」
「いや、元から誰かの上に立つ気なんて更々無いからいいですけど……。じゃ、じゃあ私は今日は退散しますね……」
「逃がさないわよ?」
りりせに捲し立てられて思わず身を竦めたゆかりが気まずそうに店から退店しようとするのを腕を掴むことで制したりりせは更に口を開いた。力を入れれば軽々振り払える手を、怪我させてしまうかもしれないと躊躇しているうちにしゅおが店仕舞いを手早く終わらせて内鍵を掛ける。しまった、とゆかりが視線を向けた先で錠前に魔術が掛けられた。
「はい、これで明日日が昇るまでは出られないわよ? それで、今の態度を見るにまだまだ私達のに言えないこと隠してるんでしょ? 夕食ついでに聞けるだけ聞いてあげるから覚悟なさい?」
「……はぁ。観念しました」
分かればよろしい、そう意地の悪い笑みを浮かべたりりせがゆかりから手を離して鼻歌混じりに素材袋の確認に戻る。その背中を眺めながら溜息をつき返したゆかりの隣に店の入口から戻ったしゅおが立って申し訳なさそうに口を開いた。
「すみません、ゆかりさん。私のマスターはお姉ですので、逆らうのはちょっと出来ないんですよね」
「いや、これは完全に身から出た錆ですので、仕方ないんですが……」
「……なら少しは反省してくださいね。今は鼻歌歌ってますが、多分まだ内心怒ってるでしょうし。……私も、結構心配してるんですからね?」
「……善処します」
「はぁ、しょうがない人ですね……。まぁいいです。夕飯、どんなのがいいですか? 昨日買い出しに行ったばかりですので、大概のものは作れると思いますが」
「……暫くお酒飲めてなかったので、お酒に合いそうなのでお願いします」
「相変わらずお酒好きですねぇ、了解です。……あ、お茶のお代り入れますね?」
やれやれと年長者二人の様子に呆れるしゅおに空のカップに紅茶を注がれて、その年長者の内の一人であるゆかりはバツが悪そうに紅茶に口付けるしか無かった。
*****
「ん、ぅ……?」
まだ覚醒に至らない頭が、それでも鈍痛を起こしてゆかりに目覚めを訴える。
『ふぅ。お姉は普段から人使いが荒い上に独り言が多いので、話したいことが多くてつい喋りすぎちゃいました。面白くもない愚痴に付き合ってくれてありがとうございます、ゆかりさん』
あれから結局夕陽が差すまで店舗スペースでしゅおの話し相手になったゆかりは、その頃まで素材袋と格闘していたりりせにいつもの様に居住スペースの一角にある客間に通された。
『それじゃ、ここ最近の外の話でも聞かせてくれないかしら? あなたからじゃないと碌に外の話も聞けないからね。ん、他の依頼者? いやよ、見栄っ張りか報酬の嵩増し狙う奴等の話なんか!』
そのまま黒白衣と帽子を取り払って落ち着ける部屋着に着替えたりりせと暫く近況報告やアッシュリアの外の世界について談笑する。掘り下げられるだろうと戦々恐々としていた魔物娘の話はついぞ聞かれることはなかった。
『へぇ、そうなの! あ、そう言えば最近聞いたのだけど……』
『あ、ゆかりさん、お姉。夕飯の用意できたのでどうぞ』
『あ、もうそんな時間? ありがとう、しゅお。……ちょっと、ゆかり。なにウチのしゅおに邪な視線向けてるのかしら?』
そのうちにやって来た、夕食の完成を伝えに来た可愛らしいエプロン姿のしゅおを眺めるのを隣に並んだりりせに抓られる形で制されながらダイニングへと向かった。
『いつもより張り切っちゃいました。お姉は酒飲みの癖に食べるのは興味薄いので、普段は作りがいなくて』
『余計なことは言わなくていいわ、しゅお。それに、あなたはあなたで好きに作らせたら二人じゃ食べきれない量作っちゃうでしょ』
『……ぐぅ』
ダイニングにはゆかりが来ることを意識して滅多に使わない肉や魚を使ったご馳走が並べられていた。ここ最近はご無沙汰だった豪勢な食事に唾を飲むゆかりの横で、食肉の類が得意でない上に少食なりりせが「食べ切れるかしら」と笑う。その癖ゆかりに負けないくらいの酒好きであるりりせがしっかりと葡萄酒の栓を開けている様子に「相変わらずですね」とゆかりが揶揄う。そんなもの露知らずといった様子のりりせによって葡萄酒を注がれたグラスを交わして尽きない話をしながら食事を楽しんでいた。そこまでは確かに覚えている。
並べられた食事を冒険者のゆかりとそれに負けず劣らずに食べ盛りなしゅおが次々に胃に収め、りりせもりりせで何杯か数えるのが面倒になるくらいの葡萄酒を飲み干した頃だった。久方ぶりの満足感に浸っていたゆかりにりりせが『そういえば、面白いお酒が手に入ったのよ』と三本目の酒瓶を出したのだ。葡萄酒の紫とは違う鮮やかな赤色が気になって差し出したグラスに注がれたのを飲んでそこからの記憶が無い。となればもう、犯人など分かったようなものだ。
「……りりせ、そこにいるんですよね? 今度は、何仕掛けたんですか?」
「あら、やっぱり分かる? 流石、魔物娘に身体を明け渡すような、歴戦の冒険者様ね?」
「……お姉。苛立ってるのは分かるけど、言い方どうにかならないかな? 本当にゆかりさんも愛想尽かすよ?」
あからさまに侮蔑を含んだ高飛車な言い草をするりりせとそれに心底呆れたように話すしゅおの姿はゆかりからは見えない。単純に手拭いか何かの布で目隠しをされているのだ。更に身体に覚えた違和感。ベッドに寝かされた身体からは衣服は剥ぎ取られ、上半身ごと後ろ手に腕を縛られて抵抗を封じられている。ショーツ以外は身に付けていないようで、太腿などに備えた隠しナイフなどの装備もなさそうだ。なら、少々乱暴だがこうするしかないかと魔力を練ろうとして更に違和感に気付いた。魔力が乱れてとてもではないが練れたものではない。
「……何をしました? 装備は兎も角、魔力を乱すとは周到じゃないですか」
「たまたまよ。対魔術師用の試薬があったから念には念を入れて服薬させただけ。さぁ、ゆかり。これからどうするの? 抵抗を封じられたあなたはこの危機をどう乗り越えるのかしら?」
「……さぁ、どうしましょうかね?」
そう脅しをかけるりりせに、しかしゆかりは大した危機感を抱いてはいなかった。自身が彼女と出会った頃、アカデミーの学生の時分から尊大なようで良識に溢れた人間なのだ。アカデミー当時からやっかみを掛けられても、見兼ねた自分や友人であったマユが痛め付けるまで碌に反抗もせずに寛容さを見せていた彼女がそれらしい悪意を自身に向けるとは思えなかったのだった。
「……何よ。随分余裕じゃない?」
「下手に弱さを見せたらそこにつけ込まれるので、多少尊大でも毅然と振舞っておいた方がいいって経験則ですよ。そもそも甘ちゃんなあなたが昔馴染みの私に何か出来るとも思いませんし、……っ!?」
「……ふぅん。今の私を怒らせたらどうなるか、分からせた方がいいかしら」
計算半分の強がりでりりせが怯むことに期待したゆかりの下腹部、ショーツの少し上の辺りをそう弱くはない刺激が襲う。振動する何かが押し付けられ胎の奥に快感を送らんとしていた。
「どう? 振動石を少し弄って作った、いわゆる夜の玩具ってやつなんだけど。魔力を流して振動の具合を変えられるやつなのだけど、その様子だとまぁまぁいい具合そうね?」
「……う、くっ……」
予想外の刺激に加えてゆかりの思考と理性を蝕むのは、唐突な刺激さえも的確に拾い上げるまでに鋭敏になった己の快楽神経だ。その感覚は魔物娘が自身から性を貪ろうとする際にしばしば用いる媚毒や催淫魔法を受けた時によく似ていた。
「あ、あなたももう気付いてると思うけど、お酒に混ぜた薬で意識を飛ばしてる間に幾らか薬盛らせてもらったから。どう? 屈辱的でしょう? 気持ちよくて悔しいでしょう? これに懲りたら、少しは身の振る舞い方に気を付けたらどうかしら?」
「……はっ。冗談言わないでくださいよ。誰があなたみたいに部屋に籠って依頼人待つだけのビギナーの意見なんか聞きますか、ん……っ。そ、れに……っ、この責めだって間怠っこしいだけで、全然気持ちよ、くは……ん、くぅ……っ」
あからさまに快感を覚えながら尚も強がるゆかりに、呆れると共に『やはり彼女の心を折るにはこれだけでは足りない』と僅かに陰った意志を建て直したりりせは、それを悟られないように凛とすました態度を崩さぬように下腹に押し当てた玩具に流す魔力を強めた。
「ん……っ!? ふ、ぅ……っ」
「……小さくても喘いでる癖に。変に強がるのは変わらないのね? まぁいいわ。そもそも反省する気はなさそうだし、なら分かるまでやるだけよ。しゅお、あなたも参加なさい」
「仕方ないなぁ……。ごめんなさい、ゆかりさん。鍵掛ける時にも言いましたけど、私のマスターはお姉なので。恨むなら、お姉をお願いします。……ん、ちゅ」
「ひ……っ!」
自身の肌にしゅおが着ていた服のフリル袖や吐息が掠める度に快感混じりの吐息が漏れそうになるのを、ゆかりは羞恥心から堪えようとする。魔力が練られず腕で抵抗も出来ない、加えて視界を封じられた状況がゆかりの他の感覚を鋭敏なものにする。そう鋭敏になった皮膚が自身の上半身を這うしゅおの想像通りに柔らかく艶やかな唇の感触を拾い上げて全身を甘く痺れさせた。
「ふふ、しゅおに胸の周りをキスされただけで随分息を詰まらせるじゃない? やっぱり快感に弱いわね、あなた。そんなんでよく旅の冒険者なんかやれるわね、ゆかり?」
「うる、さいで、す……んふぅ!? や、ま、待って、しゅおちゃ……!」
「ん、れぇ……。はぁ、む」
「ふぅ……っ! は、はなしを……!」
「強がるばっかりでこっちの話を聞く気もない人間の話なんか聞きたくないわよ。……そもそも、ゆかり。あなた自覚ないの?」
「ん……っ! な、ぁ……?」
「人に甘い甘い言う割には、脚が自由な癖に私達を蹴って退かそうとしたり一切しないじゃない。あなたも相当な甘ちゃんだって自覚ないのかしら?」
「……っ!」
そこまで言われて、ゆかりは自身がりりせの指摘通りに自由な筈の脚で二人をどうするつもりもなかったことを自覚した。何たる甘さか。屈辱に思いながら脚を振りあげようとして、
「許すと思うかしら?」
「なっ……!?」
「ふふっ、あなたの考えることなんかお見通しなのよ」
嘲るように笑いながら淫具を当てるりりせと、ゆかりを挟むように位置取りながら一心に身体、特に胸元に唇を寄せるしゅおがそれぞれゆかりの左右の脚に伸し掛るようにされて阻まれた。それなりに修羅場をくぐってきたゆかりと言えど、何らかの薬で昂り魔力も練られないこんな状況では二人のなすがままだ。歯噛みするゆかりの様子にほくそ笑んだりりせは、ゆかりの身体に顔を寄せると、
「ふぅー……っ」
「は、ぁ……っ!?」
「はは、敏感ねぇ。 目隠しされて、薬使われただけで……! それも、大して強い薬は使ってないのに……。それに鍛えてるって言う割には身体も大概華奢じゃない。こんな身体で無茶ばっかりして、全く……」
息を吹きかけられる快感ともつかない刺激を与えられた挙句、嘲られているのか呆れられているのか定かでない発言をぶつけられて苛立ちを覚えるゆかりが上半身をよじるのが煩わしかったのだろうりりせは、視界を封じられたゆかりが気付ける筈もないが視線を合わせるとゆかりの薄い胸の丘陵に唇を寄せる。それを近付く気配や胸元にこそばゆく触れるしゅおの服の袖口のフリルやりりせの長い髪の毛の感触で察したゆかりは思わず息を飲んだ。
「ちょ……、や、やめ……っ!」
「やめる訳ないでしょ? はぁ、む……!」
「ひぃ……っ!? ふぅ、ん……っ!」
ぱくり、と両方の胸蕾が生物特有の暖かな湿度に包まれる感覚。微妙に温度も湿り気も異なる柔らかさに、ゆかりは息を詰まらせてしまう。しかも、当然ながらそれで終わりではないことをゆかりは知っている。
「あむ、れぇ……。ちぅ、れるれる……」
「ちゅ、ちゅう、ちぅ。ぺろ、はぁ……、ちゅう」
「あ、あふ……。ふ、ぅ……っ!」
りりせは唇の先で優しく食みながら、その内側で舌先を細かく使い乳蕾を弾くように。しゅおは時折舌を這わせつつも、主に唇で胸先に吸い付くように。異なる仕草でゆかりの人より幾分か鋭敏になった胸を味わうように刺激してゆかりの劣情を煽る。その上、りりせは下腹に振動した玩具を押し当てたままなのだから、屈辱を覚えるゆかりの沸沸とした脳内を別の熱量で満ちた劣情が塗り替えられるようでそれが余りに悔しく、快感を誤魔化すようにゆかりは喘ぎをせめて短く途切れ途切れに我慢しながら頭を振る。その様子が分からないりりせではない。
「ぷぁ……! ふふ、悔しいでしょう、気持ちいいでしょう、ゆかり?」
「ひぃ……っ!」
「あら、擽ったいかしら? ごめんなさいね、でも意固地なあなたが悪いのよ? こんな敏感な身体で変に気を張るんだもの。私達だってやりすぎちゃうかなってね?」
胸元から唇を離したりりせは自らの顔をゆかりの耳元に寄せて、吐息を意図的に含めた言葉を羞恥と快感で赤く染まった耳に吹きかける。その吐息に身を竦ませる様子を楽しみながら意地の悪い言葉を続ける。唾液でコーティングされた胸先には舌の代わりに、淫具を持っていない方のしなやかな指先を伸ばして、くにくにと押し潰しては爪先でかりかりと先端を擽ってを繰り返す。
「ひ、ふぅ……っ! や、あぁ……!」
「嫌? そうよね、嫌よね? ……なら、ひとつ提案なんだけど。あなた、旅の冒険者なんか辞めてうちの専属にならない? 変に危ない橋を渡りながら身寄りのない生活を続けるよりも、いくらかマシな暮らしを提供できると思うのだけど。まぁ、刺激が足りなくなるかもだけど、夜の暮らしならこうやって私達が満足させてあげるわよ?」
「ひぅ、ぇ……?」
愛撫は止めぬまま唐突になされたりりせの提案に、ゆかりも嬌声を零しながら困惑の声を上げる。仕方ないだろう。提案をしたりりせの言葉にはベッドに投げ出されてからの嘲るような調子はなく、軽率そうな言葉の裏には真剣とさえ言っていい印象が感じられた。
「……い、やですよ、ふぅ……っ! わたしは、じゆう、が……っ、ほしくて、ぅ……! がっこうも、ぬけだしたんですから……、ぁっ!」
だからこそゆかりは拒んだ。嬌声の間に自由を愛する自らの信念を挟み込んでりりせに拒絶の意を示す。生憎と、それで状況が改善する兆しは見えなかったが。
「……そう、そうよね」
りりせの声色があからさまに落胆したものに変わり声も遠ざかった。そのままりりせの身体がゆかり、そしてベッドから離れる。まだしゅおが胸元に唇を寄せていることを考えれば性行はまだ続くのであろうが、僅かな間でも刺激が弱まるのは幾らか気が休まるという意味では有難かった。
「なら、少し後悔させてあげる。あなた、今の提案受け入れた方が良かったわよ?」
かと言って、事態はそう好転するものでもないようで。幾分か声の調子が平坦になったりりせの気配がする辺りで軽い音、ガラスや陶器と軽い物がぶつかり合うような音が聞こえた。二段階目か、ゆかりが快感で痺れつつあった思考に少々の喝を入れる。そんなこと気付いてもいないだろうし気にもしていないだろうりりせの気配が足跡と共に近寄ってくる。
「しゅお、ちょっと退きなさい。これ塗り込んであげるから」
「ちゅう……、ぶぅ。……本当にいいの? ゆかりさん壊れちゃうかもしれないよ?」
「……いいわ。いっそ壊れた方が、素直で可愛げも出るかもしれないしね」
「……はぁ、しょうがないなぁ。お姉の代わりに謝らせてもらいます。ごめんなさい、ゆかりさん」
相変わらず調子の欠けた声色のりりせと、申し訳なさそうな声調のしゅおの様子に思わず身構えるゆかりにそう質量のない気配が迫る。剣先よりも余程細く小さいものだろうそれは、しゅおが離れて微かに上下するゆかりの胸元との距離を確実に縮めていって、
「んぅ……っ!」
ぴとり、さわり。
触れたのは筆であった。絵画か凝った文字を書く時に使うような毛筆に微かな粘度が含まれた液体が触れていて、それが筆の動きと共に胸に塗りたくられていく。また媚毒の類か、と呆れつつも警戒を強めたゆかりであったが、その効能は予想とは大きくかけ離れたものだった。
「ふ、ぅ……っ!? あ、熱……っ!? な、なん、ですか、これぇ……!?」
「あなたが寝てる間に、さっきの“淫魔の愛液”で作った催淫液よ。まだ簡易的なものだけど、それでも相当キツいでしょう? あなたが『一回イッてから対処すれば大丈夫』とかとぼけてたらしい淫魔は潜在的にはこれくらいやれるのよ? ……まぁ、私の錬金術の作用も相応にあるでしょうけどね」
そう言いながらもりりせは先端や乳輪を避けた胸元を覆うように催淫液を塗りたくる。液が触れた肌は火で炙られたように激しい熱と快感を与え、ゆかりの幾分か弱っていた理性を更に、急速に追い詰めていく。
「ふふ、いい気味。それに、まだ終わりじゃないわ。……もし、あなたのぷっくり膨れたこの先っぽに、これを垂らしたらどうなるかしらね?」
「……っ!? や、やめ……!」
「……ふっ。い、や、よ」
そうしてゆかりの防がれた視界では捉えられるはずのない、てらてらと月明かりに照らされた白磁の胸元の先目掛けて、りりせは瓶に溜まった薬液をたっぷりと筆に纏わせて雫を作り、胸先の乳蕾に落としてみせた。そうして淫液の雫が蕾に落ちて、
「―――っ!? ぁ、はぁ……っ!?」
ゆかりの喉から、全身を灼くように走った熱を逃がそうと肺から押し出された空気が声を伴わずに吹き抜けて、遅れて驚愕と戦慄の声が漏れた。りりせもしゅおも、ともすればゆかりでさえ気付けはしないが布で塞がれた目は見開かれ、全身がぴんと伸びる衝撃だった。その衝撃に塞がった目を白黒させて汗をどっと流すゆかりの胸に、ベッド脇の机に小瓶と筆を置いて解放されたりりせの掌が、指が迫る。そうして、
「はい、ぎゅー」
「あはぁっ!?」
「はは、さっきと反応が全然違うじゃない、ゆかり……! 流石は淫魔の素材ね……。散々開発されたらしいあなたがこんなによがるなんて、他の魔物娘も嫉妬しちゃうんじゃないかしら……! ほら、気持ちいいんでしょう? 堪らないんでしょう……!?」
「あ、やぁ、はぁんっ! ひ、や、やめ、ひやあぁっ!? ぁ、く、―――っ!」
不穏な笑いを零しながらなだらかな両の丘陵を揉みしだいてはその先を指先で転がして摘み上げるりりせの技巧に、ただでさえ昂らされた挙句に薬液で快楽神経を異常なまでに鋭敏にされたゆかりが耐えられる訳がない。りりせの手指の一挙一動の度に切れ切れの裂くような嬌声を身体と共に跳ねさせては、小さな絶頂に押し上げられる。息を詰まらせて身体を意思と無関係に引き伸ばされるのだが、僅かな休息も与えられずに次の快感が与えられるのだからゆかりからすれば溜まったものではない。しゅおに肩を抑えられていなければ、快感を逃がす為に上半身を暴れさせてりりせごとベッドから落ちていただろう。
「ふ、ふふ、ははっ……! 淫魔の本域はこうなのよ、ゆかり? いい加減懲りたかしら? ……いや、まだあなたはきっと駄目よね、あなただもの。だから、最後にとどめをあげるわ……!」
「は、ふ……」
「……」
ひとしきりゆかりを快楽に沈めたりりせはゆかりの胸元から手を離すと、そうゆかりに対してなのか自分に対してなのかも分からぬ呟きを零す。強すぎる快感に視界を封じる布を涙で濡らすゆかりが微かに息を漏らす様を合わせて眺めながら、しゅおは呆れたような嘆くような沈んだ視線をりりせに向けるのだが、向けられた当人はそんなこと気にも留めずに目隠し以外でゆかりに唯一残された布地に手を伸ばす。
「っ? ……ぁ! や、やぇ……っ!」
「あは……っ! そんな動き、抵抗にもならないわよ? もしここに垂らしたら、あなた帰ってこれるのかしら……? ね、ゆかり?」
ゆかりの視界の外で悪辣な笑みを浮かべたりりせが最早意味を為さない程に濡れそぼったショーツをゆかりの脚から引き抜き、その一方に自らの半身を乗せるようにして脚を開かせたままの体勢をつくりあげる。りりせの脇腹に立て掛ける形になった下敷きになってない方の脚の下から覗くゆかりの秘貝は微かに降り掛かる月光を反射しててらてらと濡れ光っている。首謀者のりりせは当然の如く、主人に付き従っているだけに過ぎないしゅおにもその淫靡な姿は魅力的に映った。その魅力的な秘裂に筆先が迫る。ファーストタッチの反応を愉しみたいのか薬液は垂れるほどの量は付いていない。
「それじゃ、行くわよゆかり? 帰って来れなくなったらごめんなさいね?」
「や、ぁ……!」
「……バイバイ、ゆかり」
それだけ零して、りりせは筆先を優しく、しかし無慈悲に濡れそぼったゆかりの秘裂に落として、撫で上げた。
「は、ぁ、―――――――――っ!」
その姿は、例えるなら張り詰めた弓のようだった。一撫で、一往復。その微かな刺激で、ゆかりは目隠しの下で目玉が飛び出るのではと思うほどに目を見開き、声も出ない口を開閉して、身体をぴんと伸ばし背を大きく反らしたまま身体を硬直させて暫く帰って来れなくなった。その間、数回に渡ってゆかりの秘裂から透明な液体が放物線を描きベッドを、布団を、床を濡らした。それから十数秒、或いは二十秒、矢も番われぬこともないままに張ったゆかりという弓は漸くその形を元の姿に緩めて、そのまま強すぎる快楽に身体を痙攣させていた。
「……っ、ほら。こうなるのよ、ゆかり。あなた、このまま冒険者を続けてたら、こんな風に死んじゃうのよ? だから、いなくならないで? 私の目の届くところにいて? ……私以外に、抱かれないで?」
自らの薬の効能に多少なりとも動揺したのだろうりりせが、言葉を詰まらせながらもどうにか再び紡ごうとする。まともに聞こえているとも思えない、その瞳も自ら隠したゆかりの顔を覗き込んで呟く言葉は、それまでの嘲りと比べて幾分か幼稚に思えた。仕方ないことだろう、りりせも必死ではあるのだ。ゆかりの頬に涙を零すくらいには。
「ねぇ、ゆかり……。あなた、私がどれだけ想ってるか分からないでしょう? ……今だから言うけれど、アカデミーの頃から、それなりにあなた一筋だったんだから。……あなたが魔物娘に犯されてるって聞いて、どんだけ嫉妬したか知らないでしょう? ……まぁ、知らない方がいいのだけど」
そこまで言って涙を拭いながら苦笑する。紛れもない告白だった。意識がないゆかりに隠れて行う、自らの想いの吐露だった。素直になれない錬金術師の密やかな恋慕のカミングアウトだった。想い人には聞かれない、自己満足に過ぎなかった。ただ一つの失敗があるとするならば、
「はぁ。漸く言えたわ……。まぁ、言えた内に入るか分からないけど……。……ふふ。まぁ、やったじゃない、私。漸く、素直になれたわ」
「……に、ぃってん、ぇすか……」
「……は?」
半分以上意識を飛ばしていた筈の、散々に弄んだ想い人が微かに意識を保って、しっかりと自身の発言を脳裏に刻み込んでいたことであろうか。
「……ゆか、り?」
「な、に、かって、いって……」
「……はぁ。本当に漸く、ですか」
その二人を実質的な傍観者の立場にいて見ていたしゅおが呆れの感情が多分に含まれた溜息を零す。その溜息に確かな安堵が含まれているように感じられたのは、果たして間違いではなかった。それまでゆかりの身体、肩を抑えていたのを解放したしゅおがゆかりの目隠しを外す。相応の水分を含んだその布の下から現れた双眸の周りは赤く染まり瞳にも涙が溜まっているが、そこにはしっかりとした意志が残り困惑するりりせをしっかりと見据えていた。
「それじゃ、お邪魔虫は退散しますね」
「ちょ……っ! ま、待ちなさい、しゅお……!」
「年貢の納め時だよ、お姉。ここまで来たら、しっかり想いを伝えちゃいな? じゃ、ごゆっくりー」
「ご、ごゆっくりって……! しゅお、しゅおー!」
主人が呼び止めるのも気にせずにしゅおは欠伸混じりに足早に部屋を去り、残されたのは息絶え絶えながらしっかりと主犯を見据えるゆかりと、動揺が隠し切れないりりせだけだ。
「ゆ、ゆかり……。さ、さっきのは違くて……!」
「……なにが、です……?」
「な、何がって……!」
「ようやく、すなおに、なんていってたくせに……」
「あ、あれは、その……!」
「まどろ、っこしいんですよ、あなたは……!」
未だに快感の熱で頭を浮かされながらも何とか言葉を紡ぐゆかりに、りりせが追い詰められる。もう、逃げ場などない。
「ねがってる、ことばがある、なら、すこしは、しょうじきにいったら、どうです、か……!」
「……っ! 〜〜〜〜〜っ、ああ、もうっ!」
「わ、ぷ……っ! ふ、ぅ……!」
くたばり損ないとも思える被害者の説教に発破をかけられて、りりせは半ば癇癪を起こしたように叫ぶとゆかりの肩に手を掛けて布団に押し倒した。その衝撃と皮膚伝いに胸と秘所以外にも回りつつある快感に息を詰まらせたゆかりが反射的に閉じていた目を開くと、
「んむう……っ! ちゅ、ちゅう……!」
「んむぅ……っ!? ん、ふ……!」
すぐそこに整ったりりせの顔があり、そのまま半ば強引に唇を奪われる。そこまで意識が回ってないのか、舌は差し込まれなかった。そのまま十秒かそこら、唇を押し付けるだけながら情熱だけは確かに感じる口付けが為されて、離される。
「ぷぁ……! もう、認めるわよ……! あなたが好き! これでいいんでしょう!?」
「ふ、ぅ……! い、えたじゃないです、……っ!?」
そこまで言おうとしてゆかりは言葉を詰まらせた。馬乗りになったりりせが自分の身体の上で乱暴に着ていた服を脱ぎ払っていったからだ。
「な、なにを……!?」
「何って、セックスよ! もう、怖いもんなんてないわ! 私の身体使って、あなたのこと溺れさせてやるから覚悟なさい!」
半ば理論も破綻した物言いをしながら、りりせは最後にストッキングごとショーツを下ろして一糸纏わぬ姿を晒した。ゆかりより凹凸がはっきりとしつつもすらりと均整の取れた、世の男性が求めて止まないような女性らしいプロポーションに思わずゆかりも息を飲む。そうしている間にも、りりせは自身の脚とゆかりの脚を交差するようにしてその付け根を重ね合わせようとしていた。
「……!? ま、まちなさい、りりせ……!」
「なに、よ……! あなたの痴態見てる頃から、もう私もとっくに濡れてるから心配ないわよ……!」
「そ、じゃなくて……! わたしの、あそこには、くすりが……!」
「そんなもの、散々自分で媚薬の実験してるんだから、気にもならないわ、よ……!?」
ぐじゅり、とゆかりの制止の声も碌に聞かずにりりせは自らの秘裂を鼠径部ごとゆかりのそれと重ね合わせる。自らの宣言通り、自身の身体で媚薬の研究をすることもままあるりりせであったが、いざゆかりと肌を重ね合わせれば、目を見開き言葉を失ったようだった。
「ふ、ぅ……っ! すご、いわね……! さす、が、私の薬……っ!」
「い、わんこっちゃ……! あま、り、むちゃは……!」
「はっ……! ばか、言うんじゃないわ、よ……! これ、くらい、どうってことない、んだからぁ……っ!」
「ふあぁ……っ!? や、ま、まって……! ひうぅっ!」
薬の効能で身に余る快感を受けながらも強がって腰を揺らし始めたりりせに、気遣ったゆかりも引き攣るような嬌声を上げ始める。
「ん、ひぁ、ふぅん……っ! は、ゆかり、気持ち、いいっ? いい、わよねっ?」
「い、いぃっ! つ、つよすぎ、てぇ……っ!」
「は……っ! 冒険者、なんだから、怯んでんじゃ、ない、わよ……っ! ほら、ほらぁ……っ!」
「はひぃ……っ! あ、ふあぁ……っ!」
直に塗られたか否かの違いもあるのか、馬乗りになって腰を振るりりせの腰遣いにゆかりは翻弄され、水音を立てながら縦横無尽に動く自分とりりせの下半身がもたらす快感に脳を焼かれ情けない悲鳴を上げるしかない。
「は……っ! すき、好きよ、ゆかり……! ずっと、アカデミーの頃から、ずうっと……!」
「り、りせ……! わた、し、も、もう……!」
「まって……っ! もう、少しで、私も……!」
「あ……! い、イく……!」
「ゆ、かり……! ふ、ちゅ、う……!」
「んむぅ……っ!?」
告白とともに一層激しくなる腰遣いに脳裏に火花が弾け限界を悟るゆかりが訴えるのに合わせて、りりせは未だ縛られて動けないゆかりの上半身に抱き着いて顔を寄せる。そのまま今度は舌まで差し込むキスでゆかりの不意を奪い、僅かにゆかりの気を逸らす。だって、二人で果てを迎えるなら、同時がいいでしょう?
「ん、ふ、ぁ……っ! ぅ、――――――っ!」
「ん、む、ちゅう……っ! く、ふ、――――――!」
そうして、りりせの鼠径部が下位置から擦り上げるようにしてゆかりと上下合わせて口付けを交わしたのを合図に二人は果てへと飛び立った。ゆかりの身体をかき抱いて支えとするりりせはまだ快感を抑えられているようであったが、上半身を縛られた上に直接薬を塗布されたゆかりは辛うじて脚の爪先でシーツに皺を刻みながらも、完全には快感を逃せず重ね合わせた唇から荒く息を吐くのに必死だった。
「ふ、ぅ……! よか、ったぁ……!」
「ぷぁ……! り、りせ……。よ、すぎて……、つら……」
「い、いじゃない……。 余韻、に、しっかり、浸かれば……」
「あ、や、まだ……?」
「ふぇ……?」
ふと、りりせはゆかりの様子に違和感を覚えた。身体が小刻みに震えたまま戻ってこれていない。りりせはその感覚に身に覚えがあった。
「 や、終わらな……! りり、せ、こわぃ……!」
「ま、まって、ゆかり! 今、腕離すから、私に抱き着いて……!」
絶頂から降りてこれなくなったゆかりの腕の拘束を外して自らの身体に回す。強張った腕は自然とりりせをかき抱きそのまま抱き合う形になった。
「り、りせ……! りりせぇ……!」
「だ、大丈夫だから落ち着きなさい、ゆかり! 暫く待ってれば感覚も収まるから!」
許容量を超える快感に、まるで子供のように泣きじゃくるゆかりに抱き締められながら、悪いと思いながらもりりせは好きな人と抱き合う幸せを感じていた。
*****
【ある若手錬金術師の日記】
VA 226.04.15-
今日から王都『アカデミー』の門をくぐる。
これで私も、偉大なる探求者の一員だ。
お父様のような、立派な錬金術士にならねばならない。
VA 226.10.08-
『アカデミー』も大したことは無い。
ほんの一部の学生が研鑽に勤しむだけで、大半は自堕落に過ごしている。
私は決してそんな軟派な連中にはならない。
VA 227.02.21-
フリモ先生が別の教授の預かりの学生を一時的に迎え入れた。
ゆかりという彼女が優れた人材であるのは認めるが、お世辞にも素行がいいとは言えないようだ。
あまり関わらないようにしよう。
VA 227.03.19-
卒業祝賀式の壮行花火の製作で、ゆかりさんの手を借りた。
孤高のような雰囲気をしている割に、意外に面倒見がいいらしい。
意外といい人かもしれない。
VA 227.05.04-
研究資料の盗難の容疑をかけられる。
私はやってないのに、誰も信じてくれない。
誓って、私は罪を犯してはいない。
VA 227.05.05-
ゆかりさんが、私の罪を晴らしてくれた。
私を成績を妬んだ下級生の仕業らしかった。
認めるのは少々抵抗があるが、彼女は良い人なのだろう。
VA 227.05.06-
ゆかりさんにお礼をしに行った。
高いチョコレートは食べたことがないと喜んでくれた。
あれで喜んでくれるなら、偶に話をしてもいいかも。
VA 227.09.11-
ゆかりは、親代わりのイフ教授に拾われるまでは奴隷だったらしい。
恵まれていたと思う自分とは違う、悲惨な生い立ち。
だからこそゆかりは、他人に手を差し伸べられるのだと思う。
VA 228.01.02-
新年の初夢に、ゆかりと店を営む夢を見た。
ゆかりはゆかりで、私と旅をする夢を見たらしい。
ゆかりのことだからリップサービスかもしれないけど、そうならいいな。
VA 228.05.20-
例年よりかなり遅れた花見をした。
地元の行司だったけど、ゆかりは風情があると喜んでくれた。
来年も二人でサクラを見たい。
VA 228.08.29-
成人に合わせて、ゆかりがどこからかお酒を持ってきてくれた。
美味しかったけど寮長に見つかって咎められる、反省文も初めてだ。
お父様にも通話で叱責されたけど、ゆかりとこういうことをするのは悪い気はしない。
VA 228.11.17-
イフ教授の体調がよろしくないらしい。
普段飄々としたゆかりも気疲れしているのか言葉少なだった。
力になってあげたい。
VA 228.12.22-
ゆかりがいなくなった。
イフ教授の遺言によるものらしい、と伝えられた。
誕生日、祝えなかったな。
VA 228.12.26-
ゆかりがいない。
卒業研究の発表は、まぁ大丈夫だっただろう。
ゆかりがいない。
VA 229.01.02-
初夢でゆかりと出会った。
夢が覚めなければよかったのに。
VA 229 .03.20-
卒業祝賀式の花火が綺麗だった。
三年前に、ゆかりと作った花火を思い出す。
隣にゆかりがいない。
VA 229.09.26-
実家を勘当される。
アッシュリアまでは4日かかるらしい、長い。
でも、あそこなら冒険者向けの研究施設くらい作れるだろう。
VA 230.02.19-
遂に彩澄堂がオープンした。
これからどんどんこの店を有名にしていこう。
そうすれば、いつかゆかりにも会えるかもしれない。
VA 230.12.31-
今年はゆかりに会えなかった。
VA 231.12.31-
今年もゆかりに会えなかった。
VA 232.12.04-
ゆかりが来店した。
あの頃と変わってない、でもいっそう頼もしくなった雰囲気で、でもぶっきらぼうな優しさはそのままだった。
しかも、なんだかんだ友人の多かった彼女が私を覚えてくれていた。
その上友人だと認識してくれた。
つい素っ気なく返してしまったけど。今日という日を記念日にしたいくらいだ。記念日にしよう。
VA 233.02.01-
旅の冒険者だから仕方ないが、ゆかりはまだ来ない。
寂しすぎて、ゆかりが初めて売りに出してくれた素材で人造人間を錬成することにした。
初めての試みだったけれど、かなり順調に進んでいる。
ゆかりの持ってきた材料に命を吹き込むのなら、この子は私とゆかりの子と言って差し支えないのではないだろうか。
VA 233.07.19-
ゆかりにあの人造人間の名前をつけてもらった、『しゅお』らしい。
私が気に入っていたサクラを名前に入れたらしい、嬉しい。
早く出来ないだろうか。
VA 233.10.11-
しゅおの誕生日だ。
ゆかりも来てくれた、嬉しい。
まだ情緒は育ち切ってはないけど、これからまだまだ成長してくれるだろう。
つい恥ずかしくて姉を名乗ってしまった上にゆかりに引かれたけど別にいい。
私だけが知っている、私だけの家族の日。
VA 236.10.01-
ゆかりが魔物娘に犯されていた。
信じたくない、ゆかりは私のものなのに。
もう、ゆかりを私の手元に置くしかない。
そうしないと、私はゆかりを守れない。
今日、あの計画を実行するつもりだ。
待っててね、ゆかり。あなたを守ってあげるから。
*****
「本当に大丈夫ですか?」
「ええ……。まだ身体もビリビリしますし、喉も痛いですが……」
昼も過ぎて活気立つアッシュリアの彩澄堂の入口で、看板娘のしゅおがゆかりに心配そうな視線を向ける。疲れを隠せない様子のゆかりは、しかしどこか憑き物が取れたようなどこかすっきりした表情をしていた。
「しかし、すみませんね。お姉が見送りに来なくて。全く、昨日のあれがあって顔も見れないくらい恥ずかしいとか言ってますが、昔馴染みの下請けさんなのに……」
「あはは、大丈夫ですよ。昔から、変わらないなって思ってますから」
「……あの、そのことなんですけど」
それまで申し訳なさそうな笑みを浮かべていたしゅおが真剣に変わったのを見て、ゆかりも少し疲れを見せていた態度を正す。
「ゆかりさんって昔から……、アカデミー?の頃からお姉の好意に気付いてたんですか?」
「……えぇ、まあ。あの頃は他にも想われていた人はいましたので」
「じゃあ、なんで……」
「……私のルーツが知りたかったんです。奴隷になる前、私の親が誰で、どういう村、あるいは町に生まれたのか。それが分かる確証は無いですけど、納得いくまで調べて見たらどうだと恩師に言われまして、ね。若い私はそればかりだった訳です、情けないでしょう?」
「……いえ、そんな重みを背負っているなら」
少し渋い顔を浮かべるしゅおに、彼女が完全には納得していないだろうとゆかりは思う。しかし、しゅおもいずれわかる日が来るだろう。それでなお納得できないならそれでいいとゆかりは考える。結局、知識ある生命体など得てして身勝手なものなのだ。
「でも、それならお姉の想いに応えてくれてもいいと思うんですけど……。いや、まだ調べたいなら止められはしませんが」
「いえ、それは大丈夫です。私がどんなルーツを辿っていようと、今の私を大切にしてくれるりりせがいてくれることを知れたので。……ただですね、まだ片付けてない依頼がいくつかあるので。それだけ片付けに行ってきます。半年もせずに帰りますよ」
そう笑いかけるゆかりに一瞬驚き、次いでしゅおは嬉しそうにはにかんだ。やはり、人造人間である彼女は主人の幸せが第一らしい。
「ありがとうございます。お帰り、お待ちしてますね。お姉にもあとで伝えておきます」
「いえ、大丈夫ですよ。……りりせ! どうせカウンターで聞き耳立ててるでしょう! そういう訳ですので、少しは店の中を片付けておいてくださ……」
そこまで言ったところで、しゅおを押し退けるように飛び出した仕事着姿のりりせがゆかりに飛び付く。それにゆかりとしゅおが驚いたのと、りりせがゆかりに抱き着いてその唇を奪ったのは殆ど同時だった。
「……ず、いぶん情熱的ですね、りりせ」
「……五月蝿い」
そのまま抱擁を解いたりりせが赤く染まった顔を逸らして口を開く。二人ともしゅおの呆れたような揶揄うような視線からはどうにか意識を逸らした。
「……寄り道したら許さないから。真っ直ぐ帰ってきなさいね。間違っても、人間でも魔物娘でも、他の女にうつつなんか抜かすんじゃないわよ。……行ってらっしゃい、ゆかり」
そこまで言って、りりせはそれまで逸らしていた顔をゆかりに向ける。真っ赤な顔の目元には涙が添えてあったが、確かな笑顔が浮かんでいて。
「―――はい。行ってきます、りりせ」
ゆかりは柔らかな笑顔を浮かべたまま挨拶を残して彩澄堂を出発した。
それから三ヶ月と少し後、それなりに名の知れたゆかりという名の冒険者はアッシュリアに腰を落ち着けた。それを惜しむ冒険者は少なくなかったが、ゆかりは確かに幸せだったらしい。
【りりせ】
冒険者などを養成する国際組織『アカデミー』においてゆかりとほぼ同期で所属していた錬金術師家系の少女。戦闘系技能に秀でておらず研究方面に才能が特化していたため軽視されがちであったが、全国から有望株を集める『アカデミー』でもその代屈指の才能の持ち主であった。しかし、自身を蔑視するなどした同期との軋轢や漫然と過ごす同期への失望などで高飛車な振る舞いをしてしまい、研究棟で孤立しがちであった。そういった環境下で自身を正当に評価し寄り添ってくれるゆかりと出会い、精神的にかなり依存することになる。冒険者として旅立ったゆかりを追って実家とはかけ離れた環境下で個人の店を持つ、ゆかりの提供した素材で人造人間(しゅお)を造り内心ゆかりとの娘として見るなど、症状はかなり重篤。ゆかりも薄らとその危うさに気付いてはいるが、だからこそ自分が責任を取らねばと思っている。そういうとこやぞ。
元ネタは彩澄りりせ。外見や口調からちょっと高飛車なイメージで書き始めたけど、製作当初は自分が思った以上にそういったキャラ付けが少なくて少し悩んだり。最近は割とそういう感じの作品もあるので少し安心してます。もうちょっとしゅおを溺愛してる描写があっても良かったかもとも思ったり。
【しゅお】
幼げで可愛らしい容姿をしたりりせ特製の人造人間。日記にもある通り、ゆかりの持ってきた素材を拝借してりりせが生み出した。素材の良さとりりせの腕(と過分な張り切り)が合わさり、まだ実年齢はおよそ三歳ながら人間と遜色ない情緒や倫理観を持ち合わせ、家事や研究助手もお任せあれな万能生命体となっている。なお、一番の仕事は研究魔なりりせの私生活のサポートである。ちなみに、基本研究の手伝いと家事が主な仕事なので気付かれないが、基本的な運動能力なら僅かにゆかりを上回る。
元ネタは彩澄しゅお。ガーリーなメスガキ。初めて見た動画が先輩の実況に敬語で茶々入れとツッコミをしてる感じだったから、ゆかりに対しては敬語キャラになってます。書き始めがもっと最近だったらまた違ったかも。りりせが感情的なキャラ付けになったこともあり常識人ポジションに収まったので、今度書く時はもっと押せ押せな攻め役にしたい。メスガキ電気あんま、どうですか?