そんなアラクネさんですが、蜘蛛⇒糸⇒紡ぐということで紡乃世詞音さんにお願いしてみました。安直とか言わないで、ね?紡乃世さんが登場する作品はそこそこ見ているつもりなのですが、どうも口調や性格がその作者さん毎に結構変わるイメージを持っています。つまり、色んな色に染められる器用さを持っているということですね、いいことです。今回は、そんな紡乃世さんを、比較的ニューフェイスということで今までの魔物娘ソフトウェアの子達より少し幼げなイメージで書いてみました。もし、イメージと合わないと感じた方がいらっしゃったらごめんなさい。でも、こんな紡乃世さんもありだと、個人的には思います。
あと、劇中で少しだけ出てくるお姉さんについては、今回シリーズで初めて出したと思いますが、実は世界観の根幹に関わる重要キャラクターだったりします。今はただ「誰なんだろうなぁ」と少し考えて頂ければ幸いです。
「ふぅ…。これで、ひと段落でいいですかね?」
「あぁ。ここいらの蜘蛛は、大体処理しただろう。残っていた奴らも森の奥の方に逃げたから、暫くは近場の街に被害も出ないだろう」
「じゃあ、他のところが終わるまで休憩ということでいいですね?流石に魔力もちょっと使い過ぎたんで、少し休ませてもらいますよ?」
「あぁ、俺も休憩しよう」
その日の依頼は、ゆかりにとっては簡単な依頼と言って差し支えないものだった。街々に囲まれる形で存在する樹海、その奥地に生息するはずであった蜘蛛型の魔物が森の中層でも頻繁に見かけるようになったことに対する討伐依頼だった。街の人々は勿論、冒険者や行商人にも被害が出ているということで街の商工会のみならず各ギルドからも出資されたその依頼料は中々に高く、丁度路銀に困っていたゆかりは喜んでその依頼に飛び付いた。そんなゆかりを含めた各街のギルドの精鋭6人で構成された討伐隊は、二人一組で小隊を組んで樹海を三方向に進んで各所に潜んだ蜘蛛を討伐していくという内容で魔物に対処することとなった。
「しっかし…。アンタ大したもんだな?ゆかり、と言ったか。年齢も若いし、軽装の冒険者だっていうから精鋭つっても腕前に劣ると思って俺と組んでもらったが…。まさか、俺が逆に助けられる側になるとは思わなかったぜ」
「そいつはどうも。でも、貴方もなかなかだと思いますよ?少なくとも、重装備の冒険者で魔法を使える人には数えるほどしか会ったことはありませんし」
「はは、有難いねぇ。使える手札は多いに越したことはないからな。まぁ、あんたみたいに炎の波を一瞬でぶわっと出せるような腕前じゃねぇよ」
そう紡がれる精鋭の隊長を務める年若い男性の言葉は、悪意や皮肉もない純粋な評価であることはその穏やかな調子で理解できた。彼も確かな実力を備えた冒険者であるが、それでもゆかりの方が討伐数は多かった。広範囲の魔法を扱えるというゆかりならではの強みもあるだろうが、単純な相性を加味してもこの隊長よりも汎用性などを鑑みて自分の方が幾分か冒険者として上手だろうとゆかりは冷静に分析する。同時に、この様子だと自分がいなければ今回の依頼もそれなりに手こずっただろうとも考えた。
「それでも、注意を引きつけてくれたのが早期の討伐に繋がったのは事実です。大剣の一撃も蜘蛛を数匹薙ぎ払うくらいでしたし…」
「世辞が上手だな、アンタ。聞いてて気持ちいいぜ。しっかし、そうなると他のおっさん連中が心配だな。あんな蜘蛛ごときにやられることはないだろうが、俺らが二手に分かれて手助けに行った方がいいかもな。どうする?」
「私は、正直魔力の関係で少し休みたいですね。私の短剣だけだと、蜘蛛一匹相手するのが手いっぱいですし。人型の部位のない相手は不得手なもので」
「じゃ、休憩といこうか。それに、少し最近の冒険者事情も知りたいしな」
「えぇ。確か通信用の魔道具もあるらしいですし、何かあれば通信が入るでしょう」
「だな。それじゃ、何から聞こうか…」
そう言ってゆかりの傍らに腰掛けて隊長はゆかりに様々なことを問うた。近年の大国の動向や冒険者の間での流行、ゆかりが辿ってきた冒険についても多くのことを聞かれ、ゆかりは聞かれても困らない範囲で隊長に返事を返してやる。それについて、興味深そうに隊長は首を振りながら耳を傾けていた。
「へぇ…。魔物娘の討伐経験もあるのか。やっぱりアンタ、俺より余程強いな」
「まぁ、汎用性というか色々な場面に対応できるという意味では、確かにそうかもですね」
「変に謙遜しないでくれて助かるぜ。向上心が湧き上がらぁ。…しかし、そうだな。なぁ、ゆかり。お前の腕前なら、うちのギルドマスターも喜んで認めるだろう。うちの街のギルドで稼いでみないか?うちのギルドは、腕前はそこそこだが人数はそれなりにいるから規模は大きい。それに、お前の実力ならすぐに稼ぎ頭になるだろう。お前にとっても悪い話じゃないと思うが、どうだろう?」
「…ふむ。確かに、悪い話ではないですね」
「そうだろう?なら…」
「でも、私は自由に根無し草をやっている方が好みですので。お誘いは嬉しいですが、今回はお話だけ聞いておきます」
「…そうか。まぁ、そうだよな。じゃあ仕方ない」
「…いいんですか?」
そう言って快活そうに笑う隊長の様子にゆかりは疑問を零すが、隊長はすがすがしい笑顔を向ける。
「なぁに。冒険者は自由が一番だ。それをギルドの都合で縛りつけるのはあんまり好きじゃない。それに、俺がお前くらい強くなればいいだけの話だからな。いつか旅立ったとしても、暇があればまた街を訪れればいい。俺は歓迎するからよ」
「…ありがとうございます」
「んじゃ、そろそろ他の連中にも声かけて帰るとするか。お前の報酬は上乗せしてやるから、少し期待していいぜ」
冒険者ギルドに所属する青年にしては、余りに純粋で心配になるくらいに自分のことを気に入ってくれている隊長の様子に僅かばかりの謝罪の念と有難さを感じているゆかりの傍らで隊長は魔道具を起動する。そうして、残りのメンバーと連絡を取り合い街へと帰還する。その筈だった。
「ん、出ないな…?」
「え?まだ、手間取ってたりとかしてるんですかね?」
「いや、いくらなんでもそれはないだろう。俺やゆかりほどではないとはいえ、俺らよりも経験なら幾らでも積んでる歴戦の冒険者だ。…何かあったか?」
「…それなら、私達も動かないとですね。どちらも通信に反応しないところを見るに、何かイレギュラーな事態に発展した可能性があります」
「なら、こっちの連絡用の魔道具と、一応俺が個人的に使ってるやつも預けておく。何かあったらこれで辿ってくれ。追跡機能の使い方は分かるよな」
「はい。上の蝶々みたいな部位を起動すればいいんですよね?」
「じゃあ、お互い無事で会おう。…無茶だけはするなよ?」
「はい。隊長も」
そう言って拳を合わせた二人は、魔道具の追跡機能を起動させて反対方向に駆け出した。全力よりも少しだけ速度を落として、ゆかりはいつでも万全の体勢で事態に立ち向かえるようにしてゆかりは樹海の中を駆けていく。そうして駆け抜けること暫くして、ゆかりは異様な光景を目の当たりにした。
「…っ!なんで、こんなに蜘蛛が残っているんですか…!」
そこにいたのは、本来であれば討伐されていてしかるべき、自身も多くの数を屠ってきた蜘蛛の魔物。十や二十で足りないその魔物達は窪地の中央に群がっているように見えた。その理由を確かめようとゆかりは近くの大木に飛び乗って、静かに蜘蛛達の上から様子を窺う。そうしてすぐに、ゆかりは表情を険しくした。窪地の中から弾かれるようにして、防具が付けられたままの人間の腕が空中に跳ねたのだ。
「さい、あくの事態ってことですか…!腕利きの冒険者のはずでしょう…!?」
そう愚痴を零しながら、ゆかりは蜘蛛達へ向かって《焔》を放つ。ゆかりの腕から放たれた魔力は炎の波となって蜘蛛達の身体を無遠慮に焼き、その多くを逃げる間もなく仕留めることに成功した。火だるまになりながら逃げた残党も、あの様子なら逃げ切る前に炎の前に沈むだろう。炎から逃れて残された個体も、ゆかりの姿を認めると火だるまになった蜘蛛の後ろを追って森の奥へと逃げていった。
「…蜘蛛達に食われてたら当然、という話ですが。そりゃあ、生きていないですよね…」
珍しく無念そうに言葉を零すゆかりは、残された部隊員の死体に視線を向ける。それは、酷い有様だった。腹部を中心に胸元までその牙は伸び、溶かされ腐肉となりかけた肉体はぐずぐずに食われてしまっていた。辛うじて残った頭部から首にかけての部位も融解液によってところどころ皮が剝がれて肉が見えている。そんな目を背けたくなる惨状の中で、しかしゆかりは違和感を覚えた。確かに身体を食われてはいるが、蜘蛛達が本来行うはずのない捕食行動が見えた。それは首。二人とも、首の骨が折られている。その首に粘度のある糸が絡まっている辺り、首を締め付けられる形でへし折られたのだろうがそんな知略的な行動を、蜘蛛達が取る筈がない。つまり、これは蜘蛛以外の脅威の存在を指し示していることに外ならず。
「…っ、隊長…!」
その考えに至って、ゆかりは手早く先程起動したのとは異なる方の魔道具を起動した。そうして飛んでいく金属の蝶々の後ろを、先程よりも明らかに素早い動きでゆかりは追う。脅威が分かっている以上急ぐのは当然であるし、あの好ましい冒険者の男性をみすみす見殺しにするのもゆかりの意志に反した。それから殆ど最初の移動と変わらぬ時間、おおよそ倍の距離はある筈の距離を一息に駆け抜けて、やはり開かれた森の奥と思しき場所の手前へとゆかりは辿り着く。その少し先を飛んでいた金物の蝶が何か糸の塊のようなものでその姿を隠されたのを見て、いよいよかとゆかりは素早く腰元の短剣を取り出し、同時にそれに魔力を込めた。
「…っ、く、来るな、ゆかりぃいいっ!…っ、ぅ…!」
その叫びがゆかりの耳を貫くのと、ゆかりが開けた奥地に飛び出るのは殆ど同時だった。その中央で行われていた光景に、ゆかりは思わず息を呑む。多くの蜘蛛達が屠られた形跡のある奥地のその真ん中で、恐らく最後の力を振り絞って警告を残した隊長の青年が幾重にも紡がれた糸々に絡め取られて、挙句その首を先程の冒険者よろしく目の前で折られてしまったのだから。
「…ん。なんだ、いるじゃん。女の子」
そう気だるげに笑う声に空を見上げれば、大木の隙間を縫い合わせるようにして張られた糸の中央で、少女が笑っていた。クリーム色のセミロングの髪に一房だけ黄色のアクセントが添えられている。あどけなさを感じる可愛らしい童顔に、それにはやや不釣り合いにも見える確かに膨らんだ乳房。しかし、その下半身は今の今まで蹴散らしてきた魔物達と同じくらいに重量に満ちた蜘蛛の形をしていた。その脚は他の蜘蛛よりも立派にさえ見える。
「もう、嘘つきは酷いよねぇ。折角、私が樹海の主になるために母体になる女の子探してるって聞いたら、いないなんて言うんだもん。明らかに何か隠してるの分かったから、勢い余って殺しちゃったじゃんかぁ」
「…っ!《焔》ぁっ!!」
「うわ…!ちょ、ちょっと、待って…!ふぎゃっ!」
そんな言葉に弾かれるように魔力の込められた刀身を振り上げて、ゆかりは太く張られた蜘蛛の糸を一息に焼き払った。突然の出来事に足場をなくして慌てふためき蜘蛛の魔物娘は情けなくその身体を地面に叩き付けられてしまうが、ゆかりはそんなことに構わず同じく地面に投げ出された隊長の身体へと縋り付く。
「隊長!大丈夫ですか!?…返事をしてくださいっ!返事をして!…隊長!」
そう叫ぶものの、ゆかりの腕の中で虚空を見つめるその瞳に生気が宿る気配は微塵もなく濁ったままで。胸元に添えられた腕が感じる胸の鼓動はただひたすらに静かだった。
「あぁ、もう!急に酷いなぁ、君!…いや、確かゆかりって言ってたっけ?うん、ゆかりは酷い!罰として、私の孕み袋一号として末永く私と一緒にいてもらうか、らぁっ!?」
「…うる、さいです!弔い合戦なんて、私の趣味じゃないのに…、その気にさせた罪は、貴方の命で償ってもらいます…!この悪童魔物娘が…!」
「急に炎飛ばさないでよ、寿命縮むじゃんか!それに、悪童魔物娘って…、酷くない?私はアラクネのコトネって種族名も名前もちゃんとあるんだからさ、その名前で呼んでほしいな?」
「知りません!どうせ死ぬ命なら、名前なんて関係ないでしょう!?」
「…うーん、これは話が通じない。まぁ、通じるわけもないだろうけど、今回は一際ものだなぁ。仕方ない、じゃあちょっと心苦しいけれど、皆に手伝ってもらうね?」
「…なんです?」
「皆、殺さないように気を付けて相手してあげてね?」
そう言ってコトネが手を振り上げると、ゆかり目掛けて大量の蜘蛛が押し寄せる。あれほど狩ったのにまだこれ程の数を軍勢として備えていたのかと、思わず息を詰まらせるゆかりであったが、意を決してその大群目掛けて《焔》を放つ。しかし、ゆかりは再度驚きの余り言葉を失った。先程は炎に怯えて逃げ去っていた蜘蛛達が、炎で亡骸と化した仲間の死骸を自身に火が燃え移るのさえ厭わずに乗り越えて、ゆかり目掛けて突撃を仕掛けてきたからである。面食らったゆかりは後退を試みるが、いつの間にか後方にも数を揃えていた蜘蛛達によって退避への道を阻まれる。ゆかりは一つ息を吸うと、覚悟を決めて左手に魔力を込めた。そこからの光景は、蜘蛛をけしかけたコトネでさえも思わず言葉を失うものだった。ひたすらに人海戦術でその身を散らす蜘蛛達に一切の躊躇なく魔力の炎を浴びせて豪快に葬っていくゆかり。その身体目掛けてどうにか蜘蛛が迫るが、その蜘蛛に対しては刀身が魔力で疑似的に伸びた刃が的確に頭部や心臓などの急所を貫いて一息に殺してしまう。そんな数の暴力をものともしない殺戮の手際と減っていく自らの子供の様子に、コトネは焦りを感じずにはいられなかった。
「これで…、終わりですか…?なかなか、大変でしたが、どうにか捌き切りましたよ?」
「い、いやぁ…。まだ手札はあるけれど、流石に一回休憩って感じ?ゆかりってすごいねぇ…。私の子達が、こんなに死んじゃうとは思わなかった…」
「は…、酷い親を持ったもんですね…?これだけの亡霊を背負うことになるなんて、貴方の来世はさぞ惨めなものになるんでしょうね?」
「…まぁ、うん。そうかもね?でも、それより現世よ現世。ゆかりも自覚あるでしょ?そろそろゆかりの魔力、尽きそうじゃない?」
「…っ!」
「はは、やっぱり。可愛いなぁ。じゃ、そろそろ私も最後の手段に、ぃいっ!?」
「…さっきから、ぎゃあぎゃあうるさいですね?なら、貴方を倒せば私の目的自体は達成できますね?」
数えきれないほどの蜘蛛を屠り、息も絶え絶えになったゆかりはそれでもなお刃と殺意をコトネへと向ける。向けられた刃に腕を切り裂かれ驚きと恐怖の声をつい上げてしまうコトネであったが、それで意を決したらしくゆかりに向けて剣呑な視線を向けた。
「もう…。荒事は苦手なのに、しょうがないなぁ。まぁ、これだけ弱れば私でも大丈夫、かな?…覚悟してね、ゆかり?」
「は…?覚悟?今の今まで、自分の子供をけしかけるような弱腰魔物娘に、いったい何が…!?」
そう言って刃を向けるゆかりは、突然の魔力の気配にその身を翻して回避行動を取った。その後に放り投げるように、糸の塊が叩き付けられる。
「この…!なかなかな隠し玉、持ってるじゃないですか…!」
「私、戦闘苦手だけどさ?こうやって糸を無理矢理魔力で動かすことだけは得意だからさ。ここまで弱れば私でも捕まえられるでしょう?」
「…っ!舐めないでください…っ!」
「ゆかりも…、一芸特化をバカにしないでくれる…!?」
そう言葉の応酬を交わす二人の、もう一つの攻防も激化していく。魔力によって縦横無尽に動くコトネの糸がゆかりを襲い、それをゆかりは躱しては時に魔力の込められた短剣で切り払う。そんな神経をすり減らすやり取りの中、決め手となったのはある一つの異変だった。
「…っ!くっ…、魔力、が…!」
「…!そ、そこぉ!!」
「…っ!う…っ、く、くぅう…っ!」
魔力が尽き、一瞬意識もふっと途切れかけたゆかり目掛けて、コトネはなんとかその隙を見逃さずに糸を放った。それを回避しようとするも脚をもつれさせてしまったゆかりの腕と腹部を包むように糸が拘束を作り出し、更にその拘束を大木の枝に引っ掛けてゆかりの身体を宙づりにしてしまう。
「はぁ…、つっかれたぁ…!もう、ゆかりが頑張りすぎるせいだよ…!たっぷり責任は問ってもらうからね…?」
「こ、このぉ…!魔力が回復すれば、貴方なんか…っ!」
「あ、もう駄目だよ。ほらっ!」
「…っ!」
そうして、コトネの蜘蛛の身体から伸ばされた触手のような管がゆかりに迫る。それを寸前で躱そうと拘束されながらも身を捩るゆかりだったが、やはり拘束が邪魔をして自身の腹部を掠めるようにして攻撃を食らってしまう。僅かに破れた装束の陰からじわりと血が滲む。その後は直ぐだった。
「…っ!?む、ぅ…」
「私特性の神経毒だよ?大丈夫、巣に帰る頃には意識も戻るだろうから。それじゃ、残った男達は残った君達が食べちゃっていいから。これからは、都合よく増やせると思うから期待しててね?」
そのコトネの言葉に応えるように、ぐおん、と異音が聞こえたのを最後にゆかりの意識は途絶えた。
***
「それじゃ、ゆかり。気分はどうかな?」
「…っ、最悪に決まってますね…!そんなの分かりきってることでしょう…!?」
「…あーあ、やっぱり嫌われちゃうよね…。まぁ、いいよ。出会いは最悪でも孕ませればどうとでもなるだろうし…」
そう思いを馳せるコトネの視線の先で、ゆかりは空中でその身体を固定されていた。腕は頭の裏で一括りにされ、脚は左右それぞれ折り畳まされてその中心は女陰を晒すようにはしたなく開かされている。何より、装備は手足に微かに残る布切れのような服の破片を除いて全て取り払われていて、反撃の手段など何もないように思われた。事実、四肢の痺れもまだ完全には取れず、反抗らしい反抗は口から飛び出る言葉ぐらいしかない。
「貴方なんかに孕まされたくらいで、そんな簡単に私の心は折れませんよ…!そもそも、女性である貴方が私のことをどうやって孕ませるっていうんです…!」
「ん~?まぁ知らないだろうけど、アラクネって雌雄に関気なく産卵管は持ってるんだよね。私は特に子宮が未成熟のまま成体になっちゃったみたいで子供を産めない身体だからさ、どこからか女の子を見つけてこないと駄目なんだよねぇ」
「…っ!」
そう何でもないように告げるコトネに身の危険を覚えるも、ゆかりは冷静な部分でコトネの動きを注意深く観察していた。身体は痺れてはいるが、それでも腹部の傷と共に魔力も僅かながら回復した。今の痺れた万全ではない身体で放った時にどうなるかは定かではないが、少なくともコトネに一矢報いることぐらいはできるだろう。それで葬ることはできなくとも、コトネの逆上を誘ってそのまま自分の死までこぎつけることが出来ればコトネの目的は完遂されない。それなら、隊長の死も無駄にはならないはずだと考えて、有効距離まで気を長くしてゆかりはコトネの動きを待った。
「それじゃ、覚悟はできたかな?まぁ、出来てなくてもゆかりの身体、いただかせてもらうからね?」
「…っ!油断、しましたね…!《焔》…、っ!?」
「うぉ、っと…!?…おぉ、あれって本当だったんだ…!ナイスじゃん、あのお姉さん」
そう不用心に歩み寄ったコトネに向けて、ゆかりは確かに魔力を込めて魔法を放ったはずだった。しかし、その魔力は詠唱の完了と共に霧散して虚空に消えた。
「な…、なんで…っ!?」
「あぁ、怪しかったけど聞いといてよかったぁ。これね?魔物娘かも分からない不思議なお姉さんに私の巣に張り巡らさせてもらった、魔術禁止の印。ここにいると巣の主…、つまり私以外の魔法の詠唱を禁止しちゃうとびきり便利な結界魔法なんだって。まぁこうやって魔法を使える人を招待するのは初めてだから、今まで半信半疑だったんだけど本当にこんなになるなんてびっくりだなぁ」
「…っ!ひょ、《氷結の魔弾》っ!《雷迅》っ!…な、なんで…っ!」
「おぉ、魔力も減ってないなんてすごい!これなら、魔力も全部使って子作り出来るね?」
そう、ニヤリと笑いながらコトネは困惑するゆかりへと焦らすようにゆっくりと近寄っていく。それに言い知れぬ恐怖を感じて、しかし冷静さもどうにか保ちながらゆかりは自分の成すべきことをやろうと口を開く。そして、
「…っ!む、むぅう…っ!?」
「これもお姉さんからの入れ知恵でね?覚悟が決まってる冒険者の女の子は、自害して私の子供作るのを邪魔するかもしれないって言われたんだ。だから、それは許さないよ?ゆかりは私の孕み袋にするからね?」
その口を思いきり閉じようとしたのを阻んだのは、コトネが隙を見計らったかのように放った蜘蛛の糸だった。イメージされるような粘度こそないものの、束になったことで弾力を得た糸はゆかりの僅かな力では噛み切ることもできず、その一手で最後にゆかりに残されていた舌を噛み切ることによる自害という手段さえも奪われてしまう。
「それじゃ、覚悟してね、ゆかり?安心していいよ、私こう見えても意外と大事なものは大切に扱うタイプだから」
「むぅ…!むぅうううっ!」
そうペロリと唇を舐めて、ゆかりの歯列を舌先で擽るコトネにゆかりは反抗の声を漏らす。碌に抵抗もできない現状でこそあったが、口先だけでも抵抗しないとゆかりの意志は保てそうになかった。
「…んー?やっぱり、気になるなぁ。仕方ない。ちょっとこういう手段に頼るのもわびさびに欠けるがするけど、ゆかりが気持ちよくならないと仕方ないよね?」
そう言ってコトネは自身の人差し指の爪先に薄紫に染まった体液を染み出させると、ゆかりの頬を掠める。魔物娘の力で僅かに裂かれた皮膚はすぐに塞がりこそしたが、肝心の体液はゆかりに望みなどしない劣悪な効果をもたらしていた。
「…む、ぅううっ!?ふ、ふぅ、ふぅう…っ!」
「はは、いいでしょこれ?私ってこう見えて意外と多才でさ、体液だけでも自由に使えるのが幾つかあるんだよね。神経毒に、これは即効性の催淫毒。今なら、これが一番ゆかりに効くでしょ?はい、諦めて気持ちよくなってくださーい」
コトネは悪辣な笑みを浮かべてゆかりの身体に手を伸ばす。身を捩ろうとも逃れられない絶望とそれすらも覆い隠すような身体の火照りにゆかりの心が折れそうになる。そうして、ゆかりの身体にコトネの手が触れた。
「…っ!ふぅ、ん…っ!」
「気持ちいいよねぇ?ここに巣を張る前の私に犯された子も今のゆかりみたいに身体振るわせて涙なんか流しちゃってさぁ。今のゆかりとは違って、馬鹿みたいに気持ちいい気持ちいい言いながらわんわん泣き喚いちゃってたもん。ゆかりも下手に我慢なんかしないで、気持ちよさに身を委ねた方が気が楽だよ?ん、ちゅ…っ」
「ん…っ!ふ、ぅうう…っ!」
辛うじて視線で反抗の意を示すが、そんなゆかりの些細な抵抗などコトネからすれば可愛いもので、却ってゆかりへの責めを強くするスパイスにしかなり得なかった。己の欲望に素直なコトネはその欲望の赴くまま、ゆかりの薄い乳房に、淫毒で蜜を垂らし始めた秘裂に手を伸ばして無遠慮に指を動かし、更に汗ばんだ薄紫の髪に隠れた小さく形の整えられた耳に舌を這わす。
「む、ぅうう…っ!ふぁ、や、やぁ…っ!」
「は…。いいよ、いいよゆかり…!このままどんどん気持ちよくなっちゃお?」
赤く催淫作用のある唾液に塗れた舌がゆかりの右耳を擽るたびに加速度的に快感が上乗せされていくのに耐え切れず身を捩るが、それでさらさらと触れる髪の毛の刺激でさえゆかりには耐え難い快楽となる。それを察したコトネはにんまりと笑みを零して左耳へとその狙いを変えた。
同じように快感を溜めていく耳だけでも気が狂いそうなのに、ゆかりを責め立てるものはそれだけではない。薄く小さな乳房を撫でる指先はアラクネ特有のざらりとした質感でその柔肌をなぞり、更にその指先を微かに振動させて掘削機のように削り取るような快感でゆかりの意識を刈り取っていく。その快感に加えて、コトネはゆかりの乳首を器用に指先から伸びた糸で結び付けると同じように宙で手持ち無沙汰にしていた自身の小指へと結び付け、上へと引っ張りながらその糸も時折薬指などで弾いて耐え難い快感をその乳房に送るのだから、ゆかりからすれば堪ったものではない。
だが、それら以上にゆかりの意識を遠く彼方へ追いやるのは、秘裂へと伸ばされた指先が擽るように責め立てる快感だった。前述のとおりに、アラクネであるコトネの指先はざらりとした質感をしており、それに触れられるだけでただでさえ敏感な上に催淫毒で快楽の閾値を下げられたゆかりの膣壁はその指先を苦痛にも似た歓喜で以て受け入れる。保有者であるゆかりの意に反してコトネの指先で快感を蓄積させていくゆかりの膣内は淫蜜で溢れ、コトネの思いを汲み取るように所有者のゆかりの身体の快感を代弁する。それに対して今は亡き仲間の為に抵抗してやろうという意識も、今のゆかりには僅かにしか残されていない。辛うじて『隊長』という言葉だけが脳裏に刻まれていて、その意識の殆どは感じたくないという幼い子供の我儘にも似た稚拙な反抗心として残っているだけだ。
「ん、む、んんぅ…っ!ひゃ、あ、うぅんっ!」
「んん?そろそろイっちゃうかな?いいよ、イっちゃっても?私の手でイっちゃえ、ゆかり!」
そうして、半分閉じられぬままの口から嬌声が次第に零れ落ちるようになっていたゆかりの乳首と陰核を、刺激を与えることに特化していると言って過言でないコトネの指先が襲う。そうして、快楽から逃れられぬ耳に熱い吐息を吐きかけられて、同時に乳首と陰核を摘み取られたゆかりの身体は、必然飛び跳ねるようにコトネの腕の中で痙攣した。
「ん、んんぅ、ふぅうううううん…っ!!」
「よ、し…!?え、な、なに?なに、こ、れぇ…っ!?」
身体を震わせるゆかりの身体から迸った性が、抗えない激流となってコトネの意識を襲う。知識としては知っていても、これまで碌に上質な性を得た経験をしていなかったコトネは、ゆかりの極上と言って差し支えない性が身体や意識を巨大な快楽と共に強靭なものにしていく全能感に見舞われて、驚愕と恍惚にその身体を震わせた。
「は、はふぅ…っ!こ、これが、性を得るってこと?すご、いぃ…!し、かも、これゆかりの性って、もしかしなくてもすごくいいものだよね…?私が拾ってきた性で、こんなに強くなった感じがしたのなんてないよ…!」
余りの衝動に涙さえ零れるコトネは、熱病で浮かされたように茹った頭で虚ろに虚空を見つめるゆかりの元へと迫る。何をするのかなど、当然一つしかなかった。
「もう、いいよね、ゆかり?駄目とか嫌って言っても、こんなに気持ちいい性をくれるゆかりが悪いんだよ?」
そう吊るされながら息を荒げるゆかりの身体を抱き締めて、蜘蛛の形をした下半身の中心からずるり、と産卵管を伸ばした。人間の身体より大柄な蜘蛛の身体から伸ばされたその管はおよそ平均的な男性の生殖器とは比べるべくもないほど太く、その長さも産卵管としては当然だがとても長く余裕で人間の女性の最奥まで届くだろうことが傍目に見ても明らかだった。
「この産卵管、ちゃんと快感も熱量も感じるからさ…。ゆかりの温かくて気持ちいい膣内の感触、私に頂戴…!」
「んむぅ…、ふ…?」
その言葉と共に、意識も朧げなゆかりの膣口へ管の先端を添えて狙いを定めたコトネは、一息にゆかりの膣内を貫いた。
「~~~~~~~~~~、っ!!?」
「ふ、ふわぁあああああ…っ!!?す、凄い…!熱々だよ、ゆかりの膣内…!人間の膣内って、こんなに気持ちいいんだ…!もう、他の蜘蛛の雌の子なんかと、全然違う…!あぁ…、こんなことなら、餌以外にちゃんと人間を犯して回るべきだったぁ…っ!!」
突然膣奥まで殴りつけられた快感に声どころか音かすらも怪しい悲鳴を上げて身体を震わせるゆかりの苦悶も傍目に、コトネは初めて感じる人間の膣内の感触に悦び震えていた。お姉さんとやらに教わるまで、人間との交わりは必要最低限の性を貪るだけの外側だけでの身体の重ね合わせしか体験したことのないコトネにとって、初めての快感を得る相手が魔物娘にとって極上の肉体を持つゆかりであったのは幸か不幸かは定かではない。しかし、少なくともコトネはそのあまりの快感に正常な意識を保つことも難しく、今のコトネは最早性本能に任せて衝動的に動く獣でしかなかった。
「ゆかり?ゆかりも気持ちいいよね?私が気持ちいいから、ゆかりも気持ちいいよね…!?もしそうじゃなくても、私が気持ちよくしてあげる…!」
「む、ふぅ…!ぅ、うぶぅ、ひゅ…っ!」
ごちゅごちゅとコトネの生殖器たる産卵管が膣内を前後に激しく動く。魔物娘としては些か性技よりは本能に寄った動きではあったが、その勢い任せの挙動が却って先端や卵管の接合部で膣壁を抉り削るように刺激するという不確定の快楽を産み、ゆかりの最早正常に働いていない意識を奪い取っていく。しかし、そんな快楽を無防備に受け取るゆかりの膣内がもたらす膣壁の締め付けやその生々しく柔らかい温かさを与えられて、コトネの性衝動はこれ以上なく刺激されその意識までもを正常から異常へと書き換えていった。
「あ、ゆ、ゆかり!もう出そう、来ちゃう…!卵、来ちゃうよ、ゆかり…っ!ゆかりの中に托卵するから!私の子供、たくさん産んでね、ゆかりぃ…!」
「んぅ、ふぁ…!ひゅ、うぅう…っ!」
そうしてコトネは、自身の生殖器の内部をずんずんと押し進むようにして昇ってくる放出の感覚に備えて意識を保つ。しかし、半分意識を飛ばしながら快感に打ち震えるだけのゆかりに排卵の前兆を伝える言葉など届くはずもなく、当然それを予期した動きなど採れるはずもない。
「あ、で、出る!出すよ、ゆかり!ゆかりの一番奥で、い、イくっ、ぅ~~~~~~~っ!!?」
「ふ、ぁ、ふぁああぁぁああ…っ!!?」
そのままコトネは自らの産卵管からゆかりの膣奥、子宮口目掛けて管の先端を突き立ててその勢いのままに自らの小さな卵をずぽずぽと沢山の数産み付けてみせた。その衝撃に見舞われたゆかりは堪ったものではない。自らの子宮を埋め尽くすように、意識が飛ぶほどの快感を伴って卵が吐き出される感覚に、遂には幾度目かの絶頂と共にその意識を失ってがくりと宙にその身体を投げ出した。
「ふ、ぅぅうう…っ!は、あぁぁああ…!ゆかりへの托卵、最高に気持ちいい…!性も美味しいし、最高の孕み袋だよ…!頑張ってた私への、お姉さんからのご褒美かな…?…ん?」
そう恍惚の表情を浮かべて顔を上げたコトネの視線が、意識を飛ばして宙ぶらりんになったゆかりの胸を、より適切に言葉を述べるならばその胸の中心の蕾からたらりと零れる乳白色の雫を捉えた。その雫に思い当たる節があったコトネは、確かな性の流れも感じるその香しい匂いで誘う雫を衝動の赴くままに舌先で掬う。
「ふ…っ、はぁ…。えへへ…、甘ぁい…」
それは紛れもなくゆかりから溢れ出た母乳であり、未だ持て余しそうなコトネの性衝動を満たす魔性の液体でもあった。ゆかりの性の滲み出た母乳はそれを口にするだけでコトネの魔物娘としての力を高めてくれる上質な栄養ではあったが、何よりコトネを満足させたのはそれがゆかりが自分との子供を孕んだという何事にも代えがたい確信であった。母乳により確かに強まっていく自身の力と、まだ見ぬゆかりとの子供の姿に思いを馳せながら、コトネは喜悦の笑みを浮かべながら意識のないゆかりの胸元に顔を埋めてその乳首を舌先で転がして吸い付いた。
***
「は、ぁあ…。…ふぅ、五十点ってところかな?もう、最近はいまいちな子しか来てくれないなぁ。こんな親じゃ、孕むのなんて精々普通の大蜘蛛だよ…」
「あ、や、やぁ…。きもち、いいよぉ…」
「まぁ、もう使えないくらいに子供産むまでは孕み袋に使ってあげるよ?光栄に思いなね?」
巣の外で吊るされた新参の女性冒険者にそう呟いて、紛うことなき強力な魔物娘の一角へと成長したコトネは産卵管を引き抜く。そこからは愛液と共に子宮に入りきらなかったコトネの卵がぽとりぽとりと零れ落ち、孕ませる卵の量が格段に増えたことを物語っていた。その産卵管が自らに卵を産み付けた快楽で打ち震える冒険者の元へ、二つの物影がずい、と近寄る。
「あ、いいよ?この子くらいなら、貴方達のご飯に使ってもいいから。満足するまで吸っちゃいなさい?」
「はぁい、ママぁ」
「いただきまぁす。ちゅ…、じゅるる…」
「は、はぁああん…っ!」
そう言って頬を緩ませながら新参者の乳首に吸い付いたのは、コトネと同じ人間の上半身と蜘蛛の下半身を持つアラクネの子供達だった。彼女達は、冒険者の中でも実力に優れたものを母体としてコトネとの間に生まれた、ただの蜘蛛型の魔物より余程強力な使い捨てなど考えられない可愛らしい我が子であった。もっとも、その子供のほとんどを産んでいるのが、ある女性なのであるが。
「んー…、ちょっと消化不良だなぁ、こんな冒険者じゃ…。仕方ない、今日もいっぱいお願いしちゃおうかなぁ?」
いつの間にやら増えた我が子達が母体の女性冒険者達から引き出す嬌声で満ちる森奥の更にその奥、かつては今よりこじんまりとしていたコトネの巣として、今はコトネとある女性の寝室として機能する特別な結界の中へとコトネは向かう。
「いやぁ、ちょーっと我慢できないから、今日もよろしくねぇ…って。もう、ツーちゃん、ノセちゃん!お母さんのお乳吸いすぎちゃいけないって言ってるじゃん!私の分が無くなっちゃう!」
「ちゅ、れる…。むぅ…、ノセちゃんが悪いんだよ?我慢できないならする必要ないって言ったのは、ノセちゃんだもん…」
「えぇ…!ツーだって乗り気だったじゃん!私にばっかり責任押し付けないでよ!それに、ママだってズルいよ!私だってお母さんのおっぱい吸いたいもん!」
「我儘言わないの!そもそも、特別強い二人にだけ特別に吸わせてあげてるんだからそれだけでも我慢しなさい!ほら、吸いたかったら外の子達のお乳でも吸ってきなさい!私はお母さんと一緒に妹作りするんだから!」
「ちぇー…。仕方ないなぁ、行こう?ノセちゃん」
「もう、普段は優しいのにお母さんのことになると我儘になるんだから、全く…」
コトネの可愛い子供の中でもとりわけ強力な個体である紫髪のツーとノセをぼやきと一緒に寝室から追い出して、コトネは糸で手と足を拘束されながら寝台代わりの糸玉の上に横たわる“お母さん”の元へと歩み寄る。
「やぁやぁ、ゆかり。あの子達の奔放さは誰に似たんだろうね、全く。あぁもう、こんなに息絶え絶えになるまでおっぱい吸っちゃって、仕方ないんだから」
「…だ、誰がお母さん、ですか…。私は、貴方に無理矢理犯されただけで、まだつがいになったわけじゃ…っ!」
「もう、ゆかりは強情だなぁ…。もう顔も思い出せないくらい昔の話なのに、そんなに『隊長さん』が大事?」
「…!貴方が、その名前を口にしないでください…!」
「そんなこと言ってぇ…。本当に『隊長さん』のことを思ってるんなら、舌でも噛んで自害することもできるのにぃ」
「そ、それは…!」
「子供のことが心配なんだよね。もう、本当にいいお母さんになっちゃって」
「う、うるさい!子供は関係な…、はぁんっ!?」
「ちゅる…。うるさいのはそっちだよぉ、だ。相変わらず美味しいおっぱいも出してるんだから。いい加減自分はお母さんで、私をママって認めてくれてもいいのに」
反論しようとして言い淀むゆかりを煽るように笑いながら、コトネは甘い母乳の滴る乳首に舌を無遠慮に這わせてゆかりの口から嬌声を漏れ出させる。そうして、ぴったりと閉じるように拘束された脚の蜘蛛糸を、ゆかりの才能を強く受け継いだツーとノセから教わった炎の魔法で焼き千切り、がばりとその脚を開いた。糸の拘束で隠されていた女陰は我が子二人の執拗な乳首責めですっかり濡れそぼっており、産卵管の受け入れ準備はとっくに済んでいた。
「誰が、貴方達なんか…!」
「まぁ、いいよ。認めるまで私達の糸みたくねちっこく責めてあげるだけだから。それじゃ、今日も子作りしましょうねぇ。ツキちゃん達の部隊の子に何人か欠員出たみたいだから、その子達の穴を埋めれるくらい強い子を作りましょ?」
「ま、まだですから…!」
「ん?」
「私は、まだ諦めてませんから…!いつか、私は貴方達に牙を向けて『隊長』達の無念を晴らしてみせますから…!」
「…はっ!いいじゃんか…!障害がある方が燃える性質だから、私…!絶対に屈服させてあげるよ…!」
淫欲と敵愾心の間で揺れ動くゆかりを煽るように挑発して、嗜虐的に笑ってみせるコトネ。二人の間でもう何度目かも分からぬ寝台上での戦が始まろうとしていた。
そんな戦にばかり意識を向けているゆかりが分かる筈もない。
名実ともに森の支配者となったコトネとその子供達の脅威など。
彼女らの脅威に怯え暮らす周辺の街々の人々の悲痛など。
遠方から“実力者”を呼びながら碌に対処も出来ていないギルドの苦悩など。
ゆかりが分かる筈もない。事実として、彼女の冒険は既に終わってしまったのだから。
【コトネ】
魔物娘として見ればだいぶ歳若いアラクネの少女。自身の子供である蜘蛛の魔物を産み落として作中の時期に住処の森の周囲の街から警戒されていた。蜘蛛をけしかけて冒険者を追い込むのが基本戦術であり、糸を魔法で操る力はあるもののゆかりをつがいにするまでの時点では魔物娘としては決して強くない。ゆかりが蜘蛛相手に疲弊してなくて冷静でもあったなら、比較的余裕を持って狩れてたりする。
また、性交渉に関しても奥手な面もあり、作品以前は産卵は蜘蛛相手で、人間は殆ど相手をせずに蜘蛛の餌にしていた。ゆかりで童貞捨てた形である。しかし、ゆかりとの子が軒並み強力な魔物娘になっちゃったり、ゆかりとの性行があまりに気持ちよかったりで味を占めて、以降は女冒険者を食い漁る色狂いになってたりする。
元ネタは紡乃世詞音。つのふただったり青つのが主流でゆかりさんと組んでるの殆ど見たことがないのですが、アラクネを書きたいとなってた時に見た蜘蛛女の紡乃世の動画が割とぶっ刺さって採用と相成りました。口調が割と砕け気味かもですが、前書きでも書いた通り紡乃世は人によってキャラクター性が変わるイメージあります。固定されたイメージがあまり無いので結構好きに書きました。でも我ながら、出てきたネームドの子供の名前がツー・ノセ・ツキなのは如何なものかと。