「未成年のたばこは犯罪ですよ?」
背後からくすくすと軽い笑い交じりに聞こえた茶化し声にゆかりは少しだけ眉をひそめて後ろを向く。そちらに視線を向ければ、仰向けのままにこちらへ笑みを浮かべる六花の姿。お行儀良さげに両手を布団にかけてこちらを見る彼女に、はぁとわざとらしく溜息をついてゆかりは吸い始めたばかりのたばこを灰皿に押し付けた。
「VOICEROIDに実年齢なんて関係ないでしょうに。あなたももう収録でお酒飲んだでしょう?知ってるんですよ」
「あっははは。不良な後輩でごめんなさい。でも、私はCeVIO AIですよ?」
「そんなの変わらないでしょうに…。ささらさんだってもっといろいろ悩んだりしてましたよ」
ごめんなさーい、とやはり悪気もなく笑う後輩に少しの頭痛を覚えつつ、ゆかりはそんな意地の悪い後輩が埋もれるベッドへと歩んでゆく。その一連の行為が何を意味するのか、それを分かってなお、あるいは分かっているからゆえなのか、自身の態度を変えようとしない六花の様子に再び溜息をついて、そうこうしている間にもうベッドはすぐ目の前の位置まで来ていて。少し迷って、ゆかりは普段自分がそうするように布団へ潜り込んで、そのままごろん、と六花に背を向けるようにしてベッドの上に寝転んだ。
「…あのー、先輩?」
「きょうはもうつかれました、おやすみなさいです」
明らかに不満が含まれた後輩の言葉に、明らかな拒絶の意を添えてゆかりは目を閉じた。お互いのためにも、なんてそれっぽい理由をつけてながら気怠さに身を任せてゆかりは目を閉じる。だが、そんな大人特有の狡さを許さないのが、ティーンエイジャー真っ盛りの年齢に設定を受けた六花だった。
背を向けたゆかりの肩に手をかけて自身の方へ力を込める。無防備極まりない姿勢で特段力も入れずに横になっていたゆかりに逆らえるはずもなく、ゆかりの体は仰向けに倒され覆いかぶさる六花の体の下にその裸体を晒すことになった。
「…言いましたよね?私、さっきまでのでとっても疲れてるんですけど」
「私は満足してません。それに。ゆかりさんが受け入れてくれたんじゃないですか。それに応えるのが先輩としてのけじめだと思うんですけど?」
そう、さっきまでの軽口を叩いていた人間とは同じ人物だとは思えない凛とした表情でこちらの目を覗き込む少女の返事に、本日何度目か分からない(もう今日なのか明日なのかは定かではなかったが)溜息を零して、ゆかりは諦めたように言葉を紡ぐ。
「…好きにすればいいじゃないですか。貴女の性欲の強さを図り損ねた私の落ち度です」
「…なんかそれ、遠回しにけなしてないですか?」
「そんなことを気にする貴女じゃないでしょう?」
「はは、私のことよく理解してくれて嬉しいです」
そう軽やかな言葉口でそう返して、六花はゆかりの起伏に乏しい、だが女性特有の柔らかさを備えた胸元に唇を落とした。ちゅ、ちゅう、と吸い付く音が零れる度に同じように口から漏れ出そうになる喘ぎを押し殺し、ゆかりは心地よい快感に身を任せていた。
「気持ちよくないですか?」
「…?それなりにきもち、いいですけど?うまいじゃないですか」
「…声、出てないから」
「…あぁ。気にしないでください。特に我慢しているわけじゃないので。気持ちいいですよ?」
「…むー」
どこか納得しない様子の六花はそれまで膨らみの麓に這わせていた自らの舌を昇らせて、頂上に立ちあがった蕾へと向かって這わせる。その動きに、自分があられもない姿を晒すのでは、と少々の危機感を覚えつつも、迫りくる快楽の予感に思わず反抗を忘れて六花の舌の侵攻をただ眺めていた。そして、その一瞬は快楽の暴発となってゆかりを襲った。
「んっ…!」
六花の舌がゆかりの頂の片方を包み込んだその瞬間、耐え切れずに漏れ出たゆかりの喘ぎに、六花は耳聡く反応した。
「…今の、気持ちよかったですか?」
「…さぁ」
「…へぇ」
「んぅ…!?」
あれほど分かりやすい強がりもそうそうない。六花は勝ち誇ったように笑みを浮かべると、唇をちゅう、と音を立てながら色素の薄いゆかりの頂へと吸い付いて、もう一方の頂にも指を這わせるとくりくりと引っ搔くように弄り倒す。その度にふ、ふぅ、とゆかりの唇から零れる快楽の吐息に気をよくしつつ、六花はしかし満足はしていなかった。もっとこの可愛らしい先輩の愛おしい姿を視界に納めたい。記憶に残したい。もっと見たい。
その欲望に従うまま、六花は今日(あるいは昨日)ゆかりにそうされたようにゆかりの下腹部に手を伸ばす。
「…!ちょ、そこは…!」
「ゆかりさん」
慌てたように手を伸ばした愛しい先輩の名前を真剣な口調で呼ぶ。その呼び方と視線の凛とした様子に思わず息を呑んだその瞬間を狙って、六花はゆかりの今か今かと挿し込まれるのを待ち望んでいた膣内へと自らの指を刺し貫いた。
「!あ、んっ、あぁ!」
一瞬間を置かれてからの突然の性器への刺激に、いくら場数を踏んだゆかりとて耐えられるはずもない。たばこを吸う前から新しくできた可愛らしい後輩の艶姿に濡れそばっていたその膣壁を細く柔い指で撫でつけられるその度に全身を震わせる。もはや先輩の威厳など考える余裕などなかった。
「ちょ、待って、り、かちゃん…!そこ。ん、つよす、ぎぃ…あっ!」
「かわいい…、もっと、もっと見せてください、ゆかりさん…!」
興奮に声を震わせながら、六花も熟考する余裕などなくゆかりを責め立てる。六花の幼いながらも大人へと成熟しつつある性衝動はゆかりの快楽に乱れる姿にその熱量を抑えきれずにいた。
先ほどまでゆかりを責め立てていた唇はゆかりへの愛の言葉を囁くために胸元から耳の傍へと移り、代わりに秘所をあばきたてていない方の手で胸の頂を刺激する。吐息とともに自らの淫らさを露にする囁きにゆかりの思考は快楽へと犯されていく。胸元を爪先で掻き乱され膣内を犯される快感が思考を白く染めていくのを加速させる。
「っ、あ、あっ、ああぁ!」
「イっていいですよ…、イって、ゆかりさん…!」
興奮に身を任せて六花は吐息をたっぷりと含ませて耳元で呟きながら、激しく指を動かす。その指が膣内の一際敏感なざらりとした部分を擦り上げたのと胸元の突起を強く引っ掻いたのは全くの偶然だったのだろうが、それをゆかりが知る由もなかった。
「ん、ぁ、ああああああああ!」
昂り始めた身体が秘所と胸元の両方から与えられる強い刺激に耐えられるはずもなく、布団の中で何も身に着けていない身体を反らし高い喘ぎ声をあげて、くたりと体をベッドに預けた。
「ゆかりさん、気持ちよかったですか?」
ふふ、と小さく笑みを零しながら六花は意地悪そうにゆかりの顔を覗き込む。息を荒く吐きながら、涙目で睨む先輩の姿に六花は笑みを深くする。快楽からの身じろぎで乱れた前髪を手で軽く整えながら額に唇を落とす。そのまま顔を下ろしていき、唇を重ねてそのまま無防備な隙間に自らの舌を挿し込んだ。
「んぅ…!」
「んっ…」
口元を伝うどちらのものかも分からない唾液を拭き取る余裕もなく、与えず、二人の舌が絡み合う。にちゃり、と粘度の濃い絡み合う音が響きあい、そして離れた。
「ふふっ、大好きです。ゆかりさん」
「…そりゃ、どうもっ」
「ふぇ?」
悪戯っぽく笑う六花の、隙だらけの肩に手を伸ばしてゆかりはこてん、と馬乗りになっていた後輩である少女の身体を転がし、反対に自分が少女の馬乗りになった。
「まぁ、なんですか。私も先輩としてのプライドがあるんですよ。そうでなくてもやられっぱなしというのは性に合いませんから…。覚悟、してくださいね?」
「…ふ、ふふっ」
「…なんです?煽ってるんですか?」
「いえ、なんだか今まで画面越しにで見てたゆかりさんそのまんまだなって」
そうくすくすと笑う後輩の姿に少し面食らって、ゆかりは今日何度目かもわからない溜息を吐いた。
「…本当に、覚悟してくださいね?」
「望むところ、です」
そう呟きあって、二人は何度目かの口づけを交わした