※この作品はR-18です。

ようこそSアプリ至上主義の教室へ   作:MAMAMAJO

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14話 魔吐精癖のスレイブ

 生まれて初めて目にした生の男性器は、私に鮮烈な衝撃と滲む恐怖を刻みつけた。

 

 裸でベットに腰掛ける黒乃くんの後ろに膝で立ち、彼の頭の隣から男性器を覗き見る。抑えきれない肉欲で、はち切れんばかりに膨張している彼の性器は、天を衝く勢いで反り返っている。

 それは彼の真っ白な肌よりほんの僅かに黒く、その尖端、亀頭は赤みを帯びている。また、表面に何本も浮き出る血管は、それ自体が一つの生き物であるかと錯覚させるほどであった。

 

 生の肉体、剥き出しの臓器。他人の性器をまじまじと見ることにより、人間も動物なのだと気付かされる。知性によって隠されていた、グロテスクな肉塊はある種の象徴、取り繕われぬ生の証明なのだと。

 

「教科書で学んだものとは——随分と違うのね。形も、長さも、太さも。いえ、一番の違いは質感かしら。あなたの劣情が、そのまま形になったみたいね」

 

 熱に浮かされた私は、その全てを余すことなく知りたい衝動に駆られ、彼の後ろからそれに向かって手を伸ばす。

 

 指先を根本に添えると、彼はビクッと体を震わせ、陰茎もそれに追随し大きく跳ねた。それを無視して、上へ上へと指を這わすと、大きな段差を乗り越えて、やがてその先端に辿り着く。

 先端からはカウパーがじわりと垂れ、私の指先を穢してゆく。人差し指に付いたカウパーを親指に擦り付け、その粘度を確かめると、その間には透明な糸が引かれた。

 

 私はすっかり穢された指先で円を描き、カウパーを塗り広げると、亀頭がヌルヌルとした光沢を放ち、彼の喘ぎ声が部屋に響く。亀頭の割れ目からは絶えずカウパーが溢れ続け、本人同様、堪え性のなさを露呈している。

 

「ねえ、黒乃くん。これ、気持ち良いのよね? 反応からして問題はなさそうだけど、……このまま射精できる?」

 

 私が耳元でそう囁くと、彼は声を震わせながら答える。

 

「うっ、うん、凄く気持ち良いよ。……でも、そんなにすぐは出ないよ」

「こんなに反応しているのに、そういうものなのね」

 

 顔を歪ませ、体を震わし、喘ぎ声まで上げて、全身でその快楽を甘受しているというのに、射精はすぐにはできないらしい。さすがに指で触るだけでは刺激が足りないのかしら。

 

 そう考えた私は、彼の肩に置いてたもう片方の手を前に回し、彼の陰茎を握る。

 

「大丈夫? 痛くはないかしら? 何か問題があったら言って頂戴ね」

 

 彼と密着することによって、彼の熱が伝わる。

 陰茎に触れている指は、その熱で溶けてしまいそうな程に。

 

「こうで良いのよね? こういったことは初めてだから、加減が分からないの。それに、その、太すぎて上手く握れないのよ」

 

 そうして、私は指が回らないまま、手をゆっくりと動かし始める。手を陰茎の最も太い中心部から根本の方に下ろして、戻す。その繰り返し。

 

 反対の手では、亀頭を包み込み、ダラダラと垂れるカウパーで擦り続ける。

 

「どう? 気持ちいい? ……駄目ね。やっぱり、お手本が見てみたいわ。どうせなら、きちんと知りたいもの。黒乃くん、私の手の上から動かしてみて頂戴」

 

 私のお願いを聞いた彼は動きを止めた私の手を掴み、慣れた手つきで陰茎を扱き始める。私の手を用い、いつも通りの自慰を行う彼。

 

 思ったよりも単調だったそれの、要領を覚えるのは決して難しくはなかった。

 

「なるほど、一回一回動きを止めないで、動かし続けるのね」

 

 彼の動きを真似して、手を動かし始めると、彼の手は自然と離れ、彼は私が与える快楽に耽っていく。

 

 やがて、カウパーは私の握る手と陰茎の隙間にまで到達し、滑りが良くなったことによって、淫らな音は大きく、彼の受ける刺激も強くなっていった。

 

「まったく、あなたに似て、いやらしい性器ね。我慢を知らないのかしら。でも好都合だわ。早く射精しちゃいなさい」

 

 私が囁くと、彼の性器が大きく跳ねる。

 

「もしかして、あなた……私の声で気持ちよくなっているの?」

 

 続けて囁くと、彼は全身を震えさせた。

 

「そう。声でも気持ちよくなれるのね。これは一般的なのかしら? それともあなただけ?」

 

 それを確かめるために、私が彼の耳に「ふぅーーー」っと息を吹きかけると、彼の体は今までで一番大きな反応をみせた。

 

「返事も出来ないぐらい、気持ち良いのね。いいわ、このまま、耳元で喋ってあげる」

 

 彼の反応を確かめるために休めていた手を動かし、彼の耳元に口を近づける。

 

「どう? もうすぐ限界なんでしょ? あなたの呼吸、どんどん荒くなっているわ。良いのよ。そのためにしているんですもの。いつでも射精していいの」

 

 手を動かす速さを徐々に上げ、時折、耳に息を吹きかけると、彼は全身でその快楽を表現する。

 

 あまりにも素直なそれに、私は彼の全てを支配したかのような感覚に陥る。

 普段の余裕は失い、只々私が与える快楽に酔いしれるしかない彼。

 

 クチュクチュとした水音が大きくなり、彼の亀頭もパンパンに腫れ上がっていく。

 

「す、鈴音…さん。も、もう限界」

「ええ、良いわ。我慢しないで」

 

 限界を迎える彼に合わせ、手の動きを激しくすると、程なくして彼は情けない声で鳴いた。

 

「っあ、あっ、あぁっ!! っーー!!」

 

 張り詰めた男性器から私の手の中に凄まじい勢いで吐き出されたマグマのように熱い精液。そして、それは亀頭を包んでいた指の隙間から絶えず溢れ、垂れ続ける。

 

「凄く……熱いのね。それに量もこんなに」

 

 彼の亀頭から手を離し、出された精液をまじまじと見つめる。

 白く、ドロドロとしていて、指で弄ると糸を引いて絡みつく。……もう少し観察していたかったが、ブラウスに付きそうになったので、手を下に向ける。

 

「……手、洗ってくるわね。床に垂れたのは自分で拭いておいて頂戴」

「あっ、うん。分かったよ」

 

 

 

 ベットから降り洗面台に向かい、鏡の前に立った時、私は自身が紅潮していることに気づく。

 心臓の鼓動が高まり、全力疾走した後のように短い息を繰り返す。

 その時、手についた彼の精液に目に留まり、私はそれから目を離せないでいた。

 そして何を思ったのか、私はその手を顔に近づけ、その匂いを嗅ぐ。その独特な匂いを何度も、何度も確かめる。決して良い匂いではない。鼻に残る、青臭くツンとした匂い。でも、どうしてか、私はこの匂いを嗅ぐのを止められないでいた。

 

「……駄目ね、彼が待っているのに」

 

 落ち着きを取り戻した私は今の状況を思い出し、慌てて手を洗い始めた。精液を流す水道水の冷たさはあっという間に私をいつもの様子に戻してくれた。彼と私は、あくまで友人に過ぎない。この熱で私が彼に惹かれることはあってはいけない、それはきっと間違いなのだから。

 

 

 

 部屋に戻ると、裸の彼がベットに横になっていた。——男性器は勃たせたままに。あまりに無様な姿に思わず大きなため息を吐いてしまう。

 

「はあ。どうして服を着てないのよ。それに、射精したばかりでしょ? どうしてまだ勃起しているの?」

 

 彼は顔を手で覆いながら、気まずそうに答える。

 

「さっき君も言っていたでしょ。どうやら僕は、一般的な人よりもそういった欲求が強いらしい。それに……」

「……それに?」

 

 彼は一呼吸置いた後に、己の業を告解した。

 

「……さっき、君に踏まれたことが脳裏に、いや、魂に焼きついてしまったみたいだ。まさか、こんな扉を開くことになるとは、……想像もしていなかったよ」

「……………………救いようがない変態ね」

 

 呆れて言葉も出てこない。今日の昼、彼を少しでも評価したことを今すぐにでも撤回したい。

 

「あなたね、恥ずかしくないの? 女子に陰部を踏まれて興奮するなんて。恥を知りなさい、恥を」

「……言わせてもらうけど、理由はどうであれ、いきなり踏みつけてきた君にも非はあるんじゃないかな?」

「それは……いいえ、そんなことないわ。元はと言えば、あなたが己の情欲を律せていないのが悪いんだもの」

「……だってしょうがないじゃないか! そう生まれついてしまったんだもの!!」

 

 彼の言い分は酷く馬鹿らしいものだった。……けれど、ここで私が彼を見捨てるわけにもいかない。

 

「開き直らないで頂戴。……はあ、しょうがないわね。どうすればいいの?」

「えっ? いいの?」

「……えぇ。約束してしまったもの。でも、手伝うのは1日2回までよ。こればかりというわけにもいかないわ」

 

 そうして彼に近づいた私はベットに乗り上がる。

 

「それで、……どうすればいいの?」

「足で、……足で手でやったみたいにしてほしい……です」

「……足ですればいいのね。分かったわ。はあ、まったく、どうして私がこんなこと……。初めての友人がこんな手のつけようがない変態だなんて」

 

 彼の開かれた足の間に座り、後ろに手をつき、足で彼の長大な陰茎を挟む。

 

「どう? これでいいのよね?」

「うん、凄くいいよ」

「……今更だけど、これ、脱いだほうがいいかしら?」

 

 私が履いているニーハイに視線を向けると、彼は食い気味で否定した。

 

「で、出来ればそのままで、……お願いします」

「……そう。えぇ、もういいわ。このまましましょう」

 

 そうして、私は足で勃起した陰茎を上下に動かす。先ほどの精液か、カウパーか。この際どちらでも大して違いはないけど、私の足は彼の体液で濡れ、彼は恍惚な表情を浮かべる。それがなんだか可笑しくって、私は彼の反応に合わせ、足の動きを彼の喜びにチューニングさせる。下から上へ、上から下に、荒々しく、それでいて丁寧に優しく、彼の陰茎を足で摩(さす)る。

 

「お望みの行為はお気に召したかしら?」

 

 亀頭を指で軽く押すと、比較的柔らかな亀頭でさえも、破裂寸前の水風船のように勃起し、その先端からは嬉し涙を流す。背徳、耽美、官能、言葉でしか知らなかった、それらを私は少しずつ理解してしまった。こうも雄々しく、初めて見た時に私に恐怖を植え付けた、凶悪な彼の男性器でさえも、私の華奢な手足に弄されるという事実に大きな認識の乖離を感じる。ただの性処理に過ぎなかった一連の行動は、私に性愛の何たるかを萌芽させるには十分だった。

 

「鈴音さん、さっきよりも刺激が強いから、すぐ出ちゃいそう」

「あら、そう。……いいわよ。さっさとあなたの情欲を吐き出して」

 

 足の動きをより一層激しくさせ、彼の高まりを煽る。

 手よりも感覚が鈍いはずの足からも、彼の射精の予兆を感じ取る。

 

「我慢しないの。気持ち良くなってしまいなさい。そのための行為。そのための営み。今は快楽に身を委ねなさい」

 

 返事もままならない彼だが、彼の性器、彼自身は私の言葉に従順であった。

 

「こっちは随分と正直ね、いいこ、いいこ。もうすぐかしら。——いいわ。逝きなさい」

 

 私が許しを与えた瞬間、彼はすぐに限界を迎えた。

 

「鈴音っ、さんっ……で、射精るっっ!」

 

 足裏で脈打つ、彼の性器。波打つそれに、私は悦楽を抑えられない。

 

 勢いよく出た精液は、私の足だけでは飽き足らず、彼のお腹や胸にまで飛び散った。

 

「——元気ね。本当に」

 

 長い射精が終わり、徐々に硬さが失われていく彼の性器を足で撫でながら、すっかり暗くなった部屋で私は、高鳴る胸の理由を探していた。

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