翌朝、マユリはベットで目を覚ました。
神楽を置いて彼女はヴェイルから貰った服に着替えてその上から紺色のジャケットを羽織る。
外にある備え付けの水道で顔を洗って掛けてあったタオルで顔を拭くと彼女はヴェイルの元へと向かった。彼女に気付いたヴェイルはその顔を上げて此方を見下ろす。黄色い目でもありセンサーでもある箇所が彼女を見つめていた。
[良く眠れたか?]
「お陰様でね…ところでヴェイル、貴女にシミュレーションシステムって有るの?」
[有るには有るが…気にしてんのか?昨日の事。]
「うん…だから、お願い。次は自分で戦える様になりたいの…貴女のサポート無しでもやれる様に。」
[解ったよ…乗りな。]
自動でハッチが開くとマユリはヴェイルのコックピット内へ乗り込む。そして彼女はカタカタとパネルを操作し始めた。
[よし…じゃあ始めるぞ?]
「うん…ッ!!」
ハッチが閉まると景色が暗転し、目の前には仮想フィールドが広がる。マユリは見回しながら驚いていた。
「これが仮想フィールド?凄い…!」
[パイロットがアタシを動かす為の戦闘訓練用フィールドだ。敵の行動パターンはこの前のエルゴで登録してある…それで良いな?]
「うん…大丈夫!」
ヴェイルを人型を変形させ、身構えると相手のエルゴが此方へ向かってライフルを発砲して来た。
マユリは操縦桿を右へ傾けてペダルを踏むとヴェイルは右へ避けて弾を避ける。そして止まると同時に腰部のライフルを起動し発砲、エルゴを撃ち抜いた。
「先ずは1つ!」
そして再び姿を現した時にエルゴの数が2体になると左右からマシンガンを撃って此方を攻め立てて来る。掃射を回避しようとするが間に合わず、数発が着弾してしまった。
[シミュレーションだからって気を抜くなよ、マユリ!]
「解ってる…急かさないでよ!」
先ずは左側のエルゴを片付ける為にブーストを用いて接近しエルゴを右手で殴り飛ばした。鈍い音と共に転倒したのを気に今度は右側のエルゴへ迫る。
左手首の付け根からサーベルの柄を引き抜くと緑色の刃で頭から真っ二つにエルゴを斬り裂いた。
しかしこれではまだまだ程遠い。
あのアクィラスのパイロット、マリアーネと再戦する時まで強くなられねばならない。
それに昨夜見た悪夢が現実に成らぬ様に強くならなくてはならない……。
それだけがマユリを駆り立てていた。
「はぁ…はぁ…はぁ…ッ!まだだ、まだ…足りない…ッ!!」
もう何体エルゴを破壊したか解らない。
俯くと足に汗が滴り落ちて染みを作っていく。
恐らく自分は此処を離れるだろう…零号機ことヴェイルはドミネイターから奪った機体だから。
自分は追われている身でもある、だから万が一の時が直ぐに来てしまうかもしれない。
皆が笑って居られる場所を汚されたくない。
此処セレーネがマユリの帰るべき場所でありマユリの故郷…それをあんな下衆な連中に壊されてたまるかとマユリは強く思っていた。
[…マユリ、少し休憩したらどうだ?もうぶっ続けで5時間はやってるぞ?]
「ダメ!…ダメなの、私は強くならなきゃ…強くならなきゃダメ…!!」
するとコンコンとコックピットを何かに叩かれる音がする。ふと我に返るとモニターに神楽の姿が映っていて、彼女の両手には食事の載ったトレイが握られていた。
[……マユリ、休むのも強い戦士になる為の秘訣だぜ?ちゃんと飯食って休める奴が強くなれる…安心しろ、アタシは何処にも行かない。飯くらい食って来い。]
「……ヴェイルがそう言うなら。」
彼女はシミュレーションを止めるとコックピットを開いて神楽を笑顔で出迎える。彼女からスープやパンといった簡易的な食事を受け取ってそれを食べ始めると神楽はマユリを見ながら呟いた。
「マユリ…私も強くなりたい。」
「…随分急だね?どうしたの?」
「私も…マユリと一緒に戦いたい。私が戦えればマユリは無理しなくて済む…だから…!」
マユリは食事の手を止めてスプーンとトレイを片側へ退かすと神楽を見ながら話し始めた。
「神楽ちゃん…ちょっと散歩しよっか?」
彼女を手招きしヴェイルへ乗せる。
そして搭乗したのを確認してハッチを閉めるとビーストモード状態のヴェイルを操縦しある場所へと足を運んだ。
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「……着いたよ。」
マユリが向かった先はアヴァンルージュ、ドミネイターが交戦を繰り広げた痕跡の有る場所。
モニターを表示すると神楽はそれを見ていた。
「これは……?」
「これが今の現実…此処に有るのはドミネイターと戦った戦士達の成れの果て。」
機体の残骸、焼け落ちた木々、そしてコンテナに飛沫し乾いた血液の赤黒い痕。
ゆっくりと機体を進めて行くと途中で機体を止めて
コックピットを開き、マユリは神楽へ降りる様に促す。ジャンプし降りた神楽をマユリが受け止めて地面へ下ろすと互いに手をつないで歩き始めた。
「…私の傍から絶対離れないで。」
「マユリ…。」
「……私達はね此処で戦争をしているの、ドミネイターが攻めて来たあの日からずっと。紅い戦線が何とか抵抗して戦ってくれてたけど突破されちゃって…昨日私達が居たボイド・ミューラーに奴等が侵入し聖域と呼ばれた場所を血の海に変えてしまった。」
「戦争……。」
「強くなるという事は…少なからず誰かの命を奪う事になる。その覚悟が神楽ちゃんには有る?」
振り返ったマユリの目は真剣そのもの。
じっと彼女を見つめていた。
「ッ…私は…!!」
「…負ければ奴等に犯され、辱められる。女としての誇りも尊厳も何もかも踏み躙られる事になる…それでも戦う?」
「ッ…!!」
更に追い討ちを掛ける様に神楽へと言葉を畳み掛ける。戸惑う彼女を見ながらマユリは何処か申し訳無いと思っていた。彼女には普通に生きていて貰いたい、彼女にはこんな理不尽な世界は似合わない…そう思っていたから尚の事辛い。
「それでも…それでも…私も……こんな世界…嫌だッ!!」
「神楽ちゃん……。」
「マユリが言ってた…何気無い当たり前の事が本当の幸せなんだって…!だから私も一緒に守りたい…当たり前の幸せを…皆が…皆が笑顔で明日を迎えられる世界にしたい…だから…お願い…ッッ!!」
マユリは目を閉じ、小さく頷くと解ったと返事をする。そして神楽を見つめると彼女の両肩へ手を置いて微笑んだ。
「…私の訓練は厳しいぞ?それと…ルイとナツキにも手伝って貰おうかな。」
神楽はマユリを見つめると頷く。
すると近くのコンテナから物音が聞こえ、マユリは咄嗟に神楽の手を握り締めて後ろへ回す。ハンドガンをホルスターから引き抜いてゆっくりとコンテナへと近寄った。
「…神楽ちゃん、私に万が一の事が有ったら走って来た道を引き返して…ヴェイルが拾ってくれる。」
「マユリは!?マユリはどうするの!?」
「……コンテナを開けて中を確かめる。多分、捕まえた女の子を捕らえたコンテナだとしたら…未だ誰か生きてるかもしれない!」
マユリはコンテナの壁面へ耳を当てる。
そして目を閉じて感覚を研ぎ澄ませると微かに中を引っ掻く様な音が聞こえて来た。
「…やっぱり、中に誰か居る!!待ってて…今開けるから!」
マユリは神楽を背にハンドガンを撃って鍵を破壊する。そして扉を開けると少女が倒れ掛かって来た。
身体はボロボロで傷だらけ、服も一切身に付けていない。歳は神楽と同じに見えた。
「大丈夫!?ッ…酷く弱ってる…急がないと!!」
マユリは彼女を担いで神楽と共にヴェイルの元へ。
そして簡易的な医療キットをポーチから取り出すと少女へ処置を施す。その時に彼女の股下へ目が行くと思わず手を止めてしまった。
そこから零れ落ちる白い液体…直ぐに彼女が何をされたのか解ってしまう。
「ドミネイター…ッッ!!」
こんな幼い子相手でも手を出す彼等に対し虫唾が走る程に強い怒りを覚えた。
そして神楽に彼女を頼むとマユリは立ち上がり、ゆっくりと歩き出した。
彼女が足を進めて行くと先程のコンテナの所へ2人のドミネイター兵士が来ていた。そして此方を見ると銃を向けて警告して来る。
「そこで止まれッ!!この中の女を何処へやった!!」
「…私が助けた…悪い?」
「待て…おい、此奴…例の女だ!!あの零号機を奪い去った!!」
2人目の兵士がマユリに気付くとニヤリと笑う。
どうやら気が変わったらしい。
「…丁度良い、お前を捕まえてその裸を…ぎゃあッ!!?」
乾いた音と共に1人目の右肩が射抜かれて銃を落としてしまった。突然マユリが彼を撃ったのだ。
そして顔を向けた所へ更に数発撃ち込んで鎮圧する。
「貴様ぁあッ!!」
「ッ…!!」
ライフルを向けようとした途端にマユリは瞬時に間合いを詰め、彼を左手で殴り飛ばす。そしてふらついて倒れた彼へ馬乗りになるとハンドガンの銃口を額に押し付けた。
「ひッ!?ひぃいいッ!!?止めろ、撃つな!撃たないでくれぇッ!!」
「五月蝿い…黙れッ!! 」
マユリの目は怒りと殺意に満ちていた。
紅い瞳は彼を睨み付け、威圧する。
「こッ、殺さないでくれ、頼む…助けてくれぇッ!!」
「助けてくれ…?」
「あぁ、そうだッ!頼む…頼むから!!」
「あの子も…あの子達も…皆そう言ってたんじゃないの!?助けてくれ、痛い、止めてくれって…自分が同じ立場になったら助けてくれ?…そんな道理が通ると思うなぁッ!!」
マユリはギリっと歯を食い縛るとヘルメットごと彼の眉間を撃ち抜いて射殺した。
右手には撃った時の反動のせいで痺れが残っている。彼はもう動かず1つの屍と化していた。
「許さない…絶対に許すもんか…ドミネイター…ッ!!」
彼女は兵士から離れて立ち上がると無言でヴェイルの元へと戻って来た。その子は神楽に支えられながらじっと此方を見ている。まるでその瞳は神様を見る様な目だった。
「……ごめんね、遅くなっちゃって。それと…ありがとう…頑張って戦ってくれて。」
マユリはそう呟くと駆け寄って彼女を抱き締める。
頭を撫でている最中でもその少女はずっと泣いていた。でも…助けられたのは彼女だけ、後は無惨に殺されていた。
彼女を基地へ連れて帰り、機体から降りて医療班へ後を託すと近くに居たルイがマユリへ話し掛けて来た。
「マユリ…まさか前線に行ったのか?」
「うん…とても酷かったよ。アヴァンルージュは…本部は…もうダメかもしれない……このままじゃ私達もアイツらに…ッッ!」
「…マユリ、希望なら未だ有る。アヴァンルージュは未だ滅んだ訳じゃない!」
「どういう事?だって…ッ! 」
「…ミューラーの生き残りの子が戦ってるらしい。ドミネイターと…それと紅い戦線のメンバーの1人も一緒に居るらしい…コトネがそう言ってた。その子は確か狼型?の人機に乗ってるって。」
「狼の形をした人機?」
そうマユリが話した時、後ろに居たヴェイルが答えた。
[星型3番機…ウィンヴルガ、それがソイツの名前だ。]
「ウィン…ヴルガ?」
[アタシはそのウィンヴルガを模してドミネイターに造られた…けどアタシの操主に相応しい奴はあの連中の中には居なかったのさ…例え女でもな。そしてお前が奴らに捕まって…アタシと出会い、お前がアタシの操主となった。]
淡々と話すとヴェイルは立ち姿勢からゆっくり地面へうつ伏せの姿勢になる。
星型3番機ウィンヴルガ…それが今、ドミネイター達と戦っている唯一の希望だった。
「…ルイ、お願いが有るんだけど良いかな?あとナツキにも伝えて欲しいんだけど。」
マユリは何かを思い立ったのか彼女へ微笑み掛ける。そして彼女へ自分の考えている事を口にした。
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「はッ、やぁッッ!たぁッ!! 」
「もっと脇締めて!そんなパンチじゃ私は倒せないよッ!」
「解ってるッ…せいッ!!」
それから1週間経ったある日の夕方。
基地の広場でマユリと神楽は今日も組手をしていた。勿論、手加減無しの本気のやり合いである。
マユリの拳を神楽が避け、今度は彼女が反撃として蹴りを繰り出すがそれも受け流されてしまう。
そしてお互い離れると向かい合った。
「さぁて…どうする?神楽ッ!」
「…ッッ!!」
クイクイとマユリが指を数回曲げて挑発すると神楽は走り出す。
そして素早く何度も左右の拳を繰り出してラッシュを仕掛けて来ると更に合間に蹴りも加わってマユリを追い込み始める。
「ッ…これもルイが教えたの!?早い…ッ!」
「それだけじゃない…ッ!!」
「え…?」
神楽が右手を一旦引き下げ、左手を前へ翳すとマユリ目掛けて一直線へ右手の拳を突き出した。
それがマユリの顔面へ瞬時に突き出されると目の前で止まる。
「……参りました。」
「…!やった!勝った、マユリに勝てた!!」
神楽はマユリから離れると嬉しそうに喜んでいる。
あの日から彼女はコトネ指導の元、戦士として育てられたのだ。朝起きて夕食までルイと鍛錬を続け、空いた時間で人機の操作方法等をナツキから学び、そして夜にコトネとシミュレーションを通して実戦訓練。常にその繰り返しだった。
事実、何度かマユリと戦ったのだが神楽はコテンパンにやられている。
そして今日漸くその彼女に勝つ事が出来たのだ。
「おめでとう、これで神楽もアヴァンルージュの戦士だね。しかしまぁ…ルイもルイだよ…最初なんて全然乗る気じゃ無かったのに1番本気出してるじゃん。」
「うんッ…これで私もマユリと一緒に戦える!」
彼女の性格も出会った時と比べて明るくなった。
これも鍛錬の賜物なのだろうか?
「…どうだった?私の弟子の実力は!凄かっただろう?」
横で2人の組手を見ていたルイが得意気に神楽の傍へ立つとマユリヘ話し掛けて来る。
「はいはい、凄かったよ…神楽に変な技なんか仕込んじゃって…アレ何?」
「変な技じゃない、マシンガンパンチだ!」
「マシンガン…パンチ?」
マユリは不思議そうな顔でルイを見ていた。
彼女の話によれば1発のパンチから素早く2発、3発と連続して当てる事で威力を上げて相手を倒すのだという。力の弱い女の子にとっては有効な手段でもあった。
「神楽はそこに蹴りを仕込んだ。アレでダメならトドメに思い切り蹴っ飛ばしてやれってな♪マユリもこの前見ただろ、あの凄いキック!」
「見たけどさぁ…あんなのマトモに喰らったら絶対ヤバいよ……。」
「…最初に私と戦った時、神楽は顔を殴られても泣かなかった。鼻血を垂らしても…お腹や脇腹を蹴られてもだ…凄い子だよ本当に。」
ルイが神楽の頭を撫でてやると神楽は微笑んだ。
そしてマユリもまた神楽の頭を撫でると同じ様に微笑む。するとそこへナツキが慌てた様子で駆け寄って来ると此方を見て息を切らしながら話して来た。
「大変だッ、ド…ドミネイターが…攻めて来たッ!!」
「え…ッッ!?」
それはあまりにも突然の出来事だった。
4人はコトネの元へ向かうと彼女から詳細を聞く。向こうの目的はどうやら此方の殲滅と零号機の鹵獲…それで間違いは無かった。
「……私がヴェイルと出る!!」
そう言い切って外へ出ようとしたマユリの肩をコトネが掴んで止めさせる。
「待てマユリ!敵の狙いはお前なんだぞ、どうするつもりだ!?」
「それでもやらなきゃダメだ!私が撒いた種だもん…だから後始末は私がする!!お願い、行かせて!!!」
マユリは振り向くとコトネの目を真っ直ぐ見つめると少しの合間、沈黙が流れた。
「やれやれ…行くなと言っても行くんだろう?ヴェイルの装備は全て万全、調整も済ませている。それと……」
「それと?」
「…必ず生きて帰って来るんだぞ?」
「解った…絶対に帰って来る!!」
彼女は神楽を頼むと一言残し、1人でヴェイルの待つ場所へと向かう。そしてコックピットへ飛び乗るとヴェイルの黄色い目が点灯し四足歩行のまま歩き出した。そして黒い狼は夕暮れの森の中を駆け抜けて行くのだった。
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森を抜けた先に居たのはやはりエルゴを始めとした人型の人機数体、しかも以前より数が多い。
[…レーダーによる確認だけでもざっと6機。アタシのサポート抜きでもやれるか?]
「やれるよ…ヴェイルの事、信じてるから!!」
[そうかよ…なら遠慮無くやっちまえ!!]
暗闇に黄色いヴェイルの目が光るとそのまま走り出した。そして1体目のエルゴへ向けて攻撃を仕掛ける。
『なッッ…お、狼だとぉッ!?』
「喰らえええッッーー!!」
ヴェイルの右前足の爪がエルゴの装甲を引き裂いて戦力を奪う。異変に気付いた別のエルゴがマシンガンを掃射すると今度は素早く移動してゲフュールブラスターを起動させて的確に急所を射抜き、撃破してみせた。
「後残り4機…次はお前だぁッ!!」
2機目の上へ乗ったまま上空へ飛び上がると変形し人型へ。そして頭上から蹴飛ばして地面へ押し付けた。
『ぐぁああッッー!!?』
パイロットの悲鳴と共に3機目のエルゴが破壊されると立ち上る炎の中にヴェイルが立ち上がる。
そして左手首から白い四角形の柄を引き抜くと緑色のエネルギーサーベルが出現、それを握り締めて立ち向かった。
「決めた…私は…お前達と徹底的に戦うッ!!」
擦れ違い様にマシンガンを発砲しようとしたエルゴを横一線で薙ぎ払う様に斬り裂くと尚もヴェイルは突き進む。
「皆が手を取り合って笑いあえて、当たり前に暮らせる日が来る…その日までぇッ!!」
掴み掛かろうとして来た援軍のエルゴ2体の内、1体目をサーベルで、そしてもう1体を左手で殴り飛ばして鎮圧させる。更にレーダーへ数個の点が映るとそれでも突き進んで行った。
「女性の自由と…尊厳と…命と身体を
サーベルで次の2体を斬り裂いたかと思えばゲフュールブラスターを最大出力で放って数機を消し飛ばし、最後の1機になるとサーベルの刃先をエルゴへと向けた。
「…ドミネイター…私は…お前達の存在を絶対に許さないッッ!!」
すると目の前のエルゴが銃を捨て、実体剣を引き抜いてヴェイルへ斬り掛かって来る。
その繰り出された一撃を紙一重で避けてコックピットである頭部をヴェイルの持つサーベルで刺し貫いた。
[戦闘終了…ご苦労さん。とは言え、10体以上は居たな…怒りと憎しみ…そして悲しみ。色々入り交じった感情をお前さんから感じた。]
「…そう…。」
マユリは無言のまま辺りに散らばったエルゴの残骸を見つめる。抉れた地面、コックピットを潰された機体や腹部に大きな穴が空いた物も有る。その全てが惨劇を物語っていた。
彼女のその顔は怒りや憎しみを通り越した様な表情をしており、その視線はとても冷たい。
そして一言だけ彼女はポツリと呟いた。
「……