呪物化した転生呪術師inダメツナが原作を崩壊させる話 作:カリヤン
何でR-18かって? そりゃエログロするからよ。
タグに書いてないけど孕ませもあります。
二度目の人生の終わりは意外と呆気ないものだった。
前世で読んでいた、けれど絶対に転生したくなかった呪術廻戦の世界に転生してしまったのである。しかも原作前の加茂憲倫もとい羂索の居た加茂家出身である。
残念な事に術式を持っていなかった自分は禪院家程では無いが落伍者のような扱いであり、上の人間からしたら使い勝手の良い手駒のようなものだ。
そんなある日、ある女性を見かけた。
それは呪霊の子を孕むという特異体質の女、後の世に置いて呪胎九相図と呼ばれる特級呪物の母親でもあった。
既に九度の堕胎によって母体も酷使された上に呪術的処理をされてたせいで人間としての機能を失っていたし、上の人間からの興味も失われていた。
だからこそ、下法と呼ばれる手段に手を染めるのに躊躇はしなかった。
このまま生きても碌な末路を辿れないなら、目の前に力を手に入れるだけの手段があるのなら、自分は悪魔になってやる。
そんな思いに身を任せ、術式を得る為に呪物の制作にかかった。
赤血操術使いの血液に御前試合で採取した十種影法術使いの血液、そして有用そうな術式を持ってる者の血を混ぜて呪霊と交配。結果だけで言うのなら魂を宿さない術式だけの呪物を数体産み落とし、母体の方はその役割を終えた。
そして完成した赤血操術と十種影法術の呪物を取り込んで、自分は生得術式を後天的に獲得したのだ。それからというものの完成した呪物を手に加茂家から逃げ、現在その命を終えようとしていた。
なんのことは無い、特級呪霊の領域に巻き込まれただけである。
「自業自得、か」
崩れていく領域を目に溜め息をつきながら全てを諦める。
獲得した術式の研鑽はした。だが自分にはあまり戦いの才能が無く、この呪霊は自死する縛りを結んでこの領域の崩壊に自分を巻き込むようにしたのだ。
しかもこの呪霊の術式は世界に干渉するという非常に珍しいものだったらしい。
この領域が崩壊すると何が起こるか分からない。
加えてどうにかしようにも傷を負いすぎた。この傷じゃ受け身なんか取れないしその前に死ぬ。
多分、生きてても元いた場所には戻れない。
ならどうするべきか。
「こっちも縛りを結ぶしかない、か」
幸いな事に呪物の作り方は見て来た。
ここで自分を呪物に変えれば生き残れるかもしれない。
そんな思いから自身の魂を呪物へと変える。これで何とか生き残れるだろう。ただ受肉出来るかどうかは分からないし、多分ここで死んでいた方が良かったかもしれないと後悔するかもしれない。
でももし、受肉する事が出来たなら器との共生を選ぼう。
戦うこととかノーサンキュー。呪術の知識を教えて戦う術を教えて、それでも本人が戦うと決めたならその手伝いをしよう。
我、無害な呪物を目指すなり。そしてそのおこぼれを預かる者を目指す。
そんな事を思いながら自らを呪物へと変え、領域が崩壊するのを見届けてから自分は地面へと落下する。
呪物になる直前に見たものは明らかに明治時代のものとは思えないような近代の建物ばかりだった。
※
その日の沢田綱吉は公園でいつものように自転車に乗る練習をしていた。
小学五年生になっても乗る事が出来ずに馬鹿にされ続け、流石に乗れなきゃ不味いと一念発起しての行動だった。とはいえ、動いたところでダメツナである以上、そう上手くはいかない。
何度も何度も転び、それを見ていた子ども達に笑われ、そしてまた転ぶ。
一つ違うのは転んだ拍子に何か凄く不味いものが口の中に入ってしまったこと。
咄嗟に吐き出そうとするも間違って飲み込んでしまい、身体の中からドクンっと心臓が高鳴る音が響いた。
「――――っ、まさか本当に受肉出来るとは…………20年過ぎた辺りで考えるのやめようとしてたのに」
「え、えっ!? だ、誰!? 何でオレの手に口があるの!?」
「おお、新鮮な反応。でもそうだよな。驚くのが普通だよな」
綱吉の左手の甲に現れた口に驚くも、突如現れた口は諭すように綱吉に語り掛ける。
「まあ落ち着いてってのも無理があるか。でもここで話すのもちょっとあれだからさ。少し人が居ないところに行こうか。そうじゃなきゃ話せない事もあるし」
「う、うん…………」
優しく語り掛ける口に綱吉は不気味に思ってしまうが、混乱する綱吉を見る周囲の視線に気まずくなり、自転車を持って人の居ない所に移動する。
すると左手にあった口が綱吉の左頬に移動していた。
「さて、色々と困っているし分からない事があるとは思うからきみの身に起こった事を説明しようか。私は加茂調。きみが産まれた時代のずっと前に産まれた呪術師であり、宇宙人でもある」
「じ、呪術師で宇宙人…………?」
「正確には違うのかもしれないけどね。多元宇宙論って言っても分からないだろうから簡単に言うと、私は呪術という力がある地球という星から沢田綱吉君が暮らしているこの星に来てしまったんだよ」
「お、同じ地球じゃないの? てか何でオレの名前を知ってるんだよ」
「全然違う。私達の地球では存在していたある存在が居なかったからね。まあ今は私が来たせいで出現するようになってしまったみたいだが…………ああ、きみの名前を知ってる事についてはきみの記憶を読んだからさ。同じ肉体を共有する事になってしまったからね」
「な、何でオレの身体に居るんだよ…………! もしかして幽霊!?」
「そう違わない存在だね。私はこの星に来た時、自分の命を守る為に身体を呪物という小さな物に変えたんだよ。その小さな物の中に魂を潜めていたわけだからきみから見たら間違いなく死人だ。でも一応肉体があるからぎり死んでないっていったところだね。まあきみから見れば幽霊で然程間違いでないだろう」
淡々と事実のみを語る幽霊の存在に綱吉は恐怖で思わず喉を鳴らした。
※
いやはや、話していて楽しい。呪術師やってた頃は周りに碌な奴が居なかったからこうして普通の男の子と話せる事が何と新鮮なことか。
脳の記憶を読み取ったけどこの子、あまり勉強が出来ないタイプか。
ただ地頭はそこまで弱くないし、常識もある。
「で、その呪物というものをきみが食べてしまってからこうなったというわけだよ。運が良かったね。飲み込んだものが私じゃなかったら身体を奪われてた事だろう」
「お、オレの身体から出てけないのか?」
「出来なくはないが、その場合きみの小指を引きちぎらなくちゃいけない」
「引き千切るのやだー! ってかオレが飲み込んだのって…………!」
「ああ。私の小指だ」
そう言った瞬間悲鳴を上げる綱吉君に思わず笑ってしまう。
だけど、彼ってこの世界の主人公だった筈。
確か作品名は『家庭教師ヒットマンREBORN!』だっただろうか?
「まあ、うん。きみからしたらとんでもないアクシデントだとは思う。だがこうなった以上、望む望まないに関わらず共生していかないといけない。きみは嫌かもしれないけどね」
「う、うぅ…………災難だ」
「だろうね。だが、まぁそういう運命だったと諦めてくれ」
私が居なくても碌な運命じゃなかっただろうが。
「とはいえ、悪霊としてきみの身体に巣食ってると思われるのも心外だし、メリットを提示しようと思う。きみの身体に住まわせてもらうわけだからね」
「メリット?」
「ああ、きみが私を取り込んだ事できみは私の力、呪術を使えるようになった。所詮超能力というやつだ。先ずそれをきみに提供する。これで気に入らない奴を簡単に殺せるぞ!」
「そんなのいらないよ!!」
「まあ、今のは冗談だ。けどこの先この力を使う必要が出て来るからしっかりと使えるようになった方が良い。次は知識だな、呪術の知識や勉強の知識について教えてあげよう」
「呪術の知識はいらないけど、勉強はちょっと嬉しいかも…………」
「それと、後はそうだな…………すまないが少しだけ身体を貸してくれないか? 後でちゃんと返すし本当に短い、一分だけで良いから」
「え、えっと…………分かった」
私の言葉に綱吉君が同意した事で身体の主導権が自分に移り変わる。
『えっ、えっ!? ど、どうなってんのー!?』
「言った筈だよ。一分だけ身体を借りるって。勿論ちゃんと返すさ」
精神の内側で混乱する綱吉君にそう言って自転車に乗る。
最初は不安定だったがすぐに乗りこなす事が出来、身体にその感覚を記憶させる。
「ほら、返すよ」
「わっ、ほ、本当に戻った…………」
「そういう縛りを結んだからね。それよりどうだい? 自転車に乗れてるだろ?」
「え? ほ、本当だ」
記憶の中ではあんなに転んでいた綱吉君だったが、今ではすんなりと自転車に乗れるようになっていた。
「今のように私が身体を動かして、どのようにやれば出来るようになるのかを私が身体に記憶させる事が出来る。これなら運動とかも少しは上達するんじゃないかな?」
そう言うと綱吉君の顔が少しだけ嬉しそうに見えた。
これならこの状態でも何とかなりそうだ。
でも、一つ…………いや、結構な問題が出てしまった。
この世界に呪力、そして呪霊の概念は存在しない。だが、私がこうしてこの世界に来てしまったせいなのか、私が出現した二十年前から呪力が発生するようになってしまった。
それに伴い、呪霊の存在もだ。
呪霊は呪力でなくちゃ倒せない。この世界の異能がどれだけ強力であっても例外ではない。
要するにやっちまったわけだ。
「前途多難だ」
嬉しそうに自転車を漕ぐ綱吉君の内側で自分が持ち込んでしまった呪力の概念に、思わず吐き気を催してしまった。