冤罪で俺の人生を奪った元恋人が、俺の人生を買いに来た話【完結】 作:ドン・ドナシアン
タクシーが駅前のロータリーに滑り込む。綾子はドアが開くと同時に外へ出た。
円形のロータリーにはタクシーが列を作り、次々と客を降ろしている。周囲には大きなホテルの建物が並び、キャリーバッグを引く旅行者の姿が目立つ。外国人が多い。平日の昼だというのに人の流れは途切れない。
綾子は、小走りに駅舎へ向かった。
ガラス張りの大きな入口を抜けると、構内のざわめきが一気に耳に入る。新幹線の発車案内、空港方面の乗り換え案内、重なり合うアナウンスの声。広いコンコースを旅行客と出張客が絶え間なく行き交っていた。
綾子は腕時計を見た。カルティエの小さな時計は午後二時を少し回ったところを指している。
タイムリミットは、あの電子データの手紙を読んだときから六時間──。
計算すると、十六時半頃になる。
この駅で待ち合わせ場所を把握して、そこに向かう時間は十分にあるだろう。
胸の奥に、ほっとした感覚が広がる。
間に合った。
そして、会える。
だが、綾子は歩きながら、自分の身体を強く意識せざるをえなかった。
なにしろ、スカートの下には、なにもつけていないのだ。
ショーツもストッキングも、自分で脱いできた。
その事実を歩くたびに感じる。人混みの中で、誰にも知られていない秘密を抱えている感覚だった。
会社を飛び出したあと、綾子はまっすぐここへ来たわけではない。
一度、会社近くのタワーマンションにある自宅へ戻っていた。
玄関に入るなり、綾子はすぐに鏡の前に立った。
目の下に薄いクマがある。顔色もあまり良くない。ここ数年、睡眠薬がなければ眠れない生活が続いていた。悪夢を見るのだ。綾子が大樹を裏切って冤罪送りにしたあのときの光景が──。
綾子はコンシーラーを指に取り、必死に伸ばした。さらにファンデーションを重ね、頬に少し色を入れる。唇を整え、髪を直す。
少しでも、まともな顔で大樹に会いたかった。
次に、鏡の前でクローゼットの前に立った。
“ロワシーの館に向かう格好で来い”。
あの画面に表示されたその言葉を、綾子は何度も思い返していた。
フランスのSM文学。『O嬢の物語』──。
ロワシーの館へ連れて行かれ、調教を受けた女は、館に入る前に下着を奪われる。車の中でショーツとガードルを、館の前でブラを脱がされるのだ。
つまり。最初から、それに従うべきだ。
綾子はストッキングとショーツを脱ぎ、続けてブラジャーを外した。
下着のないスーツの下の頼りなさが、綾子の羞恥を誘う。
だが、大樹への服従──。そして、贖罪──。
コインロッカーの場所として示されたのは、最初のデートをした駅。水族館に最も近い改札口だった。
構内の人波の中を歩きながら、綾子の記憶が不意によみがえった。
高校一年の五月の連休が最初のデートだった。
待ち合わせは、この駅。
改札の前で落ち着かずに立っていたとき、後ろから『一ノ瀬さん』と声がかかった。
振り返ると、高校生になったばかりの大樹が少し照れたように立っていた。
まだ互いに名字で呼び合っていた頃だ。
『ごめん、待った?』
大樹の申し訳なさそうな言葉に、綾子は首を振った。
『ううん。そうでもない。黒木くんとそんなに変わらない』
そう答えるだけで胸がいっぱいだった。実際には愉しみにしすぎて、一時間以上も前に着いてしまい、近くのファーストフードで時間を潰してさえいたのだ。
綾子は、駅を進みながらゆっくり息を吐いた。
あのときの眩しいほどに純粋だった恋心を、自分は無惨に壊した。
冤罪──。
大樹を信じず、彼を陥れた男の言葉に従った。
もしも、あの時に戻れるなら、やり直したいなどとは思わない。そんな女は、殺されても当然だ。
だが、その女こそ、自分なのだ。
綾子は歩きながら、壁際のコインロッカーを見つけた。
指定された番号を探す。
だが、見当たらない。
列の端から端まで確認しても同じだった。
血の気が引くのを感じた。
綾子は、スマートフォンの画面をもう一度見た。
数字は間違っていない。
それでも、このロッカーには存在しない番号だった。
そのとき、記憶が重なった。
あの日──。
そう言えば、「黒木くん」は言った。人の多い改札口前じゃなく、改札の中で待ってると──。
記憶を思い起こせば、「黒木くん」は、ホームから階段をあがったところで声をかけたのだ。
綾子は顔を上げる。
いま見ていたロッカーは、すべて改札の外にある。ここではなかったのだ。
綾子は改札へ向かった。
ICカードをかざすと、ゲートが静かに開く。
構内の奥へ進み、人の流れの裏に隠れるような場所にロッカーの列を見つけた。
綾子は番号を確認した。
あった──。
指定されたロッカー。暗証番号を入力する。
小さな電子音が鳴って、ロックが外れた。
綾子の呼吸が、一瞬止まった。
中には封筒がひとつと、一個の鍵があった。
それらを手に取り、封筒の中にある手紙を読む。封はされてなかった。
“綾子へ。
ロワシーの館に入りたいのなら、仕方がない。付き合ってやる。
君がそんなことを望むとは思わなかったがな。
『O嬢の物語』は知っているだろう。
ロワシーに入る女は、最初にすべてを奪われる。
O嬢は、バッグと下着を奪われた。
しかし、君には、もう少し相応しい姿になってもらう。
いま着ている服のうち、一番外側の布だけを残せ。
それ以外のものは、ここで全部脱げ。下着は当然だが、ブラウスもインナーも全部だ。O嬢が革のシートに直接肌を触れさせて座らされたように、肌に触れる布は一枚だけになる。
バッグもスマートフォンも、脱いだものも含め、持っているものはすべてロッカーに入れ直せ。
二十四時間分の料金を払い、鍵を閉めろ。
君が持ち出していいのは、封筒に入っているICカード一枚だけだ。この手紙さえも許可しない。
ロッカー代もそこから払え。金は多く入れていない。無駄に使うな。
次の場所は──俺たちが初めて愛し合った場所だ。
封筒に入っている鍵は、その場所の鍵だ。
君が俺とのことを忘れ去ってなければ、簡単に場所はわかるはずだ。
なお、後ろを振り返るな。君は今も監視されている。どこから見られているかは、君には絶対にわからない。次の場所になにもなかったら、君がロワシーに入る資格がなかったということだ。
この命令に従うつもりがないなら、その手紙と鍵をゴミ箱に捨てて帰れ。
元いた場所に戻ればいい。
だが、この馬鹿げたゲームに参加してロワシーに入りたいのなら、ここで指示した格好になれ。
しかし、ロッカーから離れた時点で、ゲーム放棄と見なす。
最後に、もうひとつだけ告げておく。
ロワシーの女になれば、後戻りはできない。
すべてを失う覚悟があるなら、先に進むといい。
大樹“
綾子は封筒の中からICカードを取り出した。
薄いプラスチックの板は、駅の照明を受けてわずかに光る。それを指先で確かめるように持ちながら、もう一度、手紙に目を落とした。
『ロワシーの館に入りたいのなら……付き合ってやる──』
命令ははっきりしている。
最初の遊戯は、ここで一番外側に着ている布だけを残し、ほかをすべて脱ぐことだ。
綾子は静かに顔を上げた。
ロッカーは構内の喧噪の裏に隠れるような壁際に並んでいる。足を止めて中を覗き込む人間はほとんどいない。コンコースのざわめきは遠く、ここだけが少しだけ空気の薄い場所のようだった。
すでに下着とストッキング、ブラも脱いできている。マンションを出る前に、自分の手で脱いできた。
だから残っているのは、スーツとブラウスとインナーだけ。
時間はかからない。
綾子は、さらにもう一度、手紙を見た。
『ゲームに参加するつもりがないなら、ここで捨てて帰れ──』
読んで、少し笑ってしまった。
そんな選択肢があるはずもない──。
だが、理不尽な命令だ。
人の目の届く駅の構内で服を脱げというのだ。
しかも、裸の上にスーツだけを着れば、一応は隠れるかもしれない。だが胸の谷間は剥き出しになる。かなり煽情的な姿だ。綾子の歳でそれをすれば、痴女にしか見えないだろう。
だが、その理不尽さこそが、綾子を救ってくれる気がした。
大樹が命じている。
それだけで十分だった。
むしろ、もっと理不尽で、もっと残酷でもいい。
十年前に裏切り、すべてを壊した相手だ。その男が、いま自分に命令している。
その手によって、すべてを奪われるのなら──。それは罰ではない。綾子にとっては、むしろ望んでいたことだった。
綾子は一度だけ周囲を見渡した。
キャリーバッグの車輪の音が遠くを通り過ぎていく。
足音はあるが、ここに足を止める気配はない。
問題はない──。
綾子は迷わなかった。
肩からバッグを外し、ロッカーの奥へ押し入れる
続いて、春コートの前を外し、肩から滑らせる。軽い布が腕を離れ、手の中に落ちた。軽く畳んで、同じようにロッカーの奥に押し込む。
綾子は、もう一度周りを見る。そして、神経を研ぎ澄ましながら周囲に気を配り、まずはスーツのジャケットを脱いでロッカーの扉に掛けた。
そして、ブラウスのボタンに手を掛けた。
ロッカーの扉に掛けたジャケットに身体を寄せ、素早くブラウスのボタンを外していく。
構内の喧噪が、すぐ向こうで渦を巻いている。
キャリーバッグの車輪が床を転がる音──アナウンスの声──人の足音──。
そのすべてを背中で聞きながら、綾子の指は止まらなかった。
最後のボタンが外れる。
ブラウスを肩から滑らせる。
布が腕を離れ、そのままロッカーに押し入れる。
薄いインナー一枚だけだった。ブラはない。
すぐに裾に指を掛ける。
ためらう暇はない。
胸を覆っていた最後の布が、そのまま頭上へ抜けた。
冷たい空気が直接肌に触れる。
綾子は素早くジャケットを手に取った。
腕を通し、肩まで引き上げる。
布が胸元に落ちたが、前を整えても、深く開いた襟元から谷間がはっきり覗く。
裸の上にジャケットだけを着た女。
誰かに見られれば、どう見ても普通ではない姿だった。
羞恥で頬が熱を帯びていた。
だがその熱は、恐怖だけではなかった。
大樹の命令だ──。
そして──それを望んだのも、綾子自身──。
この羞恥は、綾子への罰──。
それが、これほどの歓喜を呼び起こすとは思わなかった。
スーツの内側に触れる乳首が痛いくらいに尖っていた。
綾子は、許されているたった一枚のICカードを強く握り、ロッカーの陰からコンコースへ歩き出した。
すれ違う人間の奇異な視線が、自分の胸元に触れていくのをはっきり感じる。
スマホもない。財布もない。許されたのは肌の上にスーツだけを直に着ることだけ──。まるで裸で歩かされているような気分だった。
こんなに頼りない気分になるのは──随分と久しぶりだった。
都心から県境を辛うじて越えた駅近くにある古いアパートの前で、綾子は足を止めた。
かなり年代物だが、二階建てのありふれた建物だった。
ベランダには洗濯物が干され、どこかの部屋からテレビの音がかすかに漏れている。
ただ、近くに新しいアパートが建ち並んでおり、この古アパートで人が暮らしていそうなのは、六部屋のうちの半分くらいだろうか。
外から眺めながら、手の中に握っている鍵を見た。
ロッカーの中に封筒に入れていた鍵だ。
部屋番号の書かれた札がぶら下がっているので、目当ての部屋はわかる。その部屋自体は、誰も住んでいない空き部屋だった。
かつて、大樹と暮らした場所──。
部屋番号など忘れていた。
だが、ここに来ればわかった。示されている部屋は、間違いなくあの頃暮らしていたのと同じ部屋だった。
まだ、あったのだ。
大樹と初めて愛を交わした場所──。
付き合い始めたのは高校一年からだったが、初めて身体を重ねたのは、もっとずっと後だった。
大学に入ってから……。このアパートだ。
高校を卒業して、同じ大学に入った綾子たちは、ふたりでここに住み始めた。狭い部屋だったが、あの頃の綾子たちには十分だった。
大学二年のとき、ふたりで会社を作ったときに、登記の書類を書いたのも、このアパートの部屋だ。
綾子は小さく息を吐いた。
階段をあがっていく。
空き部屋に鍵を差して入るという行為は、どこか不法侵入の罪悪感を綾子に抱かせた。
部屋の前に着くと、綾子は素早く鍵を差し込み、静かに回した。
錠が外れる。
扉を押し開けると、部屋の中はがらんとしていた。
家具はなにもない。
長く使われていない部屋の、乾いた埃の匂いが残っている。
綾子は靴を脱いで中に入った。
人気のない部屋に入るとほっとする。
裸の上にスーツだけを着て歩くという格好は、想像していた以上に心許なかった。
胸元は深く開き、ジャケットの内側では乳首が布に触れている。
人の視線が向くたび、その存在を思い知らされる。
持ち物もない。スマートフォンも財布もない。
許されたのは、たった一枚のICカードだけ。
ホームに立つ間も、周囲の視線は気になった。
誰も綾子の事情など知るはずもない。それでも、通りすがる人間の目が自分の胸元やストッキングのない脚に落ちているような気がしてならなかった。
電車が来て、乗り込んだ。
胸を上から見られるので、座る勇気はなかった。
できるだけ端に寄り、立ったまま吊り革を握る。
身体が揺れるたび、ジャケットの内側で乳房が布に擦れた。
そのたびに、綾子は小さく息を止めた。
こんな姿で人混みの中に立っている──。
その事実が、じわじわと羞恥を広げていく。
一度、ターミナル駅で降りて、電車を乗り換える。やがて、住宅街の中の駅に着いた。改札口を出て歩く。
道順は頭よりも感覚で覚えていた。古いアパートが見えたとき、綾子はすぐにわかった。
ジャケットの内側で、まだ乳首が布に擦れていた。
部屋を見て歩く。すぐに開いている押し入れの中には、封筒があることに気がついた。
中には、数枚の紙が入っていた。
一枚目から読み始める。
しかし、読み進めていくうちに、綾子の胸の奥にあった昂揚が、ゆっくりと冷えていく。
そこに書かれていたのは──大樹が受けた地獄だった。
“綾子へ。
この部屋に来たなら、ここがどこかはわかるはずだ。
初めて愛を交わしたのは、大学一年の春。奥手の俺たちは、大学に入ってやっとここで愛し合ったんだ。
そして、大学二年の春だったな。俺たちはここで会社を作った。
覚えているか。
狭い六畳の部屋で、ノートパソコンを並べて、夜通しコードを書いた。
世界を変えるようなソフトを作るんだと、本気で思っていた。
その隣で、お前がコーヒーを淹れてくれていた。
俺は馬鹿だった。
あの頃の俺は、自分が作ったものが、きちんと世の中に評価されると信じていた。
努力すれば、報われると信じていた。
だが現実は違った。
お前も知っている通りだ。
俺は冤罪で逮捕された。
お前は面会すら来なかった。
だが、裁判はそれでも進む。
有罪になった。
刑務所に入った。
ここから先は、お前は知らないことだろう。
刑務所という場所がどういうところか、知っているか。
人間が人間でなくなる場所だ。
最初の夜、俺は殴られた。
理由なんてない。
新入りだからだ。
飯を食っていれば横から奪われる。
文句を言えば殴られる。
それが毎日続く。
もっと酷いこともある。
夜だ。
見張りの目の届かない隅に連れて行かれる。
男たちに押さえつけられる。
お前には想像もできないだろうな。
男に犯されるんだ。
それが毎晩続く。
連中は性欲のためにするんじゃない。
ただの娯楽だ。
俺はそのとき、やっと理解した。
人間の尊厳なんてものは、簡単に奪える。殴られるよりも、そっちの方がきつかった。
ああいうことが何度も続けば、人間は壊れる。
俺も壊れかけた。
だが、壊れなかった。
壊れないために、俺は強くなるしかなかった。
殴られないようにするためには、殴り返すしかない。
舐められないようにするためには、もっと凶暴になるしかない。身体を鍛えた。闘い方を覚えた。
気がついたときには、俺は別の人間になっていたよ。
刑期が終わって外に出ても、まともな仕事なんてない。
前科者だ──。
履歴書を出しても、面接すらしてもらえない。
食うためには、汚れた仕事をするしかなかった。刑務所で鍛えた腕っぷしが役に立つことが多かった。そういえば、男の性の相手もしたことがあるぞ。結構、小遣いになるしな。
俺はそうして生き延びた。
その間に知った。
俺が作ったソフトのことだ。
西園寺グループの新事業として、世に出ていた。
お前は知っていたのか?
それとも、本当に知らなかったのか?
いまさら、どちらでもいいが。
ただひとつだけ言える。
俺の人生は、あのときに終わった。
この部屋で夢を見ていた男は、もういない。
お前の知っていた黒木大樹という男はもう存在しないんだ。
それでも、お前は言ったな。
償わせてほしいと。
俺に復讐してほしいと。
馬鹿なことを言うな。
復讐というものが、どういうものか、お前はなにも知らない。
ままごとのようなSMごっこじゃない。ここに来るまで恥ずかしかったか?
でも、それは復讐どころか、SMごっこにも入らないぞ。
本当にやるなら、こうしてやる。
お前を拘束する。
抵抗できないようにして、男どもに順番に犯させる。
浮浪者でもいい。金を渡せば、いくらでも集まる。
精液まみれになったお前を、街の真ん中に転がしておく。
小便もかけてやる。
その様子を撮影して、ネットに流す。
西園寺グループの女役員が輪姦された映像として、世界中にばらまく。
それが復讐だ。
その覚悟があるなら──来い。
十七時までだ。
待ち合わせの駅にもロッカーを用意してある。中には淫具が入っている。装着すれば、暗証番号がないと外すことはできない。
これが最後の機会だ。
中途半端な覚悟で来るな。
「なにをされてもいい」などと、軽々しく言うな。
本当に来るなら、お前はもう人としての尊厳を捨てることになる。
それでも来るなら──キッチンの上を開け。
俺が待っている場所と詳しい待ち合わせ位置。淫具の入っているロッカーの場所と番号。そして、暗証番号がかいたメモが入っている。
ロワシーの館に入ったO嬢は、身体を洗われ、覚悟の証として、拘束用の首環と腕輪を装着された。
首環はないが、メモを受け取ることが、お前の証と思え。
もう一度書く──。
償いなんてできると思うな。
だが、毀してほしいというのであれば、望み通りにしてやる。
場所はキッチンの上だ。
大樹“
綾子は迷わなかった。
手紙を押し入れの上に戻し、次の場所のメモを探すために、キッチンに向かった。
覚悟ならある。
大樹が作る地獄なら、そここそ、自分が向かうべき場所だ。