※この作品はR-18です。

様々なNTRの刺客がいるこの世界で、俺は彼女たちの絶対的な王になる   作:柊咲

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第20話 新しい生活を

 

 

 

「これはいいな」

 

 

 

 メリナとリリアの謎の争いは両者の息切れと共に幕切れとなった。

 馬車の乗って移動すること数十分、俺は広大な自然の地に立っていた。

 

 そしてこの光景に感動していたのは俺だけではなかった。

 

 

 

「やっと、やっと帰ってこれたのね……!」

 

「雨風で壁とか壊れてない? ああ、良かったぁ!」

 

「畑の野菜は一からだけど、それでもそのままならやり直せるわね」

 

 

 

 俺たちと共に来たのは他の、元々ここで住んでいた女性たちだ。

 俺が暮らしていた村での印象から年齢層は高い者たちが農業や酪農をするのだと勝手に思いこんでいたがそうではなく、ここに戻ってきた五十名ほどの女性全員が十代から二十代だった。

 メリナ曰く「力仕事は若い子の役目ですので」と言っていた。

 村で俺やユウガ以外に若い男手がいれば、老人たちもそういう考えを持っていたかもしれない。

 

 

 

「マキシム様、こちらへ」

 

 

 

 共に付いて来てくれたメリナに案内される。

 自然豊かな広大な平原だった場所には、既に一緒に連れて来た牛や羊などが自然を楽しんでいた。

 賑やかな街の雰囲気も良かったが、こういう自然もやはり悪くない。

 

 

 

「こちらです」

 

 

 

 そして案内されたのは一軒の三角屋根の家屋だった。

 

 

 

「ここは?」

 

「わたしがあの四人と暮らしていた家です」

 

「もしかして、ここで暮らすのか?」

 

「ええ。他の家はみんな元の家主が住んでいますから。今のとこ確認するかぎりでは空き家はここしかありません」

 

 

 

 と、言われたが、男である俺がここに住んでいいものなのか。もしかしたらあの三人が急に帰りたくなったりするんじゃないか。 

 そんなことを考えていると、扉を開け、家の中を見ながらメリナはエメラルドグリーンの巻き髪を風に靡かせる。

 

 

 

「安心してください、許可は取っていますから。それに、わたしとしてもここが良かったんです。ここに帰ってきたかったのです」

 

 

 

 彼女にとってもここは大切な我が家か。

 俺は頷き、家の中へ足を踏み入れた。

 

 二階建ての家の中の雰囲気は当時のままだった。

 テーブルの上に置かれたままの花瓶に、壁にかけられた当時は使っていたのだろう四人の当番表。

 ただ、テーブルの上は埃が積まれ、花瓶の花は枯れ、当番表の日付はずっと前のだとわかる。

 

 

 

「今すぐ掃除をしますので、マキシム様は休んでいてください」

 

 

 

 メイドとして張り切るメリナだが、彼女の持つほうきを取り上げる。

 

 

 

「俺もこの家で世話になるんだ、手伝うぞ」

 

「ですが」

 

「メリナが掃除している間、俺は何をしていればいいんだ? メリナが終わるまでボーっとして待っているんだったら、屋敷での暮らしとなんも変わらないだろ」

 

 

 

 そう言って掃除を始める。

 

 

 

「わかりました。ですが、メイドとして掃除の合格基準は厳しいですよ?」

 

「なに?」

 

「もしマリディナ様だったら、生半可な掃除ですと絶対に許してくれませんから」

 

「それは困るな。じゃあ今だけ、メイドとしてのメリナじゃなくお嬢様口調のメリナに戻ってもらえないか?」

 

「なっ! あ、あれは、忘れてください……」

 

「恥ずかしいのか? あれはあれで可愛かったけどな」

 

「か、かわ……!?」

 

 

 

 顔を真っ赤に染めたメリナは掴んだほうきをにぎにぎしながら俺を見つめる。

 

 

 

「マキシム様は、どっちの方が接しやすいですか……?」

 

「そうだな、素のメリナの方が話しやすいかもな。メイドとしての堅苦しい話し方だと監視されていた頃を思い出す」

 

 

 

 特にマリディナの鋭い視線で監視された時を思い出す。身震いする。だから素のメリナの方が接しやすいと思った。

 

 

 

「で、では、素のわたくしで……」

 

「ああ、それでよろしく頼む」

 

「かしこま……こほん、わかりましたわ。ですが、マリディナ様にはこの事は内緒でお願いしますね。マリディナ様にバレたら長い長いお説教が待っておりますので」

 

「それは嫌だな」

 

「ええ、そうなんですの。マリディナ様は──」

 

 

 

 それからメリナは鬱憤が溜まっていたのか、口数多く普段の愚痴を吐露していた。

 その表情は年相応の少女っぽく、まるで姉のメイド服を借りて着ているようだった。

 

 そして掃除が終わったのは、夜がすっかり暗くなった頃だった。

 

 

 

「ふぅ、やっと終わりましたわ。お疲れ様でした、マキシム様」

 

「メリナもな。畑仕事は明日からか?」

 

「ですわね。ちなみに元から所有していた畑ですが、二人で育てられそうな範囲以外の畑は他の方にお譲りしましたので。いくら体を動かしたいと言っても、過労で倒れたら元も子もありませんからね」

 

「そうだな。じゃあ今夜は」

 

「あ、あのですね」

 

「ん?」

 

 

 

 イスに座ったメリナが水色に輝く瞳を右往左往させる。

 

 

 

「お風呂のことなのですが」

 

「そういえば家の中になかったな」

 

 

 

 屋敷ではシャワー室があったからそこを使っていた。

 だが、この家屋には湯船もなく、それらしい場所がそもそもなかった。

 

 

 

「実はですね、ここで暮らす住民はみんな、近くで沸く温泉で入浴することになっているんですの」

 

「温泉?」

 

 

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