様々なNTRの刺客がいるこの世界で、俺は彼女たちの絶対的な王になる 作:柊咲
俺が育った村の近くにも温泉はあった。
とはいえそこは山の中にある小さな場所で、狭い樽の桶の中でしゃがんで入浴するタイプのがいくつかある程度だった。
一般的な屋内にある風呂と変わりなく、むしろ窮屈だったから、別に温泉という響きに魅力は感じなかった。
今までは。
「これは……」
処女宮の結界の奥に広がる星空。
脱衣所で服を脱ぎ、明かりで照らされた石畳を歩いて外に出ると、湯気が立ち込める世界が広がる。
俺の知る温泉とは遥かに規模が違う世界。
足を伸ばしても、というより、泳ぐのだって余裕なほどの広さだった。
「俺が今まで入ってきたのは偽物だったみたいだな」
「マ、マキシム様!」
感動していると、メリナがぺちぺちという足音を響かせながらこちらへと近付いて来る。
彼女の瑞々しい肌は真っ白なバスタオルで包まれ、いつもの巻き髪もゴムで纏められていた。
いつもとは違った雰囲気の彼女はバスタオルを俺に差し出す。
「体、隠してください!」
「え、あ、ああ、すまない! つい村での癖で」
「もう……。今まではそれで良かったかもしれませんが、ここではマキシム様以外、みんな女性なんです。そこのところ、自覚してくださいまし」
バスタオルを受け取り体を隠す。
とはいえ、どうやって、そもそもどこを隠すべきなのかわからなかったので首を傾げる。
「わたくしがして差し上げますから、マキシム様はそのまま……」
目前でしゃがむメリナは、俺の下半身にタオルを巻く。
「……これが、男性の」
外の冷えた空気とその側にある温泉の影響か、メリナは頬を赤く染めた。
顔を横に向けた彼女だが、視線は男性にしかない部分を凝視していた。
「メリナ、その、後は自分で」
「い、いえ、ここまでやったら、わたくしが」
とはいえ、そこまでジロジロと見られると俺としても意識してしまう。
自然と反応したそれはメリナの小さな顔の前で大きく跳ねる。
「あ……っ!」
触れたか触れなかったか。
それは俺にはわからない。
寒さと体の熱のせいで感覚が薄れていた。
ただ当たったかどうかに関係なく、メリナはゆっくりと顔を上げる。
「マ、マキシム、さま……えっとその、こんな風に大きくされると、タオルを巻くの……難しい、ですわ」
「いや、これは」
「もちろんその、責めているわけではないんですわ。こ、これは、男性としての生殖本能だと、マリディナ様からも聞いておりまして」
喋り方が素の彼女とメイドの彼女が混ざり合ってぎこちない感じになっていた。
「マリディナ様から、マキシム様はこうなると伺っておりまして……」
「マリディナ様から?」
まさか例の話を?
そう思って一歩後退しようとしたのだが、メリナの両手がその動きを止めた。
「えっと、ですね……マリディナ様より、こ、こうなった場合、メイドとして、その、対処するようにと……言伝を、受けておりまして」
「メリナ、それはだな」
「ご、ご安心くださいまし。このメリナ、ララフレア様にも、奉仕が上手だと褒められていますので……で、ですから、男性のモノの扱い方も、す、すぐ、上手になりますから」
メリナは上目遣いで俺を見つめる。
「お任せください、マキシム様……」
吐息が混じった声で言われる。
なんとなく断るべきことなのだろうが、俺は顔を上げ、マリディナにされたことを思い出すと断るという選択肢がいつの間にか消えていた。
数秒の沈黙。
メリナはそれを承諾と受け取ったのか、
「ふぅ、ふぅ……」とゆっくりと呼吸すると、小さな口を大きく開け──
「──あっ、いたいた!」
が、そこで大きな声と共に大勢の足音が響く。
脱衣所から出てきたのは、この辺りで暮らすことになった他の女性たち──それもおそらく全員なので、およそ50名ほどだった。
「な、な、なんですの!?」
メリナが驚いたような声を出す。
「やっほー、メリナ。お邪魔するね!」
「お邪魔って、わ、わたくし、言いましたわよね!? この時間は、マキシム様が入られるので女性は遠慮するようにって!」
「うん、言ってたね。でもさあ、ねえ……?」
周囲の者たちに顔を向けると、彼女たちはニヤニヤとした笑みを浮かべる。
「そう言われると逆に気になるっていうか」
「男の体を間近で見ることなんて生まれてから一度も見たことなかったしさ、ちょーっと見て、あと触ってみたいなあ、なんて」
「な、ななな、なにを言ってますの!? 男は危険な生き物だと、みんなも散々──」
「──でもでも、その人間族の男はいい男なんでしょ? ララフレア様のお墨付きだって」
「うっ!」
メリナが苦しそうな声を漏らす。
「ってことは、別に無理して遠ざける必要ないんじゃない?」
「そうそう、それにこれからはご近所さんなんだし、みーんなで仲良くしないと。ねえ?」
「で、でも……」
「あー、もしかしてメリナ、この人間族の男を一人占めしようとか考えてたんじゃないの!?」
「は、はあ……!? 何を、馬鹿なこと……わ、わたくしは、みんなが怖がると思って、それで時間を分けようと」
「ん、じゃあ怖がらないから一緒でいいよねー!」
大勢の女性たちが近付いてくる。
「ぎゃふん!」
メリナの小さい体を押しのけ、俺の周りを囲う。
「わあ、服の上からでも思ったけど、人間族の男ってこんな背が大きいんだ!」
「これ筋肉? うわ、胸がおっぱいと違う膨らみ方してる!」
「本当だ! ねえねえ、マキシムさん、触ってもいい!?」
「なに、触るだと? あ、ああ、まあいいが」
「わーい! きゃっ、すっごく固い!」
「お腹も凄いよ! まな板みたいな固さ!」
「ねえ、脚を見て! ボコッ、ボコッ! ってなって破裂しそうなぐらいパンッパンッ!」
首、腕、胸、腹、脚。
体の様々な箇所を好き放題に彼女たちの細く少し冷たい指が蹂躙する。
他人に触られるというのは変な感じなのだが、なぜか悪い気分ではない。
なんなんだ、この状況は……。
「あれ?」
と、一人の女が首を傾げる。
「ねえ、ここ何か変なの付いてる!」
指差して笑ったのは、男の象徴でもある部分だった。