※この作品はR-18です。

様々なNTRの刺客がいるこの世界で、俺は彼女たちの絶対的な王になる   作:柊咲

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第4話 鳥籠の中の世界

 ──ここは大きな鳥籠の中。

 

 たくさんの鳥がいて、たくさんの餌がある。

 毎日が平和で、不便なことなんて一切なかった。

 けれどそれだけ。

 平和なのはいいことだけど、退屈な日々。

 

 昨日の景色を今日も見た。

 

 一昨日の景色も今日も見た。

 

 きっと、明日見る景色も今日も見たはずだ。

 

 どんなに遠くまで飛んでも見える景色には限界がある。

 それでも鳥籠を出られれば、まだ見ぬ景色がそこに広がっていた。

 窮屈な世界に縛られた鳥たちは、自然と鳥籠の外に憧れを持つようになった。

 

 だけど、鳥籠から出ることは許されない。

 

 周りの鳥たちも『鳥籠から出たら駄目!』と言う。

 それでもやっぱり外の世界がよく見えた。

 だって、ずっと先まで空が広がっているんだから。

 手を伸ばせば、足を踏み出せば、羽ばたいてみたら、まだ見ぬ景色がそこに広がっている。

 だから勇気を振り絞って、一羽の鳥は羽ばたいた。

 

 ──そして、その鳥は簡単に鳥籠から出られた。

 

 どこまでも続く空、見たこともない姿の鳥たち。

 鳥籠の外にいた鳥たちは、優しく声をかけてくれた。

 

 そしてその声に導かれるように付いて行った。

 

 憧れた外の景色。

 だけど外に出て初めて知る、この鳥籠の中は退屈だけど安全だったんだと……。

 

 

 

「みんなの言う通り、鳥籠の外はやっぱり怖いとこでした」

 

 

 

 おそらく夜。

 寝袋の上に座ったリリアはそう言った。

 悲し気な表情に、全身は微かに震えていた。

 

 

 

「あのまま捕まっていたら、今頃わたし……」

 

 

 

 そこまで言ってから、リリアは無理に笑ってみせた。

 

 

 

「でもでも、外の世界は怖いだけじゃなかった! こうして、マキシムさんのような優しい男の人に出会えましたから!」

 

 

 

 それは本心なのか。

 きっとそうだと思う、というより、そうであれば嬉しい。

 

 

 

「俺も、リリアと出会えて良かった」

 

「ふふ、良かったです、そう言ってもらえて」

 

 

 

 両脚を抱えて丸くなるリリアは、頬を赤く染め、ピンク色のショートカットと全身を揺らす。

 

 

 

「マキシムさん、傷は大丈夫ですか?」

 

「ああ、問題ない。ただ外の景色が見えないのはな」

 

「空気も悪いですしね。早くここから出られたらいいですが、たぶんララフレア様次第かなって」

 

「ララフレアって、あの女のことか」

 

 

 

 一応だが俺を助けてくれた女だ。

 

 

 

「だけど、ララフレア様がマキシムさんの味方をしてくれたのか不思議です。なんだか嫌な予感がするんです」

 

「嫌な予感?」

 

「ララフレア様は少し……というより、かなり変わった方らしくて。頭が物凄く良い方という評判以上に聞くのが、とーっても腹黒いらしいんです」

 

「腹黒い……」

 

「そんな方が何の理由もなく人助けを……それも、人間族の男のマキシムさんを助けてくれたのが不思議で。何か助けてくれた理由があるんでしょうか」

 

 

 

 俺を助ける理由か。

 まあ、見当もつかないな。

 

 

 

「考えていても仕方ないですよね! 疲れたから、もう寝ましょうか!」

 

 

 

 漏らした言葉がどれも不安を煽るものだからなのか、リリアは話を止めて寝袋の中に入る。

 寝るといっても何もない床に寝るのもな。

 

 

 

「マキシムさん、あの……」

 

「どうした?」

 

 

 

 寝袋から顔を出したリリアが手を伸ばす。

 

 

 

「手を、繋いでもいいですか……?」

 

「手?」

 

「……その、目を閉じたら、体が震えちゃって」

 

 

 

 笑ってみせたが、きっと村での光景を思い出すのだろう。

 俺は鉄格子に背を付け座ると、リリアへ手を伸ばす。

 

 

 

「ああ、それで落ち着くなら」

 

「あ、ありがとうございます……」

 

 

 

 温かいリリアの手。

 リリアは俺の手の平を指先で押したりこねたりする。

 

 

 

「マキシムさんの手、大きいですね」

 

「そうか? まあ、リリアのに比べたらな」

 

「大きな手。すっごく、落ち着きます。これで、ぐっすりと寝られると思います」

 

「こんな硬い床でか?」

 

「この寝袋、意外と柔らかいんで大丈夫です」

 

 

 

 あの、とリリアは言う。

 

 

 

「助けてくれて、ありがとうございました」

 

「何度も聞いたぞ」

 

「それでもです。何度でも、言いたいんです……」

 

「ふっ、じゃあ、何度でもどういたしましてって言ってやるよ」

 

「はい、言ってください。じゃあ、おやすみなさい、マキシムさん」

 

「ああ、おやすみ、リリア」

 

 

 

 リリアは目を閉じた。

 だから俺も目を閉じる。

 

 今日一日で多くのことが起きた。

 それに、見える景色も変わった。

 明日からどうなるかわからない。現状は最悪に近い。それでも、今までの退屈な日々とは違い予想することのできない明日だから、楽しみに思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ♦

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「起きなさい」

 

 

 

 遠くから声が聞こえた。

 

 

 

「起きなさい、二人とも」

 

 

 

 目を開けると、そこにはララフレアがいた。

 

 

 

「ん、お前は……」

 

「おはよう。あなたへの処罰が決まったわよ」

 

 

 

 寝ぼけた頭のまま、言葉の続きを待った。

 ララフレアは口元を扇子で隠したまま、俺をジッと見つめる。

 

 

「ごめんなさい。残念ながら、死罪という決断が下されたわ」

 

「え、え……?」

 

 

 

 ボーっとしていたリリアの頭が一瞬で覚ます。

 

 

 

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