※この作品はR-18です。

超かぐや姫ss   作:扇 漱真

3 / 9
ヤチいろ ヤチヨが『何度も』巡り会う話

もしも、君に巡り会えたら。

答えのない毎日がただ過ぎてゆく。この世界にいる何億という人の中からたった一人を待つ。それはそれは意識が遠のく程に辛い事。

独りぼっちで海岸で泣いた事も。

見知らぬ生物に潰されかけた事も。

焼け野原をただ呆然と眺めた事も。

人の素晴らしさも。

人の愚かさも。

『何度も』、『何度も』、『繰り返すように』。

静かに移りゆく遠い記憶の中でわたしはずっと見てきた。

ただ一人に出会う為に独りでずっと進み続けた。

 

『この一瞬を最高のパーティーにしよう』

 

蘇る、思い出の歌。

今もこのココロの中に優しく火を灯す様に。彩葉がツクヨミにやって来たとこは昨日の事のように覚えてる。闇夜のように暗い電子の海の底でたった一人に振りまいていた歌が届いていると知った時、わたしはどれだけ嬉しかっただろう。

 

『うぇぁ!?ヤ、ヤチヨ!?本物だ…!っあ!ず、ずっとファンなんです!昔からずっと推してます!曲とか全部聞いてて…グッズとかはあんまり買えてないんだけど、でも配信とかアーカイブは見逃してなくてライブも全部っ……って、これチュートリアルか…何一人で舞い上がってんだろ…恥ず…』

 

その言葉を聞いただけで、わたしはココロがときめいて、シンゾウが破裂しそうな気分になった。

久しぶりに生きている喜びを感じれた。

だけどそれももう、遠い昔の話。

だから記憶の中から呼び起こす。

『何度も』、『何度も』、『繰り返す』。

 

 

 

・・・・・・『───』・・・・・・*

 

 

 

「…………」

 

今日もわたしは相変わらず、ベランダで夜風を浴びていた。見下ろせば街の灯りが、見上げれば月明かりがこの世界を灯している。時々月を見ていると引き込まれそうになってしまう。まるで向こうがこちらへ手を伸ばしているかのように自然と足が月へ向かいそうになる。

そういう時は決まって満月だ。

だから、それが嫌でわたしは月を見上げることをあまりしない。一番好きなのな三日月。一番不安になるのは満月。彩葉も少し抵抗があるって言ってたっけ。かぐやが消えた時のことを思い出す時があるらしい。

 

「まだ、戻れたりするのかな?」

 

夜空へ、月へ、手を伸ばしてわたしは呟く。

月へ帰る。全く考えないなんて事もなかった。けれど、月の気配すらも察知出来なくなったわたしはもう向こうの住人じゃない。それでももし、この世界でまた独りぼっちになるぐらいならわたしはこの月明かりの道標に照らされる月人となっても───

 

「ヤチヨッ!」

「っ!?」

 

そうして、誰かがわたしの手を引いて、わたしの名前を呼んだ。あまりにも大きな声だったから、びっくりして我に返ってしまった。振り向くとそこには彩葉が居た。

 

「なに…してんの…」

「…え?」

 

気づけばわたしはベランダから身を乗り出そうとしていた。必死の形相の彩葉とかぐや。震えた小さい怒りの声にわたしは自分が何をしようとしていたのか理解するのにほんの少しだけ時間がかかった。

誰にも言えない様なことはわたしだってまだ持っている。夢も理想もある。彩葉達に話してない事は結構ある。それを咎めるようにわたしの手を引く彩葉がこちらを見つめていた。

 

「本っ当に!こういうの心臓に悪いから止めて、ヤチヨ」

「ヤッチョ〜…飛び降り自殺はダメだよぅ…」

「ごめん…ごめんね、二人とも。ちょっとぼーっとしてました…」

 

かぐやがわたしを抱きしめる。彩葉がわたしの手を握る。

あまりにも出過ぎた事をしてしまった。彩葉達の切羽詰まった表情がそれを物語っている。この体を手に入れてからもう半年程。わたしはもうツクヨミの中だけの存在では無くなった。もう生身の体なんだから死ぬ事もある。お腹も空くし、喉も乾く、感触だってあるし、痛みだってある。

それが今のわたしだ。

 

「なんか…今日は疲れてるみたい。先に寝るね」

「ヤチヨ…!」

 

呼び止められたような気がしたけれどその時は気にしなかった。早く部屋に篭もりたかったから、気にしてる余裕なんてなかった。

 

 

・・・・・・*

 

 

スタンドライトが照らす机。窓から差し込む月明かり。今日はとても綺麗な満月で独りじゃあまりにも静かな夜だった。部屋の中に響くのはノートパソコンのキーボードを叩く音。かぐやとヤチヨを迎え入れてから、欠かさず着けている日記兼日々の観察日記。これは、二人にも話していない私だけの秘密だ。

 

「………ふぅ」

 

今日の分も記入が終わり、外付けメモリーに移行も終えた。そして、椅子の背もたれに身を傾ける。

 

「また…満月か…」

 

二人の情緒が不安定になるのは決まって満月の日が多い。かぐやはともかく、ヤチヨはまだ無自覚のままだ。

 

「っ───はぁ……」

 

スタンドライトだけの部屋の天井を仰ぐ。ちゃんと暗くてよく見えない。外を見ると嫌に綺麗な満月の夜。

 

「ヤチヨ…」

 

さっき、ヤチヨは何を見たの?

私が気づくのが少しでも遅れていたらどうなっていた?

もし、満月の日に一人になっていたら?

毎日毎日、二人と暮らしている裏でそういうことばかり考えるようになってしまった。

『何度も』、『何度も』。『繰り返すように』。

それが正解じゃないのはわかっている。そうならないようにすればいいだけの話だ。私が二人を繋ぎ止めればいいだけ。

 

「…でも、そんなのってさ」

 

二人が望まない事かもしれない。先行きが不安なまま私はこの気持ちを閉まったままずっと生きていく。二人に嘘は付きたくない。でも、現実は現実のままだって今は分かる。いつまでも幻想の中には居られないかもしれない。

 

「ヤチヨ。アンタは今、生きてて楽しい?」

 

虚空に向かって問いかける。当然答えなんて返ってこない。そこには誰も居ないから、ヤチヨも私も。誰も居ないから。

 

「なんて。さて、なんか飲んで寝よ」

 

空になったカップを手に取りキッチンへ向かう。

 

 

 

・・・・・・*

 

 

 

「ん……んん…」

 

不意に目が覚める。先に寝るとは言ったけど、さっきから眠れなくて布団の上で転がっていてようやく瞼が落ちたと思ったのに、目が覚めてしまった。時計を覗くとまだ真夜中。最近妙に寝つきが悪い。

 

「水……」

 

体から抜けた水分を求めるように起き上がりドアノブに手をかけ、キッチンへ向かう。螺旋階段を降りてリビングへ来る。誰も居ない真っ暗な部屋に差し込む月明かり。わたしは窓の外を見る。

 

「綺麗…」

 

月は何時も綺麗なままだ。逃げ出して、捕まって、そして自分の意思で離れた故郷。月人としての自分はもう死んでいる。今を生きるこの世界の住人としてわたしは存在している。なら、今この瞬間、生きた心地がしないのは何故なのか。掌を見ても、鏡に映る自分を見ても、何処にもいない誰かを見ている気分になる。

 

「考えても今更か…」

 

ため息をひとつ。月から顔を逸らすようにキッチンへ向かう。とりあえず水を飲んで部屋に戻ろう。また横になれば考えは変わるはず。そう思って適当に紙コップを一つ取り出して水を汲む。そして、当たり前のように口に含んだ。

 

「っ!」

 

その時、まるで体の中に異物が入ったような感覚がやってきた。

 

「───ゲホッ!ゲホッ!」

 

体が水を受けつけない。その場に崩れてひたすら咳き込んだ。今までは普通に飲めていたのに、なんでこんな。いきなり…。まるでこの世界から拒絶されているようなそんな感覚。

 

「っう…!」

 

グルグル考えていたら、お腹の下から何かせり上がってくる。口元を抑えるけど、喉の奥で止まって気持ち悪い。息が上手くできない。視界が滲んできた。手足も上手く力が入らず動けない。

 

「は──はぁ───」

 

まただ、また独りだ。誰にも何もわかって貰えない。誰も居ない場所で、誰かに見つけて欲しいと懇願していたあの時の感覚だ。早く、早く逃げないと。こんな現実(ばしょ)から逃げないと。

 

「ヤチヨッ!?ヤチヨッ!!」

 

誰かがわたしを呼んでいる。その腕がわたしを包んでいる。その温もりを知っている。ずっと探さずにはいられなかった人だ。

 

「ぃ……いろ……は……?」

「大丈夫!?何かあった!?ぐ、具合悪いとか!?」

「いろ…は……いろはっ……彩葉っ……!」

 

子供みたいに縋り付いて、気持ち悪い気分も消えて、ボロボロ涙が溢れ出す。

 

「彩葉っ…!彩葉っ…!!」

「大丈夫。大丈夫だから…ヤチヨ…」

 

『何度も』。

『何度も』。

『何度も繰り返す』。

刻み込まれたその名前。呼べば応えてくれるその名前を。もう幻想じゃない。本当にそこにいる。現実にいるんだ。掴んだ腕の感触が、抱きしめてくれる温かさが私を私たらしめる。

 

「っはぁ───はぁ…はぁ…」

「大分落ち着いたね。よかった…」

 

わたしの呼吸が安定してきた頃、彩葉もようやく安堵の息を吐く。顔を見合わせると信じられないものを見たような顔をした彩葉がそこに居た。

こんな事が起きるのは初めての事。わたしも彩葉も理由は分からない。ただ、今わかっているのは、彩葉に迷惑を掛けた事、そしてわたしがわたしで無くなりかけている事だ。

 

「ごめ…ごめん。彩葉」

「大丈夫。私がいるから大丈夫だよ…」

 

謝ってばかりだな。なんか。それぐらいしか出来ないし、今の自分がなんなのか理解出来ない。

 

「っ……っっ……」

 

もう、わたしの願いは叶っているのに、これ以上何を求めているのだろうか。わたしの知らない奥底のわたしは何も教えてはくれないし、答えてもくれない。

今はただ、この腕に抱かれていることしか出来なかった。

 

 

・・・・・・*

 

 

「あ、ヤチヨおはよう」

「おはよう。かぐや」

 

次の日の朝。わたしの体が水を受けつけなかった昨日の夜、あの後はどうやって寝たのか、もう覚えていない。うっすら彩葉が付き添ってくれていたような気がする。

 

「彩葉は?」

「もう行っちゃったよ。今日はヤチヨがお寝坊さんだね。朝ごはん食べる?」

「うん。貰おうかな」

 

ちゃんと食べられるか不安なものを自分から進んで貰う。昨日の今日でそれが治っているかは分からない。

 

「はいど〜ぞ〜」

 

目の前に出されたクラムチャウダー。匂いを嗅げば食欲をそそられる。食べる事そのものには抵抗はない。どうやら、昨日の変な気分は完全に抜けたみたい。よきかなよきかな。

 

「はむっ……ん〜!美味しい!」

「えっへへ〜、今回自信作なんだよね」

 

かぐやがピースサインを向けてくる。何も影のない純粋な笑顔。そんな表情を見せられるとこちらまで笑顔になってしまう。かぐやはすごいなぁ。みんなを笑顔に出来るすごい子だ。

 

「うん。美味しいよ」

 

わたしは、上手く笑えているかな。

 

・・・・・・*

 

「ねぇ、ヤチヨ」

「なに〜?」

 

食べ終わった後のお皿洗いの時間。残りは今日の夜のスープパスタに回すらしい。そして、自分の食器を洗っている時の事だった。

 

「ヤチヨさ、彩葉となんかあった?」

「……」

 

ガチッ。

一瞬の動揺。お皿が噛み合う音。水が流れる音。二人の沈黙。けれど、かぐやはこちらを見つめている。

 

「かぐやも…ヤチヨが考えてる事が全部わかる訳じゃないけど、何となくで感じとったりしてるんだ。だから、今のヤチヨは彩葉と何かあったって顔してる」

 

問い詰められるのかなと思ったら、意外にもかぐやは優しい声で話してくれた。

 

「どうして、そう思ったの?」

「今日、彩葉が仕事に行く時に、ヤチヨの事よろしくね、って言ってきたんだ。そんなセリフ今まで聞いたことなかったから、ちょっと不思議に思っちゃって」

「そう…」

 

昨日の夜に彩葉に付き添ってもらった事までは覚えてる。けれど、わたしが眠った後彩葉が何をしていたかまでは覚えてない。病院へ行くわけでもないし、この体の異常は多分普通のことじゃないと思ってる。

 

「ヤチヨぉ……」

 

と、かぐやは心配そうな顔を覗かせてくれた。これはこれで小動物みたいで可愛い。流石はわたし。と頭を撫でて作り笑いを浮かべてみる。

 

「何でもないよ。昨日は少し相談に乗ってもらっただけ。これは“わたし”の問題だから」

「むぅ…わかった。そういう事にしとく」

「ありがとう。かぐや」

 

何のありがとうなのか。

無理に笑ってるから理由も無い言葉が出てきてしまう。

 

「今日は午後からお仕事だっけ?」

「うん。オタ公さんとリモートでね。イベントの手筈とか整えておかないといけなくて」

 

なんて会話をしながらわたしの一日は過ぎていく。

 

 

・・・・・・*

 

 

「ただいま〜」

「彩葉、おかえり〜!」

「おかえりなさい」

 

彩葉が仕事から帰ってきた。何やら手荷物とは別にケーキの箱を持っている。

 

「二人とも、今日ケーキ貰ってきたんだ。あとで食べよう」

「やった〜!なんのケーキ?」

 

じゃ〜ん、と彩葉が箱を開けると並んだ三つのケーキ。いちごのショートケーキなんだけど、桜色に型取られたいちごチョコが散りばめられている。春を模した季節らしいケーキだった。

 

「可愛い〜!桜の花びらのチョコチップだ!」

「綺麗だね〜。映えるかも」

「でしょ?たまたま帰りに見つけてさ、ちょっと気になって買っちゃったんだ。二人とも、こういうの好きだもんね」

 

促すように視線を送ってきた彩葉。確かにわたしは桜が好き。綺麗で、儚くて、それでも一生懸命に咲く花だから。『何度も』巡る命を感じ取れて好き。

 

「かぐやケーキ好きだよ〜!」

「桜はいつ見ても好きだよ、わたし」

「じゃ、デザート決定ね」

「は〜い」

「うん」

 

・・・・・・*

 

「月、何かあるの?」

「ん〜?」

 

食後のデザートの時間が終わり、かぐやは配信の時間になったから自室へ戻り、わたしと彩葉だけがリビングにいた。

 

「最近、よく月眺めてるよね。ヤチヨ」

「なんかね、目が離せなくて。出身だからかな。思い出とかあんまりないはずなんだけど」

「月にいた頃の事、やっぱり思い出すの?」

「ううん。もう何も思い出せない。何してたのかも、何があったのかも」

 

与えられた役割がなんだったのかも。引き継ぎをさせたモノの事も覚えてない。けれど、不思議と月明かりには目が惹かれてしまう。走馬灯みたいにその時の感覚が蘇ってくる。

 

「やっぱり、帰りたい?」

「え?」

 

振り向いた時に見えた彩葉の顔はあまりにも不安そうで怯えた子供みたいに見えた。彩葉はあまりそんな風にマイナスな方の顔を見せたことは無い。彩葉にとってお月様はそういう対象になっているのも知っている。不安にさせてしまったわたしが悪い。だから、首を横に振った。

 

「ううん、帰るなんて有り得ないよ。せっかく彩葉と一緒に成れたんだもん。でも、故郷の事を全て忘れるって少しどうなのかなって思ってるだけ」

 

昔、それこそ彩葉に会いに地球へ戻ってきてドジってしまった時。『何度も』考えた。やっぱり月に居た方が良かったのかもって。でも、彩葉の歌がわたしを守ってくれた。

 

「でも…昨日のアレ、あんなの見せられたら私だって不安になるよ」

「…!」

 

水を吐き出した時の感覚が蘇ってしまった。

 

「あれは…何でもないよ。ちょっと気持ちが不安定になっちゃっただけだから」

「もしかして、何か抱えてたりしない?私に出来ることなら協力するから、だから───」

「何でもない。大丈夫だよ彩葉」

 

彩葉の言葉を遮るようにわたしの声を重ねた。なんだか話してるのが億劫になってきた。ちょっと心配がしつこいと思う。食い気味に言ってしまったことは悪いと思うけど、今のわたしは本当になんでもないという意思表示がしたかった。けれど、わたしの言葉を聞いても彩葉の顔色は変わらなかった。

 

「そんな顔で言われても、余計心配になるよ。ヤチヨ」

 

話を終わらせようとして焦り過ぎたかな。ちょっとあからさま過ぎて逆効果になってしまった。今のわたしを直してと言っても彩葉にはまた負担をかけてしまう。そんな事はわたしは望まない。ようやく一緒になれたんだからずっと笑顔のままで居たいって思ってる。でも、彩葉は地球の人間で、わたしは元々月の住人で、同じようで違うから。言葉にするもの難しい。

 

「彩葉には───」

 

と、そこでハッと目を見開いて言葉が詰まってしまった。これ以上口にしたらわたし達を迎えに来てくれた彩葉を侮辱する事になる。それだけは言ってはいけない。

 

「“分からない”って?」

「っ…」

 

まるで見抜いていたかのように彩葉は刺してきた。図星を突かれてつい彩葉と目を合わせてしまった。少し怒っている顔だった。これは冗談の顔じゃない。わたしの知ってる酒寄彩葉本人の顔だ。

 

「……」

「ほら、目、逸らしたよ。ヤチヨ」

「……言わないでよ」

「……」

 

しばらくの沈黙。

こうなるとわたしは弱い。何を言えば正解か分からなくなるから。

こうなると彩葉には敵わない。わたしのことを分かっているから。

だけど、こういう時毎回最初に折れるのは彩葉の方なんだ。

 

「……私も、ヤチヨの事全部分かってるとは言わないよ。見せてもらったヤチヨが生きてきた時間の中にはきっと、もっと見えない部分があったと思う。でも…だからこそ、もっと素直になってよヤチヨ。私だって、もっとヤチヨと居たいよ。出来るだけ永い時間。出来るだけ皆で。だから隠し事なんて……しないで欲しいって言うか……」

「彩葉…?」

 

まるで、自分にも後ろめたい事がある様な言い方だった。例え彩葉にそんな事があったとしてもわたしは気にしないし、それでも構わないと思っているのはやっぱり間違いなのかな。でも彩葉は落ち着かない様子で手首を『何度も』撫でている。まるで、自分に暗示をかけているかのように。

 

「わたし……」

 

言葉足らずなのは分かってる。この気持ちを打ち明けても彩葉を困らせる事なのも分かってる。だからそんな事はしたくなくてずっと抱え込もうとしてた。今の自分が死んでいるのか生きているのか分からなくなっていた。いつも真っ直ぐで元気なかぐやを見ると、彩葉はかぐやと一緒にいる方が似合うと思い始めた頃だった。

 

「ヤチヨ」

「っ…」

 

手を取った彩葉と目が合う。さっきまでの怖い顔とは違う。低い声色とは違う。わたしの知っている。わたしの好きな“酒寄彩葉”の顔だ。

 

「わたしは、ヤチヨの事が好きだよ」

「分かってるよ…そんな事…」

「分かってないよ。だってヤチヨ逃げようとしてる」

「そんなことないっ」

「あるよ。だって目合わせてくれないじゃん」

「いいの。もういいの彩葉。わたしがどうかしてたから…」

「“それ”を抱えたまま、ヤチヨには明日を迎えて欲しくないの」

 

彩葉の言う事の意味がわからない。わたしは早くここから逃げたい。彩葉の手を離したい。そうすれば───

 

「そうしたら、また独りになっちゃうでしょ?」

「っ…!」

 

『何度も』考えた。人になりたいと。電子の海から出て一人の人間になりたいと。けれど、今は逆で人にすらなりきれない。どれだけ時間を重ねても、人にだけはなりきれなかった。それが悔しかったのかな。それとも分かってたことだから目を背けていたのかな。心の中がぐちゃぐちゃな今それは自分でも分からない。薄い氷の膜のような記憶から彩葉の顔にヒビが入る。まるで別人みたいに感じてしまう。

 

「もういいからっ!」

 

そう言って、わたしは彩葉の手を振り払った。その時の空気はまるで冬みたいに冷たくなって二人の間を漂った。

 

「っ…ぁ…」

 

取り返しのつかないことをしてしまったと思ったわたしは反射的に彩葉の方を向いてしまった。

 

「ぃ…彩葉…」

 

月明かりがまた彩葉の顔を照らした。

 

「ごめんね、ヤチヨ」

「………っ」

 

その時の彩葉の顔は、怒るでもなく、悲しむでもなく、どちらでもない顔だった。わたしはその表情の意味も汲み取れず、怖くなって、逃げるように自分の部屋に閉じこもった。

 

 

・・・・・・*

 

 

「っあ゙〜〜……」

「所長。さっきからその様子ですが、何かあったんですか?」

「あ゙〜?うん。まぁね。ちょっと」

 

溜め込まないでくださいよー?と、職員が私の執務室から出て行ったのを見送って再び私は椅子に垂れ下がり天井を見上げる。方針が定まらない。仕事が手につかなさ過ぎてヤバい。ヤチヨの様子が気になり過ぎて何も考えられない。

 

「絶対普通じゃないよなぁ…アレ」

 

もういい、と言われてしまった時、どうしようもなくて謝っちゃったけど。どう考えても選択をミスしたとしか思えない。余計な負担をかけただけなんだよなぁ…。

うだうだ言いながら時計を見るともう夜の19時。あと一時間後には終業になる。外は暗いし、気分も暗い。早く帰ってヤチヨと話そう。そう思って、最後のひと踏ん張りのパソコンへ目を向けるとスマホが鳴った。

 

「ん?かぐや?」

 

「今日の晩御飯何食べたい?」の連絡だと思って電話に出た。

 

 

 

・・・・・・*

 

 

 

「あれ?かぐや〜?」

 

かぐやが居ない。晩御飯の買い出しに行ったのかな?

今日は二人して配信の予定は無かったから、自由な一日だ。かく言うわたしもやる事は終わって暇になったからリビングに降りてきた。けれど、かぐやが居ないとなると本格的に一人だ。

 

「………」

 

外を見ると、まだ明るい。これぐらいならまだお散歩ぐらいは許されそうだなぁ。最近落ち込み気味だし、配信続きで家から出てないから少し外の空気を吸いに行こう。そうすれは、“これ”も無くなるかも。

 

「となると、準備準備」

 

 

・・・・・・*

 

「よし、これでいいね」

 

なるべく目立たない服装に、帽子を深く被って家から歩き出した。こんな風に自由に歩くのは久しぶりだな、と空を見上げて見る。春先の夕方の空気が体に溶け込んでくる。心が洗われるような感覚と少しの後悔。また彩葉に負担をかけているんじゃないかという不安。一人の時はいつもそんな事を考えている。

土手の方に上がってみると、綺麗な夕焼けが見えた。画面から映る偽のものではなく、本物の夕日。家のベランダから見ることはあってもこんな風に土手から見る景色はまた違ったものを感じる。FUSHIの体ではなく、自分の目で見る事に意味があるんだろうな。

 

「綺麗…」

 

人通りの少ない場所で、ただひたすら目の前に続く道を歩いていく。まるで自分の人生のようで少し可笑しくなって笑ってしまった。

 

「彩葉も…きっとそうだよね」

 

こんな風に長い道を歩んできた。わたしも彩葉も。

遠い記憶のような、昨日の事のような。思い出を共有してても、あまり上手く踏み込めない時もあった。今のわたし達がそう。彩葉はあまり深く踏み込んでこない。受け止めるのが上手くなってしまったから。わたしが傷ついたら黙って隣に居てくれる。黙って優しくしてくれる。そんな人だから。

だから、あまり喧嘩が起きなかった。色んなことを本音で話して、色んなことを語り合ったけど、どれもこれもわたしが彩葉の優しさにつけ込んでいるだけだったのかもしれない。そう思って、本当は彩葉の隣にいない方がいいんじゃないかと思い始めたのは最近の話。

それが多分、今のこの状況を招いていると思う。だから、彩葉にはちゃんと謝らないといけない。わたしの為にありがとうと、謝って向き合わないといけない。ちゃんと素直にならないといけない。

『何度も繰り返し』後悔してきた昔とは違う。今はもう、彩葉と一緒に入れるのだから

 

「……よしっ」

 

そう思って、わたしは顔を上げると………

 

「………あれ?」

 

気がついたら全く知らない場所にいた。

そういえばどこからどう来たっけ?

歩いてきた土手の上。いつの間にか周りを見ても知らない景色。真っ直ぐ歩いてきたと思ったけど、土手からあちこちに道が別れていたせいで全然違う自然が広がる公園のような所にいた。今思うと家から研究所までの場所は知ってるけれどそれ以外はあまり覚えていない。ツクヨミの中から見ていた景色は全部彩葉の顔だったから。

 

「ぇ……っと?」

 

周りを見ても、何の変哲もない風景だけ。自分の家からあまり出ないことがこんな所で仇になるとは思わなかった。よくよく考えてみればいつも出かけるといえば近所のスーパーかコンビニ。それ以外はかぐやと一緒に家の事をしている。そう考えるとこうなるのも必然だったのかもしれない。

 

「ヨヨヨヨ…これ、迷子…?」

 

とりあえずかぐやに電話しよう。そうすれば、迎えに来てもらえるかもしれない。そう思って、ポケットを漁る。

 

「ん?あれ?」

 

右のポッケには何も無い。

 

「あれれぇ?」

 

左のポッケにも何も無い。何も入ってない。ズボンのポケットを漁ってひっくり返しても何も出てこない。

 

「もしかして…ヤッチョ何も持たないで家から出てきた?」

 

我ながらなんて器用な出かけ方。普通なら有り得ないですな。これには直線猛スピードのマグロくんもカジキくんもびっくり。いや、そんな冗談を言ってる場合じゃないんですわ。

 

「これ、ほんとに詰んでる?」

 

・・・・・・*

 

「かぐやっ!?」

「い、彩葉ぁっ!ヤチヨがっ……ヤチヨがぁぁ…!」

 

慌てて家に帰ると、玄関で泣き崩れていたかぐやがいた。私を見るなりかぐやはダッシュで私の所へ来て、それを抱き留める。

電話の内容は、ヤチヨが何処にも居ない。という内容だった。かぐやが晩御飯の買い出しから帰ってきた時、家にヤチヨがおらずくまなく家の中を探したが、何処にもいなかったと言う。スマホも置いて行ってるらしい。本当に消えてしまったように。

 

「ごめんねかぐや…一人で頑張ったね…ありがとう…っ!」

「ひっ…ぐすっ…何処にもいなくてっ…っっ…一人じゃ探せなくてっ……」

「大丈夫。もう大丈夫だよ。私も探すから、かぐやはお家にいて、もしかしたら帰ってくるかもしれないから。一人で探しに行かないでね?」

「ゔん゙っ…!わ゙がっ゙だ!」

 

涙でぐちゃぐちゃなかぐやの顔を拭いてやり、荷物を置いて、とにかく外へ飛び出した。今日は満月だ。悪い方の予感が当たった。

だけど、どこを探す?どう探す?スマホも何もかも置いたまま勝手にどこかへ行くなんてありえない。

本当に世話の焼けるパートナーだ。ヤチヨが行きそうな場所。行きたがってた場所。話してた事、SNSのツイートの中身。頭の中を全部漁ってヤチヨの情報を絞り出す。

 

『桜っていつ見ても好きだよ』

 

桜…そうか、桜!

ここら辺で咲いてる場所ならある!とにかくそこへ行こう!桜がある場所全部回ればどこかに居るはず!

それでもダメなら世界の果てまで探しに行ってやる!

 

「ヤチヨ…!」

 

私はとにかく走った。

ヤチヨがいるであろう桜が咲く場所へ。

 

 

・・・・・・*

 

 

すっかり夜になっていた。帰る気も失せていた。名前も知らない公園のベンチに座りながら、夜空を眺めている。どこまで来てしまったのだろう。家の方向すらも分からない。多分そう遠くまでは来てないとは思う。街灯もあるし、車も通っている。でも、こんな所に桜の木があるなんて。

 

「貴方も忘れられてしまったの?」

 

公園の中にひっそりと佇む一本の桜の木。それはまるで今のわたしのように寂しさを見せていた。ここからじゃ、公園で遊ぶ子供たちの顔も見れない。影に隠れて、誰からも知られることなく枯れて消えゆく存在に見える。本当に今のわたしと一緒だね。

 

「わたしね、大好きな人に心配すらしてもらえなかったの。ごめんねって言われただけで終わっちゃったの」

 

桜の木に語りかけてみる。何も返事がないのは当たり前だけど、それよりも思っている事を言葉にして楽になりたかった。

 

「わたしも貴方のように『繰り返す』ことが出来る存在だったらなぁ。『何度も何度も繰り返して』この世界を見守れる人だったらなぁって時々思うんだ。ツクヨミの中じゃなくてこの現実の世界で」

 

植物のように。自分で自分を『繰り返す』ことができるのなら、きっとわたしも彩葉の近くに居れたのかな。

そうすれば、いつまでも『繰り返し』君に巡り会うことが出来るのに。

 

「このまま消えてしまおうか。貴方に飲み込まれて消えてしまえば彩葉も楽になるのかな」

 

そっと手を当てて樹の鼓動を聞いてみる。そんなものは人には聞こえない。ただ風になびく枝が擦りあって答えてくれるだけ。そんな事をしなくてもいいと言ってくれているのかな。でも、わたしが消えて彩葉が楽になるのならそれでいい。もう彩葉に負担も不安も抱かせる事がないのだから、でも、もし、もし許されるのなら───

 

「ヤチヨッッ!!!」

 

そうして君はまた、わたしに『何度も』巡り会う事が許されるのなら。

 

「っはぁ…はぁ…やっと……見つけた…っ」

「…………………ぇ?」

 

ほら、また、落ちてく。

風に舞う花びらと一緒にわたしの瞳から。

 

「彩……葉……?」

 

月明かりが照らす夜。夜桜と共に消えようと誓ったこの身に、まだそっちへは行かないでとわたしの手を引く人がいた。

 

「ヤチヨ…はぁ…っ…はぁ…待って…アラサーには…はぁ、結構…キツイんだからさ…っ…は…はぁ…」

 

どうやってここが分かったのか。スマホも貴重品も全部置いてきたはずなのに、帰れなくていいからこのまま桜に飲み込まれてしまおうと思っていたのに。彩葉は相変わらず、わたしの手を引いている。

 

「やっと…見つけた…っはぁ…はぁ…」

 

どれだけ走り回ったのか。足がおぼつかないのに、この手はしっかりと握られていて離れない。わたしは驚いて声も出せない。

どうして、ここがわかったの?

何も言ってないはずなのに。

どうして、わたしの事を見つけられたの?

何も言わずに来たのに。

どうして、わたしの手を握ってくれるの?

何も持っていないわたしの手を。

 

「っんの、馬鹿ヤチヨッッ!!!」

「っ!?」

 

そんなわたしの考えとは裏腹にいきなり彩葉の怒号が飛んできた。思わずどころかちゃんとびっくりして体が弾んだ。

 

「どうしてまた何も言わずに一人でどっか行っちゃうの!お陰でこんなに走り回るハメになったでしょうが!!」

「ぁ…」

「『何度も』探し回ってるこっちの身にもなってや!大体、アンタは昔っからそう!勝手にどっか行って!勝手に帰ってきて!勝手に失敗して!勝手に落ち込んで!」

「っ……」

「せっかく一緒になったのに、またこうして自分勝手になってなぁ!なんでうちを頼ってくれへんの!?」

「それは……」

「もっと素直になってや!もっとちゃんと甘えてや!これじゃぁ何のためにヤチヨを迎えに行ったか分からへんで!」

「彩葉……」

「そやさかい…っ…ぁいやだから……はぁ…はぁ…ちょい待って…やっぱしんどい……走ってきたから…」

 

初めて素直な怒りをぶつけられた気がする。前に8000年分話を聞くと言われた時のようなそんな怒りではなく。純粋にわたしを心配してくれていた怒りだ。そんなものを向けられたら普通は怯えるものなのに。どうして今のわたしは泣きそうになっているのだろう。

 

「彩葉…なんでわかったの…?」

「え?なんで?ヤチヨが考えてる事なんて私には分からないとでも思った?桜が好きなことぐらい知ってるから」

 

解けた弱い心がわたしの瞳からまた零れ落ちてく。

心のどこかでずっとその声を待っていたような気がする。

本当は彩葉の事を待っていたような気がする。

月に帰ることなんかよりも本当は彩葉の所に帰りたがっていたような気がする。

 

「だって…わたしっ…彩葉の手…離しちゃったのにっ…」

「私が頑固なのは知ってるでしょ?離されたなら私も着いて行くよ。もう絶対離さないって決めたから。『何度だって』ヤチヨの事探すし、掴みに行くよ」

 

また巡り会うように、願っていたあの頃みたいに。彩葉に会えなくてずっとその景色を眺めて、その心情に溺れて、心が枯れてしまっていたあの頃みたいに。わたしは自分に対して素直になれていなかったんだ。そう思い出したら、子供みたいに泣きながら縋り付くわたしを彩葉は変わらず抱きしめてくれた。

 

「彩葉…っ…彩葉ぁぁ……っ」

「うん。帰ろうヤチヨ。とりあえず、かぐやに謝らないと」

 

『何度も』、『何度も』、ただずっと『繰り返す』だけのわたしに彩葉何を咎める訳でもなく、ただずっと優しく触れてくれた。

 

 

嗚呼、これだ。

わたしは、わたしの手を掴んでくれるこの手『ずっと』を離したくなかっただけなんだ。

 

 

・・・・・・*

 

 

あれから、私とヤチヨは家に帰宅。かぐやは大号泣で私達二人にしがみついて離れなかった。ヤチヨと二人で必死に慰める事の方が大変だった。何とかかぐやを慰め終えて、泣き疲れた二人は眠っている。私もさっきまでは一緒に眠っていたのだけれど、ふと目が覚めてしまった。

そうして、ベランダに出て今日もこの夜を照らす満月を憎たらしい目で見やる。

 

「また、アンタ達がなにかしたの?」

 

かぐやのお迎え。全力で阻止したあの日。私の中で昨日の事のように思い出す。だけど、この十年間何も無かった。なかったはずなんだ。だから、もう不安になる事なんてないのに、まだわたしは笑えていない。ハッピーエンドにたどり着いてない気がする。

 

「ヤチヨが治らない限り…」

 

ずっと続くかもしれない不安定なヤチヨを治す術なんて……

 

 

カコン。

 

 

「っ!?」

 

突然鳴り出したししおどしの音。気配がした隣を見るとそこには忘れもしない姿があった。

人間とは全く違うガタイに能面のような顔がどうかも分からない表情の面。忘れもしないかぐやを迎えに来たアイツらだ。

 

「月人…!?なんでっ!?」

 

ここはツクヨミではなく現実世界。KASSENの武器が使える訳でもないし、ログアウトで逃げられるような状況でもない。身構える私を見て、月人は静止を促す様に手を前にかざした。

 

【落ち着いてください。ワタシはお話に来ただけです】

「話?なんで今更ここに来たの?」

【アナタの所にいる『───』様の……あぁ、そうか。こちらでは『月見ヤチヨ』と名乗っていらっしゃるのでしたね】

「まさか、ヤチヨの事知ってるの?」

【えぇ、そのヤチヨ様の事でお話があります】

「まさか、月に返せなんて言うつもり?」

【そんなつもりは毛頭ありませんよ。最近ヤチヨ様に違和感を感じた事はありますか?】

「違和感……っていうか、ちょっと様子がおかしいかなって思う事はあったけど」

【それは、あの月と彼女自身に関係してることでしょう】

「月…?どういう事…?」

【月人では無くなったはずでしたが、彼女は無意識に月への交信行っていたようです】

「交信!?どうやって!?」

【アナタは彼女の体に彼女自身の思考パターンを入れ込んだ。その脳波にも似たパターンは無意識も含まれる。彼女は気付かぬうちに、月にいる我々にも届くような超音波の様なものを発していたのです】

「まさか、無意識に月への想いを音声マイクで通して届けていたと?」

【恐らくはそうでしょう。アナタが月へ歌を届けたようにヤチヨ様も無意識のうちに月に対する思考パターンをニンゲンにも聞こえないような超音波として飛ばしていたのでしょう。その超音波に呼応して月に居た頃の思考パターンが少し復活してしまったと推測されます。だから、ここ最近のヤチヨ様の精神が不安定になっていたのでしょうね】

「そんな事…できるの…?」

【現に出来ていますよ。だから、こうして我々がここに居るのです。小型サイズのマイクから出てくる超音波が月まで届く。随分と面白い発明をしましたね。酒寄彩葉】

「なら…なんであんたは私に会いに来たの?ヤチヨに直接言えばいいじゃん」

【彼女の体を創り出したのはアナタです。アナタにも話しておくべきだと判断しました。それに月が影響している事です。その全てを解析するには、アナタの人生を千回使ったとしても解明は出来ないでしょう】

「そんなにっ…」

【ですので、こちらから少々細工させていただきました。かぐや様、ヤチヨ様の両方に月の影響、そして交信が出来ないよう施しました。これで私生活に支障は出ないでしょう】

「あ…ありがとう。……って、なんでそこまで?」

【こちらとしては、ヤチヨ様の事は“送り出した”と思っています。そんなあの人から無意識に交信などされても困りますから】

「あぁ…そういう」

【ヤチヨ様が人に成りきれないと困るでしょう?アナタも、我々も】

「自分達から突き放すってこと?」

【そういうことです。この地球に住むあの人の顔はとても華やかで晴れやかですね。月の民とは全く違います。機械的ではない。感情的な顔です。自分の意思でここを出ていくと言った時は驚きましたが、月での役割は後続のものが果たしています。もう二度と月へ帰る必要はありませんよ。この先『ずっと』ね】

「そう…なんだ」

【突然の事で混乱していると思いますが、我々にとってもアナタ方にとってもマイナスなことを解消したとお考え下さい。話は以上です。失礼します】

「あ、待って!」

【はい】

「あんた達はもう地球へは来ないって事でいいんだよね?」

【えぇ、その解釈で構いませんよ。我々は他の星とは関わりを持たないことを鉄則としていますので】

「………」

【あの方をどうかよろしくお願いします。酒寄彩葉様】

「え、ぁ、ちょっ!」

 

カコン。またししおどしの音と共に月人は消え去った。

納得いかない事は何個かあるけど、月人の言ってることを今は信用するか。それにしても、あんな突然現れると普通にホラーだな。ツクヨミなら間違いなく斬りかかってたけど、過ぎた事はもういいか。今はヤチヨの事が心配だ。とりあえず明日になったらヤチヨと二人でまた話そう。そうしないと始まらない。

 

 

・・・・・・*

 

 

「ん……」

 

また意識が浮かび上がるように起きてしまった。時計を見るとまだ真夜中。日も登らない時間。けれど、寝つきが悪いわけではないみたいで、体を起こすと気分が良かった。

しがらみが無くなったような。気持ち悪さが消えたみたいな。そんな感覚。

 

「水…」

 

とりあえず抜けていった水分を欲しがってキッチンへ向かうと、まだ自室に戻っていない彩葉を見つけた。

ベランダで一人?何してるんだろう?

 

「彩葉…?」

「ん?あぁ、ヤチヨ。起きちゃったか…」

「うん。なんか目が覚めちゃって」

 

お互いにバツが悪そうな顔をして笑い合う。

 

「彩葉も眠れないの?」

「うん。私も目が覚めちゃってさ」

 

そう言う彩葉の横に並んでまた一緒に満月を見上げた。やっぱり今日も綺麗な満月。自分を写す鏡みたいに見えるぐらい大きくて丸い。でも、宙を、月を見上げる彩葉の顔はやっぱりまだ晴れていない。

 

「そんなに不安だった?」

「ん?」

「わたしの様子がおかしかったこと…」

「まぁ、ね。乗り換えたつもりだったけど、怖いものはいつまでも怖いよ。私だってね」

「彩葉はもっと強い人だと思ってた。わたしよりももっと心の強い人なのかなって」

 

彩葉はわたしと再会するまで『ずっと』頑張ってきた。色んな人と、色んなやり方で、一緒には居たけどツクヨミの外ではわたしの見えない一面だってあったはず。だから、そんなふうに色んな人と関われる彩葉はこの十年で、芯のある心の強い人だと思ってた。

 

「そんな事ないよ」

 

そう言った彩葉の顔は相変わらずの顔だった。わたしの知ってる。わたしによく見せてくれる優しい顔。

 

「ヤチヨだって、『ずっと』永い間頑張ってたでしょ。その時間はヤチヨの方が圧倒的だもん。私はあんまりだよ。傷つきやすくて、脆い人だよ」

 

その顔に、儚さを感じた。

ちゃんとした脆さを感じた。

繋いでおきたいと色が宿った。

傍に居たいと欲しがってしまった。

 

「ヤチヨ…?」

 

気づいたら、彩葉の手を握っていた。

彩葉の手。とても綺麗で白い手。

するりするりと、感触を確かめる様に程よい加減で撫でていく。眠れない夜だから、誰か傍に居て欲しい。ヤチヨはそう思うのです。そう願いを込めるように彩葉の掌に口付ける。

 

「んっ…ちょっ、ヤチヨ?」

 

彩葉の髪。滑らかで手触りが良い髪。

梳かすように胸元まで長い髪を持ってきて、耳へかけてあげる。これをされると彩葉は途端に表情が熱っぽくなる。それも分かっていてやっている。彩葉はわたしに触られるのが弱い。何処に触れても、どう触っても、彩葉はすぐに“出来上がる”。

 

「ごめんね。彩葉」

 

何に対してのごめんねなのかな。自然と口から出た言葉がそれだった。でも、埋まらない気持ちが溢れてしまった。言葉足らずなのは理解してる。でも、今はわたしの一言よりも彩葉の一瞬が欲しかった。その熱っぽい瞳が欲しくなった。

 

「わたし、彩葉の事が欲しい」

「へっ!?今!?」

「素直になっていいんだよね?彩葉言ってくれたもんね」

「い、や、だからって昨日の今日でこんな…」

「ねえ、お願い。彩葉」

「っ…それ、そんな顔…」

 

だからまだ、この夢から覚めたくなくて。

 

「今日の彩葉をわたしに頂戴」

「ヤチ───」

 

滑らかに絡んだ指と答えを聞く前に塞いだ唇。

『何度も』、『何度も』、『繰り返す』。

嗚呼、これだ。この感触が今のわたしを作ってる。月人なんかじゃない。もうこの世界の一人の人間として、わたしは彩葉の隣にいる。

誰よりもずっと優しくて傷つきやすい彩葉。

『ずっと』欲しかった。この温もりに溺れたくて。

 

 

・・・・・・*

 

 

「ぁ…っ!ヤチ…ヨ……ひぅっ!」

 

治らない噛みグセが付いてしまいそう程にいつまでも柔らかい彩葉の体。わたしはうつ伏せの彩葉を後ろから抱くのが好き。長い髪から見える項とか、触るとビクビクッてなる彩葉の体とか、必死に懇願してくるような顔とか、そういうのが一番そそられる。もっといじめて。もっと欲しくなる。

 

「綺麗だよ彩葉」

「何言っ……んぅっっ!」

 

項を拙く舐めまわし、服の中に手を入れる。まさぐるように胸を触る。撫でるように回してみたり、形を確かめるように揉んでみたり。まだ直に触れてないのに彩葉はとっても良い反応をする。触り甲斐があり過ぎて困るのです。

 

「彩葉って、ほんとにやらしいよね」

「違っ…アンタが…っ…ひぁっ…!」

 

組み伏せられて、肌をほんのり赤く染めている彩葉の項。『ずっと』味わっていたい程、わたしをどうにかさせてくる。いやいや言ってもわたしには酷く抵抗はしないぐらいされるがままな癖に。

 

「は───」

「痛゙ッ…!」

 

ついにその項に噛み跡を刻む。肩よりも首筋に近い場所。痛々しい歯型が赤く滲んでいる。可哀想と嬉しいの間の気持ち。そこに安心と後悔を混ぜながら、噛み跡を舐める。

 

「は…っ…んっ!」

 

痛みが走ったのか彩葉は跳ねた。こういう反応も一々可愛い。絡んでいる指に力が入ったのがわかる。上手に握られて離してくれない。うつ伏せでスるのもいいけどやっぱり顔が見たいから、体勢を仰向けに変えて確かめるように唇を塞いで味わう。

 

「彩葉」

「ちょ、ヤチヨッ…んぅっ…ふ…ぁ…んんっ…」

 

拙く、穢い、あんまり宜しくない求め方。上手なキスなんて出来ないから、とにかく好きだと気持ちを込めておく。薄目で開けて見れば彩葉の顔はとっくに蕩けている。

 

「っは…彩葉、可愛いね」

「ま、待って…ヤチヨ…っはぁ…ちょっときゅうけぃ…」

「や〜だっ」

「んぅぅっ!?」

 

彩葉の話なんて聞かないでもう一度深い深いキスを落とす。繋いで絡んだ指に力が入るのが分かる。だからってやめてと抗議はしてこない。受け入れてくれる彩葉が好き。蕩けてるのに必死な顔が好き。

 

「っあ゙!?」

 

ぐちゅ。とぬめりけのある音が鳴った。キスをされている最中にも関わらず彩葉の喉から声が鳴る。服の上からでもわかるぐらいにグズグズになったソコは、わたしの指にへばりついている。

 

「ふふっ…凄い濡れてるね。気持ちいい?」

「や、だ…見せないでよ…そんなの…っ」

 

てらてら光る指を見せつけ、ごめんねと一言謝って、慣れた手つきで彩葉の衣服を剥いでいく。上も下も全部無くして互いの肌を擦り合わせる。

 

「ぅ…あ゙…っ…やち、よ…っっ…!」

 

熱も、声も、髪の柔らかさも、今は全部感じ取れる。綺麗に開けた脚の隙間へ手を伸ばす。真ん中は酷く濡れて柔らかい。入口を探っているだけなのに彩葉はハカハカと息を切らしている。その必死な顔が愛おしくてついニヤけてしまう。

 

「気持ちい?気持ちいいね?」

「ヤチッ…あぁっ…やだっ…それやだっ……」

 

嫌よ嫌よも好きのうちなんて言うけれど、彩葉は強めの快感を怖がる傾向にある。前に白目を剥くほど鳴かせた時は翌朝にこっぴどく叱られたっけ。

だってこんなに濡れやすい。脆くて淡い人。月明かりに照らされて、こんなに綺麗に写るんだもの。『ずっと』閉じ込めておきたくなってしまう。

 

「彩葉、名前、わたしの名前呼んで?」

 

わたしは誰?彩葉。名前を呼んで?

彩葉が名前を呼んでくれないとわたしは人に成れない。

 

「うぁっ…っ…ヤ…やち…っ……ヤチヨっ…!それ、ヤダっ…それやだっ…!」

「うん。うん。彩葉可愛い。可愛いよ」

 

必死に掴んで、抱きついて、頭で処理してるそれに手一杯な可愛い彩葉。わたしの手の中でぐちゃぐちゃになってて、わたしが支配してるみたいで、高揚感が溢れてくる。

グズグズに蕩けて泣きそうな顔でわたしを見つめないで欲しいの。背筋にゾクゾクって走る好きの形がわたしを余計に止められなくする。

 

「ここ、好きだよね?彩葉。『ずっと』触ってあげるね」

「あ゙ッ…!だ、ダメっ…そこ、グリグリしないでっ…!」

 

彩葉は一番弱いところに触れられると、顔を背ける。本人曰く感じてる顔をあまり見られたくないから、だそう。それでも搔き乱れる彩葉のナカは熱くて、締まって、わたしの指を離さない。決して逃げる訳でもなくただ恥ずかしがっているだけなんだ。

 

「嬉しいね彩葉。四つん這いで良いようにされて嬉しいねぇ?」

 

そこまで分かっていて、わたしは彩葉を犯す。『何度も』握ってくれた手を『ずっと』離してくれないから。ナカに入ってる指とは逆の手はしっかり握ってくれている。自分で素直になってって言う癖にこういう時は素直じゃないのも彩葉の可愛いポイントなのかもしれない。

 

「ヤ…ヤチ…ョ…お゙っ…も、もうぃぐっ…!」

「うん。いいよ〜。ちゃんと見ててあげるから」

 

ぐちぐちぐち、大きく音を立てて腟を更に強く掻き乱す。

 

「ほらほら、腰上がってるよ〜?」

「お゙ッ、あ゙あ゙あ゙ッ〜…!!」

 

下品な声も好き。一つに溶けてしまっているようで。わたし以外見えていないようで。クッションに頭を埋めて声を抑えてるつもりなんだろうけど全然聞こえてくるし余計に声が野太くなってる事に気づいてるのかな。まぁ、わたしは聞いていたいからいいけど。

 

「ま゙っ…も、う、ぃくっ、イク…っイグっ…っっ、ッッッ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」

「わっ」

 

限界が来た彩葉は盛大に噴いて、足を真っ直ぐ伸ばしてイキ果てた。あ〜ぁ、イク時に足伸ばすのはあんまり良くないんだけどね。

 

「っはぁ…はぁ…はぁ…」

「お疲れ様。彩葉。可愛かったよ」

 

・・・・・・*

 

 

「はい。お水」

「ぁ…ありがとう…」

 

事後、腰が抜けて動けなくなった彩葉を介抱して今はリビングのソファに二人とも座っている。適当な服に袖を通している彩葉が妙にいやらしく見えてわたしはもう一度彩葉を襲いたい気持ちを抑えつつ、隣に座っている。

 

「ヤチヨ見すぎ」

「えっ」

「時間も時間なんだから今日は抑えてよね。明日仕事から帰ってきてからならいいけど…」

「それなら、かぐやがまた眠った時にだね。その時はヤッチョも期待していいのかな?」

「お姫様のご期待に添えるよう頑張りま〜す…」

「ふふっ、ありがとう。わたしの彩葉」

 

彩葉の髪を掬いとって口付ける。もう躊躇いなんてない。わたしは感じたいように感じて、求めたいように求めるって決めたから。

 

「その様子なら、もう大丈夫みたいだね」

「ん?」

「さっきまで家出してた人だなんて思えない程元気になってるじゃん」

「それは……」

 

すっかり忘れていた。彩葉と一つになってからは『ずっと』夢中になりすぎた。何もかも忘れる程、彩葉を欲しがっていたんだ。だから、こうして触れられる今は何もかも忘れていた。

 

「彩葉に怒って貰えたからかな」

「怒っ…て…?」

「うん。彩葉ってわたしがどれだけ迷惑かけてもあんまり怒らないでしょ?だから、あの時、ごめんね、って言われたのが凄く怖かったの」

「ヤチヨ…」

 

なんで何も言わないのって、その時に普通怒られるものだと思ってた。けれど、彩葉は優しさで受け止めてくれた。それが怖かった。感情的になったのに、彩葉の理性的な言葉で受け流された。そこで距離を感じてしまったから、置いていかれたのかと思って、その時は部屋に逃げるしか出来なかった。

 

「そっか」

 

彩葉の頭がわたしの肩に乗る。

 

「ごめんね、ヤチヨ。私も『ずっと』怖かったんだあんな不安定なヤチヨを見たのは初めてだったから、どう対処すればいいか分からなくて怖かった」

 

らしくないよね。と彼女は自分を笑った。

 

「もしかしたら、私が見えないところで負担をかけてたんじゃないかって考える事もあったの。かぐやは、素直に言ってくれるから大丈夫だけど。ヤチヨはそういう線引きできるでしょ?だから……」

「そんな事ないよ!わたしは彩葉に『ずっと』……」

 

救われてきた。

 

「『ずっと』……」

 

支えられてきた。

 

「分かるよ。私だって、ヤチヨに救われてた」

 

わたし達はそこで目が合った。

 

「そのお陰で、今こうして触れ合えてるよ。ヤチヨ」

「うん。分かるよ、彩葉があったかいって事」

 

そこで再びの口付け。ただ触れ合うだけのキスなのにこんなにも胸が暖かくなる。『ずっと』この温もりを感じていたい程に愛おしい。

 

「ねぇ、彩葉。もう一個、素直になっていい?」

「え?あぁ、まぁ、私に出来ることなら」

「お願い聞いて欲しいの」

「お願い?お願いって?」

「わたしの曲、一曲作って欲しくて…」

「えへぇ!?ヤッ…ヤヤヤヤチヨの曲ぅ!?」

「…ダメ…かな?」

「うっ…その顔はさぁ…卑怯じゃん…」

 

彩葉にお願いする時は、ちゃんと上目遣いで見つめてあげる。これに弱い事は昔から『ずっと』知っている。だから、大人気なくこの手を使う。

 

「今…作曲とかあんまりやってないから自信ないよ…」

「そんな事ないよ。彩葉が作った曲ならなんでもいいの」

「それは言い過ぎでしょ…ヤチヨが歌う曲だよ?適当なのは作りたくない…」

「幾らでも待つよ。『ずっと』そうしてきたから。今更、待つことに関しては何も言わない」

「本当に?」

「本当に」

「わかっ…た。ちょっと自信ないけどやってみる」

「ありがとう!彩葉!」

 

 

一ヶ月後・・・・・・*

 

 

『神々の皆〜!今日も来てくれてありがとう〜!今宵はいろPと一緒に皆を誘っちゃうよ〜〜!!!』

 

湧き上がる歓声。ペンライトが答えるように踊っている。演奏の為に後ろにいる彩葉は相変わらずその熱気に気圧されているように見えて少し笑ってしまった。

 

『今日はどんな日だったかな?楽しかった、ちょっぴり苦しかった?うんうん。でも大丈夫。きっと、それが報われる日が来るし、もっと楽しい日が来るよ。今日はそんな日に巡り会えるように願いを込めて皆に届けるよ』

 

わたしが両腕を広げると、星々が灯るようにプランクトンに似たディスプレイが雪のように舞い上がる。その一つ一つが夜空に上がって、広がって、静かな花火のように咲いていく。その光は桜吹雪のように皆へ吹いてく。

 

『失いそうになったものも、すれ違ってしまった人とも、また別などこかで『繰り返し、何度でも』巡り会えるように』

 

そして、彩葉の方を向く。目が合うと彩葉は不思議そうな顔をして首を傾げた。そして、マイクを切って、彩葉だけに声が届くように呟いた。

 

「そして、わたしの一番大切な人へ届けられるように」

「へっ!?」

 

あからさまに動揺した彩葉を置いていくように人差し指を唇に当てて、内緒話のジェスチャー。

 

『風に想い通してを、月に願いを込めて───』

 

これは、月見 ヤチヨ(わたし)と彩葉の物語。

 

『大切な神々の皆へ、大切なこの世界へ、巡り会い、届くと信じて』

 

月見ヤチヨとしての新しい物語。その一節。

 

『ずっとこの思いが何度も巡るように』

 

題名?そうだねぇ。

このお話に題名をつけるとするなら───

 

・・・・・・『Time after Time』・・・・・・

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。