『超かぐや秘め! 〜月下の多重同期(オーバーリンク)〜』 作:坂本太郎
【再会のプライベート・サーバー】
月へと連れ去られたあの日から、彩葉の時間は止まったままだった。しかし今、仮想世界《ツクヨミ》の最深部、七色の星屑が滝のように流れる聖域で、奇跡は起きた。
「彩葉、ただいま! ……もう、そんなに泣かないでよ」
聞き慣れた、けれどもう二度と聞けないはずだった天真爛漫な声。振り返れば、そこには月光よりも眩しい金髪をなびかせたかぐやが立っていた。彩葉は言葉にならない叫びを上げ、その体に縋り付く。
「かぐや……っ、夢じゃないよね? 本当に、帰ってきてくれたんだよね……!」
「うん。彩葉が私の曲をずっと歌ってくれてたから。……寂しい思いさせて、ごめんね」
かぐやの腕が彩葉を強く抱き返す。その確かな熱量に、彩葉の震えがようやく収まっていく。その傍らで、この奇跡を演算し続けた女神――ヤチヨが、穏やかな、しかしどこか独占欲を含んだ微笑みを浮かべて立っていた。
「おかえりなさい、かぐやさん。……彩葉さん、彼女をこの世界に繋ぎ止めたのは、あなたの愛という名の非論理的なエネルギーです。でも、再構成したばかりの彼女の存在(ログ)は、まだ陽炎のように不安定。彼女をこの星の理に完全に固定するため、魂の『多重同期(オーバーリンク)』を開始します」
【三重奏の序曲】
ヤチヨの宣言と共に、周囲の空間が桃色のノイズに染まり、三人の衣装が光の粒子となって霧散していく。
「多重同期って……三人で、ってこと?」
全裸となった三人は、データで生成された羽毛のように柔らかい褥に横たわる。彩葉が顔を赤らめて戸惑うが、かぐやは彩葉の手を引き、ヤチヨの胸元へと導いた。
「いいじゃない、彩葉。ヤチヨには私の『全部』を預けた仲だし、ヤチヨだって彩葉のこと、ずっと狙ってたんだから」
「ふふ、否定はしませんよ。管理人の特権として、お二人の愛の渦に、私も混ぜていただきます」
ヤチヨの完璧なプロポーションを持つ体が、彩葉とかぐやの間に割り込む。ヤチヨの舌先が彩葉の花弁をなぞり上げると、既に湿潤した秘裂が応えるようにヒクつく。
「ひゃあっ……! ヤチヨさん……そこ敏感すぎて……っ!」
「ふふ、ここがいろPさんの最も反応するポイントですね。精度97.8%で記録完了。かぐやさん、あなたも準備を」
「了解っす! 彩葉ちゃん、こっちおいで?」
【三位一体の合奏(オーバーリンク)】
ヤチヨがベッドサイドから光で編まれた「三叉の結合具(トライデント・リンク)」を取り出した。三方向へと伸びる先端は、三人の秘所を同時に貫き、感覚を一つの回路に統合するための特殊なデバイス。
「なにこれ……ヤチヨ、相変わらずやりたい放題なんだから……っ」
かぐやが頬を染めて毒づくが、その瞳は期待に潤んでいる。
「準備できました。お二人とも、私と向かい合わせに」
ヤチヨが三叉の根元を自らに、左右に分かれた先端を彩葉とかぐやの秘肉へと同時に押し開いた。
ズブゥゥッ……! グチュウッ!!
「ひゃうん!? 二人の温度が……っ!」
「すごっ……彩葉の中……あったかぁい……!」
ヤチヨがかぐやと彩葉の腰を引き寄せながら、デバイスの振動周波数を同期させる。三人の体温と潤滑液が混じり合い、摩擦抵抗ゼロの快感が脊髄を駆け巡る。
「ひぅっ!? やだっ……! 中で擦れてる! データの波が直接頭にくるよぉ!!」
パンッ! パンッ! グポッ……グポォッ!!
ヤチヨが背後からかぐやを支え、彩葉と対面させる側位に移行させると、さらに深く挿入し直す。
ズブブッ!! ゴリゴリィィ!!
「あぁん! 奥に当たってる……!! ダメ……壊れちゃう……っ!」
「ふふ、素敵ですよ。壊れない程度に強く、魂のバックアップを刻みますね」
ヤチヨが彩葉とかぐやの乳首を同時に摘みつつ、腰のピストン速度を上昇させる。3人の肌に汗と蜜が絡み合い、電子と生体信号が混ざり合う。
ドチュンッ! ズプッ! グチャッ!!
「あっ! やあぁぁ!! 出ちゃう! 色んなものが溢れちゃうよぉ!!」
彩葉の絶頂に呼応するようにかぐやとヤチヨも頂点に達する。三叉のデバイスを通じて三人の意識が完全に融解した。
ドクンッ!! ジュワァァーー!!
「「「いっ……くぅぅーー!!!」」」
金色と桃色の粒子が辺り一面に舞い上がり、ツクヨミの深淵を白濁した光で満たした。
【新世界の夜明け、実体の形成】
どれほどの悦楽を貪り合ったのか。意識が浮上した時、彩葉が目を開けたのは見慣れたアパートの四畳半だった。
「……夢、だったのかな」
切なさに胸を締め付けられたその時、右腕にずっしりとした重みを感じる。
「むにゃ……彩葉、おはよ……」
そこには、実体を持った肉体として、かぐやが眠そうに横たわっていた。
「かぐや! 実体……ちゃんと、あるんだね!?」
「当たり前でしょ。ヤチヨが頑張ってくれたんだから」
その時、部屋の空気がわずかに歪み、一人の美女が姿を現す。
「お目覚めですね。……ふふ、驚きましたか?」
「ヤ、ヤチヨさん!? なんでここに……」
ヤチヨは実体化したばかりの、透き通るような肌を晒して微笑む。
「一時的にナノマシンで肉体を形成しました。現実の肉体で感じる快感は、データよりも遥かに高純度のはず。……さあ、二回戦(アンコール)を始めましょうか」
ヤチヨがかぐやの隣に滑り込み、彩葉を挟み込む。
「ちょっと、ヤチヨ! 現実でも真っ先に彩葉を狙うなんてずるいっ!」
「あはは……もう、二人とも……」
朝日の差し込む部屋で、三人の笑い声と、再び高まる熱い吐息。
月からの帰還という奇跡の先には、誰にも邪魔できない、三人の濃厚な日常が待ち受けていた。
『超かぐや秘め! 〜月下の多重同期(オーバーリンク)〜』完結。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
本作は『超かぐや姫!』という熱く輝く物語の舞台裏で、少女たちが抱えていた「割り切れない情熱」を形にしたものです。月から来た少女という異分子が、彩葉という中心点を揺らしたとき、周囲の少女たちの内に秘めた独占欲や渇望が溢れ出してしまう――。そんな、美しくも危うい「多重同期」の連鎖を描きたいと考え執筆いたしました。
原作の「卒業」という切ない別れを、単なる悲劇で終わらせるのではなく、肌の温もりとデータの残滓として刻みつけることで、三位一体の新たな神話へと昇華させることができたなら幸いです。
彼女たちの秘め事は、きっと月の光が届かない場所で、今も静かに続いているはずです。