やまない雨に煙る視界
私の心に降り続く
濡れる心に溺れる瞳
◇◆◇◆◇◆
「んむぅっ、んぐっ、じゅっぽじゅっぽじゅっぽ♡」
明くる朝、淫夢から目覚めると、桃子は俺のちんぽにむしゃぶりついていた。
「んあっ、先輩のおちんちん汁、いっぱい飲ませて欲しいっす♡ んちゅっ♡ ちゅぱっ♡」
可愛い顔に見つめられながらのフェラによって、ガチガチの男根は既に発射寸前だった。
「じゅぶるるる~~、れろ~~」
「イクっ! 飲めっ!」
咥えたまま裏筋に舌を擦り付けられ、精液が迸る。ちんぽをしゃぶる桃子の愛らしいドスケベまんこ顔(フェイス)を凝視しながらの射精。
びゅるるるる!! びゅびゅーー!!
「んんっ! んぐっ♡ ごくっ、ごくりっ、ごくんっ♡」
どびゅびゅ!!びゅりゅびゅりゅびゅりゅ!!
「んごっ、ごくっ、ごっく、ごっくん♡ ぷはあっ、ごちそうさまっす、先輩。凄い量♡ しかも、すっごく濃いっすね♡」
一日の最初の射精。ギリシャヨーグルトよりも濃厚な精液を、笑顔で飲み干した桃子の頭を撫でる。その間も、桃子の舌が優しく蠢き、亀頭を撫で回し快感を送り込んでいた。
「じゅぱっ♡ ん~、やっぱり朝は先輩のくっっっさくて濃い精液を飲まないと始まらないっす♡ れろぉ~~えろえろ~~♡」
桃子は射精を終えた男根に、尚もぺろぺろと舌を這わせていた。
「なあ、何で俺を『先輩』と呼ぶんだ? モモの先輩に似ているとか?」
その疑問を口にすると、桃子の顔は凍り付いた。
「……全然似てないっす。先輩は、加治木先輩は、綺麗で、優しくて……でも、声が、声だけは……似ているっす……」
俺は自身の外見とは裏腹に、中性的な美声だった。コンプレックスでしかなかったのだが……。
「練習に行って来るっす」
桃子はふらふらと覚束ない足取りで出て行った。
日が暮れても、桃子は帰ってこなかった。
今朝の桃子は明らかに変だった。まあ、俺を監禁してる時点でおかしくなってるのは明白なのだが、いつになく思い詰めたような様子に不安を感じていた。
ポツポツと、雨まで降り出してきた。
俺は居ても立っても居られない気持ちになり、ドアノブに手を掛ける。
鍵が掛かっていない――。
久方振りに出た外だというのに、冷たい雨がパラついて、感慨に浸る事は出来なかった。いや、雨のせいではない、桃子が居ない焦燥感のせいだろうか。
桃子の姿を探して、夜を彷徨う。だが、闇の中で、彼女の存在を見付ける事が出来るのだろうか。
ともすれば、消えてしまいそうな程に、淡く儚い彼女の存在感。
高い所から探そうと歩道橋の階段を昇ると、そこには――
「何で、見付けちゃうっすか……」
雨に濡れた桃子が居た。
「桃子の事が好きだから」
嘘ではない。
「『先輩』は、私の事を『桃子』とは呼ばないっす。モモって呼ぶように、最初に言ったはずっすよ」
「そうだったな」
力無く笑う俺に、桃子が抱き着く。
その顔は、濡れていた。雨ではなく、涙で――。
「うっ、ううっ……、先輩、どうして……、私……、~~っ」
声を殺して、桃子は泣いていた。
俺は到底彼女に相応しい人間ではない。けれど、せめて彼女の心の傷が癒えるまでは、そばに居たいと思う。
俺は彼女を抱き締め、ひたすら頭を撫でていた。
♢
一年前――。
俺は応援しているプロ雀士である、東横桃子のサイン会に来ていた。
けれど、東横プロの初めてのサイン会だというのに、客は俺しか来ていなかった。
「何で俺しか来てないんだろう? こんなに可愛いのに」
間近で見る東横桃子は、吃驚するほど可愛かった。
「私、存在感無いっすからねー」
照れたように頬を赤らめ、俯き加減で彼女は答えた。
「そうなの? 俺も存在感無いんだよね」
だから、彼女の存在に気付けたのかもしれない。
「私の存在感の無さはレベルが違うっすよ」
「いやいや、俺なんて影が薄すぎて友達も出来ないし、もうすぐ誕生日なのに、祝ってくれる人もいないんだよ」
俺は自嘲気味に笑った。
「誕生日プレゼントに、何か欲しい物とかあるっすか?」
「君が欲しい、……何て」
彼女はサインペンを取り落とし、驚いた表情をしていた。ゆっくりと顔を上げる。
「昔、同じ事を言われたっす――」
大切な思い出を懐かしむ顔。
優しい笑み、だけど何処か、壊れそうな悲痛を滲ませている彼女を見て、俺の胸は痛みを覚えていた――。