なんで緑谷夢の小説って少ないんだろ。
お昼の時間。
アタシたちの学校は基本的に給食は出ない仕組みになっていて、それぞれがお弁当を持参している。
もしくは学食のパンとかは売られてるからそれらを買うかだ。
でもアタシはこの時間が好きだ。
だってお兄ちゃんと一緒にいられるから。
「お兄ちゃん美味しい?」
「うん、美味しいよ」
学校の屋上。
普通なら出入り禁止の場所だけど、治安が良くないこの学校は出入りが普通にできてしまう。
でもバレたら面倒だからと、踏み入れる人は早々いない。
いるとすれば告白や、誰にも聞かれたくない話をする人ぐらいだ。
そしてアタシたちはそこに目を付けて、お昼には必ずここで二人で食べてる。
ちなみにお弁当はアタシが自分でお兄ちゃんの分も作って来ているものだ。
「ん~…」
「わっ、急に寄りかかったら危ないだろ?」
「んぅ」
屋上に唯一置かれてるベンチに並んで座って食べながらお兄ちゃんに寄り掛かる。
学校は嫌いだけど、この時間だけは大好き。
誰にも邪魔されない、アタシたちだけの世界にいるような感じがするから。
「そういえば静久、進路は決めたの?」
「お兄ちゃんと一緒なら天国だろうと地獄だろうと、どこでも行くよ?」
「真面目に答えてよ」
「お兄ちゃんが雄英に行くからアタシも行く」
お兄ちゃんはずっとヒーローを夢見て、今でもあきらめないでいる。
周りからバカにされようと、折れずに必死に。
そんな姿はカッコいいと、アタシは素直に思った。
アタシはお兄ちゃんと違って早々に諦めた。
でもお兄ちゃんを裏から支える存在的な、帰るべき場所にはなりたいなとも思った。
それに離れ離れなんて、神の反逆になろうとも嫌だし、抗ってやる気でいる。
そしていつか……。
「お兄ちゃん」
「ん?」
「ちゅー…しよ?」
お兄ちゃんの目を見て伝えた。
お兄ちゃんは固まったけど、弁当と箸をおいて手を広げた。
「――おいで?」
「~ッ♡」
お兄ちゃんは正面から受け入れてくれる。
アタシはお兄ちゃんに抱き着いて、お互いの唇を重ねた。
お兄ちゃん…お兄ちゃん、お兄ちゃん♡♡♡
「ん…んぅ♡」
「んぅ!?」
我慢できずに無理やり舌で唇を開けて中に入れる。
そしてお互いの舌を絡め合うけど、やっぱりお兄ちゃんの唾液は美味しい♡
ずっとこうしてたい…♡♡
「ッ! ~♡」
お兄ちゃんが両手を背に回して抱き寄せてくれた。
お兄ちゃん好き、大好き♡♡
ずっと一緒にいたい♡しわくちゃのお年寄りまで、死ぬ直前まで、あの世までずっと…♡
「んっ、んぅ…うぁ♡…おにいひゃ……♡」
「しずく…」
くぐもった声と湿ったリップ音が静かな屋上に響く中、お兄ちゃんはアタシの胸に、アタシはお兄ちゃんの膨らみに手を伸ばし触る。
思春期が重なったってのもあるけど、アタシたちはずっとお互いの傷をなめ合うように寄り添いあって、愛し合ってきたんだ。
キスをしながら、お兄ちゃんはアタシの胸を揉んでくる。
アタシもお兄ちゃんのをずっと触ったり、擦ったりする。
気持ちいい…♡
「んぁ…♡あっ、お兄ちゃっ、だめ…♡♡」
キスを一度やめるとお兄ちゃんはそのままアタシの首筋に顔を押し付けて、さらに手は制服の中に入れて直接揉んできてる。
けどアタシの方も負けじとズボンの中に手を入れて直接触った。
「うっ…静久、今触っちゃダメだよ……」
「お兄ちゃんだって…ずっと触ってる…♡♡」
息遣いも荒くなって、お互い顔が真っ赤になってる。もう一度キスをしようと顔を近づけようとしたら――
「「ッ!?」」
――昼休み終了のチャイムが鳴ってしまった。
お兄ちゃんは慌ててアタシを優しく離すと、お弁当をかきこんでいく。
「急いで戻ろっか」
「……や~」
「でもこのままだと後々面倒になるから、ね?」
そう言いながらお兄ちゃんは制服を整えていく。
アタシも乱れた制服を直しながら、お弁当をしまう。結局お互いじらすだけで終わってしまったと思っていたら、お兄ちゃんが急に片手を腰に回して抱き寄せて来て、耳元で囁いた。
「その分今夜は覚悟してね?」
「~~ッ!!!!!!♡♡♡」
もう子宮がうずいてしまったけど、今夜が楽しみだから今は頑張ろっと♡
――◇――
教室に戻り、退屈な授業を受けて放課後、先生に進路志望書を提出した。
先生はその紙を見て、私を見た後すぐに教室を後にした。
でも見られてる側からするとわかる。
アタシの身体を事細かく見て来ていたのを。
気持ち悪くて寒気すら起きるレベル……下手したら放課後呼び出し喰らって最悪は…うん、あの先生ならあり得る。
中学生だからそういうお年頃でも未経験って思ってるんだろうけど、アタシはとっくに経験済みだし、お兄ちゃん以外にこの身体は触れさせる気は毛頭ない。
そういう時が来たら正当防衛に収まる範囲で痛めつけてやるつもりだ。
……なんでこの学校潰れないんだろ。
そう思いながらさっさと支度をして玄関へ向かう。
今夜もお兄ちゃんと愛し合えるんだ♡
そう考えるだけでさっきまでのが嘘みたいに消えて行って、心もポカポカに――
「――おい二号」
……なるはずだったのに、一瞬で凍り付いた。
後ろから唐突に発せられた二号という言葉に、忘れたくても聞き慣れているせいで忘れられない声。
お兄ちゃんの後ろをついてまわり、なおかつ双子でもあるからデク二号と呼ばれているせいで、今でも名前で呼んでくれた人はおらず、みんなアタシのことは二号と呼んでいる…その状態を作り上げた元凶……。
恐る恐ると振り向けば、そこにはやっぱり勝己くんがいた。
「…ッ」
「おい、人が話しかけてんのに無視か? 出来損ない二号」
眉間に思いっきり皺を寄せて、アタシを射抜くように鋭い目で睨みつけてくる。
気が付けばアタシは恐怖で息が上がっていった。
「な、なに…? 急いでるんだけど……」
「ア”ァ”? テメェのことなんざ知らねェわ。どうせクソデクンとこ行くだけだろうが、出来損ないの双子だからな」
そう言いながら歩み寄って来てすぐ目の前にいる。
アタシは怖くて動けなかった。
「クソナードが雄英志望なの聞いてんだろ」
「…お、お兄ちゃんはクソナードじゃないよ」
「黙れや二号。俺ァよ、平凡な市立中学から唯一の雄英進学者の箔をつけてェんだわ…だからニ号、テメェから雄英諦めろってクソナードに言え」
「言うことしっかり聞けるな?」と悪い笑みを浮かべながらアタシの肩に遠慮なく手を乗せてきた。
だけどそれを聞いたアタシは沸々と怒りの気持ち、そして気持ち悪さが全身に鳥肌が立つレベルで感じて、咄嗟に肩を動かして手を放させた。
勝己くんは何かとアタシ達が"無個性"なんてちっぽけなことで目の敵にしてくる。
こんな人がお兄ちゃんと一緒のヒーロー志望、ましてやお兄ちゃんの憧れだなんておかしい…妬ましい…許されるのなら――殺したいぐらいだ。
「あ”? お前ンな態度できるほど偉くなったんか? その目もなんだ殺すぞ」
「なら殺せばいいでしょ……そしたら晴れてあなたは
そう言い返せば胸ぐらを掴まれて、もう片方の手で脅すように小さく爆破を繰り出してた。
怖い、怖い……!でも!!
「アタシにとって勝己くんは
本当にキレたのか勝己くんは目力で殺そうとしてくる。絶対に手を出さない辺りみみっちぃ……すると遠くから勝己くんを呼ぶ声が聞こえて、本人は舌打ちしながら私を押し放して、去って行った。
それから私は身だしなみを整えてから、すぐに玄関に向かって走っていった。
――◇――
玄関についてからすぐに靴を履き替えて出る。
校門まで走れば、お兄ちゃんがスマホでニュースを見ながら待ってくれていた。
アタシが叫び呼べば、気づいてスマホを閉じてくれる。
そんなお兄ちゃんにアタシは飛び付くように抱き着いた。
「し、静久? どうしたの?」
「……」
「……かっちゃんと会っちゃった?」
お見通し…だから私はお兄ちゃんの胸に顔を押し付けたまま頷いた。
「そっか……じゃあ寄り道せず真っすぐ帰ろっか。ごめんね、僕のわがままで」
「お兄ちゃんの、せいじゃないもん……」
お兄ちゃんの、アタシのせいでもない……全部、この学校と勝己くんのせいなんだ。
だから…………だから今夜は今日あったこと全部忘れるぐらい愛してね?
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