君の身(からだ)は。〜入れ替わる体温と、忘れない快楽〜 作:坂本太郎
【異物感と好奇心】
飛騨の山深い町、糸守。宮水家の朝は早い。
しかし、その日の「三葉」の目覚めは、これまでで最も混乱に満ちたものだった。
「……また、これか」
瀧は三葉の身体の中で、天井を見上げて溜息をついた。週に数回訪れるこの現象。朝、目を開けると視界に入るのは、見覚えのない木造の天井と、自分のものではない細い手足。そして何より、胸元に感じる、男の身体にはない「重み」だ。
瀧は無意識に、もはや日課となった行為——胸を揉む動作を始めた。柔らかく、手のひらに吸い付くような弾力。最初は単なるラッキースケベ程度の好奇心だった。しかし、今日は何かが違った。指先が薄い寝間着越しに、三葉の肌の熱を敏感に拾い上げてしまう。
(……待てよ。三葉のやつ、俺の身体で何してんだ……?)
ふと過った疑問。自分は彼女の胸を揉んでいるが、彼女も向こうで自分の「アレ」をどうにかしているのではないか。そう考えた瞬間、下腹部に熱い塊が宿った。
瀧(中身)は困惑した。男の身体ならすぐに解決できるその熱が、三葉の身体ではどこに逃げ場を求めていいのか分からない。
鏡を見る勇気はない。だが、指先が勝手に寝間着のボタンを外し、白い肌に直接触れてしまう。自分の指なのに、触れられた三葉の肉体が「ひうっ」と小さな声を漏らした。その可愛らしい反応に、瀧としての理性が急速に摩耗していく。
「これ、夢なんだよな……? なら、少しくらい……確かめても」
三葉に申し訳ないという良心の呵責と、女子高校生の身体という未知の領域への抗いがたい欲望。瀧は、自分の荒くなった吐息が三葉の喉を鳴らす音に背中を押されるように、シーツの中に深く潜り込んだ。
【結びの疼き、身(からだ)が暴く衝動】
「クソ……これ、どうすれば……」
瀧(中身)は三葉の細く白い指先で、恐る恐る自分の……いや、「三葉」の太ももの内側を探った。男の身体であれば当然あるはずのものがない空間。そこに存在するべき器官が、柔らかな襞となって指先を拒むような抵抗を見せている。
「おいおい……ここ、こんなに……熱くなってんのかよ」
寝間着の裾を捲り上げると、目に飛び込んできたのは、慎ましやかな三葉のショーツ。薄い布地に指をかけると、微かに湿った感触が伝わってきた。三葉自身は知らないであろう、自身の身体の変化。
「ごめん、三葉。一回だけだからな……」
瀧は誰に言い訳するでもなく呟き、ショーツを膝まで下げた。途端に、濃厚な香りが鼻腔を刺激した。男の身体では決して嗅げない、三葉自身の匂い。それは未知の媚薬のように瀧の脳髄を焼いた。
「やべぇ……こんなの……反則だろ……」
息を荒げながらも、瀧は三葉の身体に触れる勇気がなかった。自分のものではない指先が、この繊細な部分を傷つけやしないかと怯える。しかし一方で、この未知の領域を探索したいという男としての本能が暴れている。
まず試したのは、太ももの付け根を円を描くように撫でることだった。すると、三葉の喉から「ふぅ……ん…」という微かな吐息が漏れた。まるで自分の意思とは無関係に漏れるその声に、瀧は狼狽える。
「マジかよ……こんなとこだけで……」
次に、もっと核心に近い場所へ指を伸ばす。指先が花弁に触れた瞬間、
「ひあっ!」
と三葉の身体が大きく跳ねた。そこは信じられないほど熱く、そして湿っていた。男の自分が求めて止まないあの部分と似たような場所なのに、まったく違う感触。それが何故か瀧の中の何かを掻き立てた。
「これが……三葉の……」
指の腹でその熱源を撫でる。そっと表面を擦り上げるたびに、三葉の身体はビクッと震え、その口から「んっ……」「あっ……」という嬌声が次々と零れる。それは自分自身の声であっても、まるで初めて聞く他人の声のようで、瀧は興奮と混乱の渦に飲まれていった。
「もっと……奥はどうなってるんだ?」
好奇心に駆られた指が、躊躇いながらも閉じた割れ目をなぞる。入り口を探るように指先を滑らせると、
ちゅぷ……くちゅ……
という粘液質な音と共に、指先が柔らかな肉壁に包まれた。その瞬間、
「ひゃああっ!?」
と三葉の身体が大きく仰け反り、未知の快感が全身を貫いた。まるで電流のような感覚。女としてのオーガニズムの序章。瀧の指は驚きで止まった。
「なんだこれ……俺の身体と全然違う……女って……こんな風になるのかよ……」
戸惑いながらも、指は自然と奥へ進んでいく。中指が第二関節まで沈んだところで、
「ひうっ! そこ……ダメっ……!」
と三葉の口から悲鳴が上がる。同時に膣壁がキュッと指を締め付けた。男が感じる射精とは全く異なる圧迫感と引き込むような蠕動。瀧は息を呑んだ。
「ヤバい……気持ちいい……三葉の中……あったけぇ……」
中指を軽く曲げる。Gスポットを探すような動き。すると三葉の腰が勝手に動き出し、
「あっ! あっ! なんか来てるっ! ダメぇっ!」
という切羽詰まった喘ぎと共に、身体が激しく波打った。絶頂の予兆。瀧は本能的に指の動きを速め、
ずちゅっ! じゅぽっ! クチュクチュッ!!
と粘膜同士が擦れ合う音が部屋に響き渡る。同時に三葉の手が枕を掴み、
「イクっ! イッちゃうぅぅっ!!」
という悲鳴のような声と共に、全身が硬直した。その直後、
ピシャァァッ!! ジョロロロッ!! プシュゥッ!!
と潮が噴き出す音と共に、温かい液体がシーツを濡らした。三葉の身体は痙攣を続け、指先はさらに強く締め付けられる。男の自分では到底ありえない持続的な絶頂感。瀧は呆然とした。
「これが……女の……アクメかよ……やべぇ……癖になりそうだ……」
しかし余韻は長く続かない。瀧は三葉の身体を弄んだ罪悪感に襲われながらも、彼女の指先がもうひとつの性感帯へと伸びていた。
クリトリス。未成熟ながらも確かに存在するその突起に触れた瞬間、
「ひぃっ! そこっ! 強すぎるっ!」
と三葉は叫んだ。指先が転がすたびに電流が走る。
くりっ……ぬりゅっ……コリコリ……
「あ゛ぁ゛ーっ! 止めっ……おかしくなるっ!」
「でも……触りたくなっちまう……」
「ひぐっ! ダメェエェェ!!!」
二度目の絶頂はさらに強烈だった。身体は弓なりに反り返り、
プシュッ! ジョバジョバッ! プシィイイイッ!!
と今度はシーツどころか足首まで濡らすほど大量の潮が吹き出した。意識が朦朧とする中で、三葉の視線は床に転がった古い木製の飾り——祭具に使うコケシに留まった。
「これ……使っても……いいか?」
もはや後戻りはできなかった。瀧は震える手でコケシを握ると、先ほどまでの探索で解された三葉の入口にそっと宛てがった。つるりとした木材の感触。
「ひぁっ! 冷たいっ……けど……」
「三葉のとこ……すごい濡れてて……すぐ入っちまいそう……」
「やっ……そんなに押さないでぇっ……!」
ずぷ……ちゅぷん……
「ひいいいいっ!! 入ってくるっ!!」
コケシの先端が沈んだ瞬間、三葉の身体は魚のように跳ねた。男のペニスとは違う形と素材。しかし内部を満たす圧迫感は本物だ。
「動かすぞ……」
「やっ! ダメだってばぁ! まだイッたばかりなのにぃっ!」
「でも……お前の身体……喜んでるみたいだけどな
ぐちゅっ! ぐぽっ! ぐちょぐちょっ!
瀧がコケシを浅く抜き差しすると、三葉の腰が勝手について動き始める。まるで機械のように自ら快感を貪る肉体。彼女の喉から漏れる声は獣じみてきた。
「あ゛ーっ! あ゛ぁ゛ーっ! もう無理っ! 助けてぇっ!」
「イクぞ……一緒に……」
「イクぅ! イッちゃうぅぅぅ!!!」
ガクガクと全身が痙攣し、
ジョボボボッ!! プシューッ! ジャババッ!! ピュッ! ピュウッ!
今までで一番盛大な潮吹き。三葉の股間は熱湯を浴びたかのように湯気を立ち昇らせた。コケシを抜くと、
ぷちゅん……
という音と共に白濁した愛液が糸を引いた。三葉の身体は完全に脱力し、荒い呼吸だけが部屋に残る。瀧は汗と唾液で濡れた三葉の唇に指を這わせた。
「やべぇよ……これ……俺の知ってるセックスじゃない……」
「三葉の身体……こんなに凄いなんて……」
罪悪感と達成感。その狭間で瀧は震える指で三葉の頬を撫でた。愛おしくて仕方がない。この身体を隅々まで知っていく興奮。しかし同時に恐ろしかった。これは彼女を裏切っているのではないかという禁忌の意識。
「ごめんな……三葉……でも……」
「これ以上……抑えきれねぇんだ……」
瀧は三葉の細い指を、まだヒクつく自身の膣口に添えた。指が触れると、
「あっ……」
と反射的に声が出た。快感の火種はまだ燻っている。その中心をそっと押すと、
クチュ……
「ひぁっ! また……感じちゃう……!」
四度目の覚悟は必要なかった。肉体が本能的に指を迎え入れる準備をしていた。三葉の指先が再び膣壁を探る。Gスポットを捉えた瞬間、
「ひゃあっ! そこぉっ! やぁっ!」
ビクンッ! ジュワーッ! ショワァァッ!!
控えめな潮吹きと共に三葉の身体が軽く跳ねた。指一本で簡単に絶頂に達する繊細な肉体。瀧は三葉の乳房を揉みながら乳首を摘む。
くりっ……
「ひぅっ! そこまでしたらぁっ!」
指を二本に増やすと、
ずぶぶっ! じゅぽっ! ぐちゅぐちゅぐちゅっ!
「ダメぇ! おかしくなるぅっ! また出ちゃうぅぅっ!!」
ジョバババッ!! プシィィッ! ジョババッ!! プシュッ!
今度は座薬状のコケシをクリトリスに押し当てる。前後のダブル攻撃。
ぐりっ! ぐりんっ!
「ひぐぅぅっ!! 感じすぎぃぃっ!! ダメダメダメェエェェ!!!」
ビシャアアッ!! プシャァアァッ!! ビュッ! ビュルルッ!
五度目ともなれば意識が遠のき始める。三葉の身体は白く泡立った愛液で泥濘のように汚れている。それでも瀧の指は止まらない。三葉の肉壁が「もっと」と言わんばかりに吸い付き続けるからだ。
「俺……おかしくなっちまったのか……?」
「三葉の身体が……欲しくて仕方ねぇ……」
指の動きが加速する。
ジュボジュボッ! クチュクチュッ! パンッ! パチュッ!
「あっ! あっ! やっ! だめぇっ!! またイクぅぅぅぅっ!!」
ジョババババッ!! ショワワワッ!! プッシュゥゥッ!! ジョボボボッ!!
六回目の絶頂。もはや潮か尿か区別がつかないくらいに噴き出す水分。三葉の身体は完全に弛緩し、呼吸は浅く速い。瀧は三葉の意識が飛ぶ前にコケシを取り上げた。
「ごめんな……でも……めちゃくちゃ気持ちよかったぜ……三葉」
「お前の身体……最高だよ……」
最後に彼女の唇にそっと触れた瞬間、
「瀧君……ありがとう……」
という言葉が自分の口から零れた。三葉の本音なのか、自分の願望なのか判別がつかない。ただ胸が締め付けられた。
【共有される熱】
嵐のような快感が去った後、三葉の身体はぐったりとシーツに沈み込んでいた。
瀧(中身)の意識は、まだ三葉の肉体が刻んでいる激しい鼓動に支配されている。指先は微かに震え、太ももの内側には、男の自分では決して知り得なかった「女の充足感」の残滓が熱くまとわりついていた。
「はぁ……はぁ……、やべぇ……。これ、マジでどうすんだよ……」
瀧は三葉の声で呟き、自分の顔を両手で覆った。視界の端には、乱れた組紐と、はだけた寝間着。先ほどまで自分が貪り尽くしていたのは、自分自身の精神を宿した、けれど紛れもない他人の、それも好意を抱き始めている少女の身体だ。
三葉を汚してしまったという罪悪感。しかしそれ以上に、彼女の身体が自分によって「開拓」されたという歪な満足感が胸を満たしていく。汗ばんだ肌が空気にあたって冷えていく感覚さえも心地よく、瀧は三葉の身体が感じる微細な幸福感に身を委ねた。
不思議と、三葉が愛おしくてたまらなくなった。彼女の身体の仕組み、敏感な場所、絶頂の瞬間にこぼれる声。そのすべてを、本来の持ち主である三葉以上に自分が知ってしまったという優越感。
「……次、入れ替わった時、あいつどんな顔して起きるんだよ」
明日、三葉が自分の身体で目覚めた時、この肌に残る微かな違和感に気づくだろうか。
瀧は、三葉の細い指で、自身の熱が残る肌をそっと撫でた。窓から差し込む朝陽が、糸守の美しい景色を照らし始める。この背徳的な秘密を共有したまま、今日もまた、三葉としての「非日常」を生きなければならない。
瀧は最後にもう一度だけ、三葉の柔らかい感触を確認するように自分を抱きしめ、重い腰を上げて起き上がった。