君の身(からだ)は。〜入れ替わる体温と、忘れない快楽〜 作:坂本太郎
【異物感と戦慄】
東京、四谷。高層ビルが朝陽を反射する都会のど真ん中で、三葉(中身)は瀧の身体として目覚めた。
「……んっ……?」
寝返りを打った瞬間、股間に感じた強烈な「違和感」。それは三葉の知る自分の身体には存在しない、硬くて熱い、主張の強い塊だった。
慌てて布団を跳ね除け、パジャマの上から恐る恐る手を当てる。そこには、三葉の拳ほどもある太い突起が、意思を持っているかのように拍動していた。
「な、ななな……何これっ!? やだ、瀧くんの身体、壊れてる……!?」
三葉はパニックに陥った。女の子の自分には、朝起きて身体の一部がこんなに硬くなっている現象など理解不能だ。病気か、あるいは何か別の恐ろしいことが起きているのではないかと、瀧の低い声で悲鳴を上げる。
鏡の前に立つと、そこには精悍な顔立ちをした男子高校生が、顔を真っ赤にして股間を押さえている滑稽な姿があった。
しかし、パニックはやがて、じわじわとした「熱」に変わっていく。
その場所は、三葉の手が触れるたびに、さらに硬さと熱を増していくようだった。触れてはいけない。けれど、触れずにはいられない。瀧の身体が発する原始的な欲求が、三葉の淑やかな精神をじわじわと侵食していく。
(……これは、男の子の『仕組み』なの……?)
三葉の頭の中に、いつも自分の胸を揉んでいる瀧の不埒な顔が浮かぶ。
「あいつ、いつもこんな恥ずかしい身体で過ごしてるの……?」
そう思うと、悔しさと好奇心が混ざり合い、指先に力がこもる。瀧の身体が、三葉の愛撫を求めてドクンと跳ねた。それは三葉自身の身体では決して味わえない、突き上げるような、爆発寸前のエネルギーの塊だった。
【結びの疼き、制御不能の衝動】
パニック状態から少し落ち着いた三葉(中身)は、改めて瀧の股間に屹立した存在を見つめていた。それは三葉の手では握りきれぬほど太く、血管が浮き出て脈打ち、先端から透明な雫が垂れている。その雄々しさは威嚇にも似ていて、三葉を怯えさせた。
「これ……どうすれば……治まるの?」
瀧の低い声で呟きながら、おそるおそる指先で触れてみる。
ピクッ!
「ひゃあっ! 生きてるみたい!」
わずかな刺激でも瀧の身体は過敏に反応し、硬さを増していく。三葉は意を決してパジャマのズボンを下ろし、勃起した陰茎を露わにした。見慣れない器官を観察すると、竿の部分には柔らかい部分と硬い芯があり、先端(カリ)は独特の段差を持っていた。
「ここ……触ると気持ちいいのかな?」
興味本位でカリ首をそっと撫でた途端――
ビリビリッ!
「ひんっ!」
予想以上の快感が背筋を駆け抜けた。瀧の身体が跳ね上がり、三葉は驚いて手を引っ込める。
「すごい……女の子と全然違う……。こんなに敏感なの?」
興奮と恐怖がないまぜになりながらも、三葉の好奇心は抑えきれなかった。再び右手で竿を握り、左手でカリを包むようにして上下に動かし始める。
シコ……シコ……チュク……!
「あっ……ああっ! なんなのこれ……!」
陰茎を擦るたびに痺れるような快感が押し寄せ、先走りが漏れて滑りを良くする。三葉は無意識に速度を速めていった。
「瀧くん……いつもこんなことしてるの? 恥ずかしいのに……気持ちよすぎて止められないっ!」
陰嚢がキュッと持ち上がり、腰の奥から得体の知れない熱がせり上がってくる。
「なんか来るっ! 出ちゃうっ!」
どぷっ!
先端から白濁が少量漏れ出た。
「あっ……出た……?」
初の射精に呆然とする三葉だったが、陰茎は萎えるどころか更に硬度を増していた。
「嘘……まだ硬い……?」
「もしかして……これじゃ足りないの?」
三葉は半信半疑で再度陰茎を掴んだ。今度は指の腹でカリ裏の筋を重点的に擦り上げる。
グチュグチュッ!
「んっ! んふっ! くすぐったいけど……止まんないっ!」
快感が急加速し、睾丸が激しく収縮し始める。
「ああっ! もっと出したいっ! 瀧くんの身体……おかしいよぉ!」
ずちゅっ! ぬちゅっ!
手の動きが激しくなるにつれて、尿道から熱いものが押し上げてくる感覚が強まった。
「出るっ! 又……出るうぅぅっ!」
どぴゅっ! ビュルルルッ! ドプンドプンッ!
大量の精液が弧を描きながら飛び散った。
「あ゛あぁぁっ! 熱いっ! 止まんないいいっ!」
白い液体がシーツを汚し続け、ようやく射精が止まっても陰茎は硬さを保ったままだ。
「はあっ……はあっ……こんなに出るの……?」
「瀧くんの身体……壊れちゃってる……」
恐怖と興奮が入り混じる中、三葉は最後の力を振り絞って陰茎を掴んだ。今度は鈍い快感だけが続く中、ひたすらに手を動かす。
ヌチュ……ニュプ……ゴポッ……
「もう出ない……出ないのに……気持ちいいのが消えないっ!」
睾丸が痙攣し始めた時、再び未知の感覚が襲いかかる。
「ひぃっ! なにこれっ! 尿が……出ちゃいそうっ!」
慌てて止めようとしても遅かった。尿道が熱くなり――
ジョバババッ! プシュウウッ!
「ああぁぁぁーーっ!!」
透明な潮が勢いよく吹き出し、シーツどころか枕まで濡らした。
「やだぁっ! 私……おもらししちゃった……!」
涙が滲む三葉だが、同時に得体の知れない開放感に包まれた。瀧の身体は痙攣し続け、数秒かけて全てを出し切った後ようやく脱力する。
【沈殿する熱情】
どれほどの時間が経っただろうか。
瀧の部屋のベッドの上で、三葉(中身)は荒い息をつきながら、天井の照明をぼんやりと見つめていた。
手の中には、先ほどまで猛威を振るっていた熱の余韻と、男の身体が放出した証が白く残っている。
「……信じられない……」
三葉は力なく呟いた。全身を貫いたあの衝撃は、女の子の絶頂とは全く質の異なるものだった。もっと鋭く、もっと破壊的で、頭の中が真っ白になるような感覚。
瀧の身体は今、心地よい脱力感に包まれている。三葉は自分の指を見つめ、それが瀧の快感を引き出したという事実に、顔が火が出るほど熱くなるのを感じた。
「私……なんてことしちゃったんだろう。瀧くんの、大事なところに……」
羞恥心が遅れてやってくる。けれど、瀧の肉体が感じている多幸感はあまりに強烈で、三葉の心をも優しく解きほぐしていく。
都会の喧騒が窓の外から聞こえてくる。三葉はそのまま、瀧の身体の重みを感じながらシーツに顔を埋めた。自分の身体ではないはずなのに、今はこの肉体が愛おしくてたまらない。
瀧くんは、いつもこんなに激しい感情と戦っているのだろうか。
三葉は、少しだけ瀧の「男の子としての苦労」を理解したような気がして、可笑しさと切なさが入り混じった溜息をついた。
「バカ瀧……。こんなの、もう一回なんて……絶対やらないんだからね」
そう口では言いながらも、三葉は瀧の身体に残る、甘く痺れるような余韻をいつまでも噛み締めていた。二人の距離が、物理的な距離を超えて、どうしようもなく近づいてしまったことを確信しながら。