よう実の世界に転生してしまったから 作:糸屯ちおり
税金の無駄遣いここにあり。
入学したら金をドブに捨てる学校だった。
高度育成高等学校。高育の略称で親しまれているらしい我が校は、なんとなんと入学初日、10万円相当のポイントをプレゼントしてくれました。対象は全新入生。これから毎月1日にポイントの定期支給があるんだってさ。
ポイントの使用方法は簡単。
学内にはSシステムっていう独自のプラットフォームが展開されていて、学生カードを専用の機械にかざすとポイントが使える。我らがAクラスの先生いわく『ポイントで買えないものはない』。学校の敷地はめっちゃ広くてまるでひとつの街みたいだ。ショッピングモールはじめ遊ぶ場所は豊富で、スーパーやコンビニなんかも揃ってる。楽園か?
「400万×12ヶ月×4クラス=いちおくきゅうせんにひゃくまん。なあ
「一気に1万ポイントまで減額したとして、160万ですか。妥当性の欠片もありませんね」
「つまり?」
「少なくとも現状維持はありえないかと。私なら厳密なクラス評価によって大幅減額としますが、まだ判断材料が乏しいので何とも言えませんね。情報を教えてくれる親切な上級生でも欲しいところです」
俺は疑り深いので単なる楽園とか信じないから、坂柳有栖とこんな話をしている。涙が出そうなくらい嬉しいんだが有栖ちゃんと同じクラスだった。身長低くて顔が良い女子ってそれだけで目の保養になるわ。プライドがアホみたいに高くて陰険でもオッケー。
見てるだけならな。
『坂柳有栖の思考
有象無象の方々よりはマシだと判断。
適当に下心を刺激しつつ、どの程度なら操れるか、しばらく様子を見るつもり。使えそうなら傍に置くことも考える。犬は何匹いてもいい』
不規則なタイミングでドス黒い心の内をライブラしちゃうから、会話しててオッケーじゃなくなりそうになること多々。初日なのに既にクソ女にしか見えなくなってるんだが、坂柳有栖を性格的に好きになれる日は来るんだろうか。
「みなさん遊びに行くようですが、どうするんですか?」
「なんか気乗りしないし、人探しでもしてくるかな」
「誰かお探しなんですか?」
「さっきお前が言ってた、『情報を教えてくれる親切な上級生』。ポイント関係の質問を担任にしてもなーんかはぐらかされるし、それなら在校生から情報を抜けばいいかなって」
知らないことはマイナスでしかない。ゼロじゃなくてマイナスな。どんな嫌な話だったとしても知らないよりは知っといた方がいい。情報ってのはどこでどう使えるかわからないものでもあるし。
って、これエロゲなんだよな。このオモシロ高校が面白すぎて忘れそうになるけど、あのイカ臭い天使によると世界線エロゲなんだよな。ライブラしっかり機能してるし、黒人顔負けの下半身に進化してるし。トイレ行った時に歓声あげそうになったよ。全男の夢じゃね。
「なるほど。ふふ、おみそれしました。あなたは常識的な考え方ができる人のようですね。年齢相応の方々とは異なるようです」
『この男、使えるかもしれませんね。私の容姿に好意を持っているようですし、優越感をくすぐってあげましょう』
うるさいライブラ。ここが個室だったらうっかり腕を捻りあげてるとこだ。その後? 暴力振るっちゃったら後戻り出来ないし最後まで。どうせクソみたいな二回目の人生だ。イカ女のおふざけが入ったふざけた世界でもあるし、破滅上等。いざとなったら夜空に向かってフライアウェイだ。
「一番頭良い人に言われると嬉しいね。顔色伺って見え透いた嘘つかれると不愉快になるけど、頭良い女子から褒められるのは普通に嬉しいわ」
「ふふ、それは何よりですが、私は大した人間ではありませんよ」
「ま、謙遜してもすぐわかるさ。高校生活は競争する場面が沢山あるんだから」
ライブラがなけりゃ普通に天使だ。イカ臭い天使よりよっぽど天使なんだが、中身がコレだからな。
『坂柳有栖
分類 Aカップのツルツル
タイプ いんけんメスガキ
必要とあらば 虐めの主犯となることも躊躇しない 強い心の持ち主』
既視感があるようなないようなプロフィールやめろ。ライブラOFFにできる機能とかないのかな。つーかチュートリアルは。ゲームする時は全部すっ飛ばして適当に進めるタイプだけど、今回はスッゴク説明書が欲しいです。
──チュートリアル開始。坂柳いじめ。
入学式の日は何事もなく終わった。
優しい上級生は見つけたよ。金ないって言ってた女子に1万あげる代わりに情報もらった。
ポイントは毎月支給⇒正
毎月確定で10万⇒誤
お小遣いポイントの他にクラスポイントなる別の数値があって、全クラスの初期値は1000。これに100をかけた数値が毎月の支給額。
クラスポイントは変動性。クラス全体の生活態度などなど悪いと減点。逆に凄く評価される出来事があったり、定期的に行われる特別試験なるテストで好成績を残すと加点。何をどれだけやらかせばどれくらい減点されるのかは不明。あんま気にしてないからぶっちゃけよくわからないとのこと。何となく生活してるって言ってたから仕方ないな。自堕落な女子は結構好きだから許す。
以上、本日入手できた情報。
俺は満足して眠りについたのだが、そこでなんかチュートリアルが始まった。
──チュートリアル開始。坂柳いじめ。
なんだ、このそそられる文言。
寝てるのは確かだから明晰夢みたいな感じか。なんか特殊能力に夢関連のあったはずだから、坂柳を拉致して好き勝手できる感じ?
だとしたら三日くらい学校休んじゃうけど大丈夫か?
『坂柳有栖
学籍番号 S01T004737
所属 1年Aクラス
誕生日 3月12日
身長 150cm
特技 チェス
弱点
先天性の疾患により運動不可。杖を所持しているのはそのためだが、日常生活に支障はない。
スリーサイズ
B70(A)/W54/H77
天才を自負しており、それに相応しい頭脳を持つ。
幼少期から精神的な成長が早く、それゆえに周囲の幼稚さに辟易して生きてきた。美しさと可愛さを併せ持った美貌は男子受けがすこぶる良く、色白の肌に背徳的な色気を感じていた男は多かった。
つまり中学時代からモテていたが、自分に釣り合う男は一人もいなかったと思っている。自分がモテることはもちろん理解していて、こんな顔に産んでくれた両親にはとてもとても感謝している。
綺麗事を言っていても世の中は結局顔で、大多数の有象無象は顔がいいというだけで無条件で好感を持つ。浅はかな人間が多いおかげで、これまでの人生はとても生きやすかった。退屈ではあったが不自由だと思ったことはない。他人を使えば大抵のことは思い通りになったからだ』
なんか目の前に浮かび上がりました。
坂柳のプロフィール写真と長い紹介文です。
ふーん。杖持ってるのは体が弱いせいか。てっきり武器かと思ってたけど違った。それじゃボコボコにしたりしたら死ぬんじゃないか? リョナ好きじゃないからしないけども、将来付き合う男は大変だな。動物みたいなセックスとかできないんじゃね?
そして紹介文はまあクソだな。人をいじめるのに抵抗ないことといい、人間性に問題があると言わざるを得ないだろう。エロいことを抜きにした場合、俺より酷いかもしれない。
で、何をどうチュートリアルしろって?
『ステージ
⇒満員電車
坂柳有栖の服装
⇒制服(白ニーソ)
状態
⇒角に追い詰めて密着(背後)
いじめ内容
⇒過去の無数の心情(劣情)注入
クリア条件
⇒逃走を阻止して一定値まで正気値を削る。
中断
⇒可能 以上』
前言撤回。
説明書とかいいから早くやらせろってなった。
内容はわかったようなわからないような。とりあえずめっちゃ興味は湧いたのでスタート。
スタートの文字が浮かんできたから、ぶったたいてスタート!
正気値を削るってことは、あの余裕そうな顔が真っ青になるってことだろうか。かなり需要があると思うのは俺だけか? ありがとうイカ天使。この世界、かなり良いかもしれない。