クールな学園の王子様(♀)は童貞オタクに堕とされる ~BSSから始まるイケナイ関係~ 作:九泉
彼女の内壁の、柔らかで複雑な襞の一つ一つが、俺の形を記憶するように、ぬるりと蠢き、貪欲に絡みついてくる。その一つ一つの動きが、ダイレクトに脳を揺さぶり、思考を溶かしていった。
結合部から伝わる熱が、身体中の血液を沸騰させていく。
泉も同じなのだろう。苦しげに、しかし恍惚の表情を浮かべ喘ぎながら、俺の背中に爪を立てた。その痛みすら、今の俺には愛の証のように感じられた。
「やまと、くん……すごい……君のが、全部……入ってる……」
「ああ……泉の中に、いる……」
俺はゆっくりと、腰を動かし始めた。
それはもう、単なるピストン運動ではなかった。お互いの魂を擦り合わせ、溶け合わせるための行為。
深く、ゆっくりと、愛を刻みつけるように。
一回、また一回とストロークを繰り返すたびに、泉の奥がきゅう、と脈打ち、俺をさらに深くへと誘う。そのたびに、俺の腹の底から、堪えようのない快感が湧き上がってきた。
「ん……っ、ぁ……ボクの、中で……君が、動いてる……っ!」
「泉……お前の全部、気持ちいい……」
俺たちは、お互いの名前を何度も呼び合った。
卒業という節目が、俺たちの心をより大胆にさせている。これは、ただのセックスじゃない。俺たちの、新しい門出を祝うための儀式なんだ。
俺の動きが、次第に熱を帯びていく。
慈しむようなゆっくりとした動きから、溢れ出す愛情をぶつけるような、激しい突き上げへ。
「あっ、ん、んっ……! もっと、きて……! 君の全部で、ボクを染めて……っ!」
「ああ……っ! 望むところだ……!」
俺は彼女の両足を高く持ち上げると、自分の肩に担ぐ。そうすることで、俺の熱はさらに深く、彼女の最も敏感な場所に突き刺さった。
俺は泉の両足を抑えつけるように膝を押す。そして、背中に力を入れながら深く腰を突き入れる。弓なりになった俺の身体が、それを泉の奥の奥まで押し込んでいく。
ギシ、ギシ、とベッドがきしむ音と、肌と肌がぶつかり合う生々しい水音が、部屋中に響き渡った。
俺の視界には、俺の下で乱れる泉の姿しか映らない。
スカート姿で俺を驚かせた、あの凛とした表情はどこにもない。そこにはただ、俺の与える快感に溺れ、欲望を剥き出しにする、一人の愛おしい女の子がいるだけだった。
その全てを、俺が受け止める。俺だけのものにする。
「あああああっ! そこっ、だめ、いちばん、奥……! こわれちゃう……っ!」
「壊してやるよ……俺ので、めちゃくちゃに……っ!」
泉が、これまで聞いたこともないような甲高い嬌声を上げる。
その反応に、俺の昂りは最高潮に達した。
もう、何も考えられない。ただ、目の前の愛しい存在を、俺の色で、俺の快感で、完全に満たしてしまいたい。
その一心で、俺は無我夢中で腰を振り続けた。
目の前が、白く点滅する。
絶頂が、すぐそこまで来ているのが分かった。
「いずみ……っ、出る……! お前の中に、ぜんぶ、出るぞ……!」
俺の悲鳴じみた声に、泉の身体がびくんと大きく痙攣した。
それに応えるように、彼女の奥が握りしめるように、これまでで最も強く俺のものを締め付ける。まるで、俺の全てをその胎内に吸い尽くして、一滴たりとも逃すまいとするかのように。
その強烈な収縮が、最後の引き金になった。
「うおおおおおおおおっ!」
思考が、真っ白に爆ぜる。
熱い奔流が、俺の身体の奥深くから、何の隔たりもなく、泉の
俺の腰が意思とは無関係に、ビクン、ビクウンと大きく痙攣を繰り返す。泉もまた、俺の絶頂に引きずられるように甲高い嬌声を上げた。
「ああああっ、イっちゃう、やまとくんので、お腹が、いっぱいになっちゃう……!」
二人の絶頂が完全に重なり合う。
快感の波が、何度も、何度も、俺たちの身体を打ち付けた。
それは、これまで経験したどんなものよりも深く、暴力的で、そしてどうしようもなく甘美な一体感だった。
どれくらいの時間が経っただろうか。
嵐のような快感の波がようやく過ぎ去り、俺の身体から力が抜けていく。
俺は結合したまま、汗でぐっしょりと濡れた泉の上に、覆いかぶさるように倒れ込んだ。
しん、と静まり返った部屋。
二人分の荒い呼吸と、ドクドクと鳴り響く互いの心臓の音だけが響いている。
心地よい疲労感と、それ以上に大きな幸福感。泉と、完全に一つになれたという絶対的な満足感が、俺の心を満たしていく。
俺の腕の中では、気を失ったようにぐったりとしている泉が、浅い呼吸を繰り返していた。その頬は紅潮し、潤んだ瞳はとろりと蕩けて焦点が合っていない。完璧な王子の仮面は跡形もなく、ただ俺に身を委ねる一人の女の子の顔がそこにあった。
俺は、汗で額に張り付いた彼女の髪を、指で優しく払ってやる。
「……いずみ、すきだ」
俺が掠れた声で呟くと、泉はこくりと小さく頷いた。
言葉を発するだけの体力も残っていないらしい。
ゆっくりと、俺は彼女の身体から自分のものを抜き取る。ぬるり、とした生々しい感触と共に、俺たちが交わった証が、シーツの上に白い染みを作った。
それを見た泉の顔が、またじわりと赤くなる。その初々しい反応が、たまらなく愛おしかった。
「……大和くん」
「ん?」
「……ボク、ちゃんとお嫁さんになれるかな」
潤んだ瞳で、泉がぽつりと呟いた。
その言葉は、俺の胸のど真ん中に、まっすぐに突き刺さった。
こいつは、もうそんな先のことまで考えてくれているのか。
俺との、未来を。
俺は込み上げてくる愛しさを抑えきれず、彼女の身体をもう一度強く抱きしめた。
そして、その耳元に、俺の全ての想いを込めて、囁いた。
「俺がお前を嫁にする以外の未来なんて、考えたこともねえよ」
それは慰めでも気休めでもない。俺の腹の底から湧き上がってきた、偽りのない誓いの言葉だった。
俺の言葉に、泉の身体からふっと力が抜けるのが分かった。彼女は俺の胸に顔を埋め、今度は声を殺さずに、わっと泣きじゃくった。それはもう、悲しみの涙ではない。不安が溶けて、喜びと安堵が溢れ出した、温かい涙だった。
「……ばか。大和くんの、ばか……だいすき」
「ああ、馬鹿でいい。お前だけの馬鹿だ」
俺は泣きじゃくる彼女の背中を、ただ優しく、何度も何度も撫で続けた。
もう、俺たちの未来に、迷いはない。
その夜、俺たちは何度も体を重ねた。
一度目の激しい交合とは違い、二度目、三度目は、お互いの愛おしさを確かめ合うように、どこまでも優しく、そして深かった。彼女の身体の隅々まで、俺の愛を刻みつけるように。そして、彼女もまた、その全てを受け入れ、応えてくれた。
朝日が昇る頃、疲れ果てて眠りに落ちた俺たちの指は、固く絡み合ったまま離れなかった。
後日。……実際のところ、あの日のセックスで泉が妊娠することはなかった。
そのことを知った時の彼女は、安心したような、でもほんの少しだけ不満そうな、複雑な顔をしていたのが忘れられない。俺が「しばらくはあれっきりにしとこう。俺たちの将来のためだ」と諭すと、「……分かってる」としぶしぶ納得したようだったが、その可愛らしい独占欲に、俺はまた惚れ直してしまった。
◆
高校を卒業した後、俺は泉と共に地元の大学に進学した。
泉は、「君の隣で、ただの白崎泉として生きたい」という誓いを、本当に行動で示してくれた。その事実が、俺の心を絶対的な幸福感で満たし、同時に、彼女の人生を背負うという静かで力強い覚悟を芽生えさせた。
大学のキャンパスは、俺たちにとって新しい世界だった。
そしてその世界で、泉は水を得た魚のように輝き始めた。
もう、彼女の周りには「王子様」という歪んだ役割を求める人間はいなかった。男子用の制服という鎧も、胸を押し殺すサポーターもない。泉は、本来の彼女が持つ快活さと、思慮深さ、そして誰もが見惚れる美貌で、あっという間に男女問わず多くの友人に囲まれる人気者になった。
講義で隣に座れば、その整った横顔に見惚れる男子学生の視線を嫌でも感じる。サークルに勧誘する上級生たちは、誰もが泉を中心に輪を作った。
高校時代、クラスの隅で泉に嫉妬していた俺からすれば、面白くない状況のはずだった。
だが、不思議と嫉妬の炎が燃え上がることはなかった。
なぜなら、彼女が見せる最高の笑顔は、いつだって俺に向けられていたからだ。
友人たちと談笑していた泉が、ふと俺の姿を見つける。その瞬間、彼女の瞳が柔らかく細められ、口元が「やまと」と動く。その表情は、友人たちに向ける親愛のそれとは全く違う、とびきり甘くて、無防備な、恋する女の子の顔だった。その顔を向けられるたびに俺は絶対的な優越感と、胸が締め付けられるほどの愛おしさで満たされた。
「大和くん、今日の講義面白かったな。帰りにカフェでノートまとめないか?」
「いいね。あそこのパンケーキ、まだ食ったことなかったし」
二人で並んでキャンパスを歩く。高校時代、準備室でこっそりと会っていたのが嘘のように、今は誰に憚ることなく肩を寄せ合える。すれ違う学生たちが「あの二人、付き合ってるのかな」「なんか、お似合いだよな」と囁き合うのが聞こえてきて、悪い気はしなかった。むしろ、胸を張って「そうだよ、俺の彼女だ!」と叫びたいくらいだった。
俺もまた、大学で新しい居場所を見つけた。
念願だったTCGとアニメ研究のサークルに入り、見た目で判断されることなく純粋に趣味で繋がれる仲間ができた。サークルの部室で夜通しカードゲームに興じたり、最新アニメについて熱く語り合ったりする時間は、俺がずっと夢見ていた青春そのものだった。
だが、そんな最高の時間でさえ、泉と過ごす穏やかな時間には敵わなかった。
大学二年の春、俺たちはアパートを借りて同棲を始めた。
「その方が、家賃も安く済むだろう?」なんて、もっともらしい理由を泉は口にしていたが、本当はただ、四六時中一緒にいたかっただけだとお互いに分かっていた。
不動産屋で二つの鍵を受け取った日、泉は子供のようにはしゃいで、何度も鍵を握りしめたり、眺めたりしていた。その姿が愛おしくて、俺はアパートの玄関の前で、たまらず彼女を抱きしめた。
ここが、俺たちの城だ。誰にも邪魔されない、二人だけの愛の巣だ。
だが同棲生活は、甘いだけではなかった。
家事の分担で揉めることもあったし、テレビのチャンネル争いで本気の喧嘩もした。俺が脱ぎっぱなしにした服を、泉が般若のような顔で俺の頭に乗せてきたこともある。
だが、そんな些細なすれ違いも、夜、同じベッドに入れば自然と消えていた。
背中合わせで寝ていても、いつの間にかどちらかが相手の温もりを求めて身体を寄せている。そして、どちらからともなく「ごめん」と呟いて、仲直りのキスをする。その繰り返しが、俺たちの関係を恋人から、もっと深く、かけがえのない家族のような存在へと変えていった。
そしてあっという間の四年間が過ぎ、俺たちはそれぞれの未来へと歩き出すことになった。
就職活動は大学受験とはまた違う厳しさがあった。俺は地元の小さなメーカーに、そして泉は、その優秀さを買われて誰もが知る大手企業に、それぞれ内定を決めた。
社会人になり、俺たちの生活は一変した。
学生時代のように、講義の合間に顔を合わせたり、講義のない日にダラダラと過ごしたりする時間はなくなった。俺は慣れない仕事と人間関係に、泉は大手企業ならではのプレッシャーと期待に、それぞれが必死で向き合う毎日。朝早く家を出て、夜遅く疲れ果てて帰ってくる。そんな日々が続いた。
そんなある夜、俺は玄関のドアを開ける。
部屋の明かりは点いていて、「おかえり」という優しい声と、味噌汁のいい匂いが俺を迎える。それだけで、理不尽な上司に頭を下げ続けた一日の疲労が、すっと溶けていくのを感じた。
「ただいま。今日は早かったんだな」
「うん。大和くんが好きだって言ってた、生姜焼きにしたよ」
テーブルには、湯気の立つ料理が並んでいる。エプロン姿の泉は、学生時代とはまた違う、家庭的な魅力に溢れていた。彼女も疲れているはずなのに、俺のためにこうして温かい食事を用意して待っていてくれる。その事実が、胸の奥をじんわりと温かくした。
もちろん、逆の日もある。
泉が大きなプレゼンを任されて、連日深夜まで残業していた時期があった。日に日に口数が減り、笑顔が消えていく彼女を見るのは辛かった。俺にできることなんて、たかが知れている。それでも、彼女が好きな甘いものを買って帰ったり、何も言わずにその華奢な肩をマッサージしてやったり、ただ隣に座って愚痴を聞いてやったりした。
ある夜、疲れ切ってソファで眠ってしまった泉の寝顔を見ながら、俺は静かに決意した。
この存在を、俺が一生支えていく。何があっても、俺がこの笑顔を守るんだ、と。
忙しい日々の中でも、俺たちは二人だけの時間を何よりも大切にした。
週末には一緒に映画を観に行ったり、少しだけ遠出して温泉に行ったり。特別なことをするわけじゃない。ただ、手を繋いで散歩するだけでも、幸せだった。
泉は、俺の前でだけ見せる表情を、たくさん持っていた。
ホラー映画を観て、俺の腕にしがみついて可愛い悲鳴を上げる顔。
俺が作った、少し焦げた卵焼きを「おいしい」と言って頬張る顔。
そして、夜、ベッドの中で、俺の腕に抱かれて蕩けるように乱れる、世界で俺だけが知っている、扇情的な顔。
その全てが、俺の宝物だった。
そして、社会人になって四年目の冬。
俺は、一つの大きなプロジェクトを成功させた。打ち上げの帰り道、少しだけ奮発して買った安物のシャンパンを片手に、夜道を歩いていた。街はクリスマスイルミネーションで輝き、幸せそうなカップルや家族連れが笑い合っている。
その光景をぼんやりと眺めながら、俺はふと、泉との未来を、これまでで一番、はっきりと意識した。
俺は足を止め、コートのポケットに手を入れた。
内ポケット。その中に、ビロードの小さな箱が収まっている。給料三ヶ月分、なんてのには到底及ばないが、今の俺の精一杯の気持ちと、未来への誓いが、そこには詰まっていた。
これを渡した時、あいつはどんな顔をするだろう。
卒業式の朝、俺を驚かせた時のように、周りの全てが霞んで見えるくらい綺麗に、そして少しだけ悪戯っぽく笑うんだろうか。
それとも、初めて準備室でキスをした時のように、顔を真っ赤にして、涙を浮かべて「……ばか」と幸せそうに呟くだろうか。
想像するだけで、心臓が早鐘を打つ。
口元が、自然と緩んでいくのが分かった。
どちらにしても、きっと、俺の人生で最高の瞬間になる。
それだけは、絶対に確信できた。
俺は夜空を見上げ、白い息を吐く。
冬の澄んだ空気が、火照った決意を心地よく引き締めてくれる。
ポケットの中の小箱を、もう一度強く握りしめた。その硬い感触が、俺の覚悟を肯定してくれているようだった。
さあ、帰ろう。
俺だけの、愛しいお姫様が待つ場所へ。
俺は再び、温かい光が漏れる俺たちの城へと、確かな足取りで歩き出した。
了