※この作品はR-18です。

クールな学園の王子様(♀)は童貞オタクに堕とされる ~BSSから始まるイケナイ関係~   作:九泉

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最終話:誓い

 彼女の内壁の、柔らかで複雑な襞の一つ一つが、俺の形を記憶するように、ぬるりと蠢き、貪欲に絡みついてくる。その一つ一つの動きが、ダイレクトに脳を揺さぶり、思考を溶かしていった。

 

 結合部から伝わる熱が、身体中の血液を沸騰させていく。

 泉も同じなのだろう。苦しげに、しかし恍惚の表情を浮かべ喘ぎながら、俺の背中に爪を立てた。その痛みすら、今の俺には愛の証のように感じられた。

 

「やまと、くん……すごい……君のが、全部……入ってる……」

「ああ……泉の中に、いる……」

 

 俺はゆっくりと、腰を動かし始めた。

 それはもう、単なるピストン運動ではなかった。お互いの魂を擦り合わせ、溶け合わせるための行為。

 深く、ゆっくりと、愛を刻みつけるように。

 一回、また一回とストロークを繰り返すたびに、泉の奥がきゅう、と脈打ち、俺をさらに深くへと誘う。そのたびに、俺の腹の底から、堪えようのない快感が湧き上がってきた。

 

「ん……っ、ぁ……ボクの、中で……君が、動いてる……っ!」

「泉……お前の全部、気持ちいい……」

 

 俺たちは、お互いの名前を何度も呼び合った。

 卒業という節目が、俺たちの心をより大胆にさせている。これは、ただのセックスじゃない。俺たちの、新しい門出を祝うための儀式なんだ。

 俺の動きが、次第に熱を帯びていく。

 慈しむようなゆっくりとした動きから、溢れ出す愛情をぶつけるような、激しい突き上げへ。

 

「あっ、ん、んっ……! もっと、きて……! 君の全部で、ボクを染めて……っ!」

「ああ……っ! 望むところだ……!」

 

 俺は彼女の両足を高く持ち上げると、自分の肩に担ぐ。そうすることで、俺の熱はさらに深く、彼女の最も敏感な場所に突き刺さった。

 

 

 俺は泉の両足を抑えつけるように膝を押す。そして、背中に力を入れながら深く腰を突き入れる。弓なりになった俺の身体が、それを泉の奥の奥まで押し込んでいく。

 ギシ、ギシ、とベッドがきしむ音と、肌と肌がぶつかり合う生々しい水音が、部屋中に響き渡った。

 

 俺の視界には、俺の下で乱れる泉の姿しか映らない。

 スカート姿で俺を驚かせた、あの凛とした表情はどこにもない。そこにはただ、俺の与える快感に溺れ、欲望を剥き出しにする、一人の愛おしい女の子がいるだけだった。

 その全てを、俺が受け止める。俺だけのものにする。

 

「あああああっ! そこっ、だめ、いちばん、奥……! こわれちゃう……っ!」

「壊してやるよ……俺ので、めちゃくちゃに……っ!」

 

 泉が、これまで聞いたこともないような甲高い嬌声を上げる。

 その反応に、俺の昂りは最高潮に達した。

 もう、何も考えられない。ただ、目の前の愛しい存在を、俺の色で、俺の快感で、完全に満たしてしまいたい。

 その一心で、俺は無我夢中で腰を振り続けた。

 目の前が、白く点滅する。

 絶頂が、すぐそこまで来ているのが分かった。

 

「いずみ……っ、出る……! お前の中に、ぜんぶ、出るぞ……!」

 

 俺の悲鳴じみた声に、泉の身体がびくんと大きく痙攣した。

 それに応えるように、彼女の奥が握りしめるように、これまでで最も強く俺のものを締め付ける。まるで、俺の全てをその胎内に吸い尽くして、一滴たりとも逃すまいとするかのように。

 その強烈な収縮が、最後の引き金になった。

 

「うおおおおおおおおっ!」

 

 思考が、真っ白に爆ぜる。

 熱い奔流が、俺の身体の奥深くから、何の隔たりもなく、泉の膣内(なか)へと直接叩きつけられた。

 俺の腰が意思とは無関係に、ビクン、ビクウンと大きく痙攣を繰り返す。泉もまた、俺の絶頂に引きずられるように甲高い嬌声を上げた。

 

「ああああっ、イっちゃう、やまとくんので、お腹が、いっぱいになっちゃう……!」

 

 二人の絶頂が完全に重なり合う。

 快感の波が、何度も、何度も、俺たちの身体を打ち付けた。

 それは、これまで経験したどんなものよりも深く、暴力的で、そしてどうしようもなく甘美な一体感だった。

 

 どれくらいの時間が経っただろうか。

 嵐のような快感の波がようやく過ぎ去り、俺の身体から力が抜けていく。

 俺は結合したまま、汗でぐっしょりと濡れた泉の上に、覆いかぶさるように倒れ込んだ。

 

 しん、と静まり返った部屋。

 二人分の荒い呼吸と、ドクドクと鳴り響く互いの心臓の音だけが響いている。

 心地よい疲労感と、それ以上に大きな幸福感。泉と、完全に一つになれたという絶対的な満足感が、俺の心を満たしていく。

 

 俺の腕の中では、気を失ったようにぐったりとしている泉が、浅い呼吸を繰り返していた。その頬は紅潮し、潤んだ瞳はとろりと蕩けて焦点が合っていない。完璧な王子の仮面は跡形もなく、ただ俺に身を委ねる一人の女の子の顔がそこにあった。

 俺は、汗で額に張り付いた彼女の髪を、指で優しく払ってやる。

 

「……いずみ、すきだ」

 

 俺が掠れた声で呟くと、泉はこくりと小さく頷いた。

 言葉を発するだけの体力も残っていないらしい。

 

 ゆっくりと、俺は彼女の身体から自分のものを抜き取る。ぬるり、とした生々しい感触と共に、俺たちが交わった証が、シーツの上に白い染みを作った。

 それを見た泉の顔が、またじわりと赤くなる。その初々しい反応が、たまらなく愛おしかった。

 

「……大和くん」

「ん?」

「……ボク、ちゃんとお嫁さんになれるかな」

 

 潤んだ瞳で、泉がぽつりと呟いた。

 その言葉は、俺の胸のど真ん中に、まっすぐに突き刺さった。

 こいつは、もうそんな先のことまで考えてくれているのか。

 俺との、未来を。

 

 俺は込み上げてくる愛しさを抑えきれず、彼女の身体をもう一度強く抱きしめた。

 そして、その耳元に、俺の全ての想いを込めて、囁いた。

 

「俺がお前を嫁にする以外の未来なんて、考えたこともねえよ」

 

 それは慰めでも気休めでもない。俺の腹の底から湧き上がってきた、偽りのない誓いの言葉だった。

 

 俺の言葉に、泉の身体からふっと力が抜けるのが分かった。彼女は俺の胸に顔を埋め、今度は声を殺さずに、わっと泣きじゃくった。それはもう、悲しみの涙ではない。不安が溶けて、喜びと安堵が溢れ出した、温かい涙だった。

 

「……ばか。大和くんの、ばか……だいすき」

「ああ、馬鹿でいい。お前だけの馬鹿だ」

 

 俺は泣きじゃくる彼女の背中を、ただ優しく、何度も何度も撫で続けた。

 もう、俺たちの未来に、迷いはない。

 

 その夜、俺たちは何度も体を重ねた。

 一度目の激しい交合とは違い、二度目、三度目は、お互いの愛おしさを確かめ合うように、どこまでも優しく、そして深かった。彼女の身体の隅々まで、俺の愛を刻みつけるように。そして、彼女もまた、その全てを受け入れ、応えてくれた。

 朝日が昇る頃、疲れ果てて眠りに落ちた俺たちの指は、固く絡み合ったまま離れなかった。

 

 

 後日。……実際のところ、あの日のセックスで泉が妊娠することはなかった。

 そのことを知った時の彼女は、安心したような、でもほんの少しだけ不満そうな、複雑な顔をしていたのが忘れられない。俺が「しばらくはあれっきりにしとこう。俺たちの将来のためだ」と諭すと、「……分かってる」としぶしぶ納得したようだったが、その可愛らしい独占欲に、俺はまた惚れ直してしまった。

 

 

 ◆

 

 

 高校を卒業した後、俺は泉と共に地元の大学に進学した。

 泉は、「君の隣で、ただの白崎泉として生きたい」という誓いを、本当に行動で示してくれた。その事実が、俺の心を絶対的な幸福感で満たし、同時に、彼女の人生を背負うという静かで力強い覚悟を芽生えさせた。

 

 大学のキャンパスは、俺たちにとって新しい世界だった。

 そしてその世界で、泉は水を得た魚のように輝き始めた。

 

 もう、彼女の周りには「王子様」という歪んだ役割を求める人間はいなかった。男子用の制服という鎧も、胸を押し殺すサポーターもない。泉は、本来の彼女が持つ快活さと、思慮深さ、そして誰もが見惚れる美貌で、あっという間に男女問わず多くの友人に囲まれる人気者になった。

 

 講義で隣に座れば、その整った横顔に見惚れる男子学生の視線を嫌でも感じる。サークルに勧誘する上級生たちは、誰もが泉を中心に輪を作った。

 高校時代、クラスの隅で泉に嫉妬していた俺からすれば、面白くない状況のはずだった。

 

 だが、不思議と嫉妬の炎が燃え上がることはなかった。

 なぜなら、彼女が見せる最高の笑顔は、いつだって俺に向けられていたからだ。

 友人たちと談笑していた泉が、ふと俺の姿を見つける。その瞬間、彼女の瞳が柔らかく細められ、口元が「やまと」と動く。その表情は、友人たちに向ける親愛のそれとは全く違う、とびきり甘くて、無防備な、恋する女の子の顔だった。その顔を向けられるたびに俺は絶対的な優越感と、胸が締め付けられるほどの愛おしさで満たされた。

 

「大和くん、今日の講義面白かったな。帰りにカフェでノートまとめないか?」

「いいね。あそこのパンケーキ、まだ食ったことなかったし」

 

 二人で並んでキャンパスを歩く。高校時代、準備室でこっそりと会っていたのが嘘のように、今は誰に憚ることなく肩を寄せ合える。すれ違う学生たちが「あの二人、付き合ってるのかな」「なんか、お似合いだよな」と囁き合うのが聞こえてきて、悪い気はしなかった。むしろ、胸を張って「そうだよ、俺の彼女だ!」と叫びたいくらいだった。

 

 俺もまた、大学で新しい居場所を見つけた。

 念願だったTCGとアニメ研究のサークルに入り、見た目で判断されることなく純粋に趣味で繋がれる仲間ができた。サークルの部室で夜通しカードゲームに興じたり、最新アニメについて熱く語り合ったりする時間は、俺がずっと夢見ていた青春そのものだった。

 だが、そんな最高の時間でさえ、泉と過ごす穏やかな時間には敵わなかった。

 

 大学二年の春、俺たちはアパートを借りて同棲を始めた。

「その方が、家賃も安く済むだろう?」なんて、もっともらしい理由を泉は口にしていたが、本当はただ、四六時中一緒にいたかっただけだとお互いに分かっていた。

 不動産屋で二つの鍵を受け取った日、泉は子供のようにはしゃいで、何度も鍵を握りしめたり、眺めたりしていた。その姿が愛おしくて、俺はアパートの玄関の前で、たまらず彼女を抱きしめた。

 ここが、俺たちの城だ。誰にも邪魔されない、二人だけの愛の巣だ。

 

 だが同棲生活は、甘いだけではなかった。

 家事の分担で揉めることもあったし、テレビのチャンネル争いで本気の喧嘩もした。俺が脱ぎっぱなしにした服を、泉が般若のような顔で俺の頭に乗せてきたこともある。

 だが、そんな些細なすれ違いも、夜、同じベッドに入れば自然と消えていた。

 背中合わせで寝ていても、いつの間にかどちらかが相手の温もりを求めて身体を寄せている。そして、どちらからともなく「ごめん」と呟いて、仲直りのキスをする。その繰り返しが、俺たちの関係を恋人から、もっと深く、かけがえのない家族のような存在へと変えていった。

 

 そしてあっという間の四年間が過ぎ、俺たちはそれぞれの未来へと歩き出すことになった。

 就職活動は大学受験とはまた違う厳しさがあった。俺は地元の小さなメーカーに、そして泉は、その優秀さを買われて誰もが知る大手企業に、それぞれ内定を決めた。

 

 社会人になり、俺たちの生活は一変した。

 学生時代のように、講義の合間に顔を合わせたり、講義のない日にダラダラと過ごしたりする時間はなくなった。俺は慣れない仕事と人間関係に、泉は大手企業ならではのプレッシャーと期待に、それぞれが必死で向き合う毎日。朝早く家を出て、夜遅く疲れ果てて帰ってくる。そんな日々が続いた。

 

 そんなある夜、俺は玄関のドアを開ける。

 部屋の明かりは点いていて、「おかえり」という優しい声と、味噌汁のいい匂いが俺を迎える。それだけで、理不尽な上司に頭を下げ続けた一日の疲労が、すっと溶けていくのを感じた。

 

「ただいま。今日は早かったんだな」

「うん。大和くんが好きだって言ってた、生姜焼きにしたよ」

 

 テーブルには、湯気の立つ料理が並んでいる。エプロン姿の泉は、学生時代とはまた違う、家庭的な魅力に溢れていた。彼女も疲れているはずなのに、俺のためにこうして温かい食事を用意して待っていてくれる。その事実が、胸の奥をじんわりと温かくした。

 

 もちろん、逆の日もある。

 泉が大きなプレゼンを任されて、連日深夜まで残業していた時期があった。日に日に口数が減り、笑顔が消えていく彼女を見るのは辛かった。俺にできることなんて、たかが知れている。それでも、彼女が好きな甘いものを買って帰ったり、何も言わずにその華奢な肩をマッサージしてやったり、ただ隣に座って愚痴を聞いてやったりした。

 

 ある夜、疲れ切ってソファで眠ってしまった泉の寝顔を見ながら、俺は静かに決意した。

 この存在を、俺が一生支えていく。何があっても、俺がこの笑顔を守るんだ、と。

 

 忙しい日々の中でも、俺たちは二人だけの時間を何よりも大切にした。

 週末には一緒に映画を観に行ったり、少しだけ遠出して温泉に行ったり。特別なことをするわけじゃない。ただ、手を繋いで散歩するだけでも、幸せだった。

 

 泉は、俺の前でだけ見せる表情を、たくさん持っていた。

 ホラー映画を観て、俺の腕にしがみついて可愛い悲鳴を上げる顔。

 俺が作った、少し焦げた卵焼きを「おいしい」と言って頬張る顔。

 そして、夜、ベッドの中で、俺の腕に抱かれて蕩けるように乱れる、世界で俺だけが知っている、扇情的な顔。

 その全てが、俺の宝物だった。

 

 そして、社会人になって四年目の冬。

 俺は、一つの大きなプロジェクトを成功させた。打ち上げの帰り道、少しだけ奮発して買った安物のシャンパンを片手に、夜道を歩いていた。街はクリスマスイルミネーションで輝き、幸せそうなカップルや家族連れが笑い合っている。

 その光景をぼんやりと眺めながら、俺はふと、泉との未来を、これまでで一番、はっきりと意識した。

 

 俺は足を止め、コートのポケットに手を入れた。

 内ポケット。その中に、ビロードの小さな箱が収まっている。給料三ヶ月分、なんてのには到底及ばないが、今の俺の精一杯の気持ちと、未来への誓いが、そこには詰まっていた。

 

 これを渡した時、あいつはどんな顔をするだろう。

 卒業式の朝、俺を驚かせた時のように、周りの全てが霞んで見えるくらい綺麗に、そして少しだけ悪戯っぽく笑うんだろうか。

 それとも、初めて準備室でキスをした時のように、顔を真っ赤にして、涙を浮かべて「……ばか」と幸せそうに呟くだろうか。

 

 想像するだけで、心臓が早鐘を打つ。

 口元が、自然と緩んでいくのが分かった。

 どちらにしても、きっと、俺の人生で最高の瞬間になる。

 それだけは、絶対に確信できた。

 

 俺は夜空を見上げ、白い息を吐く。

 冬の澄んだ空気が、火照った決意を心地よく引き締めてくれる。

 ポケットの中の小箱を、もう一度強く握りしめた。その硬い感触が、俺の覚悟を肯定してくれているようだった。

 

 さあ、帰ろう。

 俺だけの、愛しいお姫様が待つ場所へ。

 

 俺は再び、温かい光が漏れる俺たちの城へと、確かな足取りで歩き出した。

 

 

 

 了

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