【完結】露蜜のカンバス~メスなボクでも幸せになりたい 作:渦螺しお
──『ささがわクリニック』
「ぁ、あ、あっ……あああっ!」
「いや~すごいすごい。こんなにずぽずぽと。君の肛門から直腸までさあ、エストロゲン受容体が異常発現して、日増しにメスの組織へ作り替えられてきてるよこれ。しかも
人気のない木曜午後の診察室で、リオの嬌声が響き渡る。笹川はリオの反応と
「……はぁ、はぁ……──あぅぅ……」
「よ~し休憩。この肛門が特に最高。本来は乾いているはずの場所が、ホルモンに反応してこれほど
メスイキ──神経過反射が起こるたび、マシンを止めては「膣内」と称する腸内をカメラで撮る。そしてまた、
「よーし、じゃあもう一回イってみよう!」
スイッチが押され、再び起動するマシン。ぐちゅぐちゅと音を立てて、白いディルドが
「……──!? ぁあっ! あ、あ、あんん!!!」
「甘酸っぱい匂いが立ち上がってきた。排泄場所なのに、
早口で発見を
「──はいはい、今日もお疲れ様。ブーボのチョコ食べる? 疲れたときは甘いものに限るよ」
「いえ……要らないです」
「そう? 美味しいのに」
調整を終え……検査着一枚を身体にかけ、暗く気落ちしたリオを前に、ハート形の高級チョコをパクパクと口に放り込む笹川。
いわく、経過は上々。一方でリオの様子が芳しくない。人の機微に疎い笹川も、さすがに精神的ケアを始めていた……が、こちらは思ったように上手くいっていない。
「あの、先生。この調整って、いつまで続くんですか」
「モグモグ……そうだねえ、今は五合目ってところかな。だからあと一年? その頃ってちょうど思春期の肉体形成が終わる頃だから。そっから経過観察かなあ」
リオは思った以上の長い期間が返ってきたことに、今日までの悩みを噴出させた。
「こんなのおかしいです。ボクだって馬鹿じゃない。ネットでもみんな書いてる……これがいやらしくて『悪いこと』だって!」
叫びとともに、琥珀色の瞳が潤んで、ポロポロと涙がこぼれる。
「それは違うよ。リオ君」
笹川は、くるりと真剣な表情に変わり、リオの両肩をつかんだ。
「その快感は、世界中の誰もが平等に得られるものなんだ。独りぼっちにならないようにね」
「独り……じゃない?」
「そ。君は、その身体で、いつか好きな誰かを受け入れる。そうすれば、自分も相手もハッピーになれる。どお? 素敵なことだと思わないかい?」
考えてもみなかった。
独りよがりだと思っていたことが、誰かのためになる。その言葉が、快感を司っていたお腹の中心に、ぐっと響く。そこから、不思議なほどに心の黒い
(確かに、ボクが女の子っぽくなればなるほど、ママは喜んでくれている。ママが一生懸命作った服を、誰よりも美しく着こなせる。そんなボクを、いつか、誰かが──)
思春期真っ只中の、未完成な肉体。それが笹川という大人の手で変えられる歪さは、こうして幸福の名のもとに霧散していった。
いいことを言った体で締めると、笹川はまたPCのデータを睨み始める。
「う~ん……やっぱり乳腺周りのデータがもう少し欲しいな。乳首の刺激を変えて──リオ君ごめ~ん。もうちょっとだけ付き合って? チョコをお土産に渡すから」
「はい……」
再び診察台に横たわり、機器に拘束されながら、リオは呆然と天井のライトを見つめていた。
(ママはきっと、ここまでやっていることは知らないんだろうな。「カワイイ」の代償が、これだってわかったら……)
多忙な合間であろうとも、欠かさず愛情を与えてくる美佐緒。その一方で、デザイナーの仕事ゆえか娘欲しさの
(──んっ)
中に
「この情動刺激で、どれぐらい神経共鳴が変わるかってことで……それじゃあ、いくよっ!」
「──!? ふぁあっ!」
びりびり、うねうねと。痺れるようなくすぐったいような、絶妙な刺激が両胸から脳へと走り抜ける。
「(ぃぃ、言えない……こんなこと、言えない。だけどもう、身を任せるしか、なぃ──)んんんあぁんっっ!!!」
リオの背中がぐぐぅっと大きく反りかえり……また、果てる。
診察室内にこだまし続ける、リオの嬌声。もはやこの狂おしい悦楽を止める者は、誰一人としていない。「調整」が未完の結末を迎える、その日まで──
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