※この作品はR-18です。

【完結】露蜜のカンバス~メスなボクでも幸せになりたい   作:渦螺しお

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22 フィットネスクラブ③

『コアフィット』休館日の火曜。リオは他のスタッフと共に清掃とマシンのメンテナンスに入った。

 17時を過ぎ、他のスタッフは解散。郷原がデスクで収支チェックをしているところに、電話が鳴った。

 

「──おお、健也か。どうだ課題提出のほうは……そうかそうか。まあ無理せずやってくれ……ああ、こっちは問題ない」

「ん、んむっ……(ぺろ)……」

 

 足元から、艶めかしい声が上がってくる。郷原の股間、リオがその肉棒を拙い様子で舐め続けている。

 

「──井山君は一生懸命やってるよ。いい友達を持ったなお前は。おかげで大助かりだ」

 

 郷原はリオの頭を撫でる。電話越しに「良き上司」として健也に振る舞いながら、肉棒から突き上げてくる快感に酔いしれていた。

 

「──わかった。お前が気に掛けていたと伝えておく。それじゃあ、しっかりな(──ピッ──)……くっく、お前が今何をやってるのか知ったら、健也もビックリするだろうなあ、ええ?」

「ぷはっ……うう……」

 

 スマホを置き、リオの頭を股間から引き離す。陰鬱な表情で口端を拭うリオを見て、郷原の肉棒はさらに熱が充填された。

 

「さぁて。綺麗になったシャワールームを使うとするか。お前も役得に預からせてやるぞ」

「いやっ」

 

 白く細い腕は無抵抗なまま、浅黒い筋肉の塊のような腕に、強引に引っ張られていった。

 

 真っ白なシャワー室。清掃後で、消毒液の臭いが換気扇の向こうへと流れていく。その一角──磨(す)りガラスの扉の向こうで、蠢(うごめ)く二つの人影。

 

「……ぁう、はぅ、あんぅっ」

 

 耳を打つシャワーの音を突き抜け、リオの嬌声が響く。その裸体は角度を変え、磨りガラスに押し付けられる。乳首と花芯が半透明越しに擦り付けられ、くっきりと現れた。

 

「くははっ、誰かスタッフが帰ってきたら大変だなおい。きっと丸見えだぞお?」

「ぃ、いや、んあ゛あっ」

 

 郷原に挿(い)れられ、突かれるたび、何も聞こえなくなる。目の前のシャワールームの白が頭の中まで染めあげ、あらゆる思考を拒否させる。

 神代への罪の意識と、自身のどうにもならない弱さ。いっそのこと全てを忘れてしまいたい。そんな自暴自棄な心が、リオを純粋な快感へと沈めていった。

 

「ほれぃっ、今日の残業手当だ! しっかり受け取れ!」

「んぁあああ゛あ゛あ──っ!」

 

 郷原の白濁に目一杯満たされる窪みの中。その口は漏れ出すのを止めきれず、びゅるびゅると流し続ける。

 

「ふう~今日もスッキリだ。おい、後はしっかり流しておけよ。会員から苦情が来たら大変だからな。うはははは!」

 

 あざけり笑いながら、タオルを首に掛け、先にシャワールームを出ていく郷原。

 

「……っ……ぅう、ぐすっ……」

 

 残されリオは、打ちひしがれ……ただ惨めに泣きながら、シャワールームの恥辱の痕跡を懸命に排水溝へと流し込んだ。

 

 

 

 ──アートセラピー学科・研究室

 

 カメラとノートPCが散乱する中、神代(かみしろ)は学生たちに忙しなく指示をしていた。

 

「じゃあ君らで写真のピックアップを。井山君はグループセッション記録を共有フォルダにまとめておいて」

「はいっ」

 

 快活な返事を返すリオ。一週間ぶりの顔合わせ、いつも通りにSAの仕事をこなしている。しかし神代は職業柄の直感で、リオの所作──非言語的手がかりの端々から、微細な〝ノイズ〟を嗅ぎ取った。

 

(何か……あったな)

 

 それも、どこか不快な……己の領域を侵す何か。その残滓がリオの身体にまとわりついているのを感じる。忙殺にかまけて「特別」の管理を怠ったと少し反省しつつ、神代はその究明を考え始めた。

 不意に鳴り響くスマホのコール音。

 

「ごめんなさいっ!」

 

 リオは自分のものであると気づき、慌ててトートの中で隠れるように確認をする。そして──何を見たのか、あからさまに表情をこわばらせた。

 リオの不安を一時回避させ、調査のフェーズへと移行する。神代の反応と行動は、迅速だった。

 

「ああ、すまんが。全員で次回の講義室に行って、カメラ位置のチェックをしてきてくれ。今すぐだ」

 

 リオ含む学生たちは、指示に従っていそいそと機材を担ぎ、研究室を出ていく。その隙。神代はリオのトートを開け、スマホを取り出した。

 

「非難は大いに受け付ける。悪いことをしているからな」

 

 いつの間にか把握していたパスコード。誰にともなく独りごち、手早く入力すると、LyNEのトークが立ち上がった。

 

 ────────────

(次の日曜日も20時だ。必ず来いよ)

     (もう、許してください)

(健也にバラすぞ)

     (好きにして。もう耐えられない)

     (アルバイト代も要りません)

 ──

(これを見ろ)

 ┌────┐

 

 └────┘

 ────────────

 

「──!」

 

〝またしても〟脅されている流れ。それに加え、最後の……今しがた送られてきた画像。そこには、無残な姿で果てさせられたリオが映っていた。

 

「ふっ、放任も、ほどほどにしておくべきだったか」

 

 神代は薄く笑みを浮かべ、余裕の台詞を吐く。しかしその目は、いつにも増して笑っていなかった。





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