【完結】露蜜のカンバス~メスなボクでも幸せになりたい 作:渦螺しお
「───ここだ。うわあ、すごくおっきい……」
日が沈みかけた頃。リオが
ウエストの高い生成りのベイカーパンツに、リングスナップのタイトな紺カーディガン。少しカジュアルかもと思いながら、一番は乗り継ぐ電車で身体のラインを隠しつつ、無事にここまで来ることだった。
部屋番号を押し、少し無愛想な神代の返事を聞いて中へ。豪華なエントランスの向こう、かなり上階で止まっていたエレベーターがひとつずつ降りてくるのを見るたび、リオの胸はどんどん高鳴った。
(ボクは今日、ひょっとしたら……)
自分の〝初めて〟を捧げるかもしれない。そう想うだけで
(……イケナイ子だよね、ボクって。先生のことを尊敬してここまで来たのに、昔のことを思い出すなんて)
エレベーターの扉が開く。それは、これからのリオの人生の扉が開く暗示のようでもあった。
31階、二番目の部屋。呼び鈴を押すと、神代のやさしい笑顔がドアから覗いた。
「よく来たね。迷わなかったかい」
「先生がLyNEで丁寧に案内してくださったので。Gougleがありましたし」
「悪い虫にたかられなくてよかった。さあどうぞ入って」
タイトなカシミアニットに浮き彫りになる、神代の男らしい型と背中。リオは思わずその背中に見惚れながらついて行く。
リビングは、シンプルな家具が並ぶ、モデルルームのような部屋。一面ガラス張りの壁の向こうには、夕映えのビル群が広がっていた。
「わあ、すご……あ、ダメですね、語彙がなくって」
「あはは、真面目だねリオ君は。マインドフルネスだよ。喜ぶという意識をただ率直に、思いっきり表せばいいんだ」
背後からそっと肩を抱く神代の手。リオは目の前の景色に向けていた意識がぐっとその手に流れていくのを感じた。
「今日はかわいらしい服だね。スタイルがいいから、女性服がよく似合ってる」
「結構悩んだので、褒めてもらえて嬉しいです」
「もう少し見ていたいけど……先にシャワーを浴びておいで」
「……はい」
「続きを最後まで」──昨日の神代の予告が現実になろうとしている。リオの鼓動はいっそう跳ね上がった。
黒基調ながら清潔なバスルーム。白い肌と湯気がよく映る。ほどなくしてドア向こうから、強めのシャワーの音をかき分けるように、神代の声が聞こえてきた。
「リオ君。シャワーが終わったら、バスケットに置いてあるものに着替えてね」
「は、はい。ありがとうございます」
シャワーを終え……神代が用意したという着替えをバスケットから取り出す。
「え、やだ……これだけなの?」
リオは驚きながらも、どこか儀式的にも思えるその上下に、不思議と導かれるように身を包んだ。
着なれない衣装にぎこちなくしながら、シャワールームを出る。窓の外は夜の帳が降り始め、リビングは薄明りに包まれていた。
「ちゃんと着てくれたんだね」
薄手のシルキーなチューブワンピースに、胸から腰下までを包んだリオ。下には紐ショーツ一枚だけ。腕で胸と股間を隠しながらもじもじとしているところへ、ソファに掛けていた神代が、ゆっくりと近づいてくる。
目の前に立つと、二本の腕をそっと取り払った。ぴっちり強調された身体のラインの上下に浮き出た、敏感な突起。恥じらいでいっぱいになり、薄暗い中でもわかるほどに頬を赤く染めるリオを、神代は黙ってじっと見ている。
「そんなに見ないでください。恥ずかしい……です」
「君は美術館に行って、一番の彫像を見るなと言うのかい」
神代は腰と背中にそっと手を置く。
「た、
「いや、感動的だよ。研究室に来てからずっと目で追っていた曲線美を、今からじっくり独占できるんだ。こんな風にねっ」
「ぁんっ」
力強く抱き寄せられる。リオの細くやわらかな身体を締め付ける筋肉。厚い胸板から叩きつける心音。汗ばむほどに上がった体温。〝かつて〟とは違う、敬愛する相手に身を任せる心地よさが、そこにはあった。
(──ああ、先生の、
下腹部に真っすぐ、硬く大きく張った神代の
(こんなの、初めて……あっ)
神代はふっと身体を引き離すと、リオの顎を指先でくっと上げた。
「先生……」
「そんなにきらきらとした瞳に見つめられたら、もっと応えてあげたくなるな」
「んんっ」
初めてのキス。重なった唇から、ねっとりと入り込んでくるざらついた舌。リオの舌を激しく絡めとっては、くちゅくちゅと淫靡な音を立てる。流し込まれる唾液は無味だがおよそ陶酔的で、リオの思考を止めるには十分だった。
(あ……)
リオは
「おっと。すっかり忘れるところだった。そろそろ君の美しさを、皆にもお披露目してあげないとな」
「皆って……」
力なく、神代に手を引かれるまま窓際へ。背後に回った神代は、そこでチューブトップの胸元をぐっと下へずらした。
「きゃっ……だめっ、こんな。向こうのビルから見られてしまいます」
「お披露目と言っただろう。適度な羞恥は、脱感作の効果をより高めてくれるよ。さあ、研究室の続きだ」
「んぁああんっ」
またしても突然に責められる乳首。かりかりと爪先で掻いては指の腹で転がし、ぎゅっと摘まみ上げる。開放感のあるガラス張りを前に……研究室での残り火は一気に燃え上がり、リオを最短で限界へと導いた。
「ダメ、だめだめ。もう……ぁんっ」
背中を押され、両手はぺたりと窓ガラスへ。夕闇が進み、リオは自分の痴態がうっすらとガラスに映りこむのを見て、いっそう頬を赤らめる。その背後、突き出した尻から紐ショーツがはぎとられた。
「ぁっ」
「ふむ、これは……想像以上だ」
尻肉の狭間に現れた、つるりとした双胞と
「何て綺麗な……それにこの芳しいジャスミンに似た香り。まさしく花が咲いているようだ」
「いやぁ……」
「ふふ、ここを刺すということは、私はさながら蜂か」
「──! ひぅっ」
また、唐突に。指先が濡れそぼったそこへ、ぬるりと入り込んだ。
「ぁいい、いや、いやぁあああん」
「すんなり指二本を飲み込んだね。さあ、ここで皆にメスイキを見せてあげようか」
ぐっちゅぐっちゅと窪みの中と外を行き来する二本の右手指。同時に乳首を転がし続ける左手指。
「あ、ん、ぁっ、あっ」
リオの
「ぁあ、いく、イッちゃいます」
「いいよイッて。ほら、これで!」
強くつねられた乳首の痛みと、窪みの奥の前立腺をぐんっと突く指。二極からやってきた大波に、リオは全身を飲み込まれた。
「ぁああああ──っ!」
ぬっぽりと指を抜かれ、床へとへたりこむ。
「はぁ、はぁ、ぁんん……」
息を切らしながら、小刻みに震える肩と背中。その弱弱しくもどこか加虐心を煽る様に、神代の中でかつてないほどの
「さあ立って、リオ君。まだまだ夜は長い。それにまだ〝半分〟しか終わっていないからね」
「半分……」
まだ快感の余韻にあるというのに、これから何が続けられるというのだろうか。
脇を抱えられ、よろよろと立ち上がるリオ。背中に手を添えられ、次に導かれた部屋にあったのは……薄暗い中にも、真っ白なシーツがまぶしい、巨大なベッドだった。