※この作品はR-18です。

【完結】露蜜のカンバス~メスなボクでも幸せになりたい   作:渦螺しお

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04 マンション②

「先生……何だか、怖い」

 

 純白のベッドに横たわるリオ。レースの目隠し、両手首は頭上、レースの帯で美しく繋がれている。

 視界を閉ざされ、手の自由を奪われ……これから行われる何かに、リオは怖れと期待を同時に抱いていた。

 

「何も心配いらないよ」

 

 ふと頬に添えられる神代(かみしろ)の手。リオは驚き、ぴくりと反応するも、そのあたたかさに安堵する。

 

「今からハプティック・セラピーの仕上げにかかる。まだ半分だけ閉じたままの君を、開放するためにね」

「ボクは……どうなっちゃうんでしょうか」

「今はただ、素直に快楽で自分を書き換えることを考えて。私がちゃんと導いてあげるから」

「は……い」

 

 神代は親指ですっとリオの唇をなぞると、深くキスをした。ほぼ一方的な先ほどとは違い、リオは積極的に神代の味を、舌触りを求めようと絡めていく。今後、リオのスイッチのひとつになるとも知らず。

 

 チューブワンピは腹部だけに巻きつき、胸と下半身を剥き出しに。花芯(ペニス)と窪み(アヌス)からは、見ているそばから露と蜜を垂らし続けている。立ち上がる芳香に、冷静な神代もつい衝動に任せそうになる。

 

「私をこんなに乱すなんて、少しおしおきがいるな」

 

 ぱちゃぱちゃと、何かを混ぜる音が響く。

 

「はぅんっ!?」

 

 腋(わき)にぬるりと、筆のようなもので何かが塗りつけられた。そのまますうっと胸へ移動し、両乳首の周囲だけを丹念になぞり終える。

 やがて筆先は臍(へそ)へと伝い、そこで円を描いた。

 

(何だか……熱い)

 

 塗った場所が順番に熱くなっていく。それに身体から漂ってくる大人の香り。鼻をすんすんとしているリオに、神代が答え合わせをした。

 

「赤ワインにとろみをつけたものを、水彩画筆で塗っているんだ。君の敏感さをより際立たせるためにね。さあ、足を広げて」

 香りに酔いながら、言われるがままに、ゆっくり開脚するリオ。

 

「ぁっ」

 

 筆先が双胞の周りを何度もなぞっている。やがて熱に包まれ……ぴくぴくと花芯(ペニス)が上下に揺れ、先端から露をあふれさせた。

 

「ふふ、かわいいなあ。そろそろ味見をしてみようか」

 

 神代は先端に軽くキスをし、ぺろりと粘膜を舐(ねぶ)った。

 

「んぁ、ふぁあ」

 

 ざらついた舌先でちろちろと暫くもてあそぶと……神代はぱくりと、口の中に入れた。

 

「ひぁうんっ」

 

 双胞を指先で転がされつつ、ちゅばちゅばと口の中で嘗め回される花芯。リオの背がのけ反りはじめたところで、神代は口を放した。

 

「せ、先生。やめちゃ……」

「これでイってもらっては困るからね。それにしても……」

 

 ペニスを愛おしく舐める日が来るなど。同性を対象にしようと考えたこともなかった神代にとって、己の欲情の原因を考察するのは、知的な刺激でもあった。

 

「まったく君は、特別が過ぎるよ」

「特、別……」

 

 神代の言葉は、いつも自分に光を照らしてくれる。特異な自分を導くと、さまざまに肉体を検証された〝あの日々〟。しかし今は違う。

 筆で焦らされ、口で焦らされて火照りきった身体。そんな中で過去と現在の幸せを照らし合わせ、感無量になったリオは、思わず泣いた。

 

「ぅう……ぐすんっ、すんっ」

「ん、どうしたんだいリオ君。どこか痛かったかな?」

 

 神代はリオの手首の拘束をほどき、アイマスクを取る。そこには、涙をいっぱいにため、琥珀色の瞳が輝いていた。

 心配そうにのぞき込む神代に、リオは力いっぱい首を振った。

 

「ごめんなさい、違うんです。先生の言葉が……嬉しくて。ボクを特別だって」

 

 そんなことかと安心した神代は、ふっと鼻で嘆息をついた。

 

「そうだよ。いつも言っているし、これから何度も言ってあげる。君は何にも代えがたい、特別なんだ。少なくとも世界中で、私にとってはね」

「ああっ、先生ぇっ」

 

 リオは歓喜に震え、半裸になっていた神代に、思いっきり抱き着いた。

 

「ボクを……ボクを、女の子にしてください。先生だけの、女の子に」

「元よりそうするつもりだよ、リオ君」

 

 男女ではない、ただ本能に従った雄と雌。神代はリオ以上に、この超越した性の体験を支配することに、格別の悦びを見出していた。

 神代は黒いボクサーパンツを脱ぎ捨てると、雄々しく屹立した男根(いちもつ)を、リオに見せつけた。それを見て、思わず両手で口を押えるリオ。

 

(ああ、本物……すごく、おっきい。こんなのが、ボクの中に……んんっ)

 

 錨(いかり)のごとき先端が、真っ向から、迷うことなく愛液まみれの窪みを突く。そのままぐんと押し開き……神代は一気に、力強く突き刺した。

 

「はぁあああああんっ!」

 

 大きな声とともに、背中が弓なりに反りかえる。

 窪みの奥までぴったりと、硬いのに馴染む。そして熱い。指でもディルドでも、医療器具でもない。リオの知る全てが及ばない充足感と快感が、直腸から脳天へと一気に突き抜ける。

 

「くっ……まだひと刺ししただけなのに、これか」

 

 直腸でも膣でもない、得も言われぬ肉壁が、得も言われぬ何かがねっとりとペニスに渦巻いていく。極上の快楽に、神代は全身の皮膚がさあっと湧き立つのを感じた。

 

「最高だ、最高だぞ、リ(・)オ(・)っ」

「ぁうっ、ふぁん、あぅんっ」

 

 突くたびにリオの乳首と花芯が嬉しそうに踊る。愛らしく鳴き声を上げ、上気して潤んだ瞳は、悦びに圧され、虚空を見つめるばかり。セックスが好きな女でもここまで悦びを全身で表すことはない。目、耳、舌……五感に捉えるリオの存在全てが、神代には悦楽そのものだった。

 

(まさにっ、魔性。こんなにも魅了してやまないものをっ……くっ、素晴らしいっ)

「んはっ、ん、ぁ、あ、いやっ、だめダメっ、あああっ」

 

 乳首に吸い付き、右手で花芯をつかんでこすり、前立腺をぐりぐりと突く。自分という男を徹底的に覚え込ませようと、三つの極点を全て刺激していく。

 

「はっ、はっ、はっ」

「ぁん、ダメ、いく、イっちゃうっ」

(──頃合いか)

 

 リオばかり悦ばせるのも癪(しゃく)。神代自身もまず一度は快楽を味わい切ろうと、達しておくことにした。

 

「さあ、仕上げだ。お(・)前(・)の中に出すぞ。私の種を注ぎ込んで、奥の奥まで上書きしきってやる!」

「ぁあ、せんっせいぃ!」

「ぬんっ!」

「ぁあああああ──っ!」

 

 精液と愛液が中で溶けあい、外へ飛ぶ。三つの絶頂共鳴(レゾナンス)。

 神代はペニスの奥底から、かつてないほど盛大に種が押し出されるのを感じた。その膨大な熱に、窪みの奥を満たされるのを微かに想いながら……リオは初めての射精(オスイキ)と前立腺刺激(メスイキ)で、意識が飛んでしまった。

 

「くっ……はぁ、はぁ……」

「ぁ、ぁん、ぁぅんん……」

 

 しばしの余韻を味わい終える二人。

 神代とリオは抱きしめ合い、どちらともなく、激しくキスを貪(むさぼ)り合った。

 その下方……注ぎ込まれた種が、窪みの隙から溢れ出す。その白濁は真っ白なシーツの上で、赤ワインの染みと妖艶に混ざり合った。

 リオが〝女(メス)〟へと堕ちたことを、知らしめるかのように。





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