※この作品はR-18です。

【完結】露蜜のカンバス~メスなボクでも幸せになりたい   作:渦螺しお

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09 マンション③

 薄紫の空を仰ぐ夕刻。神代(かみしろ)の車で、再びマンションへやってきたリオ。

 

「んむん……(くちゅ、ぺろぺろ)……んんぐ……」

「そうそう、緩急をつけて。歯をたてないように」

 

 寝室。窓の外に広がる夜景を背に、神代はベッドに腰掛け、リオに初めての口での奉仕(フェラチオ)を仕込んでいる。膝を突き、後ろ手に縛られ、口だけを使って。

 拙くぎこちないのに、やたらと感じることに驚き、また興奮する。一生懸命にしている様が、新鮮だからだろうか。

 

(……いや、リオの持つ全てがそうさせるんだ。仕草、匂い……それにこの無垢な表情に滲む艶(つや)。素晴らしい)

 

 いじらしいから、いじめたい。辱めたい。好きなものほど壊したくなる衝動から、神代はリオの頭を後ろから押した。

 

「んぐぅっ?」

「喉を使うんだ。根元まで入るように。喉の奥にも私の形をしっかり刻んでおくんだ」

 

 琥珀色の瞳がきらきらと滲む。苦しそうにしながら、尚も神代の期待に応えようと、必死に舌と喉を動かすリオ。

 

「……頑張ったご褒美をあげないとな」

 

 神代は傍らの小さなリモコンのスイッチを入れた。

 

「──!? んんんんん────!!!」

 

 リオの窪み(アヌス)に飲み込ませておいたディルドが、突然激しく、ぐるぐると回り始める。気持ちはいいが、前立腺(メスイキ)まであと少し、絶妙なところでズレている。神代が寸止め(エッジング)でよく使うテクニックである。

 

「んっ、んっ、んんっ」 

「ふふ、欲しくなるだろう。だけどまだまだ、こんなものじゃない。もっともっと、焦がれてもらう」

 

 さらに、神代の両手指がぴんと硬くなったリオの乳首を弾く。爪で掻き、腹で撫で、つねり上げられるたび、リオの口が男根(いちもつ)に強く吸い付く。

 

「うっ……」

「んん、ぅんん……ぷふぁっ、あん、ぁあん、はぁん」

 

 リオは堪りかねて男根(いちもつ)を口から放した。

 

「先生……もう、許して……ください……」

 

 眉尻を下げ、上目遣いで哀願するリオ。その切ない顔に、神代は全身が総毛立ち、ぞくぞくとした。

 威圧的な言葉遣いと語気から、やさしくトーンダウンする。

 

「そうだね、よく頑張った。今日もしっかり注いであげるからね」

「ぁあ、嬉しい……んんっ」

 

 窪みからずるりとディルドを抜き取り、拘束を解く。とろんとした目を己に向けるリオを、甲斐甲斐しくベッドへと横たえ……神代はその期待に応えるべく、一気に貫いた。

 

「ふっ!」

「んぁああああんっ!」

 

 じゅくじゅくと窪み(アヌス)の蜜をかき混ぜられるたび、ぴたんぴたんと下腹部を打つ花芯(ペニス)。目に耳に肌に、リオのあらゆる感覚器から神代という男が入ってくる。しかしそれは徐々に、支配者であろうとする神代の精神さえ、侵食(シンクロ)し始めていた。

 

(ぐくっ……この締め付け……前回どころじゃ、ない。中の襞(ひだ)も絡んで……まるで、突いているこっちが侵されているみたいだっ)

 

 突かれている間、虚ろな目で人差し指を甘噛みする。リオの無意識のクセらしく、その仕草までも目に毒。早々と持っていかれそうになる。

 

「くそっ、なんて奴だ!」

 

 リオの左足を担ぎ上げ、背後から足を割り込ませる。少しでも長く味わうつもりで体位を変えたのだが……リオのうなじから発する香気にあてられ、思わず射精してしまいそうになった。

 

「ぁうんっ!」

 

 神代はリオの花芯(ペニス)をつかみ、激しく擦った。

 

「さあ、こっちも出すんだ。イッて、イキまくれ!」

「あ、あっ、ああ、ああああ──んっ!!!」

 

 ぴゅっと、リオの露が空を舞う。神代も我慢ならず、びゅるびゅるとリオの中へ種を注ぎ込んだ。

 

「はあ……はあ……」

「ぁん、ぁ、ぁんん……」

 

 余韻の喘ぎ声も耳に心地よく、愛おしく。神代は背後から包み込むように抱きしめる。リオはそのたくましい腕を、愛おしそうに撫でた。

 

「先生……研究室ではごめんなさい。背中越しのハグで、ちょっと怖いことを思い出しちゃったから」

「構わないさ。今は何ともないのか」

「はい、上書きされました。あったかくて、大好き」

 

 胸板に感じ取る、リオの上質なカンバスのごとき、きめ細かな背中の肌触り。神代はくっとリオの顔を傾け、キスを貪(むさぼ)る。

 

「ん、ん……はぁ……」

「もしまだ怖いのなら、研究室では背中を見せないようにしないとな」

「ダメ。正面からだと、もっと抱かれたくなるから」

「まったく、お(・)前(・)という奴は」

「きゃんっ」

 

 上に回り、全身の体重をかけながらリオに被さる神代。リオもまた、全力でしがみついてきた。

 逢瀬二回目。常勝を目論む神代も、今日は一敗を喫した気分だった。

 

(それにしても……私が〝初めて〟なのは、嘘ではないようだが……ここまで芳醇なエロスが仕上がっているのは、どういうことなんだ? あざとい仕草も、無意識にしては男心を得過ぎている)

 

 腕枕ですうすうと寝息を立て始めるリオ。神代はその無垢で無防備な顔をじっと眺める。

 リオの過去に、いったいどんな下地が塗り込まれているのか。いつかは訊いてみたいものの……さしもの神代も、リオを相手にまだ余裕を持てないでいた。

 

(ふ、魔性たる所以(ゆえん)か)

 

 神代は笑いがこみ上げる。

 彼はまだわかっていない。リオがかつて、どれほどの愛欲(トラウマ)を注ぎ込まれてきたのかを。その手に余る、快楽への倒錯ぶりを──





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