※この作品はR-18です。

fate/Apocrypha偽書 千人斬りのアストルフォ   作:鰻天ぷら

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アストルフォの一日①:後編

午後12時。

 

ロンドン市内、某所の廃教会跡地。

 

「えーいっ! よし、これで最後かな!」

 

ボクは、地下室に蠢いていた幻霊の残滓たちを、剣の柄による物理的な一撃(とパラディンの神聖なオーラ)で一掃した。複雑な魔術なんて必要ない。迷いのない一撃を叩き込めば、悪いものは大体スッキリ消えてくれるのだ。

 

「ふぅ、お腹空いた! お昼ご飯にしようっと!」

 

瓦礫の上にひょいと腰掛けると、ボクはシエルとセラが持たせてくれた愛妻弁当を開いた。

 

中身は、蒸し鶏の胸肉、色鮮やかな茹でブロッコリー、そして玄米の小さなおにぎり。

 

「いただきまーす! もぐもぐもぐもぐ……」

 

ボクは、誰も見ていない薄暗い地下室の中でも、一口につききっちり三十回、真剣に咀嚼を繰り返す。

 

(胃腸に負担をかけないこと。そして栄養を完璧に吸収すること。これが、パラディンとしての強さの秘訣だからね!)

 

毎晩、大好きな奥様たちといーっぱい愛し合っても、絶対に体力を枯渇させない。その誓いを守るためには、日々の健康管理(食事と運動)が何よりも大切なのだ。

 

午後14時。

 

時計塔の窓口に、今日のお仕事の報告書(要点をまとめた可愛い丸文字)を提出する。

 

「あ、アストルフォ様……! いつも迅速なご対応、本当に助かります……っ」

 

目の下にクマを作った女性職員さんが、涙ぐみながら拝んでくる。魔術師の人たちって、いつも難しく考えすぎて徹夜とかしちゃうからダメなんだよね。

 

「うん! お仕事頑張ってね! ちゃんと寝ないとダメだよ!」

 

ボクは彼女の手をギュッと握って元気の魔法(笑顔)をかけてあげてから、愛する家族が待つお家へと軽やかに帰還した。

 

***

 

午後15時。

 

ロンドン郊外、エーデルフェルト別邸。

 

「ただいまー!」

 

「アストルフォ様、お帰りなさいませ。お疲れ様でございました」

 

エントランスでボクを出迎えてくれたのは、クラシカルなメイド服を着た銀髪の綺麗な女性――マリアだった。彼女は元々、聖堂教会のすごいシスター(異端審問官)で、昔ボクを倒すためにこのお家に潜入してきたんだけど、今ではすっかり仲良くなって、専属のメイドさんとして一緒に暮らしている。

 

「ただいま、マリア! 今日もすっごくいい匂いがするね! みんなはお茶会?」

 

「はい。奥様方はすでにサロンにお集まりです。本日はダージリンをご用意いたしました」

 

マリアは、いつ見ても背筋がピンと伸びていてかっこいい。でも、ボクがコートを手渡した時、彼女の少し冷たい指先がボクの手に触れて、ほんの少しだけビクッと震えたのを、ボクは見逃さなかった。

 

サロンに行くと、凛やルヴィア、それに新しく家族になった未那ちゃん(両儀未那)たちが、楽しそうにお茶を飲んでいた。

 

「アストルフォ、お疲れ様。報告書は無事に通った?」

「うん! Ⅱ世も元気そうだったよ! みんなも一緒におやつ食べよう!」

 

午後15時45分。

 

美味しいお茶を飲んでホッとしたボクは、広大なお家の中を散歩していた。

 

ふと、西陽が差し込む図書室を覗くと、マリアが一人で本棚の整理をしてくれていた。

 

(マリア、いつもみんなのために一生懸命働いてくれて、本当に優しいなぁ。……よし!)

「マリア、ここにいたんだ」

 

ボクは足音を立てずに図書室に入ると、彼女の後ろからそっと抱きついた。

 

「あっ……アストルフォ、様。いかがなさいましたか?」

 

マリアは振り返って、メイドとしての完璧な笑みを浮かべようとした。でも、ボクの腕の中にすっぽり収まった彼女の身体は、もうすでにほんのりと熱くなり始めている。

 

「ううん。マリア、いつもお掃除とかみんなのお世話、頑張ってくれてありがとう。……でも、ボクの前では、そんなに完璧なメイドさんでいなくていいんだよ?」

 

ボクは、彼女が持っていた魔導書をそっと本棚に戻すと、そのまま彼女の華奢な背中を本棚にコトン、と押し付けた。

 

「アスト、ルフォ様……私、は……メイドとして、当然の務めを……」

 

マリアは必死に涼しい顔を保とうとしている。教会で厳しい訓練を受けた彼女は、すごく我慢強い。でも、ボクは知っている。彼女が本当は、すっごく女の子らしくて、甘えたがりだってことを。

 

「マリアはいつもクールだけど。ボクが触ると、すぐにこんなに熱くなっちゃうんだよね。……すっごく可愛いよ」

 

ボクは、マリアのメイド服の襟元から手を入れて、その滑らかなうなじを優しく撫で上げた。ボクの体温が伝わった瞬間、彼女の身体がビクンッ! と大きく跳ねた。

 

「ひやうッ……!! ぁ、あぁ……っ」

「ん……ちゅっ……」

 

ボクは、マリアの震える唇を塞いだ。彼女の口の中は、すっごく甘くて熱い。

 

ボクがいーっぱい撫でて、いーっぱいキスをしてあげると、マリアはもうメイドの我慢なんて忘れて、ボクの首に腕を絡ませてしがみついてくる。

 

(あはは、マリアったら、ボクの服をギュッと掴んで、子猫みたい。可愛いなぁ)

 

ボクは、彼女が気持ちよくなるように、一番敏感なところを優しく、でも力強く愛してあげた。静かな図書室に、彼女の甘い声がたくさん響く。

 

昔は怖い顔でボクに武器を向けていた彼女が、今はこうして、ボクの腕の中で「女の子」として幸せそうに溶けてくれている。それが、ボクはすっごく嬉しいんだ。

 

***

 

午後17時15分。

 

マリアといーっぱい愛し合って、心のエネルギーを満タンにしたボクは、トレーニングウェアに着替えて裏庭へと飛び出した。

 

「よーし! おやつの後は、しっかり運動しなきゃね!」

 

『ドゴォォォォォォンッ!!』

 

裏庭の芝生が吹き飛ぶ。ボクの目の前には、黒いスーツを着崩した武闘派の魔術師、バゼットが両手足にルーンを輝かせて立っている。

 

「……見事です、アストルフォ。まさか私の『フラガラック』の迎撃タイミングを、魔力も使わずステップのみで回避してみせるとは」

 

バゼットは汗だくになりながら、生真面目な顔で感嘆の声を漏らした。

 

「バゼットもすっごく速いよ! でも、夕ご飯の前にもっと汗かいて、お腹空かせなきゃ! いっくよーっ!」

 

ボクは純粋なパラディンの身体能力だけで、バゼットの猛攻を躱し、寸止めのカウンターを打ち込んでいく。

 

(フットワーク、よし! 筋肉の連動、よし! うん、今日もボクの体調は完璧だね!)

 

バゼットとの本気のスパーリングは、最高に楽しい有酸素運動だ。この日課があるからこそ、ボクのスタミナは無限に作られるんだから!

 

午後18時30分〜19時。

 

お風呂で汗を流した後は、キッチンで夕食の準備をお手伝い。

 

「シエル、今日のメニューは何?」

「鶏胸肉のハーブローストと、たっぷり野菜のミネストローネですよ」

「わぁ、美味しそう!」

 

栄養バランスが完璧な質素で美味しい夕食を、家族みんなでワイワイ食べる。もちろん、夜のために三十回咀嚼は忘れない。

 

午後19時40分。

 

夕食後は、大浴場でのんびりタイムだ。

 

「パパ、こっち来てー! 水鉄砲しよー!」

 

イリヤやクロエ、それにアルチナたち年少の子供たちと一緒に、広いお風呂でバシャバシャと遊ぶ。子供たちの笑顔を見ていると、ボクの心はどこまでも温かくなる。

 

「こらこら、お風呂で走っちゃダメだよー!」

 

ボクは完全なお父さんモードで、みんなの背中を流してあげたり、髪を乾かしてあげたりした。

 

午後22時。

 

子供たちを寝かしつけ、屋敷が静寂に包まれる時間。

 

ボクは、今夜の当番の奥様たちが待つ寝室のドアを開けた。

 

「お待たせー!」

「……遅いですわよ、アストルフォ! わたくしをこんなに待たせるなんて、万死に値しますわ!」

 

天蓋付きの豪華なベッドの上で、シルクのネグリジェを着たルヴィアが、ぷくっと頬を膨らませて腕を組んでいた。でも、その金色の瞳はすっごく期待に満ちている。

 

「ふふっ。ルヴィアちゃんったら、さっきからソワソワして、何度も入り口をチラチラ見ていたのよ?」

 

その隣で、豊かな白い肢体を艶やかに横たえたアイリ(アイリスフィール)が、母性に溢れた優しい微笑みでルヴィアをからかった。

 

「なっ……! 違いますわ、アイリ! わたくしはただ、この男のルーズさに苦言を……きゃうっ!?」

 

ボクはベッドに飛び込むと、言い訳をしているルヴィアの身体をガシッと抱きしめた。

 

「ごめんごめん! でも、二人ともすっごくいい匂いで、綺麗だよ。……今日も一日、健康に過ごせたから、ボクの体力は満タンだかんね!」

「あ……っ、アストル、フォ……っ。そんな、急に……っ」

 

高飛車だったルヴィアの顔が、一瞬で真っ赤に染まり、ボクの熱に当てられてトロトロに溶け始める。

 

「ふふ。……私も、アストルフォの熱、いーっぱい欲しいな」

 

アイリも、ボクの背中に柔らかな腕を回し、甘く誘うようにすり寄ってきた。

 

(よし! 明日も元気にお仕事して、みんなを幸せにするために! 今夜も全力で愛し合おう!)

 

こうしてボクは、ルヴィアとアイリの二人に、無尽蔵の愛(とスタミナ)を、朝までたっぷりと注ぎ込み続けたのだった。

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