※この作品はR-18です。

fate/Apocrypha偽書 千人斬りのアストルフォ   作:鰻天ぷら

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インターバル⑩

ロンドン郊外、エーデルフェルト家の広大な別邸。

その静かな二階の一室で、フィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニアは、アンティークの鏡台に組み込まれた通信用の魔術礼装(水晶鏡)に向かって、穏やかな微笑みを浮かべていた。

 

鏡の向こうに映っているのは、遠く離れたルーマニア・トリファスの城で、山のような書類に囲まれて疲労困憊の顔をしている彼女の弟――現在のユグドミレニア当主、カウレス・フォルヴェッジだった。

 

『……というわけで、こっちの亜種聖杯戦争の余波や、魔術協会からの小言の処理はなんとか回っているよ。……姉さんの方はどうなんだい? ロンドンは今、異常事態だって噂がこっちまで届いてる』

 

カウレスは眼鏡のブリッジを押し上げながら、怪訝そうな顔でフィオレを見つめた。

 

『法政科の猟犬がエーデルフェルトの別邸に引き込まれたとか、現代魔術科や天体科の次期当主(ライネスとオルガマリー)達が、青崎青子たちと結託して時計塔を裏で牛耳り始めたとか……。おまけに、姉さんが一緒にいるはずの「黒のライダー(アストルフォ)」が、その中心で女たちをたぶらかしている「色欲の獣」だなんて、馬鹿げた噂まで流れてるんだぞ』

 

弟の心配そうな言葉に、フィオレはクスリと上品に笑った。

 

「ふふっ。相変わらず、時計塔の噂には尾ひれがつくのね。でも安心して、カウレス。私は今、これまでの人生で一番安全で……そして、一番幸せな場所にいるわ」

『幸せ……? いや、確かに姉さん、ルーマニアにいた頃よりも肌もつやつやだし、なんか……その、すごく綺麗になったというか、雰囲気が……』

 

カウレスが、少し戸惑ったように言葉を濁す。

 

ユグドミルレニアの当主という重圧に押し潰されそうになりながら、動かない両脚の呪いに縛られていたかつての姉。

しかし今のフィオレの顔つきは、魔術師としての冷たい緊張感が完全に抜け落ち、誰かに心の底から愛され、甘やかされている女特有の、むせ返るような艶やかさと余裕に満ちていたのだ。

 

「ええ。彼……アストルフォのおかげよ。彼は噂のような獣なんかじゃないわ。ただ、誰よりも純粋で、温かくて……私たちの凍っていた心を、全部溶かしてくれただけの、世界で一番優しい騎士様よ」

 

フィオレが、愛する男を思い浮かべてうっとりと目を細めた、その瞬間だった。

 

ガチャリ、と。

背後のドアが音もなく開き、噂の張本人である桜色の騎士が、満面の笑みで部屋に忍び込んできたのだ。

 

(あ、アストルフォ……! 今、カウレスと通信中なのに……っ)

 

フィオレが目で制止しようとするが、アストルフォは口元に人差し指を当てて「しーっ」とウインクをすると、水晶鏡の死角――フィオレの乗る車椅子のすぐ横へと、音もなく滑り込んできた。

 

『姉さん? どうかした?』

「い、いえ! なんでもないわ、カウレス。……それで、一族の状況だけれど……ひゃっ」

 

突如、フィオレの口から、可愛らしい悲鳴が漏れた。

水晶鏡の視界外で、アストルフォが膝をつき、フィオレの魔術回路が通っていないはずの白く細い脚を、タイツ越しに両手でふわりと包み込んだのだ。

 

『姉さん? 今、変な声が出なかったか?』

「な、なんでもないの! ちょっと、足元に……猫が、来ただけよ……っ」

 

フィオレは必死に冷静な姉の顔を取り繕いながら、車椅子の下でアストルフォの頭を押し返そうとする。

しかし、彼の手から伝わってくる火傷しそうなほどの『オス』の熱量が、タイツの繊維を貫通し、感覚のないはずの彼女の神経を直接ショートさせ、子宮の奥底へと強烈な快感の痺れを送り込んできた。

 

(ああっ……だめ、アストルフォ……っ、弟が見ているのに……っ、そんなところ、撫でられたら……っ)

 

アストルフォの大きな手が、彼女のふくらはぎから、膝、そして柔らかな太ももへと、ひどく艶めかしい手つきで這い上がっていく。

彼はフィオレを見上げながら、紫水晶の瞳を情欲に濁らせ、意地悪く微笑んでいた。

 

「……っ、ふぅっ……」

 

フィオレの呼吸が、急速に荒く、熱を帯びたものに変わる。

水晶鏡に映る彼女の白い頬は、もはや誤魔化しがきかないほどに茹でタコのように真っ赤に染まっていた。

 

『姉さん、顔が真っ赤だぞ!? まさか熱があるんじゃ……やっぱり、ロンドンの連中に何か変な魔術をかけられているんじゃ……!』

「ち、違うの、カウレス……っ! これは、その……お部屋の、暖炉が……すごく、効きすぎていて……っ、あぁっ!」

 

アストルフォの指先が、ついに太ももの最も奥、熱を帯びた秘所のすぐ手前まで到達し、そこを指の腹でゆっくりと円を描くようになぞった。

 

「んんひぃッ……!!」

『姉さん!?』

 

脳髄を直接揺さぶられるような快感に、フィオレはついに限界を迎えた。

これ以上弟の前で正気を保つことなど、この絶対的な快楽のプレデターを前にしては不可能だった。

 

「ご、ごめんなさいカウレス! 急用を思い出したわ! トリファスのことは任せたわよ、立派な当主になってね!!」

『え? ちょっと待って姉さん、急用って――』

 

ブツンッ!!

フィオレは水晶鏡の魔力供給を強引に断ち切り、通信を強制終了させた。

 

「はぁっ……はぁっ……! アストルフォ、貴方って人は……っ!」

 

フィオレは涙目で彼を睨みつけようとしたが、魔術通信が切れた安心感と、限界まで高められた情欲によって、その顔はすでに完全に彼に骨抜きにされた『メス』のものになっていた。

 

「えへへ、ごめんね。でも、フィオレがずっとお話ししてるから、寂しくなっちゃったんだもん」

 

アストルフォは車椅子の横から立ち上がると、フィオレの背後に回り込み、彼女の細い首筋に背後から熱い唇を押し当てた。

ちゅっ、ちゅっ、と、吸い付くような水音が部屋に響く。

 

「あぁぁっ……! もう……本当に、いけずな人……っ」

 

フィオレは自ら首を傾け、彼の愛撫を受け入れやすくしながら、背後から回された彼のがっしりとした腕に、自分の身体を預けた。

 

「弟の前で……あんなに、私をトロトロにして……っ、私、お姉ちゃんとしての威厳が……っ」

 

「威厳なんていらないよ。ボクの前では、フィオレはただの可愛い女の子だもん」

 

アストルフォの大きな手が、彼女のブラウスの胸元を器用に解き、あらわになった柔らかな双丘を、下から溢れんばかりに揉みしだいた。

 

「んひぃッ!! ぁ、ああっ!! だめ、そこ……っ、強く、いじられたら……っ!」

「フィオレのここ、すっごく温かい。ボクのこと欲しがって、ドキドキしてる」

 

彼の指先が敏感な頂を弾くたびに、フィオレの背中が弓なりに反る。

彼女の足は動かない。しかし、彼女の身体のすべての神経は、彼から注がれる圧倒的な快感と愛情に全集中し、常人よりも遥かに深い絶頂へと彼女を導いていくのだ。

 

「アストルフォ……っ、私、もっと……っ、もっと貴方の熱が、欲しい……っ!」

「うん……! フィオレの全部、ボクの熱でいっぱいいっぱいにしてあげる」

 

アストルフォはフィオレの身体を車椅子から軽々と抱き上げると、そのまま部屋の奥にある豪奢なベッドへと彼女を押し倒した。

午後の陽光が差し込む私室で、ユグドミルレニアの元当主は、誇りも重圧もすべてを忘れ、ただ愛する騎士の腕の中で、狂おしいほどに甘い嬌声を上げながら、何度も何度も快楽の波に呑み込まれていくのだった――。

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