※この作品はR-18です。

fate/Apocrypha偽書 千人斬りのアストルフォ   作:鰻天ぷら

80 / 181
冬木旅行編④

翌朝。

澄み切った冬木の空気を切り裂くように、アインツベルン城の中庭に数台の車が手配されていた。

 

「さてと。観光の前に、まずは私の本来の仕事を片付けさせてもらうわよ。冬木の霊脈の要所を数箇所巡って、パスの乱れをチューニングする。……一人でやれば三日はかかる作業だけど」

 

凛は、いつもの赤いコートではなく、動きやすい黒のタートルネックにパンツスタイルという実用性重視の魔術師の装いで、トランクから様々な計測用の魔術礼装を取り出していた。

 

「三日もかかる仕事なんて、お姫様一人にやらせておけないよ! ボクも手伝う!」

 

アストルフォが、凛から重たい機材の入ったトランクを軽々とひったくり、満面の笑みで胸を叩く。

 

「あら、遠坂。このわたくしたちが大人しく城で留守番をしているとでも思いまして?」

 

ルヴィアゼリッタが、優雅なパンツスーツ姿で歩み寄る。その後ろには、ライネスや、蒼崎青子までが、それぞれに魔術的な準備を整えて立っていた。

 

「冬木の霊脈管理、時計塔の教材としても興味深いじゃないか。兄上(Ⅱ世)への土産話に、少し構造を見学させてもらおう」

「時計塔の次期当主や魔法使いが揃って手伝う霊脈調整なんて、冬木の歴史上でも初めてでしょうね。……ふふっ、お姉ちゃん、すぐに終わらせて、早く遊びに行きましょう?」

 

桜が、アストルフォの腕にそっと触れながら、凛に向かって艶やかに微笑んだ。

 

「……はぁ。あんたたちみたいな規格外の連中が揃って霊脈に干渉したら、逆に冬木の大地がびっくりするんじゃないの。……まあ、背に腹は代えられないわね。手伝ってもらうわよ」

 

凛は呆れたように溜息をつきながらも、その青い瞳には、頼もしい家族(ハーレムの仲間たち)に向けた深い信頼と安堵の色が浮かんでいた。

 

(なお、まだ幼いオルガマリーは「地下の冷たい洞窟は子供の身体に障る」というアストルフォの優しい配慮により、アイリスフィールたちと共に温かい城でお留守番となっている。)

 

***

 

冬木市、円蔵山。

その中腹に位置する柳洞寺の裏手から、さらに深く潜った先にある、天然の巨大な地下空洞。

大聖杯へと繋がる冬木最大の霊脈の結節点であるここは、一年中ひんやりとした冷気と、濃密すぎるほどの魔力が淀んでいる場所だった。

 

「……よし、ルヴィアは東のパスに魔力を流して。青崎先生は西の基盤の安定を。私は中央で同調させるから!」

 

薄暗い洞窟の中、凛の的確な指示が飛ぶ。

 

普段なら彼女が一人で少しずつ魔力を流し、神経をすり減らしながら行う繊細な作業だ。しかし今日は、時計塔のトップクラスの魔術師たちがその魔力を惜しげもなく提供し、凛の負担を劇的に軽減していた。

 

「はいはい、これくらいでいいかしら。……相変わらず、ここの魔力は重たいわね」

 

青子が指先から青い光を放ち、岩肌に刻まれた術式をあっという間に修復していく。

 

「遠坂、東のパスは完璧に繋ぎ直しましたわ! さあ、中央を!」

「わかってるわよ……っ! 同調(シンクロナイズ)、開始ッ!」

 

凛が中央の祭壇に両手をつき、自身の魔術回路を全開にして冬木の大地と接続する。

膨大な魔力が彼女の細い身体を駆け巡り、パスの乱れを強引に、かつ精密に矯正していく。

 

「……っ、ふぅぅ……っ」

 

数分後。洞窟内を満たしていた淀んだ空気が一気に澄み渡り、清浄な魔力の流れが確立された。

 

「……終わった。嘘でしょ、半日かかる工程がたったの一時間弱で……っ」

 

凛は祭壇に手をついたまま、肩で荒い息を吐いた。

大幅に時間が短縮されたとはいえ、冬木の大地と深く繋がる行為は、彼女の体力と精神力を大きく削っていた。

 

ガクン、と。

緊張の糸が切れた瞬間、凛の膝から力が抜け、冷たい岩肌へ崩れ落ちそうになる。

 

「おっと! 凛、お疲れ様!」

しかし、彼女の身体が地面に触れることはなかった。

背後から、途方もなく温かい腕が伸び、凛の細い腰をしっかりと、かつひどく優しく抱き留めたのだ。

 

「アストル、フォ……」

「凛、すっごく頑張ったね。身体、冷たくなってるよ」

 

他のヒロインたちが別の結節点の確認で少し離れている、薄暗い祭壇の裏側。

アストルフォは凛を自らの広い胸板に寄りかからせ、彼女の汗ばんだ額の髪を指先でそっと払った。

 

「……あんたが、手伝ってくれた……おかげよ。荷物も、全部……っ」

凛は強がろうとしたが、彼から発せられる熱量と、洞窟内に満ちる澄んだ魔力が混ざり合い、彼女の魔術回路の芯を直接撫で回すような感覚に襲われ、声が甘く震えてしまった。

彼の体温が、タートルネックの布地越しに、凛の背中からお腹の奥深くへとじんわりと浸透してくる。

それは、冷え切った洞窟の中で、唯一の絶対的な太陽のように感じられた。

 

「凛のここ、魔力いっぱい使って、トクトク鳴ってる。……お腹の奥、痛くない?」

 

アストルフォの大きな手が、凛の腰からゆっくりと前へ回り、彼女の下腹部を優しく包み込むように撫でた。

 

「ひゃうっ……!!」

 

びくんっ、と凛の身体が大きく反り返る。

ただ撫でられただけではない。彼の掌から、失われた魔力を補填するかのように、純度百パーセントのオスの熱と愛情が、彼女の子宮の奥底へと直接流れ込んできたのだ。

 

「あぁっ……あ……っ。だめ、アストルフォ……っ、そんな風に、魔力を……流されたら……っ」

 

凛の青い瞳が、一瞬にして水気を帯び、トロトロに濁っていく。

冬木の管理者としての威厳など、彼のこの甘い熱の前では一瞬で融解してしまう。彼女は自らの意思で彼のがっしりとした腕にすがりつき、もっと深く熱を注いでほしいと、自身の柔らかな身体を彼へと押し付けた。

 

「凛の身体、ボクの熱がすっごくよく馴染むね。……冷たいところ、全部ボクが温めてあげるから」

至近距離で交差する視線。

薄暗闇の中、アストルフォの紫水晶の瞳が情欲で甘く光る。

 

彼の顔がゆっくりと近づき、凛の敏感な耳たぶに熱い吐息を吹きかけた。

 

「んんっ……ぁ……っ」

 

凛の口から、抑えきれない艶めかしい嬌声が漏れる。

彼の手のひらが、下腹部から少しずつ上へと這い上がり、タートルネックの起伏をなぞるように、柔らかな胸の膨らみを下からそっと支え上げた。

 

「あぁぁっ……! はぁっ……あ……っ! アストルフォの手……あつい、です……っ」

 

服の上からだというのに、彼の指先の動き一つ一つが、直接神経を焼き切るような快感となって凛の脳髄を犯していく。

こんな神聖な霊脈の要所で、自分がいかに淫らな声を出しているか。その背徳感が、さらに彼女の情欲を燃え上がらせていた。

 

「凛、大好き。……お仕事終わったら、いっぱいいっぱいご褒美あげるね」

 

アストルフォの唇が、凛の震える唇を深く塞ぐ。

 

「んんっ……!! ぁ……っ、んちゅ……っ」

 

甘い唾液が交わり、冷たい洞窟の空気が二人の間だけ完全に沸騰していく。凛は彼に抱え込まれるようにして、果てしない熱の濁流に身を委ね、ただの恋するメスとしての至福の微睡みへと落ちていきそうになっていた。

 

「……あら。随分と念入りな魔力補給ですこと」

 

不意に、背後から底意地の悪い、けれど極上に甘い声が響いた。

ハッとして凛が唇を離すと、少し離れた岩陰から、ルヴィアや桜たちが、ニヤニヤと笑いながらこちらを見つめていた。

 

「っ……! み、見てたのっ!?」

 

凛は顔から火が出るほど赤面し、アストルフォの胸に顔を埋めた。

 

「ふふっ。お姉ちゃん、お顔が真っ赤でトロトロです。……でも、これで冬木の霊脈も、アストルフォさんの熱で完全に『うちの陣営』に染まりましたね」

 

桜が、自身の頬に手を当てながら、蕩けるような笑みを浮かべる。

 

「さあさあ! これで凛のお仕事は全部おしまい! 城に戻ってオルガマリーたちと合流して、冬木の街に遊びに行こう!」

 

アストルフォは全く恥じらうことなく、凛を抱き寄せたまま極上の笑顔で振り返った。

 

本来なら数日かかるはずの冬木管理の仕事は、ヒロインたちの圧倒的な力と、アストルフォの魔力補給(という名の濃厚な愛撫)により、わずか半日で完了した。

 

「……もう、どうにでもなさいよ。……案内してあげるわよ、私の大好きな街を」

 

凛は、まだ火照りの引かない頬を抑えながら、彼の手をしっかりと握り返した。

 

一行は霊脈の洞窟を後にし、城で待つ家族と合流するため、初冬の澄んだ空気が広がる冬木市の中心部へと賑やかな足を踏み出していくのだった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。