※この作品はR-18です。

fate/Apocrypha偽書 千人斬りのアストルフォ   作:鰻天ぷら

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冬木旅行編⑥

冬木市郊外、深い森に抱かれたアインツベルンの古城。

極東の冷徹な冬の空気が城壁を包み込む中、滞在最終日の夜は、静かに、そしてひどく甘く更けようとしていた。

 

城の二階、森を見下ろす豪奢なラウンジ。

暖炉の火がパチパチと爆ぜる音だけが響く中、車椅子に座るフィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニアと、彼女に温かいハーブティーを差し出すレティシアが、窓の外の雪景色を眺めていた。

 

「……日本という国は、とても不思議なところですね、フィオレ様。遠坂様たちの故郷……活気があって、人が多くて、でもどこか神秘的で」

 

レティシアは、湯気を立てるティーカップを両手で包み込みながら、ふわりと微笑んだ。フランスの田舎町で育った彼女にとって、極東の景色はすべてが新鮮だった。

 

「ええ。私たちがルーマニアのユグドミレニアの城にいた頃には、こんな風に極東の地を観光する日が来るなんて思いもしなかったわ」

 

フィオレは、ティーカップを受け取りながら目を細める。

 

「あの頃は、聖杯大戦という血みどろの運命しか見えていなかった。……でも、あの方が、すべてを変えてくれたのね」

 

フィオレの言葉に、レティシアも深く頷く。

アストルフォという、規格外の肯定感と愛情の塊。彼に抱きしめられ、その途方もない熱に触れた瞬間から、彼女たちの運命は「戦うための魔術師(あるいは器)」から「彼に愛されるための一人の女の子」へと完全に書き換えられたのだ。

 

「フィオレ様も、お身体の調子がとても良さそうですね。……あの方の魔力(熱)が、いつも隅々まで行き渡っているからでしょうか」

 

レティシアが、ほんのりと頬を染めながら小首を傾げる。

 

「っ……レティシア、貴女って子は、時々すごく大胆なことを言うわね」

 

フィオレは顔を真っ赤にしてカップを置いた。しかし、彼女自身も否定はできない。アストルフォの太く逞しい腕に抱かれ、彼に情欲のすべてを注ぎ込まれるたび、動かないはずの両足の先までがジンジンと熱を持ち、歓喜に打ち震えるのを感じているのだから。

 

「ふふっ。だって、本当に幸せですから。……さあ、フィオレ様。あの方と皆様が待つ、一番温かいお部屋へ戻りましょう」

 

二人は顔を見合わせ、夜の冷気などまったく寄せ付けないほどに火照った身体を寄せ合い、広大な主寝室へと向かっていった。

 

***

 

アインツベルン城、主寝室。

そこはもはや、冷徹なホムンクルスたちの城の面影を完全に失い、世界最高峰の美女たちが一人の騎士の愛を貪る、むせ返るような極上の愛の巣へと変貌していた。

 

「あぁっ……アストルフォさん……っ。そこ、すごく……っ」

 

広大なベッドの中央。

薄手のシルクのネグリジェを纏った桜が、アストルフォの胸板にすがりつき、甘く蕩けた声を漏らしていた。

 

冬木の街は、彼女にとって「幼い頃にいた場所」でしかなかった。物心ついた頃に遠くフィンランドのエーデルフェルト家へ養女に出され、気高き令嬢として完璧に育て上げられた彼女の記憶には、この極東の景色はほとんど存在しない。

だが、今日一日、彼と一緒に姉の故郷を歩き、彼にエスコートされながら見た景色は、彼女の胸の奥に「新しい、とても温かい思い出」として深く刻み込まれていた。

 

「桜、冬木の街はどうだった? 楽しかった?」

アストルフォの大きな手が、桜の艶やかな黒髪を梳き、そのまま彼女の滑らかな背中へと滑り込む。

 

「はい……っ。お姉ちゃんと、貴方と一緒に歩けたから……世界で一番、素敵な街に見えました。……でも」

 

桜は、自ら彼のがっしりとした首に腕を回し、至近距離で彼のアメジストの瞳を見つめ返した。

令嬢としての気品など完全に溶け去り、そこにあるのはただ、目の前のオスの熱を渇望する一人の雌の顔。

 

「どんなに素敵な景色よりも……私は、こうして貴方の腕の中にいる時が……一番、頭がおかしくなりそうなくらい、幸せです……っ」

 

「桜……。ボクも、桜のそういう素直なところ、すっごく大好きだよ」

 

アストルフォの顔が近づき、彼女の耳元に熱い吐息を吹きかける。

 

「んんひぃッ……!! ぁ、ああっ……!」

 

服の上からだというのに、彼の太い指先が桜の背筋をなぞるだけで、彼女の魔術回路の芯が直接撫で回されるような強烈な電流が走る。

彼の熱が、布地を貫通して直接子宮の奥底へと流れ込み、桜の身体は自ら彼を求めてビクンと大きく跳ねた。

 

「ちょっと、桜。あんたばっかり独り占めして……っ、私だって、今日は一日中案内役で疲れてるんだからね……っ」

 

隣で寝そべっていた凛が、顔を真っ赤にしながらアストルフォのもう片方の腕にすがりついてくる。

 

「やあやあ! 凛もこっちおいで!」

 

アストルフォは極上の笑顔のまま、桜を抱いた腕とは反対の腕で、凛の細い腰をぐっと自らの身体へと引き寄せた。

 

「ひゃうっ……! あ、あつ……っ。あんたの身体、どうなってるのよ……っ、お城の中、暖炉があるのに、あんたの肌の方が火傷しそうなくらい……っ」

 

凛の言葉通り、アストルフォの身体から放たれる圧倒的な体温と、むせ返るような薔薇の香りが、ベッド周辺の空気をじっとりと重く、そして濃密なものに変えていた。

彼の太い指が、凛のルームウェアの裾から直接素肌へと滑り込み、彼女の柔らかなお腹から、胸の膨らみを下からそっと包み込む。

 

「あぁぁっ……! ぁ、あ……っ! アストルフォ……っ、だめ、そんな風に、優しく……っ。指、動かされたら……っ」

「凛、今日はいっぱい冬木の街を案内してくれてありがとう。……凛の冷たいところ、ボクが全部、朝までいっぱいいっぱい温めてあげる」

 

視線が深く交差する。アストルフォの瞳の中にある、底なしの肯定感と情欲。

それに触れた瞬間、凛も桜も、そして周囲で彼に身を寄せるルヴィアや青子、アイリスフィールたちも、すべての理性を手放し、ただ彼から与えられる快楽の濁流に身を委ねた。

 

「んんっ……!! ぁ……っ、んちゅ……っ」

 

アストルフォの熱い唇が、凛の震える唇を深く塞ぐ。同時に、彼の手が桜の最も熱を帯びた秘所を服越しに執拗に愛撫する。

 

「あぁっ……! アストルフォさん……っ、好き……っ、私、もっと……奥まで……っ」

「はぁっ、あ……っ! 溶けちゃう……っ、あんたの熱で、私……っ」

 

冬木の静かな夜の森に、城の分厚い壁に遮られて外には漏れない、世界最高峰の美女たちの狂おしいほどに甘く、艶めかしい嬌声が響き渡る。

冬木の管理者としての重圧も、エーデルフェルトの気高さも、すべてが彼という太陽の熱に溶かされ、彼女たちは一つの巨大な家族として、朝が来るまで何度も何度も至福の絶頂に呑み込まれ続けるのだった。

 

***

 

翌朝。

冬木の澄んだ青空の下、アインツベルン城のエントランスには、出発の準備を整えた黒塗りのハイヤーが並んでいた。

 

「……ふぅ。これで、冬木での用事も観光も全部おしまいね。久しぶりの地元だったけど、まさかこんなにドタバタで、甘ったるい滞在になるなんて思いもしなかったわ」

凛が、トランクケースをハイヤーに積み込みながら、どこか清々しい顔で伸びをした。

 

「オーッホッホッホ! わたくしたちエーデルフェルトが極東の地に足跡を刻んだのです、これくらい賑やかで当然ですわ。さあ皆様、ロンドンでわたくしの愛の宮殿(プライベートジェット)がお待ちですわよ」

 

ルヴィアが扇子を広げ、優雅にタラップの方へと視線を向ける。

 

「セラ、リーゼリット。お城の結界の最終確認は済みましたか?」

 

アイリスフィールが、すっかり「恋する女」の柔らかな微笑みを浮かべながら二人に問いかける。

 

「はい、アイリスフィール様。防衛機構はすべてスリープ状態に移行しました。……もう、私たちがこの冷たい城に戻る必要はありません」

「……アイリ、お城、ばいばい。……ロンドンのお家、かえる」

 

セラとリーゼリットも、過去の呪縛を完全に断ち切り、足取り軽くハイヤーへと乗り込んでいく。

 

「やあやあ! みんな、忘れ物はない? 冬木の街、すっごく楽しかったね!」

 

アストルフォが、凛と桜の間に割って入り、二人の腰をがっしりと抱き寄せながら満面の笑みを見せた。

 

「ええ。……私にとって、この街は少し縁遠い場所でしたけれど。貴方と、そしてこの素晴らしい『家族』の皆様と一緒に過ごせたことで、最高の思い出になりました」

 

桜が、アストルフォの胸板に頬をすり寄せ、愛おしそうに紫の瞳を細める。

 

「ったく。あんたのおかげで、私の『氷の優等生』の面影は冬木で完全に粉砕されたわよ。……まあ、どうでもいいけど。今の私には、あんたの腕の中が、世界で一番大切で、帰るべき場所なんだから」

 

凛もまた、顔を微かに赤くしながら、アストルフォの手をギュッと握り返した。

 

「うん! ボクもみんなのこと、世界で一番愛してる! さあ、ボクたちのお家に帰ろう!」

 

冬木の冷たい風が吹き抜ける中、一行を乗せた車列は、彼らの真の帰る場所――ロンドンのエーデルフェルト邸(彼らの愛の城)へと向けて、ゆっくりと走り出した。

彼女たちの顔に浮かんでいるのは、かつての魔術師としての悲壮感でも、ホムンクルスとしての虚無でもない。ただ一人の男に絶対的な愛を注がれ、心も身体もドロドロに満たされた、極上の女たちの幸福な笑顔だけだった。

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