fate/Apocrypha偽書 千人斬りのアストルフォ 作:鰻天ぷら
重厚な天蓋ベッドの上で、二人の唇が深く、そしてひどく熱く重なり合っていた。
「んんっ……!! ぁ……っ、んちゅ……っ、ふぁ……っ」
オルガマリーの口から、今まで出したこともないような、甘く蕩けた水音が漏れる。
アストルフォのしなやかな舌が、彼女の震える唇をこじ開け、口腔の隅々までを甘く蹂躙していく。ただのキスだというのに、彼の唾液と混じり合うたびに、火傷しそうなほどの熱が脳髄を直接焦がし、オルガマリーの思考を真っ白に塗り潰していった。
「ふぁ……っ、はぁっ……アストルフォ、様……っ」
息継ぎのためにわずかに唇が離れると、銀色の糸が艶かしく引いた。
オルガマリーは、彼のがっしりとした肩にしがみついたまま、酸欠になった金魚のように荒い息を繰り返す。
その虚ろな金色の瞳を見つめ返し、アストルフォは優しく微笑むと、彼女の細い腰を抱いたまま、ゆっくりと体勢を入れ替えた。
ふわりと、分厚いマットレスにオルガマリーの背中が沈み込む。
今度は彼女が見上げる形で、アストルフォの逞しい腕の中にすっぽりと閉じ込められていた。
間接照明の微かな光が、漆黒のシルクランジェリーに包まれた彼女の雪のような肌を、妖しく照らし出している。
見下ろしてくる彼の紫水晶の瞳には、いつもの無邪気な「お兄ちゃん」の光はなかった。そこにあるのは、一人の女を骨の髄まで愛し抜こうとする、紛れもない「雄」の昏く熱い情動だ。
「……アストルフォ、様」
彼に組み敷かれ、圧倒的な体格差とオスの匂いに包み込まれた瞬間。
オルガマリーの胸の奥底に、ふと、古傷のような冷たい恐怖がよぎった。
(私……本当に、彼に愛される価値があるの……?)
天体科の君主(ロード)の家系に生まれ、認められようと努力したにも関わらず、冷酷な父マリスビリーから「価値がない」と見捨てられた過去。
この愛の城で、ルヴィアや凛、桜といった世界最高峰の天才たちに囲まれ、彼女はずっと、心のどこかで自分の無価値さに怯えていた。
自分は、ただ運良く彼に拾われただけの、空っぽの欠陥品なのではないか。いざ彼に抱かれ、すべてを曝け出した時、彼を失望させてしまうのではないか。
無意識のうちに、彼女の身体が微かに震え、身を強張らせる。
「……オルガマリー? 寒いの?」
アストルフォの大きな手が、彼女の震える頬をそっと包み込んだ。
「ちが……違います……っ。私……怖い、の……っ。私には、遠坂やルヴィアお姉様たちみたいな、すごい才能も何もない……っ。父様にだって、いらないって捨てられたのに……っ。こんな私を、本当に、貴方のお嫁さんに……女にして、くれるの……っ?」
涙目で訴える彼女の痛切な告白。
それを聞いたアストルフォは、一瞬だけ悲しそうに眉を下ろすと、彼女の額にそっと、慈しむようなキスを落とした。
「オルガマリーは、すっごく賢くて、いっつも一生懸命で、誰よりも優しい女の子だよ。……お父さんがどう言ったか知らないけど、ボクにとっては、オルガマリーは世界で一番気高くて、美しいお姫様なんだから」
「アストルフォ……様……」
「ボクが、オルガマリーの冷たいところ、不安なところ、ぜーんぶボクの熱でいっぱいいっぱいに満たしてあげる。……もう絶対に、一人で泣かせたりしないよ」
一切の打算もない、純度百パーセントの肯定。
その言葉が、彼女の魂に掛けられていた呪いを、春の雪解けのようにドロドロと溶かしていく。
「あぁ……っ、あぁぁっ……!」
オルガマリーの目から、せき止めていた涙が止めどなく溢れ出した。
彼女は自ら腕を伸ばし、アストルフォの広い背中にしがみついた。もう恐怖はない。ただ、この絶対的な太陽の熱に、己のすべてを焼き尽くしてほしいという、激しい雌の情欲だけが残っていた。
「……お願い。私を……全部、食べて……っ。貴方の熱で、私の中をぐちゃぐちゃにして……っ!」
その熱烈な懇願を合図に、アストルフォの指先が、彼女の背中を滑り、漆黒のランジェリーのホックへと掛かった。
カチリ、と小さな音が鳴る。
シルクの布地が滑り落ち、オルガマリーの成熟した柔らかな双丘が、冷たい夜の空気に曝された。
「わあ……っ。オルガマリー、すっごく白くて、綺麗だね。……トクトクって、心臓の音まで聞こえてきそう」
「あ、見ないで……っ。恥ずかしい、わ……っ」
オルガマリーが両手で胸を隠そうとするが、アストルフォの大きく熱い手が、それを優しく退け、彼女の豊かな膨らみを下からたっぷりと包み込んだ。
「ひゃうっ……!!」
彼の手のひらから伝わる、常軌を逸した体温。それが直接素肌に触れた瞬間、オルガマリーの背筋に強烈な快感の電流が走った。
ルヴィアや桜が仕込んでくれた媚薬入りの香水が、彼の体温で温められ、むせ返るような薔薇の香りを放ちながら寝室に充満していく。
「んんっ……!! ぁ、ああっ……! アストルフォ様の手……あつい……っ。お胸の奥が、ジンジンして……っ」
「オルガマリーのここ、すっごく柔らかい。……ボクの指、熱い? もっと触っていい?」
「はぁっ……あ……っ! はいっ、もっと……強く、して……っ!」
アストルフォの親指が、熱を帯びて硬く尖り始めた彼女の頂を、チロチロと愛撫するように弾く。
同時に、彼の熱い唇が彼女の白い首筋に落ち、ちゅっ、と音を立てて柔らかな皮膚を吸い上げ、真っ赤な愛の印を刻み込んでいった。
「んひぃッ……!! ぁ、あぁぁっ……! だめ、私、頭がおかしく……っ」
上からの執拗な愛撫に、オルガマリーの理性は完全に白く濁っていく。
彼女の魔術回路が、彼から注がれる熱とオスの魔力に強制的に同調させられ、かつてないほどの快楽の波を生み出していた。
そして、彼の手は彼女の滑らかな腹部をなぞり、愛液の染みだらけになった黒いレースを丁寧に脱がすと、そのままレースで覆われていた秘所へと、じっとりと這い下がっていった。
「オルガマリーのお腹の奥、すっごくきゅってなってる。……ここ、ボクの熱が欲しいんでしょ?」
「あぁっ……! ぁ、あ……っ! そこは……だめ、もう、濡れて……恥ずかしいから……っ」
アストルフォに優しく触れられただけで、彼女の腰はビクンと大きく跳ね、シーツを掻き毟る。
しかし、アストルフォはその抵抗を容易く押さえ込み、彼女の脚を優しく開かせると、その熱い中心の蜜壺に肉棒を侵入させていった。
「んあぁぁぁぁっ……!! ぁ……あ……っ!!」
初めて侵入してくる、未知の熱と質量。
痛みよりも先に、彼という存在が自分の最も深い部分で繋がっているという圧倒的な背徳感と至福が、オルガマリーの脳髄を完全に犯し尽くした。
「アストルフォ、様ぁっ……! 好きっ、大好きです……っ! もっと、貴方の全部を……私の中に……っ!」
彼女は羞恥心を完全に捨て去り、淫らな顔で彼を見上げ、さらに深く彼を迎え入れようと自らの腰を擦り寄せる。
「オルガマリー、すっごく熱いよ。……ボクの全部、いっぱいいっぱい受け止めてね」
アストルフォの低い、オスの声が寝室に響く。
もはや引き返すことのできない、愛と熱の深淵。二人の体温と魔力が完全に混ざり合い、一つの巨大な快楽の渦となって、夜の闇を溶かしていく。
天体科の令嬢が、ただ彼なしでは生きていけない極上の女へと完全に生まれ変わるその瞬間は、永遠に続くような甘く濃密な時間の中で、幾度となく繰り返されようとしていた――。