だけどある日とうとう、季隼が彼女を作った。
合コンで知り合った、他の大学の子。
俺に抱かれながらいつの間にコソコソとそんなことシてんの? ってイラついたけど、結局季隼のやることに強く言えないまま、そのことは知らないフリしてた。
季隼、あの子とはもうヤッたの?
俺とのセックスより気持ち良かった?
ケツでイくのとチンポでイくの、どっちのセックスが好き?
心の中で尋ねながら知らないフリして、その頃の俺は殊更優しく季隼を抱いた。
季隼は彼女いるのに、そんなこと何も言わずに俺に抱かれてた。
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それで二ヶ月くらいかな?
そのくらいして、季隼とその女は別れた。
それからも何度か彼女作った季隼だったけど、だいたい二、三ヶ月ですぐに別れてた。
いつも相手から別れたいって言われて、そいつらとはセックスだって数回ずつしかしてないはず。
だってそれ以外の時間は、全部俺としてた。
俺とその女たちが。
季隼は自分の女があっさりと俺に寝取られてたの、恐らく知っていたのだと思う。
はっきり知らなかったのしても、薄々感づいてた。
自分と同じようにして、自分の女たちが俺に抱かれてたって。
最悪だな。
俺が彼らの間に表立って割って入らなかったのは、季隼がアイツらを抱く方の立場だったからで。
いつだってアイツらは、その歪な食物連鎖の一番下にいると思ってたから。
俺は季隼を喰らう、季隼はアイツらを喰らう……って言うにはちょっと消極的過ぎたけど……食べて。
だから俺はそれらを全部丸呑みにした。
女と別れた直後の季隼は、自分から求めるようにして俺に抱かれた。
クソビッチになった女どもが季隼の穏やかなセックスで満足出来るわけもなくて、だからといって俺がいつまでも相手してやる訳もなくて、他に適当な男を見つけて離れていった。
季隼は自分も俺とセックスしてるから元々引目があったのだろう、一度も止めたことはないようだ。
そんな程度の執着で、初めっから付き合ったりするなよってのが俺の本音だけど、それでも俺は季隼を勝ち取った悦びに、喉を鳴らしながらいちばんのご馳走を平らげる。
女と別れた直後の季隼は、自分から求めるようにして俺に抱かれた。
勿論、自分から欲しいとか求めるような言葉は口にしないし、どれだけメスイキさせられても気持ちイイって認めなかったけど、いつもならしないような腰の動きで快楽を求めた。
その間もずっと、俺は季隼に、
「愛してる」
って言い続けた。
「愛してる」なんてしゃらくせぇ言葉、口が裂けても言えないって思ってた俺が、季隼相手ならいくらでも言えたし、それはもうほとんど壊れたボイスレコーダーが延々リピートしているようなものだった。
俺の胸の奥に、腹の底に、身体の隅々まで「愛してる」って言葉が染みついて、離れなくなってて、快楽の中でだけそれが溢れ出る。
どれだけ言っても届かないのに、口にし続けるとそのうち多幸感に浸ることができるようになる。
それでもヤッた後、いつも朝まで居続けず自分のアパートに帰ってく季隼。
なんとか朝まで添い寝させて欲しいと頼み込んでもダメだった。
むしろ押し倒された時よりも強く固辞されて悲しくなった。
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そうして、あと少しで俺も卒業するって頃に、季隼は懲りもせずにまた女を作った。
今度はいつもより年上の、社会人らしい。
だけどこの女もダメだ。
ちょっと俺が近づいていって話しかけただけで、ものすごく俺のこと意識してるの分かり易過ぎたし、連絡先聞いたら今までの最速で教えてきた。
可哀想な季隼。
彼氏(季隼)とはどんなセックスしてんのか?そんなこと聞きながら責めたらめちゃくちゃ悦ぶ股のゆるいドM女で、俺はなんだか悲しくなってきて女の首に手をかけゆっくりと絞めた。ハメられながらジワジワと首を絞められる圧迫に、女は怯えを見せながらもやっぱり悦んでた。
絞めたりゆるめたり、そんなことしながら膣の締め付け楽しんで、だけどこんなのオナホと変わンねーなって思い素直に零したら、そんなことにも悦ぶ変態だった。
俺はもう嫌になって、興奮しまくってる女を置いてきぼりにその部屋を出た。
そしてそのまま季隼のアパートに行くと、シャワーを借りて肌に残る女の体液を全部洗い流した。
だから俺は季隼が雄だって証明を黙って見守り、けれどそれを全部丸ごとかっ喰らった。
「
黙ったまま部屋に上がり込み、服を脱ぎ散らかしながら勝手にバスルームに入った俺にドアの向こうから声が掛かり、俺はその声だけで再び欲情した。
だだ呼びかけられただけなのに、萎えていたはずのペニスがガチガチになって、ため息しか出なかった口がハァハァと乱れた息を漏らした。
「季隼、入ってきて」
言ったら季隼は黙り込んでたけど、しばらくして服を脱いだ彼がドアを開けた。
俺がガン勃ちしてるのにすぐに気付いて、だけど逃げもしなかった。
だだ、
「ローションとゴム……とって来ますね」
シャワーの音に負けそうなくらい小さな声で言い、そんなことすら待てないでがっついた俺に、脱衣所を兼ねた狭い洗面所の床に押し倒された。
季隼が最後まで抵抗していたもの。
それは何か……って俺には分かっていた。
季隼は、自分がゲイだって認めたくなかった。
実際は女も抱けない訳じゃないからバイなんだろうけれど、それでも男に抱かれる快楽に狂うような自分を認められなかった。
俺が何度も何度もその身体に教えてやっても、それでも認めようとしなかった。
アナルを性器にしてやっても、その中に白濁した欲望を注ぎ込んでは種塗れにしてやっても、それでも折れなかった。
何度ヤッてもチンポに負けてグズグスになっちゃうのに、あんなメス声俺にだけ聞かせて、ヤラれる度に腹ン中絡みつかせ吸い付いてイキ続けるのに、俺のメスだって認めなかった。
だから俺は季隼が雄だって証明を黙って見守り、けれどそれを全部丸ごとかっ喰らった。
■
「之瀬……さん」
俺に注がれた白濁を溢しながら、季隼が寝返りを打ち呼んだ。
そんなこと珍しかったから慌てて見下ろした俺は、腿から腰のラインがフゥフゥとまだ荒い呼吸と共に上下するのに、色気を感じていた。
だからそこに手を伸ばして、振り払われないのに腹の上まで撫でる。
季隼は大きな目を薄っすらと細めて、
「僕のこと好きですか?」
って聞いた。
「好きだよ、愛してる」
そんな言葉が、自動的に飛び出すのに、
「やだなぁ、重いです」
季隼は珍しくおどけるように言って、ため息をついた。
そしてもう一度うつ伏せるようにして目を閉じると、そのままウトウトと眠り込む。
可哀想だけどそのまま寝かせるわけにはいかないから、俺は季隼を揺り起こす。
肩を揺すりこちらを向かせて、開かない目蓋にキスをする。
「季隼」
そして呼びかけたら、季隼はクスクスと笑いながら俺の手を掴んだ。
そのまま握られた手に、俺は季隼の顔を覗き込んだけど、何となく待たれているような気になってキスをした。
季隼の腕が俺の背中に巻きついて、そのままベロを突っ込んだら舐め返された。
そんなこと初めてで、いつも人形のように俺にされるままの彼の反応に俺は夢中になった。
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けれどそれが季隼からの別れのキスだと、俺は気付くことが出来なかった。
季隼はそれきり、もう二度と俺にその身体を抱かせてはくれなかった。
泣いても怒っても脅してもなだめても、何を言っても無駄だった。
それから二年後の東京で俺と季隼が再会するまで、季隼は決して俺を許してはくれなかったんだ。