※この作品はR-18です。

コトネイロ 再起エンド   作:むー

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マジで救いも何もない現実的なバッドエンドのその後を書いてみた


IF 後悔

「さようなら、真(・)津(・)さ(・)ん(・)」

 その言葉を聞いた時初めて私は自分が何をしたのか理解した

 

 

 ヤンチャだった子供の頃、ジャイアンのような存在だった私は遊び相手はいたが長く続く関係の子は暁人しかいなかった

 暁人だけは何があってもそばにいてくれた

 だからこれからもそうだと思っていたし、お膳立てしたとはいえちゃんと告白してくれた暁人と恋人になれて身も心も結ばれて幸せの絶頂にいた

 これからもずっと一緒にいられると思っていた

 でも猛がやってきてしまった

 まんまとアイツに騙され懐に入られた私は油断して弱味を握られズルズルと堕ちていった

 否定しても疼く身体、暁人では満足できなくなっていった私はついに心も体も猛に捧げてしまった

 そこからは幸せだった

 暁人は側にいてくれるしご主人様には身体を満たしてもらえる

 ご主人様の子――弓月が出来た時はどうしようかと思ったが暁人を縛り付ける為の道具にした

 暁人はそんな事とはつゆ知らず私のために両親達にボコボコにされても弓月を産む選択をさせてくれた

 多分その頃にはもう私は壊れていたのだろう

 そんな暁人の優しさを都合の良さと思いご主人様の思うがままにハメ撮りも何もかもを捧げた

 ご主人様からは愛など無いと言われても私が愛してるから問題無いと思っていた

 あの日暁人にバレた時初めて暁人の目の前でやった時今まで以上に気持ち良かった

 目の前で起きている事を理解できずただ痛みに耐えながらも眼を離さないで私へ執着している暁人が惨めで優越感に浸れて最高の気分だった

 暁人はご主人様を追い出そうとしたが私が止めると絶望したような表情を浮かべた

 そんな姿も私の心を満たした

 それからはバレた以上もっと好き勝手にやるようになったご主人様の要望に合わせ髪を染めピアスも開け下品な格好で誘いご主人様の上で腰を振る毎日だった

 不快だったがおばさん達の手前暁人とも仲睦まじいようにみせる演技をしてみせた

 そんな事をしていたらもう1人も出来、今度はご主人様の望んだ男の子ができたようだった

 ご主人様に報告をしながら交わっている姿を情けない顔で覗いていた暁人

 本当に都合の良い優(・)し(・)い(・)だ(・)け(・)の(・)男の子

 今更暁人なんかに戻る事は無いのにそれでも私に執着する惨めさに笑いしか出てこない

 

 ――そう思っていた――

 

 でも違った

 確かに心が折れてしまったのは事実だったのだろう

 それから見て見ぬふりをしていたのも事実だった

 ただ何も行動していないわけではなかった

 最初は現実逃避の手段として弓月の為にと部活を辞めバイトや学業に勤しんでいたのかもしれない

 そこで色々な人と出会い様々な考え方を知った暁人は生来の優しさと私が仕込んだ勤勉さでその全てを吸収していった

 ある日暁人は

「猛、この家から出ていけ」

 ご主人様に家から出ていくように淡々と告げてきた

 寝耳に水の私達は呆気に取られてしまったが前までのように「それなら私も出ていく」と言ってやると

「はい、2人というか弓月も連れて3人で出ていってください」

 と淡々と言った

「「は?」」

 今度こそ私達の思考は完全に止まってしまった

 そんな中で暁人が紙を取り出す

 そこにはDNA鑑定の結果と親子関係の否認が明記されていた

 それからも淡々ともう互いの両親には話をしてある事、自分から出ていかないのなら相応の対応を取る事を話す暁人はまるで別人のようだった

 動けずにいる私達に嘆息すると何処かに電話をかける暁人

 するとすぐに私の両親がきて暁人に謝罪をすると私の髪を掴み引きずるように家をでる

 その横ではご主――猛が暁人の両親と知らない顔の大人2人、恐らく猛の両親にボコボコにされ同じように引き摺られていった

 いまだに現実を理解できていない私を両親が涙を流しながら頬を殴りつけた

「お前!!自分が何をしてたのかわかっているのか!!??」

 猛にプレイでやられた時とは比べものにならない痛みに口から漏れ出た言葉は

「だって…暁人じゃ満足できないんだもの」

 私の言葉を聞くと同時に大きな衝撃と共に私の身体が吹っ飛ぶ

「……勘当だ、弓月は私たちが育てる」

「2度と顔を見せないで」

 お父さんとお母さんからゴミを見る目でそう告げられるとせめてもの情けか財布を投げつけられ弓月を抱え振り返る事なく去っていく

 弓月がどこかを見て手を伸ばしてくるが腕が動かない

 2人が去っていくのを動けずにただ見ていた私とそれを冷たい目でみるおじさんとおばさん

 出会ってから初めて2人にそんな目で見られた

 何より

 暁(・)人(・)が(・)私(・)の(・)こ(・)と(・)を(・)一(・)切(・)見(・)ず(・)に(・)弓(・)月(・)の(・)方(・)を(・)悲(・)し(・)そ(・)う(・)に(・)見(・)て(・)い(・)た(・)こ(・)と(・)が私に冷や水を浴びせたかのような衝撃だった

 あの暁人が私のことを一切見ていないという事実に私の頭はようやく正常に近づいた

「暁人……?」

 震える声で名前を呼んでも

「……」

 聞こえておらずただ弓月の去った方を悲しそうに見つめる暁人

 そんな暁人にゆっくりと震えながら近づくとようやく私の姿が目に映ったようでその事に少しだけ安堵すると

「なんだ、まだいたんですか?ほら猛のとこに行ったら良いですよ真(・)津(・)さ(・)ん(・)」

 暁人が何を言ってるのか分からなかった

「あ、暁人?」

「何ですか?後馴れ馴れしいので名前で呼ばないでくれますか?」

 冷たい目なんて優しいものでは無い

 赤の他人に接するかのような丁寧な言葉遣い

「なん、で?そんな、こと」

「?私たちはもう他人ですよ?」

 1番聞きたくなかった言葉

「いや……」

「いやでも何でもそれが事実です。そもそもあなたが選んだ結果ですよ」

 淡々と事実を突きつけてくる暁人

「では、さようなら真津さん」

「いや、いやああああああああ」

 とめどない涙が溢れてくるが

「赤ちゃんじゃないんだから泣いたってどうにもなりませんよ」

 呆れたように言うと暁人は家の中へ戻り鍵を閉める

 

 

 あれから家にも帰れず頼れる人もいない私はただひたすら暁人が出てくるのを待ち続けた

 何事もなかったかのように普通に家から出てきた暁人に縋りつき泣き喚くことで何とか話を聞いてもらえることになった

 良い場所なんて無いのであの公園へ向かうことになったが近づこうとしてもすぐに距離を離され

「それ以上近づいたら帰りますし警察を呼びます」

 と言われ泣く泣く後ろをついて歩く

 運が良く人が少なく静かなテーブル席に座ると暁人は斜め向かいに腰を下ろす

「それで、今更何のようですか?」

 席に着くと同時にめんどくさそうに聞いてくる暁人

「ごめんなさい」

 それに対して泣いて謝ることしかできない私

「何に対しての謝罪ですか?」

 冷静に聞いてくる暁人に

「……暁人のこと裏切ったことです。本当にすみませんでした」

 今できる精一杯の誠意で土下座をする

「はい、謝罪は受け取りました。要件は以上でおしまいですか?」

 暁人は無表情で回答をする

「え?」

 予想もしていなかった言葉に呆気に取られてしまう

「だから要件は以上で終わりですか?バイトもあるので忙しいんですが」

 時計を見ると席を立とうとする暁人に

「ま、待って!?お願い…」

 縋りつこうとする

「はぁ…何かあるならさっさと話してください」

「お、お願いします。チャンスをください」

「何のですか?」

「…もう一度暁人とやり直すチャンスをください」

 額を地面に擦りつける

「無理ですよ」

 即答されるも諦めず

「何でもします」

「じゃあ金輪際私に関わらないでください」

「それは嫌です」

「何でもって言ったのに無理なんですね」

 小馬鹿にしたように笑う暁人

「あなたとの繋がりを切りたくないです」

「私はもう真津さんの顔も存在も見たくないのですが」

 疲れてため息を吐く暁人

 今まで見たこともないような態度しか取らない暁人にそれでも縋る

「どうか側で償わせてください」

「嫌ですよ?」

「お願いします」

「貴方を満足させてあげられない程度の私ではなく貴方の愛するご主人様のところに行けば良いじゃないですか?貴方が前に選択したように」

「私がどうかしてました、暁人なら「いい加減名前で呼ばないでもらえますか?前にも言いましたが不愉快です」…グス矢凪さんなら私が何をしてもずっと側にいてくれるって…」

 暁人は私の事が大好きだから絶対に別れたりなんかしないだろうと

 弓月もいるから見捨てる事なんて選ばないだろうとたかをくくっていた

「……はぁ〜」

 今までで1番大きなため息を吐く暁人は

「昔の貴方相手ならそうしてたでしょうね。嘘偽りなく貴方のことを他の誰よりも優先していましたから」

 その言葉が胸に深く突き刺さる

「でも、私の好きだったコト姉はもういませんので」

「――」

「私が好きだった人は傍若無人で漫画みたいな暴力を振るう人でしたが、私にだけは弱い部分も見せてくれました」

「誰よりも綺麗で学園の憧れのお姉さんで成績優秀で曲がった事が大嫌いな強くて優しい女の子でした」

 涙が止まらない

「もうそんな人どこにもいないでしょう?」

 今の自分を見る

 暁人が好きだって言っていたから長く綺麗にした髪を染め、情事に明け暮れ手入れを怠り毛先は枝毛だらけ

 猛に媚びるため耳だけでなく色んな場所に開けたピアス

 何より暁人を裏切っていることを理解していたにも関わらず何も言わず自分だけで解決しようとして、猛の罠にハマってただただ快楽を貪り続けた私に強烈な吐き気がして吐いてしまう

「……汚いので他所でやってくださいよ」

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

 もう謝ることしかできない

「いや、もう謝罪は受け取ったので必要ありません」

 イラついた声を出す暁人は

「そもそも何に対しての謝罪なんですか?」

 核心をつく問いを投げかけた

「……それは」

「ただ謝るだけなら幼稚園児でもできますよ?貴方は何に謝罪をしているか理解していますか?」

 私は暁人に今できる誠意を見せなければならない

 そのために自分の罪に向き合わなければ

「あなたを都合の良い人としてしまったこと」

 何もなければずっとあのままだったろう

「はい」

「あの時殴ってしまったことも」

 本当に大事なものを間違えてしまった

「ええ」

「弓月のことも」

 快楽に負けた逃げられない証拠

「そうですね」

「何より暁人に何も相談せずに勝手に背負い込んで」

 何であの時に最初から暁人に頼らなかったのか

「……」

「お姉さんぶろうとして傷つけないためって言い訳をして、結果として最悪な事をしてしまって」

 くだらないプライドで何より大事な人を裏切って

「はい」

「本当に申し訳ありませんでした」

 もう目を見る事すら出来ないがただただ土下座で額を地面に擦りつける

「……俺が傷つくって思ったから話せなかったって何?」

「え?」

 暁人の口調が昔に戻る

「大好きな人に頼ってもらえなかった辛さを想像したことある?」

「ッ!?」

「俺はコト姉と恋人になれて本当に幸せだ(・)っ(・)た(・)よ?これでようやく対等にコト姉からも甘えてもらえる関係になれたんだって」

 暁人が目の端に涙を浮かべながら堰が壊れたように言葉があふれ出す

「それなのに何?俺を悲しませてしまう?傷つけてしまう?話してくれない方がつらい思いをするって思わなかった?」

「それとも俺はそんなに頼りなかった?」

「そうだよね、ずっとコト姉コト姉って弟みたいに過ごしてたもんね」

「でも俺、コト姉に釣り合える男なるため頑張ったんだ。部活も勉強も何もかもあんなスパルタでやられてもコト姉と一緒にいるためにって認めてもらえるようにって」

「告白してOKもらってようやく認めてもらえたんだって、胸を張って貴女の隣に立っていられるパートナーに慣れたんだって思えたんだ」

 抱えていてくれた思いをぶちまける暁人から目を離せない

「でも、コト姉はそう思ってなかったんだよね……」

 暁人の目が冷たいものに変わる

「貴女の中で私はいつまでも頼りない弟だったんだね」

「ち、ちが!!?」

「口ではいくらでも否定できます。でも結果として今自分がどうなっているのか流石に理解しているでしょう?」

「あ、う……」

 否定したかった

 本当に暁人のことが大好きで愛している

 確かに弟のように見ていた部分はあるがずっと前から男の子として暁人のことが大好きだ

 でも今の私がどれだけ穢れた存在なのかを理解してしまった私の喉が動かない

「もしコト姉が今の俺と同じような立場なら頼ってもらえなかった事をどう思うか考えたことある?」

「え?」

「例えば俺がいじめられていたとして貴女には情けなくて恥ずかしくて頼れなかったって言ったらどんな気持ちになる?」

「そんなの許すわけ!!…ぁ」

 想像して反射的に答えてようやく理解した

「そうですね相手も話さなかった俺のことも許すわけないですし」

「何より頼って貰えるような存在になれなかった自分を許せないですよね?」

「ああああああ」

 私はなんてことを

「これ以上情けない自分でいたくはないのです」

「貴女が近くにいると自分の見る目のなさと不甲斐なさで死にたくなります」

 目の端に涙を浮かべる暁人は

「もう貴女の顔も声も何もかも感じたくない」

 そう言うと立ち上がる

「でも、ずっと何より大切で大好きだったから」

 一瞬だけ前までのような私の事を本当に大切にしてくれていたあの頃の声色になる暁人

「ま…まっ……て」

 届くはずがないのに未練がましく私は暁人へ手を伸ばす

「せめて色々あったと物言わぬ思い出になって欲しい」

「さようなら」

 そう言い残し足早に去っていった

 

 

 その後私はお腹にいた子を流産してしまいその影響で二度と子供が産めない体になった

 暁人は家族にも黙って引っ越しをしたらしく居場所は誰にもわからない

 そのこともありどこにも居場所なんてない私は私の過去を誰も知らないくらいに離れた田舎の片隅でひっそりと暮らしていた

 アルバイトなどで日銭を稼ぎ大半を弓月に送る生活をしている

 せめて自分のしでかした事の責任くらいは取るために

 「暁人...あきとぉ...」

 1人になると本当に幸せだった暁人と結ばれた日を思い枕を濡らす

 全て私が悪いとわかっていても悲劇のヒロインぶるのがやめられない

 泣いていたらいつか優しい暁人が会いに来てくれるのではないかという期待が捨てられずいる

 なんで暁人に話さなかったんだろう

 ――暁人なら私のためならどんな努力も惜しまないと知っていたのに――

 なんで暁人よりもあんなものを選んでしまったのだろう

 ――暁人なら時間をかければもっと上手くなって身も心も幸せにしてくれたはずなのに――

 私はもう来ることはない憧憬を夢想し後悔し続ける

 







なんかイライラしてコト姉を不幸にしたくなってしまった
結果暁人まで不幸になってしまったのでお蔵入りさせようかと思ったけどもったいないので
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