それでも
「まず一度コト姉に会ってみようと思います」
俺は意を決して2人に答える
「そうか……まあなんだいつでも帰ってこいよ?」
「ええ、ここはもうあなたの家でもあるんですから」
その寂しげででも俺を応援してくれる事が伝わる声と表情に涙が溢れそうになる
このままだとここから動けなくなる
「じゃあいってきます!」
すぐに立ち上がると玄関へ向かう
「おう」
「ええ」
背に2人の想いを乗せながら
「いくの?」
と思った矢先に最後の難関が待ち受けていた
「愛……うんとりあえずケリをつけてくる」
「帰ってくるの?」
「……ごめんなんとも言えない」
「そっか……あーあ勿体無い! 逃した魚はデッカいぞ〜」
おどけたように愛が言う
そのいじらしい姿に思わず後ろから抱きしめてしまいそうになる
「ッ、ああ俺には勿体無いくらいの良い女だからな!」
「ッ! ……バカ……」
「俺は大馬鹿者だからな」
その言葉にキッとを吊り上げながら
「いってらっしゃい」
それでも見送ってくれる愛に挨拶を返す
たったの1ヶ月程度の旅だったんだけど随分懐かしく感じる
「暁人!!」
懐かしい声が聞こえる
「母さん、父さん」
2人はしきりに謝罪を繰り返し俺に縋り付いてくる
2人への手紙はもう2度と会わないつもりで書いた遺書のようなものだから2人の不安は俺の思っていた以上に強かったのだろう
2人を宥めるとコト姉の居場所を聞く
その名を聞いて顔を顰める2人に強めに教えるように頼む
渋々という様子で彼女のいる住所を教えてくれる
また帰ってくるよね? という言葉にヒラヒラと手を振り一切振り返らずにコト姉の場所を目指す
何分くらい歩いたのか郊外の山の方に進むとようやく目的地つく
そこにはぼろ家と言うべきアパートがあった
101号室のチャイムを鳴らそうとするも壊れているらしく音が鳴らない
ドアをノックし
「コト姉」
と小さく呼びかける
瞬間ドアが開き、会いたくなかったし会いたかった人が目の前にいた
聞いていた通りあの綺麗だった髪は見る影もなく頭には包帯が巻かれ血が滲んでいる
服もボロボロで肌も荒れて汚くなってしまっていた
それでも俺が大好きだったコト姉がそこにいた
「あき、暁人……?」
「うん」
確かめるように手を伸ばすコト姉の手を優しく握る
スベスベで柔らかかった手など見る影もないが彼女の手だ
「ごめ、ごめんなさい、ごめんなさい〜」
コト姉は俺の胸へ飛び込んでくる
「……おかえりコト姉」
「わぁぁぁぁん!!!」
人目も憚らず俺の胸の中で泣きじゃくるコト姉
今まで見たこともない姿だけど確かに彼女の温もりだった
「俺もごめん、情けない彼氏でコト姉のこと満足させてあげられなくて……」
「ッ! 違うの私が悪いの暁人は何も悪くないの!」
更に泣きじゃくるコト姉の背中をそっと撫でる
日が暮れるまで泣きじゃくったコト姉は俺から離れようとしなかった
ただ俺もこのままは辛い
「コト姉、銭湯行かないか?」
「嫌、離れたくない」
子供みたいに駄々をこねるコト姉を無理矢理抱え上げ銭湯へ連れて行く事にする
恥ずかしいがしょうがない
「風呂入んないと汚いだろ?」
「ッ!? ごめんなさい臭くてごめんなさい汚くてごめんなさいお風呂入って綺麗にするから嫌いにならないで」
効果覿面だったがその依存心を煽るようで少し胸が痛む
「大丈夫、ちゃんと身体洗ってしっかり身体温めて来て」
「は、はい」
コト姉らしくない反応にどうしても戸惑いは隠せないが俺としてもあれだけやられて今まで通りだと流石にムカつくかと思い直し
「じゃ後で」
というと別れるのだった
10分後
「あ〜やっぱりおっきい風呂は良いなぁ」
辺鄙なところにある昔ながらの銭湯だったため貸切状態だった
身体をしっかりと洗い湯船で足を伸ばし開放感に酔いしれる
「あ〜極楽〜」
と思っていると
「ちょ!? お嬢ちゃん!? 身体強く洗いすぎ血出てるじゃない!」
番台のおばあちゃんが悲鳴をあげる
「コト姉?」
良くないことはわかっているが見逃すわけにもいかず
「汚い、汚い、消えて、消えて、お願い」
病的なまでに身体を擦り皮膚を傷つけ血が滲む
それでも手を止めないコト姉に
「やめろ!!」
とその手を掴みこちらへ顔を向けさせる
「何やってるんだよ……」
「……だって汚いから」
「何が?」
「私の身体……こんなに汚れてたら暁人がまた離れたちゃう……」
目を虚にし俺の手を振り払おうとするも頑張って耐える
「もうやめてくれ……」
つい泣きそうになりながらコト姉の身体を抱きしめる
「……暁人?」
そこでようやく正気を取り戻したらしい
「あ〜なんか事情があるんだろうけど次やったら出禁にするからね」
番台のおばあちゃんが今回だけはと目をつぶってくれた
「ありがとうございます……」
「お兄さんも大変そうだね」
同情たっぷりなその言葉に項垂れてしまう
その後もまた発作的に同じ事を繰り返そうとするコト姉を止め
アパートへ戻る
「……」
正直疲れたなんで俺が介護みたいなことしなきゃなんないんだろう
「暁人、暁人、暁人ぉ」
それでも縋り付いて泣く傷だらけのコト姉を放ってはおけない
ため息をつきながらその背をまた優しく撫でるのだった
夜中ふと目が覚める
「いつの間に寝てた?」
腰と脚の辺りが妙に熱い
「暁人ぉ、もっと! もっとぉ」
気づけばコト姉が俺の足や手を勝手につかい股に泣きながら擦り付けつける
(あぁそうか)
それを見て俺はようやく理解する
コト姉は俺が好きで泣いているんじゃない
都合良く自分を満たしてくれる人が欲しいだけなんだと
俺の好きだった強くて優しいお姉さんのコト姉は幻想でしかなかったのだと
「ッ!」
コト姉が俺のことまだ好きだなんてありもしない幻想に浸っていた自分に情けなさに思わず涙が出てしまう
──ならせめて──
「琴音」
「え? キャッ!?」
琴音を突き飛ばし
「何を勝手に盛っている?」
──俺の手で──
「チン○に媚を売るしか脳のない獣以下の分際で勝手に俺身体に触るんじゃねぇよ」
「暁、人? なん」
「口答えするじゃねぇゴミが」
──その全てを壊してやる──
「いいか、お前と俺は赤の他人だ」
床に横たわる琴音の腹を蹴飛ばし
「ウグゥ!?」
怯えた目を向ける琴音に仄暗い感情が芽生える
今までこんな感情が自分にあるなんて知らなかった
もうとっくに俺は壊れていたらしい
「何かしたいなら相応の態度をしろ」
「あぁ先に言っておくけどお前の身体に何の価値もないぞ?」
ハンドソープで手を念入りに洗いながら
「本当に触るだけで不愉快だ、その部分から穢れていく」
頭の端でずっと思っていた
何故俺があんな事をする馬鹿どもに縛られなければならないのかと
「あ、あ、あ……」
琴音の反応に
「お前なんかと出会わなければ良かった」
ついつい本音が出てしまう
「……」
琴音はあまりのショックに言葉も出なくなったようだった
先ほどまでの言葉は掛け値なしの本音だ
ただそれだけで済むのならこんなところまで会いに来ていない
「でもまぁ安心しろよ、琴音」
その顎を掴みこちらへ向かせその唇を乱暴に奪う
「んん」
先ほどまでとは打って変わった甘い行為に俺と琴音の脳がバグる
(こんな事前はする勇気も出なかった)
本当に久しぶりに琴音の唇の柔らかな感触
勢い任せでテクも何もないただお前が欲しいということを伝えるだけの行為
「っは……良いかお前は汚れてるしどうしようもない淫売だ」
「……」
琴音が俯く
「それでもおまえは俺だけのものだ。誰にも渡さない」
そんな琴音を今度こそ優しく抱きしめる
「……ほんと?」
「ああ」
「もういなくならない?」
「ああ」
「暁人──ご主人様になら何をされても構いません。どうか裏切り者の私にお情けをください」
猛の気持ちが理解できた気がする
自分のテクで女を堕とす快感に俺の心が満たされる
アイツのようにチン○ではなく暴力と言葉で支配する
これで俺はようやく過去を振り切れる
そう考えると琴音を押し倒しそのガバガバな穴へ手を突っ込むのだった
書いてて暁人の性格が捻じ曲がりすぎて原型がなくなっちった
まぁこれはこれでいいか
オチとしてはDV彼氏と変態クソビッチの共依存エンド
ちなみに書くかは無いけどこの世界線の暁人の逸物は強強のオスとして目覚めたことにより18センチかつ絶倫にまで成長するのでクソビッチも満足できるようになります