だから俺は
「すみません電話借ります」
「おう、場所はわかるよな」
「はい」
そういうと俺は身体が覚えていた番号をプッシュする
「あ、母さん? 暁人だけど」
両親へと
何も相談せずに出てい行ったことを詫び
心配をかけ泣かせてしまったことを詫び
いくら限界だったとはいえ生まれたばかりの弓月を放置してしまったことを詫び
懺悔のつもりで色々と吐き出す
そんな俺の話についに声を上げて泣いてしまう母さん
流石に罪悪感を覚えるがでもケジメはつけないと
「だからさ不甲斐ないダメダメな矢凪暁人という人間はとっくに殺されてどこにもいないんだよ」
「もういないものを探そうとしないでくれ」
「じゃ体に気をつけて」
母さんたちの反応を聞きたくないのでまくしたてるように言うと電話を切る
「.ふぅ」
気を張りすぎていたらしい俺は力が抜けてその場にへたり込む
すると後ろから柔らかくあたたかな感触が俺を包み込む
「っと」
全体重を乗せてこようとする不器用な愛情に苦笑を浮かべる
「愛」
「ん」
「ありがとう」
「うん」
「しばらくこうしててもいいかな?」
「うん」
回してくる腕にもっと力を籠め俺を逃がさないでいてくれるようなその感触に
ただただ心が安らぐ
どのくらいそうしていたかわからないが愛に勇気をもらった俺は
もう一つのケジメをつけに行く
「愛一緒に来てくれる?」
手を差し伸べると
「いいよ」
俺の手をぎゅっと握り返してくれる
手を繋ぎ俺たちは居間へと向かい
「勇次さん、恵さん改めてお話したいことがあります」
2人に声をかける
真剣な俺の表情に佇まいを整え
「聴かせてくれ」
「」
その先を促してくれる
「先ほど私は親子の縁を切ってきました」
「すべて捨て逃げ運よく勇次さんに拾われ愛に救われたから今があるのに
とんでもない親不孝をしてしまった問われながら思います」
「それでもそれが私なりのケジメです」
「すべて捨てて逃げたのだから捨てたものにすがるなどあってはならない」
「だから先ほど矢凪暁人は死にました」
「今日から何者でもないただの暁人になります」
「ですが、こんな不甲斐ない逃げてばかりだった私ですが今度こそ逃げません。いえ逃げたくありません」
「愛のことは、勇次さんと恵さんのことだけは死んでも守って見せます」
「たとえ何があっても供に生きると誓います」
「だから家族として皆さんと一緒に人生を歩むことを許してもらえないでしょうか」
床に伏してお願いをする
「「「」」」
沈黙がつらい
当然だ逃げてばかりの甲斐性なしの俺なんて──
「おい、暁人」
「ッ! はい」
「一つだけ聞かせろ」
「はい」
「──愛のことを嫁に貰いたいってことでいいんだな?」
「はい! .ほぇ?」
予想だにしていない言葉に反射で回答してしまったが意味をかみしめ間抜けな声が出る
「なんでぇ長々と恥ずかしいこと言いやがって結婚の挨拶ならただ一言娘さんをくださいとだけ言えよ」
「ふふ、そうですね。でも暁人くんの熱い気持ちは伝わってきたわ」
「.ばか///」
三者三葉の反応だが思ってたんと違う
「あれ~?」
シリアスやっていたつもりなんだけどなぁ
「まぁなんだ暁人」
「はぁ」
「これからも頼むぞ
照れくさそうに鼻を擦りながら一番聞きたかった答えをくれる勇次さん
「!! は、はい!! よろしくお願いします!!」
色々な思いが込められたであろうその言葉に涙があふれる
「まったく暁人は泣き虫だね」
愛は涙をこらえる俺の頭を優しくなでてくれる
「さて、じゃあ私は新しい家族が増えた記念に腕によりをかけたご馳走を用意しましょうか」
恵さんは台所へと向かう
3人のさりげないただじんわりと染み渡るような優しさにつつまれ俺はようやく呪縛から解き放たれたのだと実感する
あれから数年が経った
「暁人~」
「うん?」
「陽菜見なかったってまたか」
膝の中で眠る俺たちの愛娘をじっとっと愛が見つめる
「まぁまぁ、また後でやろう?」
実の娘にすら軽く嫉妬をする愛をいとおしく思い
「むぅ」
むくれる
「ふふ、気持ちいい」
とろけたような笑みを浮かべる
「んぅ? あ──ーまたお母さんお父さんとイチャイチャしてる!!」
非常に感の鋭い陽菜は俺たちがいい雰囲気になると邪魔をする
「お父さんは私の!! ぎゅー」
そんな幼い娘の可愛い過ぎる嫉妬心に父性が爆発し
「ぎゅー」
と目をハートにしながら陽菜を抱きしめる
「ふふん?」
そんな俺をみて勝ち誇る陽菜と
「イラッ」
苦笑すると俺は青筋を浮かべる愛の手を引き陽菜ごと強く抱きしめる
そして耳元で
「愛してる」
と囁くと耳を真っ赤にし俺を睨みつけてくる
「う~卑怯者」
母娘揃ってなんて可愛さなんだろう
「でも私も愛してる」
俺の耳元で仕返しをしてくる愛
「~~」
俺の方もたまらず耳を赤くしてしまうが幸せだ
「まったくこいつら俺らもいること忘れてんのか」
勇次さんがそんなことを言っているが無敵モードの俺には届かない
「まあまあ、あなたも少しぐらい私にああいうこと言ってくれてもいいのよ?」
「馬鹿野郎、言葉ってぇのはもっと大事に「あなた?」はい、すみません。いつも本当にありがとうございます。死んでも生まれ変わってずっと一緒にいます」
「あらあら」
やっぱり恵さんは強かだ
最悪なこともあったけど
3人の優しさのおかげで幸せになれたよ
ありがとう神様
ということで完結です
ちなみにこっちのルートでも暁人は農家パワーで立派な逸物と絶倫力を手に入れてベッドヤクザになっています
本当はもっと愛のことやらを掘り下げたほうが物語としては面白くなるのでしょうが
思いつきであること
余りにもキャラを崩し過ぎないこと(失笑)を重視してみたつもりです
最後に短いお付き合いでしたがここまで読んでくれた方へ感謝を