羽根を開く夜に、はじめてを。〜ひきこもりになった幼馴染を支え続けたら、二年参りの夜に関係が変わった話〜 作:若菜はかり
よく初恋は実らないというけれど、俺たちみたいな例外は一体どれほどいるのだろう。
千鶴と口づけを交わしながら、俺はそんなことを考えていた。
ずっと想いを寄せていた幼馴染の唇は仄かに甘い。存在を確かめ合うような淡いキスでも実に心地よくて、思考が溶けそうになる。
「あぁ、千鶴……」
「健ちゃ、んっ……ちゅ、ぱ……ぁ」
それと薄々気づいていたことだったが、千鶴の口づけはやはり拙かった。
最初の不意打ちのそれも然り。今もこうして俺にされるがまま、ひたすら受け身になって困惑気味な瞳をとろんとさせている。
そんな表情がたまらなく愛おしかった。
徐々に上がっていく体温に急き立てられるように、俺は舌を伸ばして、もっと深くまで彼女を求めようとする。
「……んぅ!? んむっ、ひぁ……っ」
すると驚いたように千鶴は身を引いた。触れ合っていた唇が離れ、その間に架かった銀の糸もぷつんと途切れる。
「あっ……ごめん」
「いや、こっちこそ。驚いたか?」
千鶴は唾液に濡れた口元を恥じらうように拭う。そうして上目遣いで謝ってきたが、すぐに探るような目つきに変わった。
「抱きしめられたときから気になってたんだけど。もしかして健ちゃん、ずっと会わなかった間に恋人とかいた?」
「えっ。あ、まあ……うん」
思わぬ問いを投げかけられ、どもりながらも頷く。そんな俺の反応に、彼女は「やっぱりね」と悪戯っぽく笑った。
「どうりでキスも手慣れてるわけだ。ねえ、それって高校のとき? それとも大学?」
「大学に入ってから、だな。二回生のときに友達の紹介で付き合った」
「今も続いてるの?」
「まさか。一年経たないうちに別れたよ。考え方とか色々合わなくなって、そのまま」
その相手は俺にとって確かに初めての恋人だった。だが、もう区切りはついている。
千鶴にもそれは伝わったと見えて、無理に気遣おうとはしなかった。むしろ気楽な調子で俺の二心を弄ってきたくらいだ。
「あ~あ、ひどいなぁ。私はずっと一途だったのに、自分は他の子と青春してたんだ」
「おい、言い方。……なら逆に聞くが、千鶴は男と付き合った経験ないんだろ? よくラブホに連れ込もうなんて大胆なこと考えたな」
「ええと、それは何と言うか」
改めて指摘すると恥ずかしくなってきたのだろうか。彼女は朱に染まった頬を更に火照らせ、視線を彷徨わせる。
「……経験がないからこその怖いもの知らず、みたいな?」
「それにしてもほどがあるだろ」
「うん。だから今、ものすごく緊張してる」
千鶴は肩を震わせ、自嘲気味な笑みを浮かべた。その髪を撫でていると視線が絡み、俺たちはまた惹かれ合うようにキスをする。
唇で唇を軽く食み合う。
そんな穏やかな口づけ。
そうしてひとしきり感触を味わったあと、鼻が触れ合うほどの距離で彼女はぽつりと呟いた。
「……もう気づいてると思うけど。キスもね、さっきが初めてだったんだよ」
そこで彼女はさらに声を潜める。
「だからもちろん、セックスだって初めて」
「だろうな」
「健ちゃんは経験あるんだよね」
「まあ、一応は」
少し答えづらいが嘘も吐けない。
素っ気なく答えると、千鶴の頭が肩口にトンと落ちてきた。そこから耳元に頬を寄せ、今までに聞いたこともない甘えた声で囁く。
「じゃあ、さっきの続きを教えて……? 大人のキス。それからその先のことも。私、初めては全部健ちゃんとがいい」
鼓膜を揺らす媚びを含んだ吐息。
その音色に俺の心臓は鷲掴みにされた。
「……千鶴っ!」
「きゃっ! ……あっ」
衝動が一気に沸点にまで達し、俺は千鶴をベッドの上に押し倒した。
その拍子にバスローブが際どくはだける。しかし、今の俺には彼女のしどけなく開いた口元しか見えていない。
「はぁ、んむっ……ちゅ、れろ……っ」
口づけを交わす。今度は最初から深く。
唇よりも先に触れた舌同士を絡め合わせれば、幸福としか言い表せない味がした。
「んぁ、ひゃうっ。あ、そこは……」
続けざまにバスローブの上から左の乳房にも掴みかかる。最初は優しくしようと決めていたのに、もはや自制が利かなかった。
「あぁ、すげぇ」
手のひらに覚えた溢れんばかりの感触に、思わずそんな声が漏れた。
ずっしりとした確かな重み。それに相反して蕩けてしまいそうなほどの柔らかさ。
昔から彼女の発育が良いのは知っていたが、今では当時と比べ物にもならなかった。
「やばいな、これ。前から立派だとは思ってたけど、実際に触ってみると想像以上だ」
「もう、真面目な顔して何言ってんだか」
「いや喜べよ。褒めてるんだから」
密かに触れたいと願っていた幼馴染の身体を知り、ようやく少し冷静さが戻る。俺は今度こそ千鶴に苦痛を与えないよう、細心の注意を払いながら指先に力を込めた。
「はあぁ……く、ふぅ……っ」
沈んでいく。
どこまでも、どこまでも。
底まで辿り着かない。
そのまま握り潰してしまうのではないかと怖くなり、途中でそれ以上は諦めた。だが一度味わった肉感に俺はたちまち虜となる。
「このまま脱がすぞ」
「あ、ちょっと」
答えも待たず、俺は両手でバスローブの襟元を掴むと一息に開いた。
その勢いは乳房にまで伝わり、左右に引っ張られた肉鞠は反動で弾みながら零れ出る。ブルンと効果音が付きそうな、そんな巨乳の躍動は束の間、俺の視線を独り占めにした。
「おぉ……っ」
「や、やだ……そんなにまじまじと見ないで。恥ずかしいよ……」
千鶴は顔を伏せ、咄嗟に胸を隠そうとした。
その両腕を掴んでベッドに押しつけると、観念した彼女は不安そうに尋ねてくる。
「なんかごめんね。自分から誘ったくせに、こんなにだらしない身体で」
「そんなことないって」
俺はそう答えながら、なおも彼女の豊満なバストから目を離せずにいた。
仰向けでも崩れない、綺麗な釣鐘型。
乳輪は五百円玉ほどのピンク色で、その頂点は楚々としていながらも、軽く勃起して誘うようにふるふると震えている。
適度にむっちりとしたウエストや、そこから優美に広がる腰上のラインも垂涎ものだ。
これで落ちない男などいるはずもない。なのに千鶴は何を心配しているのだろう。
「本当にすごく綺麗だよ、千鶴の身体。少なくとも俺は好きだ」
「……そう?」
「ああ。いかにも女の子って感じで、抱き心地もよさそうで……あとはまぁ、率直に言って滅茶苦茶エロい」
「ぷっ、くく……っ」
「おい、笑うなよ」
自分の魅力にもっと自信を持ってほしくて――いや、それ以上に俺が抱いた感動を伝えたくて、本心を吐露する。
笑われたのは心外だが、千鶴の顔から影が消えたのを見て、ほっと一安心もした。
「とにかく続けるぞ」
「……うん、わかった」
笑って少しは緊張が和らいだらしい。それでもなお口元を真一文字に引き締めた千鶴の耳たぶに、俺はそっと口づけを落とした。
それと調子を合わせ、下乳からゆっくりと愛撫を始めていく。
「はぁ、んっ……あぁ……」
薄い肌への刺激に彼女は実に敏感だった。すぐに熱い吐息がこぼれ、両脚をもじつかせ始めるころには身体の力も緩んでいた。
上気した肌はやがて汗ばみ、舌先に塩気を感じるようになる。いつしか香り出したのは彼女の体臭、あるいはフェロモンとも言えようか。どちらにせよ俺の理性は萎み、隠れていた本能が鼻をヒクつかせ始めた。
「ひぅ……あ、はあっ……やば、健ちゃんの触り方、すごくやらしい……」
もはや自分の意思というより半ば導かれるように、キスの雨を段々と下降させていく。
首筋、鎖骨、そして胸元へ。
気づいたときには両手で千鶴の豊乳を掴み、その間に顔をうずめていた。谷間の底には汗がたまり、彼女の匂いが色濃くなっている。
「やっぱり好きだな、千鶴の匂い」
「バカ、そんなこと言うな……んっ! あ、やぁ……待って、今そこは……」
俺は顔を上げ、眼下に震える桃色の蕾に狙いを定めた。止めようとする声も聞かず、好物にありついた犬のようにむしゃぶりつく。
「あっ、くぅ、んん、あはぁ……っ」
「敏感だな。もうエッチな声が出てる」
「だ、だって……ひぃんっ!」
千鶴は面白いほど素直に反応してくれた。
それに俺は調子づく。
「ああ、やだ、本当に待って……そんなねちっこく舐め回されたら、私……くっ、はぁ、あああぁ……っ」
甲高い悲鳴と、弓のように仰け反る背中。吸い付いた乳鞠が暴れ、わななく細指は髪の毛を無茶苦茶にかき乱してきた。
そんな中でも俺は愛撫に没頭する。
健気に隆起した乳首を吸い、舌先で弾いた。ときにはグリグリと押し潰してもやる。
そうしていると、頭上から漏れ聞こえる声が段々と切なさを帯びてきた。逃れようと悶えるだけだった動きも収まり、代わって下半身が跳ね上がるようにビクつき始める。
「千鶴。さっきから腰が動いてる」
「……あっ。こ、これは」
「気持ちいいのか?」
千鶴は黙り込む。
だが、黙秘を許した覚えはない。
「なあ、恥ずかしがらずに答えろよ。こうやって乳首いじめられて、腰をカクつかせてるんだ。本当は感じてるんだろ?」
「あっ、ひぃ……っ」
唇から離れた唾液濡れの乳先を、指の腹で引っ掻くように責める。そうしながら同時にもう一方の乳頭に吸い付くと、千鶴はたまらずおとがいを上げ、とうとう口を割った。
「……気持ち、いい」
「うん?」
「だ、だから……気持ちいいの。乳首舐められるのも、そうやって指でカリカリされるのも。本当はすごく気持ち良くて、でも焦れったくて、我慢できなくなりそうになる……」
「へぇ。何が我慢できなくなるんだ?」
重ねた質問に彼女は下唇を噛む。
ただ、この逡巡は思いのほか短く終わった。
「つまり、その……欲しくなるというか」
「何が?」
「うっ……この意地悪。わかってるくせに」
真っ赤な顔で恨みがましげな視線を寄越しつつ、千鶴が右足を少し上げた。その膝小僧が控えめに触れたのは、俺の股間。
「なるほど。スマートな答えだ」
ニヤリと笑うと、千鶴は顔をそむける。
その注意が逸れた隙を見計らい、俺は一気に彼女の下腹部まで顔の位置を下げた。
「へ? 何して……あっ」
やっと気づいたときにはもう手遅れだ。
俺はそのまま両脚の下に腕を回すと、太ももを抱え込むようにして押し広げた。そうすれば当然ながら千鶴は開脚状態となり、しかも俺の眼前に股座を晒す格好となる。
「い、いやっ! やめ、て……っ」
「こら、色々と危ないから暴れんなって」
辛うじてバスローブの端が核心部分を覆い隠していた。だがそれも時間の問題で、彼女が嫌がって身を捩るほどにずり落ちていく。
やがてそこは完全に露わとなった。
「あ、あぁ……」
ふわりとした薄い恥毛に覆われた肉土手。
そして、つるんと剥けた可憐な秘所。
自身のすべてを俺に見られ、千鶴は羞恥心が極まったようなため息を漏らす。
しかし、そこに隠しきれない期待が含まれているようにも聞こえたのは、単なる俺の思い違いだったのだろうか。
「あの、さ……」
と、時ならぬ物思いに耽っていると、頭上から困惑気味の声が降ってくる。
「そうやってガン見のままで黙り込まれると、私としても反応に困るんだけど」
「ああ、ごめんごめん。千鶴のここ、あんまり綺麗なもんだからつい見惚れてた」
「健ちゃんったら、またそんなこと言う……」
そう呟いて彼女は不貞腐れてしまう。だが、実際その通りなのだから仕方がない。
左右に開いた大陰唇はぽってりとしていて、黒ずみもなく淡い色づきをしていた。その狭間から覗く紅襞もやはり同様で、控えめな肉ビラといい、実に生娘らしく初々しい。
彼女の女性器はもう既に濡れ始めていた。先ほどの愛撫の甲斐があったというものだが、それにしても反応が良く、甘酸っぱい匂いも相まって男心がくすぐられる。
「……ねえ。やっぱり、そこも舐めるの?」
千鶴がおずおずと尋ねてきた。
「そりゃあな。千鶴が初めてなら、少しでも痛くないように慣らしておかないと」
「その気持ちはありがたいけど……んっ」
口ごもる彼女を横目に見つつ、俺はまず陰唇に口づけた。そのまま縁取るように舌を這わせ、ゆっくりと焦らしていく。
「はぁ、あっ……ふぅ……んっ」
そうして彼女がわずかに悶えだしたころ、俺はたっぷりの唾液をまとわせた舌で濡れそぼる秘裂をべろりと舐り上げた。
「ああっ……! くっ、ほぉ……っ」
警戒はしていただろうに、裏返った声が天井に響く。見上げると千鶴は指先を噛み、こちらに陶然とした瞳を向けていた。
その表情に俺はまた胸を掻き乱される。
「すごく美味しいぞ、千鶴のおま×こ。このままいくらだって舐めていられそうだ」
「いや、そんなこと言わないで……あっ、あぁ、やっ……はぁ、だめ……っ」
千鶴にもはっきりと聞こえるように、俺はわざと音を立てて秘所を啜った。
濃厚な葛湯のようなとろみが喉に絡みつく。
それを無理矢理飲み下すたびに酩酊感が強まり、舌先はさらなる蜜を求めてしまう。
「あっ……はぁ、ふぅ……んんっ! ……ねえ、もういいでしょ? 十分に濡らしてもらったから、準備はもうこのへんで……」
「俺が好きでやってるんだから、遠慮しなくたっていいんだぞ。それに本当はもっと責めてほしいんだろ。ほら、例えばこことか」
割れ目の上端まで差し掛かると、彼女のぷっくりと膨らんだ芯芽が唇に触れた。それを包皮越しに舌先で磨り潰してやると、
「そ、そこは……あひぃんっ!」
鋭い悲鳴とともに千鶴の腰が跳ねる。
その反応に気を良くして、俺はさらにクリトリスを責めた。唇で優しく剥いて咥え込み、ちゅっと強めに吸い立てる。
「あっ、あっ、あっ、ああぁ……っ! だめ、それだめぇ……クリばっかり虐められるの、感じすぎちゃうからぁ……っ」
間断なく責め立てられ、ぐずり泣くように千鶴は大きく腰をくねらせた。
だが、俺にとってそれは興奮を煽る不埒なダンスにしか見えない。ディープキスのときから既に鎌首をもたげていた男根は、時ここに至って臨戦態勢の硬度に達していた。
そして、そんな昂ぶりが知らず知らずのうち、愛する人への奉仕をも濃密にする。
「あぁっ、や、待って健ちゃん……これ以上されると、私おかしくなっちゃ、うぅ……っ」
たっぷりと愛でられ、嬲られ、蹂躙され。
迫りくる交接のときを前に、初心な蕾は一早く開花を迎えようとしていた。
その瞬間を俺は見届けたかった。
だからこそ緩めることなく、最後まで愛らしい粒肉を啄ばみ続ける。
「ひぃ、あぁ……イ、クぅ……私、もうイっちゃ……は、あああぁ……っ!」
絶叫とともに、千鶴の全身が張り詰めたように硬直した。目の前では下腹部が艶めかしくうねり、数秒ののち、思い出したようにビクンビクンと大きな震えを走らせる。
彼女の奥からじわりと本気汁が滲み出してきた。そのほろ苦さを一口味わい、起き上がった俺は絶頂に酔いしれる幼馴染を見下す。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
後ろ手で枕にしがみつき、肩で息をする千鶴は朦朧としていた。それでも俺に気づくと、億劫そうにしながらも視線を寄越してくれる。
「……まさかいきなりイかされるなんて。初めてだから優しくしてくれると思ったのに」
「優しくはしただろ。ただ思いのほか、お前が感じやすかったってだけで」
「それ、私のせいなの?」
不服そうに唇を尖らせる千鶴に、俺は口角を上げた。だが、まもなく彼女の目が俺の下半身に向かっているのに気がつく。
「健ちゃんの、もう大きくなってるね」
「そりゃあな。千鶴の身体を思う存分触って、エッチな姿も見られたんだから当然」
会話をしながら俺はバスローブを脱ぐ。その下から現れた逸物に、千鶴が息を呑んだのが気配でわかった。
「お、おっきい……」
「怖いか?」
枕元を探り、備え付けのコンドームを見つけて袋を破る。そのまま手早く装着する間も彼女の目はペニスに釘付けだった。
今夜の愚息は俺自身も驚くほどにいきり立っていた。比喩ではなく青筋を立てるほどの剛直と化しており、乙女に恐怖を抱かせるのも無理なからぬことだったのかもしれない。
「全然そんなことないよ……って言ったら、多分嘘になるかな」
千鶴も身体を起こし、着乱れたローブを脱ぎながらそう答えた。
これで二人とも一糸まとわぬ姿となる。
幼いころ、雨に濡れて同じ風呂に入れられた記憶はあるが、それ以来のことか。
しかし、意味はまるっきり違っている。
「こうして二人とも裸ん坊になるなんて、子どものとき以来だね」
「俺もそれを思い出してた。懐かしいよな」
束の間のノスタルジーに浸りながらも、俺たちの注意は相手の裸体に向かっていた。
あのころとは違う豊満な乳房に、ツンと上を向いた桃色の突起。くびれていながらもむっちりと肉がついた腹回りや、昔から気にしていた大き目なお尻はいかにも俺好みだった。これからこの身体を存分に味わえると想像しただけで身震いが抑えきれない。
そうして昂る俺と同じく、彼女もどうやら俺の裸を見て興奮しているようだった。
静かな室内に互いの荒い息遣いだけが響く。それはきっと、先ほどの行為の余韻によるものばかりではないだろう。
俺は再び千鶴を押し倒した。抵抗もなく仰向けになった幼馴染は小さく呟く。
「ドキドキする」
それは俺も同じだった。
同時に不思議でもある。あんなに昔から近くにいた相手と肉体的にも繋がるなんて。
「入れるぞ。辛かったら我慢せずに言えよ」
「大丈夫。だから、来て」
千鶴は俺を迎え入れるように自ら脚を開いた。その間に腰を進め、亀頭を恥裂にあてがうと、ゆっくりと挿入を試みる。
「……あっ、う……くっ」
彼女の膣の入り口はひどく狭かった。それでも止まらず押し込んでいくと、柔らかく口を広げて俺のモノを咥え込んでくれた。
まだ入ったのは先端だけだが、襞肉のうねつきが待ち受ける肉悦を予感させる。
「くっ……痛く、ないか?」
「……う、うん。少し苦しいけど、まだ」
途中で悲痛な声が上がることもなく、肉竿は既に真ん中あたりまで膣穴に沈み込んでいた。ねっちりと包み込まれ、全方位から受ける圧迫感に悶えながら聞くも、瞼を閉じたままの千鶴は案外平気そうに見える。
そこに俺はわずかな違和感を抱いた。
「……よし。根元まで入ったぞ。千鶴?」
「はぁ、はぁ……これ、やっぱりすごい。お腹の奥まで届いて、内臓まで持ち上げられてる感じ……こんなの、初めて……」
「あの、えっと」
「……ふぇ?」
こちらの呼びかけが届かなかったらしく、千鶴は独りごちるように感嘆の声を漏らしていた。その内容に俺はさらに疑問を深め、無粋とわかりながらも確かめたくなった。
「さっき初めて、って言ってたよな?」
「あ、うん」
「でもなんか今、経験あるようなこと言わなかったか。挿入の方も、思ってたよりスムーズだったし」
「うっ……言っても笑わない?」
実は処女ではなく嘘をついていた、という線はないようだ。それでも言いにくいことには変わりないらしく、躊躇っている。
そんなことだからますます気になった。
半ば好奇心から頷くと、千鶴は
「家にひきこもってるとね、時間だけはたっぷりあるんだ」
と語り出した。
「だから好きなこと――例えばゲームとか動画見るとかするんだけど、そのうち飽きてくるんだよね。そうしたら別の暇つぶしを考えるわけで」
「別の暇つぶし?」
「つまり、その……おもちゃ、というか」
「おもちゃというと……あっ」
意想外の単語に疑問符が浮かぶ。だが次の瞬間、俺はすべてを察した。
つまり千鶴は、ひきこもり生活で暇を持て余し、その挙句に――。
「大人のおもちゃを使って、自分で処女喪失したってことか?」
「ちょ、ちょっと! 少しは濁してよ! ……まぁ、結局そういうことなんだけど」
千鶴は恥ずかしそうに両腕で顔を隠す。
その姿を見て拍子抜けというか、なんだか愉快で微笑ましい気持ちになった。
それでつい口元も緩んでしまったのだが、目敏い千鶴に見咎められる。
「もう。笑わないでって言ったのに」
むくれる彼女に、俺は「ごめんごめん」と謝った。ただ、一度損ねた機嫌はなかなか直ってくれない。
「どうせ私はむっつりで、初めての前戯でもイッちゃうようないやらしい子ですよ。……それとも失望した? おもちゃに初めてを捧げるとか、ありえないって」
拗ねたような態度をとる千鶴はその実、心細そうにも見えた。俺はその両手を取り、指を絡めながら正面切って答えてやる。
「全然そんなことない。むしろ考え方を変えればいいんじゃないか? これで今夜は遠慮せずに千鶴を可愛がれるんだし」
「……は?」
俺が浮かべた笑みの質が変わるのを見てとり、千鶴の表情が音を立てて固まる。
「千鶴にとって初めてなのは間違いない。だから俺が絶対忘れられない夜にしてやるよ」
「あの、少しだけ待って……何か嫌な予感するんだけど、私の気のせい?」
「うん、多分そうだ」
「多分って、健ちゃん悪いこと考えてるよね? じゃないとそんな顔……あふっ!?」
千鶴の手を握り込んだままベッドに手をつき、前傾姿勢で腰を押し込む。俺自身の形をじっくり覚え込ませるように、無垢な膣奥に鉾先を押しつけて静かに待つ。
その間、わずか数秒ほどだっただろうか。
反射的にきゅんと搾り上げてくる肉の密度に、全身の血が湧きたった。これが長年思い続けた千鶴の中なのだと感動さえ覚える。
しかし、彼女の方はまるで見えない拳を食らったように目を瞬かせていた。焦点の合わない瞳が俺の肩越しに天井を見上げ、唇がパクパクとわななく。
「はぁ……ひぃ……っ」
言葉にならない掠れ声。細い喉はそれでも何度もしゃくりあげ、呼吸を続けようとした。
そこで俺はわずかに腰を引き、再び緩慢な速度で膣壺を穿った。のみならず、今度はぐりぐりと磨り潰すような動きも加える。
「いっ、うぁ……まっ、て……ふかいの、むり……っ」
全身を小刻みに震わせながら、ようやく意味のある単語が彼女の口から漏れた。
俺は素直にそれに応じる。力を緩め、肉棒もカリ首のところまで引き抜いた。ただし、その際にわざと膣の腹側を擦るようにする。
「いっ、はぁんっ! だめ、そこも引っ掻いちゃ……頭もあそこもジンジン痺れる……」
抜けゆく肉茎を恋しがるように、千鶴の腰が一度浮き上がってベッドに落ちた。羞恥のあまり彼女はまた顔を隠そうとするが、両手を俺に押さえつけられているので叶わない。
「いじめないでよ、健ちゃん……」
手を繋いだまま、千鶴の顔の左右に両肘をつける。そうして彼女に覆いかぶさると、儚げな声が俺の名を呼んだ。
「いじめてなんかないって。俺はただ、千鶴にも気持ちよくなってほしいだけだ」
「いいよ、そんなの別に。最初に言ったけど、これは恩返しの意味もあるんだし。健ちゃんが満足してくれれば、私はそれで――」
そのままうじうじと言い募りそうだったから、俺は口づけで彼女の唇を塞いだ。
「でも俺たちって、これから恋人になるんだろ。だったら二人で一緒に気持ちよくならないと意味がないんじゃないか?」
「恋人……」
秘めていた好意を伝え合い、今もこうして肌を重ねている。それが幼馴染だった俺たちのこれからの形のはずだが、千鶴はまだ実感が伴っていないようだ。
「もっと気楽になれよ。今までのことより、これからのことを考えようぜ。その一環でまずは俺にアンアン喘がされてみよう」
「……ふふっ、何それ」
呆れたように千鶴が笑った。
俺がずっと好きだった、穏やかな笑み。
そうしてすっかり汗ばんでしまった手を握り返し、彼女は伏し目がちに囁く。
「なら、お願いしないとね。私のこと、気持ちよくして。健ちゃんのおち×ちんで、今まで苦しかったこと全部吹き飛ぶくらい」
「オーケー。責任重大だな」
俺たちは笑みを交わし、唇を重ねた。すぐに舌が絡み、口でもセックスをする。
そうしたまま俺は下半身も遣い始めた。
「あっ、ん……あっ、あぁ……」
くちゅくちゅと音を立てる口の端から、千鶴の甘い喘ぎが溢れる。そのたびに漲る肉棒が密着してくる膣襞と擦れて何とも快い。
「これくらいならいいか?」
「うん、気持ちいい……あんっ」
彼女もまた感じているようだ。
それを確認しながら俺は少しずつ抽挿の深さや角度を変えていった。わずかな反応を感じ取り、千鶴本人でさえ気づいていないスウィートスポットを探り当てようとする。
「くぅ、はぁ……あ、そこ好きぃ……んっ」
彼女の上擦った声が喜悦に震えた。やはり先ほど狙ったあたりが際立っているようだ。
俺は繋いでいた手を離し、上体を起こして千鶴の尻を太ももに乗せた。そしてカリ首で擦り上げるように例の性感帯を突き上げる。
「やっ、あっあっ、それ、すごい……おち×ちんの傘でゴリゴリされて、初めてなのに感じちゃ、う……あっ、ひぃ!」
寝台から背中が浮き、弓なりとなった千鶴。
その声が大きくなるのに比例して、膣壺の締めつけもまたきつくなっていった。まだ処女らしさは残るが、一度達したことでほどよく蕩けた柔肉が肉幹に絡みついてたまらない。
「はぁ、あっ、あっ、あっ……! 健ちゃん、すごいよ……こんなの、私知らない……っ」
パンッ、パンッ、パンッ、パンッ。
腰の運動はどんどんピッチを速めていく。下腹部同士が音を立ててぶつかり、そのたびに美巨乳は二つの円を描いた。彼女が握ったシーツも快楽の分だけ皺を深める。
「あ、いい……健ちゃんのおち×ちん、気持ちよすぎて頭変になる……んぁ、はぁ……健ちゃんは? 私の中で気持ちよくなれてる?」
「そんなの当然に決まってんだろ」
俺は額に汗を滲ませながら、少しもピストンを緩めずに答えた。
「じゃなきゃ、こんな熱心に腰振ってない」
「それって元カノさんよりも?」
「おい。まだそこ突っつくのかよ」
軽くツッコミを入れると、千鶴はにへらと笑う。しかし、その目は真剣だった。
「……ったく。とっくに別れた相手とはいえ、わざわざ比較対象にしたくもないんだが」
「うぁ……う、ん」
「長年好きだった相手とようやく結ばれたんだ。それだけでも軽く絶頂もんなのに、千鶴は俺に初めてだってくれた。まずこの時点で精神的な満足感が違う、って感じかな」
「まず、って……まだ何かあるの?」
嬉しそうにしつつも千鶴は疑問を口にする。
俺は唇をぺろりと湿らし、さらに続けた。
「そりゃあ、身体の相性っていうか。元カノはわりと淡白な方だったから。それに比べれば千鶴は感じやすくて、抱き甲斐がある。これも自分で開発してくれていたおかげだな」
「あ、あはは……」
そこでニヤリと笑ってみせると、彼女は若干バツが悪そうに目を逸らす。
意趣返し成功というわけだが、どうせならここでもう一つ確かめておくことにしよう。
「そういう千鶴の方こそ、愛用のおもちゃと比べてどうなんだ? バイブかディルドか知らないが、俺なんかじゃ物足りないとか」
「そ、そんなことないよ!」
軽い冗談のつもりだったので、俺は食い気味の反論に驚いた。思わず腰が止まり、彼女の次の言葉を待ってしまう。
「健ちゃんのおち×ちんは……私が持ってるのよりも大きいもの。でもそれだけじゃない。火傷しそうなほど熱くて、もっともっと硬い。私のこと、すごく思ってくれてるのが伝わるくらい。だから好きなの」
千鶴の手のひらが俺の手の甲に重なった。
その温もりが俺を心の底から安心させる。
「不器用に気遣ってくれるところが好き。時には意地悪してくるところも好き。だって、それが全部健ちゃんだから」
優しい微笑みに柄にもなく目頭が熱くなってきた。セックスの最中に泣かしてくるとか、こいつは一体何を考えているのだろうか。
「……ごめんね。つい熱くなって」
「本当だよ。自分だけ真面目な話しやがって」
「もしかして萎えちゃったか、な……?」
俺はその問いに答えず、千鶴の上に覆いかぶさった。
胸板の下でたっぷりの乳肉が潰れる。
再び肉棒が根元まで女性器に沈んだ。
そうして俺は至近距離で彼女と向き合う。
「えっ、ひぁ……っ」
「萎えるわけあるか。むしろ逆だ」
「あっ……」
その言葉通り、俺のペニスは千鶴の中で爆発せんばかりに膨れ上がっていた。
彼女にもそれは感じられたはずだ。白い喉がこくんと鳴り、瞳に怯えと媚びが浮かぶ。
「お前があんまり好き好き言うもんだから、俺のがこんなになっちまっただろ。この責任、ちゃんと取ってくれるんだろうな?」
「は、はい……」
張り詰めた亀頭が膣の最奥部――降りてきた子宮の入り口を押し上げると、千鶴ははっはっと浅い息遣いをしながら答えた。
もう逃げられないと悟ったのだろう。
俺の背中に手足を絡め、従容としてこれから我が身に降りかかる衝撃に備えている。
「いくぞ」
「は、いっ……あっ、う、あっあっあぁ……っ!」
彼女の頭を包み込むように抱きしめ、腰だけをぐいぐいと押し込むように動かす。振り幅は決して大きくなかったが、むっちりと詰まった肉襞を押し分ける感触は絶品だ。
「あっあっ、うそ……これ、さっきと全然違っ………おっ、奥、すご、潰されるの気持ち、ひぃ……ひっ、あっやっ、ほっ、おっ……!」
先ほど膣奥を貫いたときはまともに息もできない様子だった。今もそれはさほど変わらないが、表情は見るからにはしたなく溶けていた。手足も俺を突き放すどころか強く抱きしめてくる一方で、のみならずトロトロの蜜壺もきゅっと狭まってくる。
「あぁ、だめ……これ好きになる……健ちゃんのおち×ちんでおま×こドチュドチュされる快感、身体に覚えさせられちゃう……」
あられもなく口走った千鶴は切なそうに舌を突き出した。それを俺は迎えに行く。
「んっ、ちゅ、ちゅぷ……はぁ、好き、キスも大好き……ねぇ、もっとして。私の上も下も健ちゃんでいっぱいにして……あぁんっ、んむぅ」
お互いを貪るような口づけを交わし、舌を絡めて唾液を交換する。淫らな水音がした。しかし、それは口元からだけではない。
結合部も溢れ出た愛液でとっくにドロドロになっていた。全身も気づけば汗だくで、身を捩るごとに卑猥な音色が天井に反響する。
まるで軟体生物の交尾のようだ。
そんな想像がより興奮を高め、俺たちは辿り着くべき高みまで本能的にひた走る。
「あんっあんっ、あぁ、健ちゃん……っ」
「千鶴……あぁ、可愛いぞ、千鶴……っ」
キスの合間に愛しい相手の名を呼び、そしてまたキスをする。そんな応酬の中で、俺はとうとう限界に達しつつあった。
「もうそろそろイクぞ。このまま千鶴の中で、全部吐き出してやるからな……っ」
「うん、うん……っ。私も、もうだめ……初めてのエッチなのにイッちゃう……だから、健ちゃんも一緒に来て……っ」
同意をせがむように千鶴の腰が健気に跳ねた。俺はその最奥を穿ち続けながら、全身を包みこむ多幸感に酔いしれる。
「あっあっあっ、イクっ、もうイッちゃう……! 来て、健ちゃん! 早く私の中で射精して! 私のおま×こで、いっぱいいっぱい気持ちよくなってぇ……!」
「ああっ、ちづ、る……っ!」
絶頂の直前、大きくうねり出した肉襞にもみくちゃにされながら、俺は満身の力を振り絞って腰を振りたくった。
気持ちいい。
ただひたすらに気持ちいい。
握っていたはずの主導権を手放し、俺はすんでのところで快楽の奴隷に落ちる。
そして最後の瞬間、俺は千鶴の女体に奉仕する一匹の雄となった。
「あぁん、イクっ……イッ、クぅ……!」
甲高い嬌声とともに千鶴が絶頂する。
その刹那、膣の蠕動運動も極限に達した。ぴったりと密着した粒襞が竿肌を扱き上げ、子種を一滴残らず搾り取ろうとしたのだ。
「ううっ! 出る……っ!」
その天国のような肉悦に思わず声が漏れた。腰が震え、括約筋が締まる。そうして煮えたぎった白濁液が裏筋を駆け上がると、雷に打たれたような快感に目の前が眩んだ。
びゅるっ、びゅるっ、びゅるるるっ!
まるでそんな音がしそうな勢い。
避妊具を着けていることは頭ではわかっている。だが肉体は愛した女を孕ませようと全力を尽くしており、二度三度と続く奔流はなかなか収まる気配を見せない。