札と札、重ねて【裏】 作:哀馬SAM
くちなは
スマホに設定したアラームの音が寝室に鳴り響く。
まだ完全には開かない瞼の隙間から画面を見ると、時刻は午前6時。
学校へ向かう支度をしなければと身体を起こす。
──もにゅん。
「……もにゅん?」
起き上がるために支えとしてベッドに空いた手を添えようとして、手中に感じる柔らかな違和感に僕は視線を向けた。
滑らかな肌触りと人の温もり、そして微かに聞こえてくる誰かの寝息。
僕の視界にはあり得ない光景があった。
「カドさん……?」
普段見る姿とは変わって大人の容姿。
何故かパジャマを着ていないことは一旦置いておいて、それ以前に何故このような姿でいるのだろうか。
彼女について詳しくは知らないが、普段の姿が省エネスタイルと言っていたからには、この姿ではマズいのではと思う。
「……んっ♡」
「っ!?」
普段よりも色気が凄い……!
そしていい加減に彼女の胸から離れろ僕の手!! 股間に悪い!!
「……あんっ♡ まったく……朝っぱらから積極的だな、少年?」
「っ!?!?」
意志に反してなかなか離すことが出来ずにいると、いつのまにかカドさんは僕の方を見て妖艶な笑みを浮かべていた。
慌てて彼女の胸から手を離そうとすると、すぐに手首を掴まれて胸へと手繰り寄せられる。
「ほれ、セトに劣らず吾もなかなか
頭に柔らかい感触が二つ。
頭が性欲に支配されそうになるのを何とか耐えて、僕はカドさんの拘束から抜け出そうと試みる。
揶揄うのが目的だったためか、彼女はすぐに僕の頭を解放してくれた。
「し、心臓に悪いですよ、カドさん……」
すっかり元気になってしまった愚息と何故か全裸のカドさんから目を逸らして心を落ち着かせる。
「それにその……どうしたんですか? その姿は」
視界に入れてないおかげか、冷静になれた。
だから起きてからの疑問を彼女に投げかける。
「この姿か? これはその……だな……」
歯切れの悪そうな声。
これは何かやましい事でもあるのだろうか。
そもそも何故ウチに居るのかは、以前に渡した合鍵があるからだろう。
しかし全裸で、普段と異なる容姿になっている理由は分からない。
「あー……普段のあの姿は知っての通り省エネスタイルと言うやつだ。それは分かるな?」
「え? ええ、まぁ……」
なぜその姿になる必要があるかは知らないけど。
その省エネスタイルとやらが今の状況に何か関わっているのは推測できる。
「つまりエネルギーの消耗を極度に落とした状態があの可憐な少女の姿となると、この姿は言うなれば元の姿とも言える。そしてそのエネルギーとやらなのじゃが……精命力、まぁスピリットだな」
スピリット……Lifeでよく使われる単語だ。
でも最近はカドさんとファイトした事ないんだが?
したことと言えば……いや、まぁ男女の交わりは何度かしてるけど。
こちらとしては健全なお付き合いをしたいのだが、ハードワークから逃げてきた彼女に流されてしてしまうのがデフォルトになってしまっている。
これは本当に良くないんだけどこの身体が健全な青少年過ぎるが故に抑えきれなくなるんだよな。
まぁ、カドさんと2人きりだからってのもあるんだろうけど。
「……言いたいことは何となく分かりましたけど、あの時以外は僕はちゃんとゴムしてましたよね……?」
「……」
急に彼女が黙り込んだため、視線を向ける。
カドさんは気まずそうに僕から視線を逸らしていた。
「……待てアンタまさか──」
「じゃーって!! 吾だって女じゃもん!! 欲しいものは欲しいんじゃもん!!」
大の大人が子供のように駄々を捏ねる。
つまりこの人は人知れずそれを摂取していたのだ。
てか今の姿で暴れないでください。色々揺れて股間に悪いです。
「だからってヒトが寝てる間に勝手にするバカみたいな事をするんですか!!」
「そ、それはそのだな……仕事に疲れてつい……?」
今更恥じらいながら彼女はそう答える。
「ほ、本当は少年の寝顔で癒されようと思ってたんじゃよ? けど眺めてたらムラムラしていつの間にか……」
通りで今日の寝覚めが良かったわけだ……ってんなアホな。
……そう言えば最近も今日みたいに寝覚めがいい日があったような気がする。
「そ、それよりも今日は学校へは行かぬのか?」
「……やばっ!?」
かれこれ1時間はここにいた。
ホームルームが始まるのが8時半だからそろそろ出ないと不味い。
慌てて制服に着替えて支度をする。
手袋と自転車の鍵。それとボードとデッキ。
昼の弁当を作る時間がなくなってしまったのは仕方ない。
「ほれ、弁当を忘れているぞ?」
シーツで全面を隠したカドさんが何故か弁当の包みを持っている。
もしかして用意してくれたのか?
「もしかして用意してくれたんですか?」
「まぁな。仕事のせいで久しく料理など出来んかったゆえ、あまり味に期待しないでおくれよ?」
「それでもありがとうございます。それじゃ行ってきます」
そしてカドさんに見送られながら僕は学校へ向かった。
ちなみに弁当は美味しかった。
バイトも終わり帰宅する。
家には人の気配。
てっきり帰ったのかと思ったが、今日はまだいるらしい。
微かに美味しそうな香りが鼻を擽る。
「おや、帰ってきたか少年」
朝と同じ容姿のカドさんが出迎えてくれる。
「今日はまだ居るんですねカドさん」
「仕事に戻ろうとしたところ、ここ最近働きすぎだから休めと言われてなな……」
色々あったみたいだからなぁ……闇のファイターとか闇のファイターとか闇のファイターとか。
そりゃ満身創痍でウチに来るわけだ。
……でもする元気はあるのが怖い。
「まぁ長話もあれじゃからさっさと手洗いうがいをせい。せっかくの夕餉が冷めてしまうからな」
「そうですね。ここからでも美味しそうな匂いがしてお腹が空いてきましたし」
「味はどうだ?」
「お弁当もそうですけどカドさんの手料理美味しいです」
「そうかそうか! 口にあって何よりじゃ!」
夕食を食べ。
「ほれ、吾が背中を流してやろう……♡」
「け、結構d──」
入浴中に襲われて。
「……んっ♡ ……あんっ♡」
そして男女の営み──いや待て待て待て!?!?!?
「な、何で俺は──くっ!!」
「ちっ、そう簡単には行かんか。じゃがまぁ、もう流れは吾のものだな……んあっ♡」
頭部を彼女の胸に埋めさせられる。
これ以上は煩悩が理性を突破して拙いのだが、頭に感じる柔らかな感触と、彼女の膣の締め付けで更に俺の理性は削られてしまっている。
「本当にっ♡ しょ、少年の……んっ♡ 魔羅は凶悪だ……なっ♡」
それに普段の彼女の声よりも色気が凄くて脳が溶けそうだ。
部屋に水音が響く。
明日も学校があると言うのに、抑えが効かなくなってきた。
でも生は拙い!!
「……カドさん」
「な、なんだフツオ──んぷっ!?♡」
彼女の名前を呼んで、俺の頭を胸へ押さえていた手の力が緩んだ隙に彼女の唇を奪う。
そして舌を入れて、その口の中を蹂躙する。
「……ぷはっ。何で急に顔を隠したんですか、カドさん?」
「な、何でもない……っ♡!」
唾液の交換をしただけだと言うのに、彼女は自身の腕で顔を隠した。
今更恥じらうとは先程の余裕は何だったのだろうか?
気のせいか、膣が痙攣しているように感じる。
「もしかして、キスだけで軽くイっちゃったんですか?」
「み、耳元で囁くなぁ……っ♡」
ゆっくりと抽送を続けながら、たちまち弱気になった彼女の耳を攻める。
俺の胸板には彼女の豊かな双丘が、抽送の動きに合わせて押し潰されていた。
「さっきまでの勢いはどうしたんです?」
「ずっ♡ 狡いぞ……あんっ♡ ふ、不意打ち…っ♡ は狡い……っ!!♡♡」
何度身体を重ねているうちに覚えたカドさんの弱い所をあえて攻めない。
その代わり、その付近まで近付けては離れてを繰り返す。
「そ、それにっ♡ 焦らすのも……んっ♡ や、やめてくれ……っ!!♡」
彼女が俺の肩に爪を立てる。
とうとう顔を隠す余裕も無くなってきたようで、代わりにカドさんは密着してきたのだ。
あれほど耳元で囁くのはやめて欲しいと言っていたのに、結局は俺の耳の近くで彼女の喘ぎ声が響く。
そして俺も昂ぶってしまったせいで、目の前にある彼女の肩に歯形を付けてしまった。
「っ!?」
「くぅっ……っ♡ フーッ!♡ フーッ!!♡♡」
お返しに、なのか俺の肩にも痛みが走る。
そして、その噛み跡に這うように、やや粘性のある水分を纏う柔らかな感触。
流石にイジメすぎたようだ。
それに焦らしている分俺も物足りなさはあったし、そろそろ解放されたい。
「……んぐっ!?!?♡♡♡」
彼女のいわゆるGスポットと呼ばれる箇所を攻めてると、さらに噛む力が増した。
そして背中を何度も引っ掻かれ、彼女の膣がうねる。
耳元では荒い鼻息と、噛み付いている際の僅かな隙間から漏れ出る喉からの喘ぎ声。
油断していると一気に持っていかれそうだ。
「くっ……!!」
喉元にまで駆け上がる甘い痒みを我慢しながら腰を打ち付ける。
もにゅんっ、もにゅんっ、と胸で潰れる彼女の柔らかな感触が脳を溶かしてくる。
……そろそろ限界が近いと感じた頃に俺は気付いた。
「ッ!? カドさん!?」
「フーッ♡ フーッ!♡ フーッ!!♡♡」
俗に言う『だいしゅきホールド』と呼ばれている状態、腰を彼女の脚で固定されている。
そして荒い息で俺の肩に噛みついたまま離そうとしてくれない。
「今、ナマでヤっちゃってるんですから拙いですって!!」
「あ、吾は構わ──んっ♡ お前さんの……お゛っ♡ あ、熱い子種を吾の中に……あんっ♡ そ、注ぎ込んでおくれ──〜〜ッ!?!?♡♡♡♡」
「またやってしまった……」
射精後のしばらくの興奮から覚めて僕は頭を抱えた。
ここ最近、カドさんに流されて中に放出してしまうことへの抵抗感が薄れてきている気がする。
だからこそ彼女が恐ろしく感じるが、これも惚れてしまった弱みなのだろう。
そしてカドさんはカドさんで、僕の腕を抱き枕にしてすっかり寝落ちしてしまっていた。
「……普段よりも大人な雰囲気のせいで今夜の交わりは新鮮だったな」
僕はロリコンでは無かったはずだったんだけど、ここまで来たら認めざるをえないだろう。
まぁ、カドさんは厳密に言えばロリでも合法の方なんだけど。
それが唯一の救いなのかもしれない。
「そういえばカドさん、いつまでこの姿のままなんだろ……。流石にそろそろ抑制しないと本格的に拙い気がしてきた」
具体的にはカドさんがウチに居る間は退廃的な性活になりそう。
だから明日の朝しっかりと伝えないとなぁ……。
翌朝、頻度を減らしてくれないか頼んだら、代わりに月一で12時間から24時間するならばと脅された。
幻覚