※この作品はR-18です。

ToLOVEる 生まれ変わった意味を探して   作:雪だるま2世

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すみません。お待たせしました。


Convey your feelings~変えられない過去、変わる未来~

俺が18歳の時、俺に腹違いの妹がいる事を知った。

 

「…あれが、桐生夏海」

 

当時の桐生夏海は15歳、まだ彼女は中学生だった。

半分血の繋がった俺の妹…彼女がどんな生活をしているのか、どんな子なのか…気になった。

 

「…幸せそうだな」

 

友達と幸せそうに笑う彼女を見て、なんともいえない気持ちが込み上げてくる。

幸せそうで良かったという想いと何故、俺から全てを奪ったあの男の娘はこんな幸せそうなのか…という複雑な想い。

 

「会わねェのかァ?」

「…必要ない」

「んだよォ、ここまで来たのに合わねェのかよ」

 

見ているだけの俺に着いてきたハウンズのトップクラスに強かった男──早乙女太陽(さおとめたいよう)

俺に負けた日から、ことある事に戦いを挑む早乙女は、その日は俺に着いてきていた。

 

「…なぜ、あんたが着いてきた?」

「仕方ねェだろ?教官から子守り頼まれてんだからよォ」

「…俺は子供じゃない」

「ガギだろ、腹違いの妹に会う勇気すらねェただのガキだ」

 

教官に頼まれて着いてきた早乙女は、あの時の俺を見てなぜ会いに行かないのか理解できない顔をしていた。

 

「っておい!雨宮ァ、マジで帰んのかよォ!」

「…うるさい、腕を離せ」

 

帰ろうとする俺に手を掴む早乙女、振りほどこうとするが、早乙女が筋肉ゴリラってこともあって中々、振りほどくことが出来なかった。

 

「おっ!見ろや!来たぜェ!」

「……」

「話しかけてこいよォ、後悔しないためになァ」

 

こちらに向かって歩いてくる、桐生夏海。

早乙女に背中を押された俺は、彼女の進行方向へと押し出されてしまった。

 

「……」

「──でね、プレゼントに駿が大好きな特撮の───」

 

前を歩く桐生夏海とすれ違う。

あの時の俺はなんて話しかければいいか、分からなかった、自分の正体を知った彼女がどんな事を思うのか、考えたくなかった。

すれ違った桐生夏海の後ろ姿を見て、立ち去る俺に早乙女は″話しかけねェ事、後悔すんなよ″と言ってくる。

実際、早乙女の言った通り俺は後悔する事になった。

 

「…さて、この部屋を整理しようか、優斗」

「…そうだな」

 

6年後、俺が24歳の時にハウンズに入団した駿はたった一年で死んだ。駿は当時21歳、若く入隊して優秀だった後輩の人生は月城と桐生夏樹によって簡単に終わってしまった。

 

「……」

「……」

 

俺と輝は無言で部屋を片付けていた。

駿の遺品の整理といっても駿の家族は惨殺されてしまっていた為、渡す相手は居ない。

 

「っ!優斗、これ!!」

「…それは?」

 

輝が見つけたのは、綺麗に包装された箱とメッセージカード…恐らく誰かへのプレゼント。

 

「夏海へ、ハッピーバースデーだってさ」

「…その箱、見覚えがある」

「どこで見たんだい?」

「…前の任務でイタリアに行っただろ、そこで駿が買っていた」

 

前の任務でイタリアに行った時、駿はプライベートの時間にそのプレゼントを買っていた事を俺は覚えていた。

 

「渡しに行こう、優斗」

「…俺には無理だ」

「え?どうして?」

「…俺には、桐生夏海に会う資格はない」

 

駿は俺のせいで死んでしまった、そんな俺が駿の恋人だった、桐生夏海に会う資格なんてない…そう思ってしまった。

 

「…会う資格は無くても、渡す資格はある」

「……」

「いや、駿の先輩である僕達が渡さないといけないんだ」

 

輝の言った通りだ、どれだけ会う資格がなかったとしても渡さないといけない。

だって、俺達の大切な後輩なんだから…

 

「…わかった」

「じゃあ、すぐに行こう」

「…待って、それならいくつか遺品も持っていこう」

 

親族では無い為、桐生夏海に全ては持っては行けないけど、いくつかなら渡しても問題はないはず…そう思った。

 

「…死んだ人にはもう二度と会う事が出来ない、だからこそ…その人を思い出す為に…心に刻み、綺麗な思い出にする為に形見は必要だ」

「そうだね、いくつか持っていこうか」

 

スマホについた犬のストラップを見つめる俺に輝はそういうと他にも渡せそうな物がないか探し始めた。

 

駿の部屋の整理を終えて、遺品とプレゼントを持った俺と輝は桐生夏海の元を尋ねた。

 

「初めまして、虹崎輝です」

「…雨宮優斗です、晴野駿さんの遺品をお渡しに来ました」

「…駿の遺品…嘘だよね…嘘だ…」

 

渡したのは駿が死んだ一週間後、桐生夏海は駿の死を受け入れる事ができていなかった。

 

「…死んでない…だから、遺品なんて言わないで…」

「……」

「駿は…まだ生きてる…だって死体はまだ見つかってないっ!」

「優斗っ!?」

 

桐生夏海は遺品と言って説明した俺の胸ぐらを掴む、その顔は憎しみと憎悪と悲しみで染まっていた。

 

「…生きてる!駿は生きてる!!」

「…晴野駿さんの部屋を探していた時…こちらを見つけました」

「……」

「…受け入れられない気持ちは、痛いほどわかります。ですが、せめてこれだけは受け取ってください」

「駿が…僕達の大切な後輩が生きていた証なんです」

 

俺達が渡した遺品とプレゼントを受け取る桐生夏海はそのままプレゼントを開け始めた。

 

「…ペンダント」

 

入っていたのは、お互いのイニシャルが刻み込まれた二つペンダント。

駿は二つのうち、片方のペンダントを身につけてペアルックにするつもりだったのかもしれない。

 

「…どうして駿は死んだの?」

「崩落による事故死です」

「…嘘つかないで、それだと駿の両親が殺された理由が分からない」

「……」

「先輩なんだから、知ってるんでしょ!答えて!なんで駿は死んだの!」

 

この時の俺は答える事ができなかった。

…きっとここが分岐点だった、この時、桐生夏海に真実を話していれば、未来は変わっていたかもしれない。

 

 

~優斗side~

 

「俺には、桐生夏海に真実を告げるタイミングが二度もあったのに全てを逃した」

「…優斗」

「ちゃんと話していれば、彼女が復讐鬼になる事もなかったかもしれないのにな」

 

俺は前世で何度選択を間違えたか分からない。

違う選択をしていれば、救えたかもしれない命だってある。

 

「…過去は変えられない、でも未来は変えられる」

「……」

「生きているうちにしか伝えられない事がある。失ったり、過ぎた後じゃ遅いから…だから、ヤミは俺みたいに後悔しない選択をしてね」

 

俺に言えるのはこれだけ…ここから先はヤミがどうするか次第…

 

「じゃあ、俺は行くよ」

「…少しだけ、会ってみてもいいですよ…」

「…え?」

 

俺がベンチから立ち上がってその場から離れようとすると、ヤミに袖を捕まれる。

 

「…ヤミ」

「…少し会うだけです…ただし、あなたも一緒に来てください」

「俺も?」

「…はい…私一人では、きっと逃げてしまうから…」

 

一瞬、ヤミの深紅の瞳が揺らいだ。

ヤミはまだ、ティアーユ先生に会うことを躊躇っている…もし俺が着いていく事で、二人が昔の様な関係に戻れるのなら、俺は喜んでついて行こう。

 

「わかった、一緒に行こう」

「…っ!はい…ありがとうございます、優斗」

 

俺はヤミに手を差し伸べるとヤミは笑顔で伸ばされた手を掴む。

…次の授業まで時間はある…今なら、まだ間に合うな。

 

「ティアーユ先生を探しに行こうか、ヤミ」

「…隣にいてくださいね」

「わかってるよ」

 

ティアーユ先生を探す為に俺達は歩き出す。

俺とヤミは手をつなぎながら、廊下を歩いていた為、周りからの嫉妬の目が痛かったが、そんな事はどうでもよかった。

 

「…いた」

「……」

「ヤミ、準備は良い?」

「…大丈夫です」

 

俺達の前を歩くティアーユ先生。

ヤミから大丈夫っと聞いた俺はティアーユ先生に話しかけた。

 

「ティアーユ先生」

「きゃっ」

 

俺が後ろから話しかけると、ティアーユ先生はビクッと飛び上がる。

…後ろから話しかけるのはまずかったか?

 

「…あれ?メガネ…メガネどこぉ…」

「ティアーユ先生、すみません。驚かせるつもりはなかったんです」

「その声、もしかして…時雨くん?私の方こそ驚いてしまってごめんな───っ!!?」

 

ティアーユ先生にメガネを渡しながら謝罪すると、メガネをかけたティアーユ先生は俺の隣に居たヤミを見て驚いた。

 

「…イヴ」

「……」

 

ティアーユ先生を見て無言になるヤミ。

ヤミは緊張しているのか、俺と繋いでいる手の力が次第に強くなっていく。

 

「…ヤミ、大丈夫…俺がいる」

「っ!?」

ヤミが落ち着くように…怖くない様に俺は優しく話しかけると繋がっていた手の力も次第に弱くなっていった。

 

「…ティア」

「っ!」

「私は…」

「うっひょ───!ヤミちゃんはっけーん!おや!あれはティアーユ先生!これはパラダイス予感ですぞ───!」

…このクズ野郎がヤミが勇気を出して話そうとしたタイミングで邪魔しやがって。

俺はヤミの言葉を遮ってパンツ一丁になった校長に向かって殺気を飛ばす。

 

「邪魔するな、校──」

「ヤミちゅーあん!ティアーユ先生───っ!わしとぺろぺろして───っ!!」

 

この校長マジか!ここまで殺気を飛ばしてるのに止まる気配がない。

 

「…邪魔ですね」

「あぁ…本当にな」

 

ヤミがトランスで拳を構え、俺は回し蹴りの構えをとる。

…もう充分楽しんだだろ?いい加減に捕まれよ、校長。

 

「っ!イヴ!時雨くん!逃げましょう!!」

「「…え?」」

 

俺とヤミが変態校長に攻撃しようと構えていると、ティアーユ先生が俺とヤミの手を引いて走り出す。

いや、ティアーユ先生…あの変態なら蹴り飛ばせば一瞬で終わるんですけど…

 

「…イヴ!今度こそ、私が絶対に守るからっ!」

「…っ!」

 

今の言葉を聞いてわかった、今のティアーユ先生は生半可な気持ちじゃない、本気でヤミを校長から守ろうとしている。

…そしてその事にヤミも気づいたらしい。

 

「どうする、ヤミ?」

「──────」

「…わかった」

 

ヤミは口パクで″ティアに任せましょう″と微笑んだ。

トランスを解除したヤミはティアーユ先生に引かれた手を見ながら、何かを懐かしむように笑っている。

…俺、要らなかったかもな…

 

「あっ!ユウトにヤミちゃんだ!そんなに走ってどうしたのー!?」

「…見ての通り、校長から逃げてる」

 

″へぇー二人が逃げるなんて、めずらしいねぇー″と言ってデダイヤルを操作するララさん。

…まて、ララさん何をするつもりだ?

 

「手伝ってあげるね!ユウト!!」

「…いや、別に手伝わなくても」

 

ララさんがデダイヤルの操作を終わると、俺の腕に装着される謎の腕輪。

…これ、何?なんかすっごい嫌な予感がする。

 

「よし!ぴょんぴょんワープくん装着完了だね!!」

「っ!?まってそれ確かヤバいやつじゃ…」

「大丈夫!前より改良してあるから♡」

 

ララさんがそう言った瞬間、腕輪から″ピッ″っと機械音がなってぴょんぴょんワープくんが起動する。

俺とヤミとティアーユ先生の身体を光が包み込んだ。

 

「っ!?」

「きゃっ」

「うぐっ」

 

光に包まれてどこかへワープした俺は目を開くが、周りは何も見えず真っ暗だった。

…ワープしたのか?でもその割にはなんだか柔らかいものに当たってるような気がするし、アソコもなんか変な感覚…いや待て…まさか!

 

「あ…んっ…やあぁ…」

「ちゅっ…んっ…優斗」

「……」

「だ…っだめぇ」

 

地面に倒れた俺の上で身体をビクッとさせる全裸のティアーユ先生。

…俺の視界が真っ暗だったのは、俺の顔にティアーユ先生のおっぱいがあったから…そしてアソコが変な感覚がするのは…

 

「…朝までたっぷりと私が搾り取ったのに、まだ勃ちますか」

 

全裸のヤミがワープした拍子に俺のアソコを咥えてしまっていたらしい。

…ヤミさん、ティアーユ先生なんでそんな事言わないでください。

 

「…すみません、ティアーユ先生。すぐに離れます…」

 

俺は急いでアソコを隠しながら、二人から離れるとヤミは少しだけ残念そうな顔をしていた。

ヤミは昨日俺の散々犯したのにまだ満足してないのか?

 

「い…いつの間に脱がせたの…!?」

「…そんな技術は俺にはありませんよ」

 

ヤミとティアーユ先生の身体を見ないように背中を向ける。

そんな技術持っているのはリトくらいだ…てか、なんで俺がリトみたいな事になってるんだ。

 

「で…でも、私…そういう事はよくわからないし…まだ時雨くんにはあったばかりだし…その…」

「…お願いだから話を聞いて下さい」

 

混乱していて全く俺の話が入らないティアーユ先生。

…ダメだな、今は何を言っても無駄か。

 

「…え?イヴ、あなたの股からなにか白いのが垂れてるわ?」

「…愛の結晶です」

「…愛って…それに時雨くんの身体もいっぱい跡がついていたような…」

「…ただの虫刺されです、気にしないでください」

 

ティアーユ先生は俺の腕や首、身体全体につけられていたキスマークを見ていた様だ。

…ヤミに対して幾つかツッコミたいことはあるが、今はとりあえず、ティアーユ先生にキスマークって気づかれないでよかった。

 

(…あなたの妹につけられましたなんて、死んでも言えない)

 

とりあえず、ララさんに連絡して、俺達の服を───

 

「優斗さん──っ!服持ってきましたよー!」

 

声がする方を見るとモモが俺達の服を持ってこちらに向かってきていた。

…とりあえず助かったな

 

 

「助かったよ、モモ」

「いえいえ、気にしないでください、優斗さん♡」

 

モモから制服を渡された俺は、何故かモモの目の前で着替えている。

 

「…随分たくさんキスマークをつけられましたね」

「……」

「どうやら、かなりお楽しみだったとか…」

 

別に楽しんではないんだけどな…

モモに見られながら、ワイシャツのボタンを留める。

 

「美柑さんに初めてを取られてしまったのは、この際…100歩譲って仕方ないとしても…二番目はハーレム計画を立案した私が貰うべきじゃないですか?」

「…モモさん、顔怖いよ」

「…それなのにヤミさんに取られてしまうなんて…それにあんな写真まで…」

 

…写真?何の話だ───まさか、ルナに撮影させた動画の一部を写真にしたんじゃないよな?それにモモに見せたのか?

 

「…モモ、今はそれより…ほら、再会した二人を見守ろう…」

「声が震えてますよ、優斗さん」

「……」

 

とりあえず、写真の件は一回忘れよう、俺の勘違いかもしれないからな…

思考を放棄した俺はヤミとティアーユ先生を見る。

 

「元気そうでよかったわ、イヴ…」

「今の私は″ヤミちゃん″です、もう昔の私ではありません」

「!そ…そうだったわね」

 

ヤミとティアーユ先生の間には、まだ壁があるが俯いたヤミの表情は″ヤミちゃん″と言った時少し笑っていた気がした。

 

「…やっぱり…怒っているわよね…あなたを置き去りにした事……」

「……」

「あの時…組織から抹殺されそうになって…あなたを連れて逃げようと思った…」

 

…きっとその時にはもう遅かったんだろうな。

月城にとってヤミは初めて成功したトランス兵器、どんな手段を使っても逃がすはずかない。

 

「でもそんな事、クラウンにはお見通しで…私は罠にハマって気づいた時には閉じ込められていて…暗い部屋で死ぬのを待つことしかできなくなったわ…」

 

…やっぱりな…それにしても罠ね、あの月城ならやりそうな事だな…でも、それならどうやって…

 

「その後、閉じ込められた私をマーレ先生が助けてくれて、二人で逃げるのが精一杯だった…」

「……」

「組織が壊滅してもクラウンが生きている以上、下手に動くことが出来なかった″私達″はバレないように素性を隠しながら、星々を転々としているうちに″金色の闇″のウワサを知った…信じたくなかった」

 

ティアーユ先生が金色の闇の話を聞いた時の絶望は計り知れなかっただろうな。

自分にとって妹の様な存在が、殺し屋に身を落としてしまっていたから…

 

「明るく優しかったあなたが…どれだけ絶望したらそんな生き方にたどりつくのか…」

 

ティアーユ先生は泣きながら″ゴメンね…ゴメンなさい…″と謝り続ける。

…ずっとティアーユ先生は後悔していたんだろうな。

 

「…どうでもいいんです、そんなコト…」

 

ティアーユ先生の謝罪を聞いてヤミは口を開く。

 

「あなたに謝られても″過去は変えられない″それに金色の闇としての自分も否定するつもりはありません」

「あ…待って!」

「…それに金色の闇になったから、私は″ヤミちゃん″になれた…殺し屋をしていた過去はどう足掻いても変えられませんが、ヤミちゃんとして…″人として生きる未来は変えられます″」

「…え?」

 

ヤミの言葉を聞いて驚くティアーユ先生。

人として生きる未来は変えられると言った時のヤミの顔は、とても笑顔で少し前まで自分の事を兵器と言っていたのが嘘みたいに思えてしまう。

 

「…大好きな人が私にそう教えてくれたから…」

「…イヴの大好きな人?」

「だから今、私が思う事はたった一つだけ…」

 

ヤミは振り返ってティアーユ先生を見る。

 

「あなたが生きていてよかった」

「…え?」

「それだけだよ、ティア…」

 

ヤミはそういうとトランスで翼を広げて空へと飛び立った。

 

「あらら、行っちゃいましたね」

「……」

「もっとわかりやすく抱きついたりすればいいのに…」

 

…いや、十分進歩だよ、モモ。

さっきまでヤミはティアーユ先生に会うつもりはなかった、それなのに勇気を出して、ティアーユ先生に自分から会いに行ったんだから。

 

「仕方ないわよ」

「御門先生」

「お互いに後ろめたい気持ちがあるからね…それに一度離れてしまった心の距離を取り戻すのは簡単じゃないわ」

 

御門先生と村雨さんが俺達の後ろから現れる。

確かに一度離れてしまった距離を取り戻すのは簡単じゃない…でも、確かに今日、二人は昔の関係に戻る為のきっかけを一つ手に入れた。

 

「…けど、いつか戻りますよ…」

「え?」

「…確かに時間はかかるかもしれませんけど、今のヤミなら、きっと───昔の二人に戻る事ができる…俺はそう信じてます」

「…優斗さん」

 

確かに時間はかかるだろうが、二人は昔の様に関係に必ず戻れる。

 

「あ!私のクラスは次の授業が移動教室でした!優斗さん私は先に戻りますね」

 

″昨日の事は後でお聞きしますから″と言ってモモは走って教室へ戻っていく。

…昨日の事は話したくないな…

 

「…ティアーユ先生」

「…時雨くん」

 

ヤミが飛んで行った空を見て泣いていたティアーユ先生に近寄り話かける。

 

「…よく頑張りましたね」

「…え?」

「自分の思いを相手に伝える事は、とても勇気が居る事ですから…」

 

俺はティアーユ先生にハンカチを手渡しながら言うとティアーユ先生は″ありがとう、時雨くん…″といいながら、ハンカチを受け取った。

 

「…もしかして、時雨くんがイヴを───ヤミちゃんを変えてくれたの?」

「俺はきっかけを与えただけで、変わったのはヤミ自身ですよ」

 

ティアーユ先生は受け取ったハンカチで涙を拭きながら聞いてくる。

変えたのは俺じゃない…ヤミが自分で人としての未来を切り開いたんだ。

 

「もし、ティアーユ先生がヤミの事で困ったり、聞きたい事があるなら相談に乗りますよ」

「…どうして?」

「え?」

「…どうして、そこまで助けてくれるの?」

「誰かを助けるのに理由なんていりますか?」

 

俺の言葉を聞いてポカンとするティアーユ先生。

…俺はそんな変な事を言ったか?

 

「…まあ、強いて言うなら、ヤミとティアーユ先生に笑っていて欲しいから…ですかね」

「…え?」

「…だから、泣いてないで笑っていてください」

 

…きっとヤミも泣いているティアーユ先生の顔なんて見たくないはずだから…

 

「泣いた顔より授業の時にみたいに笑っている、ティアーユ先生の方が俺は好きですよ」

「───っ」

 

ハンカチで涙を拭いていた、ティアーユ先生の顔が少し赤くなる。

それにきっと、泣いていたり、怒っているより…笑っていた方がずっと幸せだから…

…流石にそろそろ、教室に戻らないとまずいな。

 

「…すみません、授業があるので俺はこの辺で…」

「…えっ!?えぇ…あっ!ハンカチ!」

「気にしないで使ってください、それに返さなくていいですよ」

 

涙が拭き終わっていないのにハンカチを返そうとするティアーユ先生に俺は返さなくていいと伝えて歩き出す。

そこら辺で売ってる物だし、ハンカチなら家にまだあるからな。

 

「…女たらし」

「…御門先生、そんなんじゃないので、変な事言わないでもらっていいですかね?」

「ティアの事も誘惑しておいてよく言うわね、優斗くん」

 

御門先生とすれ違うタイミングで、怒ったような視線を向けられる。

…いや、思った事を言っただけなんだけどな。

 

「まあいいわ、私はティアと話してくる」

「私は少し御門先生のお手伝いをしますので、優斗さんは先に行っていてください!」

「わかったよ、村雨さん」

 

あとはティアーユ先生の事は、彼女をよく知っている御門先生に任せよう。

 

(それにしてもマーレ先生か…)

 

月城からティアーユ先生を救出した女性…

 

「…やっと見つけた、ダーリン♡」

「っ!?」

 

考え事をしながら教室に向かって歩いていると後ろから、誰かが抱きついてくる。

…この声は、里紗か?

 

「ダーリンはやめてくれっていつも言ってるだろ…里紗」

「えー!いいじゃーんっ!」

「良くない」

 

ダーリンと言われる度に周りの男子からどんな目で見られるか…最近クラスの男子は一切俺に近づかないし…話しかけようとすれば″けっ!色男はいいよなっ!″と言われてしまう。

…出来れば、リトや猿山以外にもっと男友達も作りたいんだけどな…

 

「…ねぇ、あんたに見せたいものがあんだけどさ、屋上きてくんない?」

「え?でもこれから授業だぞ…それにここで見せれば…」

「あんな写真、こんなとこで見せらんないっしょ」

 

…あんな写真?ここじゃ見せられない?里紗はなにを見せるつもりなんだ?

 

「ほら、行くよ、ダーリン」

「…いや…ちょっ!授業は───!?」

 

この時点で俺は気付くべきだった、普段と明らかに様子が違った里紗に…

俺の腕を引っ張り、里紗は屋上へと階段を駆け上がっていく。

屋上に着くと何故か里紗はドアの鍵を閉めてた。

 

「…それで見せたいものって何?」

「…これなに?」

「ッ!?」

 

里紗は俺に数枚の写真を俺に見せてくる、それは昨日、ヤミに犯された時の写真。

 

「…これは…っ」

 

言葉が出ない…俺はこんな顔をしていたのか。

…後半ぐらいの記憶が無いとはいえ、これは…

 

「なっ…里紗っ!何をっ!?」

「…へぇ、ホントにヤミヤミの言った通りだったワケか」

 

里紗は胸ぐらを引っ張りワイシャツのボタンを外す、身体についたキスマークを見ると、里紗は俺の耳元に顔を近づけた。

 

「…あんたさ、童貞を美柑ちゃんに奪われたんだってね?」

「っ!?なんで知って───」

「それに随分楽しい夜を過ごしたみたいじゃん」

 

俺に写真をひらひらと見せつけながら、耳元で囁く里紗。

 

「違うっ!これは命令でっ!」

「…こんなん見せられてさ、あたしが我慢できると思う?」

「…まさか」

「今からここであんたの事を犯すから」

「待て!ここ学校っ!見つかったら───むぐっ」

 

里紗のディープキスによって口を無理やり塞がれる。

俺は里紗にキスされながらも、屋上から逃げようと扉を開けようと手を伸ばす。

 

「んっ──────ぅっ…逃げるなよっ…んっ───」

 

ドアに伸びた手を恋人繋ぎで掴まれて、俺をそのまま屋上の床に押し倒された。

 

「美柑ちゃんやヤミヤミじゃ味わえないくらい、最高の快楽を教えてやんよ♡」

 

授業が始まる予鈴と共にベストを脱いでワイシャツをはだけさせた里紗は、俺のワイシャツを無理やり脱がせ始めた。

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