ToLOVEる 生まれ変わった意味を探して 作:雪だるま2世
「…大好きだぜ、ダーリン」
里紗の言葉と共に授業の終わりを告げるチャイムが学校に鳴り響く。
「…皆が来る前に着替えて行くよ」
「いいじゃん、別にバレても」
「バレたらやばいでしょ」
さっきの里紗の喘ぎ声は間違いなく下の教室まで聞こえていた、このままだと声を聞きつけた、唯やモモが絶対に来る。
唯や紗弥香に関しては、俺と里紗が居ない事に疑問に思っているはず…皆が来る前に早く行かないと絶対まずい。
「…ほら、行くよ───って何をっ!?」
「…ちんぽがベタベタな状態でズボン履けないっしょ?あたしがお掃除フェラで綺麗にしてやるよ…はむっ…」
隣にいた里紗は小悪魔の様な笑みを浮かべて俺のアソコを咥えだす。
「…っ!?もう、時間ないって言って…ぐっ!」
「…じゅる…♡くちゅ…♡じゅる…♡」
里紗はまんこから精液を垂らしながら、無我夢中で俺のアソコにフェラをする。
…やばいっ…このままだと…皆にバレて…
「…じゅるっ♡じゅる♡じゅるっ♡♡」
「…っ!」
「ちょうあい…♡あんあのえいえき…♡」(ちょうだい…♡あんたの精液…♡)
俺の限界が来ている事を察した里紗は激しくフェラをしながら笑う。
…このまま…好きにさせるか…っ!
「ぐっ─────────っ!!!」
「──────っ!!? …ゴクッ…♡ゴキュッ…♡ゴクッ…♡」
俺は激しいフェラをする里紗の頭を掴んで思いっきり中に射精する。
「ぅ…ゴクッ…♡ゴクッ…♡ぅぅ…ゴクッ───…ぷはっ…あんた…どんだけ出すのよ…それに頭掴むとか…ちょっと強引じゃない♡…ダーリン♡」
「…悪かったな」
「…あたし、あんたのそういう強引な所も好きだわ♡」
フェラを終えた里紗は、唇についた精液を舐め取りならが笑う。
…頭を掴んだのは少し強引すぎたな…
「くっくっくっ…あたしのお陰で綺麗になったでしょ?」
「…そうだな」
精液と愛液でベタベタだった俺のアソコは里紗のフェラのお陰でたしかに綺麗になっていた。
「…里紗のは…どうする」
「何が?」
「いや、俺の精液で凄いことに───」
「このままパンツ履くけど?」
「…マジで?」
乱れたワイシャツやズボンを履きながら里紗に聞くと、里紗は″あんたの精液掻き出すわけないでしょ″といいながら、嬉しそうに笑っていた。
「あたしとあんたの子…どんな子が生まれて───」
「最初に優斗さんの子供を産むのは私ですよ、籾岡さん?」
「…最悪だ」
声のする方へ視線を向けると、屋上の扉の前に顔は笑っているがありえないほどの殺気を放つモモと、里紗のまんこを見ながら″里紗…優斗とセックスしたの…?″と言って黒いオーラを放つ紗弥香と俺と里紗を見て口をもごもごさせながら、今にも″ハレンチなっ───″と叫びそうな唯が居た。
…本当に最悪だ…寄りにもよって、この三人か…これは詰みだな…諦めたほうがいい…
「優斗も里紗も授業中いないと思ったら、屋上でセックスしてたんだ…」
「籾岡さんの声…教室まで聞こえてましたよ…優斗…キスして…口塞いでっと随分と楽しそうな声が…」
俺達を見て笑う紗弥香とゆっくりとこちらに歩み寄ってくるモモ…
…まずい、これは本当にヤバいっ!
「…嫉妬かぁ?モモちぃ、紗弥香」
「「……」」
「あたしは優斗にたくさん愛してもらったぜ?」
「「「っ!!?」」」
里紗はお腹を擦りながら煽る、それを見た三人の顔は怒りや嫉妬で歪み、明らかに怒っていた。
…里紗さん、あなたね…普通この状況で煽りますかね。
「あたし、今日は危険日なんだ」
「「「「っ!?」」」」
「あたしとダーリンの″赤ちゃん″はどんな子が生まれると思う?ダーリン♡」
俺の腕を抱きしめながら、とんでもないカミングアウトをする里紗。
「…籾岡さん」
「なに、モモちぃ──────むぐっ!!?」
里紗がモモの方を振り向いて口を開けた瞬間、モモは里紗の口に何かを入れる。
今のもしかして、美柑に飲んでもらったアレか?
「─────────ゴクッ…」
「ふふふ…しっかり飲みましたね、籾岡さん」
「───…ちょっ…モモちぃ今なに飲ませ───」
「デビルーク製のピルですよ、籾岡さん♡」
「なっ!?」
モモは悪魔の様な笑顔を浮かべながら里紗に言うと俺の方を向く。
…え、俺もしかして…刺される感じ?
「優斗さん」
「…はい」
「…次は絶対に私ですよ?」
「っ!」
「徹底的に犯しちゃいますからね♡」
俺の胸板を指でなぞり、舌を目ずるモモはそう言うと、屋上の扉の方へと歩いていった。
「…モモちぃってあんな顔するんだ…」
「うん、見てるこっちが怖かった…」
「……」
…なんだろう…美柑の次に怒らせては行けない人を怒らせた気がする。
里紗と紗弥香も怖かったのか、いつもの様に話し出す。
今はそんな事よりも里紗に聞かないとな。
「…里紗、危険日っていうのは…」
「え?あーあれ?ウソに決まってんじゃん!モモちぃと紗弥香と唯に牽制したかっただけ…まあ、あんたの子が欲しかったのはホントだけど…」
「里紗っ!そんなの絶対ダメ!私だって───」
…里紗、その牽制が無ければ、状況はもう少しマシだったよ…
「まあ、あたしも優斗のハーレムに入るんだし、これからセックスする機会なんていくらでもあるっしょ」
「…え?優斗のハーレム?」
戦争かってくらい地雷をばらまく里紗。
頼むからこれ以上地雷を巻くな、このままだと唯が…
「…ハーレムっ!…ハレンチなっ───っ!!!」
肩をプルプルと震わせた唯が叫び出す、その声は学校中に…いや、やまびこの様に辺りに反響していた。
…遅かったか。
◇
~メアside~
授業が終わった後、わたしはナナちゃんと一緒に廊下を歩いていた。
「な…なぁ、メア…さっきの授業中…優斗って声と変な声聞こえなかったか?」
「ナナちゃんの気のせいじゃない…」
「…で…でもさ…あたし聞こえた気がするんだよ!それにモモのヤツも屋上に行ったぽいし…」
隣を歩くナナちゃんは優斗せんぱいが心配なのか、そわそわしている。
ナナちゃんの言う通り、確かに授業中に優斗せんぱいを呼ぶ声とエッチな声は聞こえてきてた。
優斗せんぱいがナニをしていたのか、興味が無いわけじゃないけど、今のわたしはそれよりも気になる事があった。
(ティアーユ・ルナティーク…)
わたしの視界の先にいる教師…ティアーユ・ルナティーク…今のわたしにとってはこっちの方が最優先事項…
───どういう人なの?マスター
───金色の闇の兵器としての生き方を否定し、愚かにも″人としての道″を歩ませようとした女だ
……だとしたら、わたし達にとって邪魔な人…″デリート″した方がいいんじゃないの?マスター…
「!」
「行こ、ナナちゃん」
「な…何だよメア、やっぱり優斗の事が気になるのか?」
急に手を引かれて驚くナナちゃん、わたしはその言葉を無視して教室に向かって歩いていくと屋上から″ハレンチなっ──────″って言う声が聞こえてきた。
「…今の…なんだろ?」
「…コテ川の声だな」
…あーあ、やっぱり優斗せんぱいの方も気になるなぁ…そっちに行けばよかったかな…
屋上に行けばよかったと後悔しながら、わたしはナナちゃんを連れて教室に戻ると屋上から戻ってきていたモモちゃんは自分の席に座っていた。
「あ、おい!モモっ!屋上に行ったんだろっ!優斗はいたの───っ!!?」
ナナちゃんの言葉が途中で途切れる、その理由はモモちゃんの様子が明らかに不機嫌だったからだ。
「な…なぁ…モモ…優斗は───」
「…あら、ナナ、今はその話しないでくれる?」
ドスの聞いた声でわたしとナナちゃんにしか聞こえない様に言うモモちゃん。
何この殺気…素敵…だけど、せんぱいは屋上でナニをしてたのかなぁ?
残りの休み時間、わたしは不機嫌なモモちゃんを見ながら、優斗せんぱいが屋上でどんなエッチな事をしていたか考える事にした。
◇
~優斗side~
「そうですか、ティアーユ先生でも黒咲さんやマスターについては分からないんですね」
「えぇ…私も組織に居た頃、進められていた計画の全てを知っていた訳じゃないの」
唯や紗弥香に散々怒られた後、廊下でティアーユ先生を見つけた俺は、誰もいない理科準備室で話していた。
「でも…黒咲芽亜って娘がヤミちゃんの開発データを基に作られた第2世代だというのは確かだと思う」
「……」
「トランス兵器の量産…それはクラウンが…ヤミちゃんを作った研究者の最終目標でもあったから…」
…研究者に…量産ね。桐生夏樹や昔の月城の目的はきっとそうだった、だけど、今の月城の目的は違うはず…
「マスターについては…今の段階では憶測しかできないわ、彼なのか、それとも……」
「…月城では無いと思いますよ」
「…え?」
「俺達に正体がバレている月城なら、きっともっと慎重に動くはず、俺やヤミの前で″金色の闇を殺し屋に戻す″なんて目的は言わないですよ」
…あのお喋り野郎がそんな事するとは思えない
「時雨くん、月城って誰?」
「…はい?」
ティアーユ先生の言葉を聞いた俺は驚愕する。
冗談…じゃないな、まさか、御門先生から俺の前世や月城の事を聞いてないのか?
「…ティアーユ先生は俺の過去を御門先生から聞いてないんですか?」
「…え?…えっと時雨くんの過去?…何の話?」
ティアーユ先生は俺の話を聞いて首を傾げる。
…御門先生はなんでティアーユ先生に俺の過去を話さなかったんだ?
「…落ち着いて聞いてくださいね、ティアーユ先生」
「えぇ、わかったわ…」
「俺には前世があります」
「…え?」
俺はティアーユ先生に前世の話を始める、俺と月城との関係、トランス兵器の実験が元々は俺がいた世界で作られていた話など、俺は全てを話した。
「…以上が俺の前世の話です」
「……っ」
ティアーユ先生は俺の過去を聞くと両手を重ねて握りしめる。
…こうなるのも仕方ないか、話した内容としては、どれもかなり重い話だからな…
「…そして今の月城──クラウンは″トランス能力を使う事ができます″」
「…え?」
月城がトランス能力を使える事を聞いて″そんなのありえない…″と驚くティアーユ先生。
「ナノマシンに身体が耐えられるはずがないわ」
「…どうやってトランス能力を手に入れたか俺には分かりませんが、今のクラウンの目的は″トランス兵器の量産じゃない″おそらく″力を手に入れる事だと思います″」
もし、最終目標がトランス兵器の量産なら、自分自身の身体をいじってトランス能力を植え付ける必要がない。
「…そして、クラウンはヤミを狙っています」
「ヤミちゃんを?」
───イヴちゃんの覚醒の為、本当は優斗くんを殺すつもりはなかったんだけど~代わりはまだいるみたいだしーいいよね~?
俺はタイムレインズの戦いで月城が言った言葉を思い出す。
「ヤミを覚醒させて、クラウンは何かをするつもり見たいです」
「…覚醒」
「…思い当たる事とかありませんか?」
「…まさか───」
思い当たる節があるのか、ティアーユ先生は一瞬下を向いて考え込む。
…あるんだな、思い当たる事が…
「大丈夫ですか、ティアーユ先生?」
「っ!ごめんなさい…分からないわ」
俺達に話したらまずい事なのか、それとも憶測で分からないのか。
「…ティアーユ先生、これを渡しておきます」
「コレってナイフ?」
俺はデダイヤルを操作して鞘に入ったナイフを取り出してティアーユ先生に渡す。
…護身用に無いよりはきっとマシなはず。
「何かあった時に護身用で使ってください」
「でも───」
「月城…クラウンやマスター側がティアーユ先生になにか仕掛けてこないとも限りらないですから…」
「…時雨くん」
「それにティアーユ先生に何かがあったら、ヤミが悲しみますよ」
ナイフを受け取ったティアーユ先生はナイフを両手抱えて俺を見る。
「ありがとう…嬉しいわ、時雨くん。あのコに…あなたみたいな頼れる友達がいて」
ティアーユ先生は笑顔で言う、昼休みに泣いていた時とは違ってとても綺麗な笑顔だった。
「…俺としてもティアーユ先生にはそうやって笑っていて欲しいので…」
「…え?」
「何かあったらいつでも助けますよ」
「…っ」
俺は顔を赤くしたティアーユ先生に背を向けて、理科準備室の扉に向かう。
「…最後に少しだけ聞いてもいいですか?」
「っ!え…えぇ!何かしら!!」
俺が振り返って声をかけると、俺を見つめてぼーっとしていたティアーユ先生は、焦った様に我に返った。
「…何故、俺をマーレ先生って人と間違えたんですか?」
「え?えっと…目がそっくりだったの」
「……」
「えぇ…だから、昔私が転びそうになった所を助けてくれた時のマーレ先生と面影が重なったんだと思う」
「…そうですか」
…目が似てるから面影が重なったね。
───組織が壊滅してもクラウンが生きている以上、下手に動くことが出来なかった″私達″はバレないように素性を隠しながら、星々を転々としているうちに″金色の闇″のウワサを知った…信じたくなかった
ティアーユ先生に聞きたいことはもう一つある。
「…マーレ先生と組織から逃げ出した後、二人で行動してたんですか?」
「そうよ、暫くは二人で行動していた…でも、ある日マーレ先生は突然一人で別の惑星に向かっていったの…」
「…理由は?」
「…分からない、でも逃げている途中、ずっと男の人の写真を見て悲しい顔をしていた…」
…男の人の写真か。
月城のトランス研究に加担していて、優秀だった女性…目が俺と似ている…マーレ・エスターテ…
「…生きてると思うけど、何処にいるか分からない」
「……」
…あぁ、やっぱり…そういう事なんだな…マーレ・エスターテ…名前を聞いた時、まさかとは思っていたが…そうなると、南雲に探させている物は…必ず見つかる。
そして″俺が生まれ変わった理由″もそこにある。
「…すみません、長々と質問してしまって…」
「それは構わないけど、マーレ先生の事を聞いてどうするの?」
「…気になっただけですよ」
いつか、彼女と″再会″する日が必ず訪れる。
その時、俺はどうするのだろう…俺はどうすればいいんだろうな…
(…輝、教えてくれ、俺はどうすればいい?)
理科準備室の扉を開いて廊下を出た俺は教室に向かって歩いていった。
◇
~ティアーユside~
放課後、教卓の前で私は先程あった休み時間の事を思い出す。
時雨くんの前世、天宮優斗くんだった時の壮絶な過去とクラウン──月城秋良については正直かなり驚いた…でもそれよりも私はどうしても気になった事がある。
(…なんで…時雨くんはマーレ先生の事を聞いたの?)
私の恩師、マーレ・エスターテ先生の話になった時、時雨くんは凄く悲しい顔をしていた。
彼の悲しい顔を見た瞬間、私の胸がチクッと痛くなって私も酷く悲しくなった…
(…私が時雨くんをマーレ先生と間違えた時も少しだけ悲しそうだったわ)
私は時雨くんから借りたハンカチを握りしめる。
(…でも私は何でこんなに彼の事を考えるの?今日、初めて会ったばかりの生徒なのに…)
「あ…ティアーユ先生」
「っ!あら、コケ川さん、まだ残っていたの?」
「はい…風紀委員の会議と優斗君と籾岡さんの反省文で…それと私は古手川です」
「あっ…ゴ…ゴメンなさい!!」
古手川さん…古手川さん…早く覚えないと…って、え?時雨くんが反省文?ミカドや他の先生から文武両道で成績はトップ、誰でも助けてくれるとても良い生徒って聞いたけど…それに反省文を書くような人には…
「あの…先生」
私の胸を見ながら近づいてくるコケ…″古手川さん″、なんで私の胸を見て…
「男子にハレンチな事されたら、私に言ってくださいね!特に校長!あの人、要注意ですから!!」
「え、あ…はい」
古手川さんは怒ったように言うと私に背を向けて教室を後にする。
ハレンチ…?何かしら…
「ふぅ…それにしても教師って、思ったより大変……生徒の名前だけを覚えるだけでも一苦労だわ…」
授業はマーレ先生が私達に教えてくれたようにやればいいけど、名前までは…っ!!?
「やっと…ゆっくり話せそうだね」
窓際の方へ顔を向けると、窓枠に座ってこちらを見ながら不敵に笑う赤毛の少女…メアさんが居た。
「ちょっといいかな、はかせ…」
「……」
私は思わず、ポケットに入れていたナイフを触る。
───何かあった時に護身用で使ってください
───何かあったらいつでも助けますよ
…大丈夫…何かあったら、きっと彼が来てくれる。
「ええ、私も…あなたと話したかったのメアさん」
メアさんは私の顔を見て一瞬驚いた顔をする。
「へぇ…意外だね、一体どんな話を───」
「念力集中!!!」
「これは…」
「?」
窓枠に座っていたメアさんが私の方へ近づいてきた時、教室に誰かが入ってきた。
「メアさん!それ以上、ティアーユ先生に近づいちゃダメです!!要件ならそこで済ませてください!!」
「お静ちゃん!!」
ミカドの助手、お静ちゃんが私の元へ駆け寄ってくる。
「メアさんの衣服に念力をかけました。無理に動くとビリビリに破けて″あ~れ~″ですよ!!」
「………」
無言で″ギギ…ギギ″となっている自分の制服を見つめるメアさん。
「わぁ、ホントに破けちゃった…でもさぁ村雨せんぱい、こんなのでわたしが言いなりになると思う?」
メアさんは不敵な笑みを浮かべた瞬間、制服が再生して変化していく。
これは…トランス能力…!!
「そ…それなら!手加減ナシで本体を止めるです!!」
「敵意を向けられるなんて、久しぶり…素敵…♡」
私の前に守るように出てきたお静ちゃんは、メアさんをさらに強い念力で抑えようと指を指す。
対するメアさんもトランスで髪を刃に変えて対抗しようと近づいてくる。
「や…やめて、二人とも、私は──────…きゃっ」
メアさんとお静ちゃんを止めるため、二人の前に出ようとした時、お静ちゃんの足に引っかかった私はそのまま床へ───
「村雨さんが焦りながら廊下を走ってると思って来てみたけど…大丈夫ですか」
「え?時雨くん?」
転びそうになった私を支えた時雨くんはゆっくりと私を起き上がらせた後、メアさんとお静ちゃんを見る。
「優斗さんが来てくれたなら、100人引きです!!一緒にメアさんを───」
「村雨さん、待った」
「…え?」
「黒咲さんを止めるのは黒咲さんの話を聞いてからだ」
時雨くんは念力をしようとしたお静ちゃんを止める。
「黒咲さん、何があったの?」
「誤解しないでせんぱい、私はティアーユがどんな人か確かめたかっただけ、先にケンカを売ってきたのは、村雨せんぱいの方なんだから…」
「……」
「″敵意を向けた相手には容赦はするな″それが…マスターネメシスの教えだからね」
……!マスターネメシスっ!その名前っ!昔クラウンが言っていたっ!でも失敗したはずじゃ…
「…その名前…聞いた事があるわ″プロジェクト・ネメシス″ヤミちゃんやあなたが生まれた″プロジェクト・イヴ″に並行して進められていた″全く別の″トランス兵器開発計画…」
「……」
「でも、開発は失敗し計画は凍結したと聞いたわ、まさかあなたのマスターは…」
「そうだよ、マスター・ネメシスはプロジェクト・ネメシスから生まれたトランス兵器…」
メアさんの言葉を聞いた私は困惑する。時雨くんも″拳を握りしめながら″あのクズは何がしたい″と小声で呟いた。
「わたしが最初に覚えている景色はね、壊滅した研究所…壊れた培養カプセル…わたしは自分が何者で、何のために生まれてきたのかも分からないまま、ガレキの中を歩いていた。そんな時─────…あの人に出会ったの、マスター・ネメシスに」
プロジェクト・ネメシスは成功していたのね…
「マスターは、わたしにトランス兵器としてどう生きればいいかを教えてくれた。能力の使い方やヤミお姉ちゃんのコトもマスターが導いてくれたから、わたしはここまで生きてこられたんだよ」
メアさんにとってマスターが絶対的な存在だった理由はそういう事だったのね。
「わたしとヤミお姉ちゃんを正しく理解して、導いてくれるのは、マスターだけ、だって同じ兵器なんだから…ティアーユ、あなたはそんなわたし達の間に割り込んで今でも、ヤミお姉ちゃんは人として生きるべきだと思ってる?」
そんなの…聞かれなくても答えは決まってる…
「…えぇ、思ってるわ……あなたにもそうあって欲しいと思ってる」
「……は?」
私はヤミちゃんと同じ様にメアさんにもこの町で人として生きて欲しい…だって…メアさんは私にとって…
「あなたがヤミちゃんの妹だというのなら、私にとっても妹だもの」
「な…何言ってるの!?バカみたい!わたしは兵器だって言ってるじゃない!!」
メアさんは私の言葉を聞いて後ろに後ずさりながら動揺する。
「マスターからの命令さえ出れば!あなたなんて、一瞬で殺しちゃうんだから!!」
「あなたは…今、この街で″人″として暮らしている……ヤミちゃんも……そうでしょ?」
「そ…それはマスターの命令で…仕方なくだよ。ココはわたし達の本当の居場所じゃない…」
「…ココはヤミや黒咲さんがいていい場所だ…」
時雨くんがメアさんに近づきながら言う。
「言ってるでしょっ!わたしは兵器で───」
「…親友が言ってたんだ、きっかけ1つで人は変わる。善人から悪人へ…悪人から善人へ…ヤミが兵器から人として生きる事を決めた様に…黒咲さんも変わる事ができるんだ」
「……っ」
「それに黒咲さんがこの町から居なくなったら、ナナとヤミはすごい悲しむよ…もちろん、俺もだけどね…」
メアさんは時雨くんの言葉を聞いて無言になる。
…時雨くん、あなたはヤミちゃんもこんな感じで″人″に戻してくれたの?
「…せんぱいも悲しんでくれるんだ」
「あぁ、もちろん」
「そっか……せんぱいがそこまで言うなら、ちょっとは考えてみてもいいかも……」
「っ!」
「その代わり、今ここでせんぱいがわたしにエッチな事をさせてくれたらだけどね?」
黒咲さんは自分のバトルドレスをたくしあげる。
…それってつまりメアさんが時雨くんを犯すって事?
「…わかった。それで黒咲さんがちゃんと考えてくれると約束してくれるなら、俺を好きにして構わない…」
「へぇー本気なんだ、せんぱい…素敵」
メアさんの前に行って両手を広げる時雨くんのワイシャツやズボンをメアさんはトランスで切り裂いていく。
「…じゃあ、食べちゃうね?せんぱいの事…」
メアさんは近くの机の上に時雨くんを押し倒して時雨くんの上に跨ると時雨くんは″優しくしてくれ″と言って目を閉じていた。
…ダメっ…イヤだ…見たくない…っ!
切り裂かれたワイシャツの隙間から見える、鍛えられたお腹にメアさんの顔がゆっくり近づいていく。
「ダメっ!!」
「…わっ!?」
「…え?」
ダメっと叫んだ私の身体は勝手に動いていた。黒咲さんを押しのけて時雨くんの身体を引っ張り、彼女から遠ざける。
何故か分からないけど、時雨くんがメアさんとえっちな事をしようとするのが、嫌だと思ってしまった。
「…なーんだ、せっかくいい所だったのに…邪魔しないでよ」
「っ!」
メアさんは私に向けて殺気を放つ。
…殺されるっ!?なら、せめて…時雨くんだけでもっ!!
「…まあ、いいや…約束はなしだね、わたしはマスターから教わった考えは曲げないから、それでも良かったら今後も仲良くしてね、せんぱい…それに″ティアーユせんせい″…」
メアさんは窓から飛び出して、空へ飛び立って行く。
…あのまま、時雨くんが襲われていたら、メアさんの考えは本当に変わったの?
「…あの…」
「…っ!なにかしら!」
「…離して…ください…苦しい…です…」
時雨くんは私の胸から顔を半分出してモゴモゴと息苦しいそうに話す。
メアさんに殺気を向けられた時、時雨くんの事を守ろうとして私は抱きしめてしまったらしい。
「あっ!ゴメンなさいっ!」
「…ティアーユ先生、謝らないでください。寧ろありがとうございました」
「…え?」
「俺を守ろうとしてくれたんですよね?」
″助かりました″といって笑った時雨くんの顔は夕焼けに照らされた事も相まってとても綺麗でかっこよかった。
その笑顔と…時雨くんの破られたワイシャツから見える肌を見た私は───
「───っ」
「…え?ちょっと!?ティアーユ先生!!?」
「ティアーユ先生が鼻血を出して気絶してしまいましたっ!!」
私が気絶する前に最後に聞こえてきたのは、時雨くんとお静ちゃんの心配する声だった。
◇
~紗弥香side~
「反省文10枚って、容赦なさすぎでしょ!」
私が帰り道を歩いていると、隣に居た里紗がそう言って頭を抱える。
「里紗が悪いでしょ…屋上で優斗とセックスしてたんだから…」
「そうだけどさー!」
「反省文で済んだだけ良かったじゃん、もしこれで他の人達にもバレて大事になってたら、二人とも退学だったんだよ?」
唯は反省文10枚で許していたけど、私は、まだ里紗の事を許していない。
…私だって優斗くんとセックスしたかった…
「…ねぇ、優斗のハーレムって何」
「やっぱり紗弥香も聞いてない感じ?」
「…知らない」
里紗は″まあ、あたしも詳しく知らないんだけどさー″と言いながら、今日の昼休みにあった事を話していく。
「…それって、私もハーレムで良ければ、優斗と幸せになれるって事?」
「まあ、そーゆう事だね」
…そっか皆で幸せになれるんだ…
「…私も優斗と──────きゃっ!?」
里紗とハーレムの事を話しながら歩いていて、前を見ていなかった私は前から来た誰かにぶつかった。
隣にいた里紗が支えてくれたお陰で何とか転ばずにすんだ。
「ちょっ!あんた、ぶつかったなら謝って───え?」
「…え?」
「……」
何事も無かった様に通り過ぎようとした人物は私達のよく知る人物だった。
「…お静ちゃん?」
「あっ!ちょっ!?」
″男物の服″を着たお静ちゃんは私達をチラッと見た後、そのままどこかへと走り去ってしまう。
…今のホントにお静ちゃんなの?
「今のホントにお静ちゃん?」
「顔はそっくりだったよ?」
「…お静ちゃんならぶつかったら謝るでしょ、それにあの服さ男物じゃね?」
里紗も私と同じように違和感に気づいたみたいだった。
「とりあえず、今日はもう遅いし、明日お静ちゃんに聞いてみよ?」
「それしかないかー」
私と里紗はさっきのお静ちゃんの話と優斗のハーレムの話をしながら、再び歩き出す。
「………っ」
この時、私達は気づかなかった。
さっきのお静ちゃんとは別に優斗の話をしている私達を見ている″女性″がいた事に…
お気に入りや感想ありがとうございます。
誤字報告もいつも助かっています。感謝してもしきれないです。ありがとうございます。