・嫁の旅行中に不倫寝取りセックス
01.「お、寝室ここ?うちもコッチだよ、壁一枚向こうで嫁さんとセックスしてたの?お前」
インターホンが鳴ったのは、約束よりも少し早い時間。
モニターに映し出されたのは、お隣の旦那さん。
彼の部屋の玄関ドアを開け数歩で辿り着く部屋前で、俺がドアを開けるのを待ってる。
インターホンをそのままに、俺は跳びつくようにしてドアノブを掴む。
一度だけ深呼吸して、自らを焦らすようゆっくりと鍵を開け、そおっと窺い開きかけたドアの隙間は、外から引かれる力で一気にこじ開けられた。
「お邪魔しま~す」
どうぞと迎えの言葉を掛けられる前に、彼は強引な足取りで俺を押し込むよう入ってきた。
「ちょっ……外出るんじゃないんですか?」
このまま一緒に出掛けるものとばかり思っていた俺が慌てて彼の背中を掴むと、
「え? そんなこと言ったっけ? 嫁さん居ないんだろ? ならイイじゃん」
制止も聞かず上がり框で足を止めた彼は、軽い口調で言う。
「待ってください! ま、まさかうちの寝室で……」
家族が不在にしているとはいえ、彼の魂胆を考えたらとても喜べるような訪問ではない。
「寝室でなに? もしかして期待しちゃってる? 嫁さん旅行に行ってる間に男咥え込む妄想とかしちゃった?」
そう、彼が俺を訪ねてくるなんてこと、セックス無しでは考えられないから。
この軽薄な男は、俺のことをオナホ程度にしか思っていない。
ご近所づきあいとか、お互いの配偶者を知っているばかりか毎日顔を合わせていてもおかしくない距離感だとか、この男の思考にはそう言った配慮など持ち合わせていないのだろう。
「ちっ、違います!! 外行きましょう!!」
違うと言いながらも俺の焦った口調は、それを意識してることバレバレだったと思う。
「何で?」
だけど彼はそれを指摘せぬまま、不思議そうに尋ねると、
「何で……って」
言葉に詰まる俺を少し高い視点から見下ろし、
「ヤんないなら家でいーじゃん、汗かいたからシャワー借りていい?」
足先に引っかけたサンダルから踵を浮かす。
「ばっ……シャワーなんて家で浴びてきたらいいでしょう!? 隣なんですから!!」
それこそ玄関を開けたら数歩の距離で、うちのバスルームを借りようというのは非常識だ。
「はぁ? 今さらヤるだヤラないだカマトトぶってんじゃねーよ、オラ、鍵閉めとけ」
しかし俺との問答が面倒くさくなったのか、彼はのらりくらりと誤魔化すのを突然やめて、開き直った態度で家主の承諾も得ず勝手に上がり込んで行く。
「ちょっ! なに勝手に……」
焦りの声を上げた俺を、
「期待してたんだろ? ケツ洗って待ってた?」
見返す彼の顔はタチ悪く歪んでいた。
目元は笑みを形作っていたが、その瞳は狡猾な獣のような光で俺を覗き込んで来る。
「――~~ッ」
込み上げた震えは一瞬のものだったが、足元は柔らかいものを踏んだよう覚束なくなる。
力が抜けて行きそうで、踏ん張ったとこから震えだしそうだ。
「お前、ほんと可愛げねーな、とっくに堕ちてんだから最初っから甘えとけよ」
彼はもう面倒くささを隠しもせずにそう言うと、廊下を進んで行く。
俺と嫁さん二人だけの愛の巣の中へ。
同じマンションの隣同士だから、壁紙や照明などのインテリアは違えど間取りは線対称なだけ。
なので、彼の足取りに迷いはない。
「お、寝室ここ? うちもコッチだよ、壁一枚向こうで嫁さんとセックスしてたの? お前」
まるで自宅の廊下を歩くようにして、俺と嫁の寝室を見つけ出し、憚るものなど無い口調で言うと、
「意外と音漏れねーもんだな、うちの声聞こえた?」
ニヤリと笑いながら振り向いた。
「きっ、聞こえてない……です」
俺の方が気まずくなるのは何か違うって分かってるはずなのに、ずけずけと言いなぶるような表情を浮かべるこの男に気後れしてるのは否定出来ない。
「うちの、お前に負けず劣らず声デケーから、アレで聞こえないとなるとかなりの防音だよな」
その言葉に、彼の嫁さんを――お隣の奥さんの顔を思い出し、ソワつくのは仕方のないことだろう。
お隣の夜の生活なんて、まともな生活をしていたら気にすることもない筈のプライベート。
俺とヤッてても、ちゃんと奥さんとヤることヤッてるんだな……ってのを聞いたのだって初めてのこと。
お隣の奥さんはバリキャリって感じで、ちょっと冷たい感じのする美人だけど、挨拶を交わす声は意外なほど柔らかい。
顔を合わせたときの緊張感が、次の一瞬で突き崩されるタイプの人。
それは彼女の夫と不適切な関係を結ぶようになってからも変わらない、ちょっと不思議な人だ。
そんな彼女がセックスの時は身も世もなく喘ぐとか、悲鳴のようなイキ声を上げながら乱れるとか――一瞬でも想像してしまったのは否定できない。
ご近所さんを性的なコンテンツのテンプレに当てはめて、ほんの僅かな瞬間だけど高揚してしまったのは否めない。
「そうですか」
居たたまれず視線を外し、出来るだけ素っ気なく言った俺に、
「ん? 嫉妬した?」
彼は軽薄な調子であり得ないことを言う。
「す、する訳ないでしょう! しませんよ!!」
反発するよう返した俺の声が少し強すぎたのは、図星を指されたからじゃなく、自意識過剰な彼の言葉に憤ったからだったけど、
「んじゃ、嫁抱いたちんぽで抱かれんのコーフンする?」
今度はまさに俺の後ろ暗さを指摘されたような気がして、
「……しません!!」
言葉を失いかけながらももっと強く否定していた。
「抱かれんのは否定しないのな」
しかし追い打ちのよう掛けられた言葉は、俺の性的興奮の方ではなく、これから俺たちに起こる関係の方だった。
「――……ッッ!」
完全に油断していた角度から責められて、手首を掴まれただけで――その場にヘタり込んでしまいそうなの堪えるのが、精一杯だった。
「ほら、来いよ」
俺の腕を引きながら、遠慮も躊躇もなく俺ら夫婦のベッドへ腰かける彼が云うのに、
「やっ、やめて!! ここは嫌だ!!」
俺は目眩を覚えながら抵抗する。
「何で?」
しかし彼は本当に分からないというよう尋ねるから、
「何で……って……」
愕然と繰り返したら、
「嫁さんとセックスするベッドで抱かれんの、そんな嫌?」
今度は何もかも分かった上で誘うの隠しもせずに、現実を突きつけるよう改めて尋ねてくる彼に――俺は強い興奮を覚えた。
「嫌に……決まってるじゃないですか」
言葉にはするけれど、それはペラペラな虚勢だって自分でも分かってた。
愛を誓い合い婚姻関係を結んだ相手と、愛を確かめ合うこともある、そしてこの先もそうしていくだろうベッドで、他の人と――しかも男とセックスをする。
俺が抱かれる。なんてこと……あっちゃいけないって、そんなの常識だ。
まともな倫理観を持った人間ならば、考えることすら罪と感じる禁忌だ。
「へー? ヤッてる最中に嫁さんのこと言われると、ちんぽ締めまくるのに?」
デリカシーがないというよりも下品な言葉で俺を責める男に、
「そんなこと……っ」
しかし俺は否定できなかった。
ダメだって分かってるのに、否定できない。
拒絶もできない。
足元の震えは逃げ出したいほどなのに、腰から背すじをゾク♡ ゾクッ♡ と込み上げてくる震えは、抗いようもないほどの狂おしさを思い熾させる。
「興奮すんだろ? オラ来いよ、夫婦のベッドでメスにしてやるから。ケツ出せ」
そのオラつくラフな言葉も、俺の矜持を根元からグラグラと突き崩す。
ダメだ、ダメだ――だめ、だめ、だめッ……と、頭の中は真っ赤な警告色に染まるのに、俺の身体は、
ゾク♡ ゾク♡ ゾク♡ ゾク♡ ゾク♡ ゾク♡
止まらなくて思考が拡散するよう覚束なくなってく。
「や、本当に……」
小さく絞り出すよう口にした声は、
「あ~~! もういいから脱げ」
まだるっこしそうに断ち切る彼の命令で、とうとう俺から全ての発言権を取り上げた。