続いては、ルルにとって特に大切なキーパーソンの登場です!!
──時刻は6:00……
ここは屋敷の『リビング』。
屋敷に、リビングはいくつか存在しているのだが、こちらは厨房と直結している───『最も大きな』リビングである。帝国の名だたる大貴族が、各地から古都に集った際……全員を収容できるほど、スペースにはゆとりがある。まあゆうて100人くらいだけど。
ちなみに壁には、様々な壁画が立てかけられている。何枚か、私と同僚のメイド───『ベル』がいたずらで描いた、ご主人様の肖像画(髪型を───いつもの『スキンヘッド』から『七三』に変えたり)が隠れているが……今のところはバレていない!!……はず……
ヴィークはまだ着替え中のようだ。特にやることもないので、何となく肖像画を眺めていると……
??「あっルルちゃん!!おはよう〜」
リビングの入口の方向から『のほほん』とした明るい声で、何者かが話しかけてきた……
ルル「あっ……!!ベルちゃん……!!おっはよ〜~~」
声をかけてきたのは……既にメイド服に着替えていた──『ベル』であった。
彼女は軽く手を振りながら、私の元へ歩み寄ってきた。
ベル「おはよーーーなんか昨日なかなか眠れなくて、それで変な時間に目覚めちゃったから、もう着替えちゃった!!」
ルル「そうなの??」
ベル「なんか……天井に描いてある絵がさぁ〜〜気になっちゃって。」
天井に『大きな絵』が描いてあるのは──やはり私の部屋だけではないらしい。
ルル「私の部屋にも描いてあるよ〜〜!!ベルちゃんの部屋の絵は、どんなやつ〜〜??」
ベル「……なんだろう〜〜なんかぁ……背中にでっかい羽を生やしているのね。それで、ルルちゃんみたいに──『かわいい子』が半裸になっているやつww」
ルル「えっ……なにそれ……??私の部屋のやつと全然違う!?」
私の部屋の絵を描いた作者とは異なるのだろうか。
ルル「まあでも、寝不足で体調崩さないように気をつけてね。」
ベル「それはお互い様だよー!!」
長いまつ毛にあつらえられた瞼をゆっくりと落とし、彼女は慈しみに満ちた笑顔を浮かべる。
───ベルは本当に綺麗だ。
白蝶真珠のように──煌めいている瞳、高くて整った鼻筋、真紅のバラの花弁を彷彿とさせる上品な唇、雪のように白くて瑞々しい柔肌……
肩まで、ギリギリ届かないくらいの長さに切り揃えられた──ボブカットは彼女の整った顔立ちを際立たせるのに、最適なヘアスタイルだ。
出会った当初は───ロングヘアだったのだが、数週間前にバッサリと髪の毛を切ったのだ。事情を聞いたところ、「失恋&元々はボブだったから」らしい。
出会ってからしばらく経つが……未だに毎朝、顔を合わせる度に「ドキッ!」───としてしまう。
ベルも同様で、今は手持無沙汰らしい。私たちは定刻まで、お喋りをして時間を潰すことにした。
………………
その後5分ほど経って、着替えを済ませたメイド長補佐のヴィークが、リビングへやってくると……彼女は、本日の業務の『洗い出し』と『割り振り』を開始した。
ヴィークはタスクの割り振りが本当に上手い。2分も経たないうちに済んでしまったので、私たちは今……さっそく本日最初の業務───『朝食の準備』に取り掛かっていた。
ここで、私はお皿をテーブルに並べていると……『ある人物』がリビングへ、足を踏み入れるのを横目で確認した。
ルル「『ご主人様』!!おはようございます……!!」
マリオ「……」
『屋敷の当主』である──『マリオ』こと、『シグマリオ様』だ。悪戯で描いた肖像画の中の『いで立ち』とは異なり、スキンヘッドが特徴的でワイルドだ。
以前、『お寺』の近くを散歩していたところ───「お疲れ様です。」と、同じ頭をした修行僧らしき男性に挨拶をされたそうだ。
ちなみに帝国には、屋敷のような───『バロック式』の建築物とは異なる様々なデザインの建物が乱立しており、『世界観』に統一性がない。色んな『宗教』が共生しているためだろう。いい加減だなと思うけど。
私はメイド服のスカートを軽くつまみ、足をクロスしながら、小さく頭を垂れて挨拶をする。
しかし、ご主人様は怪訝そうな様子だ……私の所作に、何か不手際な所でもあったのだろうか……
ルル「あの……?どうされました……??何かお気に触ることでも……??」
マリオ「いや──皿……そこに置いて大丈夫……??」
ルル「えっ……??……あっ……!!危ない……!!」
ご主人様が「スッ」───と指差した指先を目で辿ると、テーブルの端に絶妙なバランスで積まれた皿が──無造作に置いてあった。
ルル「……失礼いたしました!!!!」
私は、すぐさま皿が落ちないように横から支え、お皿を並べる作業に再度とりかかる。こういう時に私はよくやらかすのだ。
基本的に2つ以上の物事を同時にこなせない。頭では分かっているし、自分にも散々言い聞かせているのだが……どうも苦手である。
しかし、数学やチェスなどに取り組んでいる際は、複数のパターンを瞬時に頭の中で整理することができる──不思議である。
ヴィーク「ご主人様……!!おはようございます……!!!!」
マリオ「……うん。」
厨房から、サラダボウルを両手に抱えてきたヴィークは、ご主人様の姿を認識するや否や──テーブルの真ん中に「そっ」とボウルを置き、恭しく頭を垂れる。
ヴィーク「ご主人様……申し訳ございません……メイド長の『モニカ』は今朝も……」
マリオ「また??……いいよ別に……今更でしょ??」
ヴィーク「はい……」
マリオ「いや謝らなくていいよ……もうあいつの好きにしていいよ。」
ヴィーク「ですが……」
マリオ「まあ……あれでも、ちゃんと自分の仕事はやってくれるから。最近は特に、『魔天祭』前で色々忙しくさせているし。それより早く食べよ。お腹空いてるでしょ?」
ご主人様は仏頂面のまま、気怠そうではあるものの……誰も咎めることなく食卓についた。
そして数分後、台車を押したベルがリビングへ戻ってきた。台車の上には──スープの入った鍋や、食パンやコッペパンなどが盛られたバケット等が乗せられている、
危うい場面もあったが、今日も無事───朝食の準備完了。
ご主人様の「『魔天際』の準備で忙しくさせている」──という言葉が少し気になったが……自分の仕事は終わったんだ。
余計なことは気にしないようにしよう。
スーパー美少女のベルちゃん登場です!!
そして、何気ない日常の裏では───何やら不穏な影がうごめいているようです……
次回はルルの秘密が明らかになる重要回です!!
お見逃しなく……!!