「此処か…」
チーラは目の前の建物と地図を見て呟く。
見るからに牧場で規模は現代での牧場と同じ位だった。
中に入ると小さい犬の獣人が来た。
「コボルトか?…確か女の主人が経営してると聞いたが…」
自分の足元に来たコボルトをしゃがんで見るとコボルトは珍しそうにチーラの膨らんだお腹を触り、お腹が脈打つと慌てて離れるが興味津々なのか再び近寄り、じっと見る。
「なあ、主人はいないか?俺は依頼されて来た冒険者なんだ」
それを微笑まそうに見ていたチーラだったが気を取り直して聞く。
触っていたコボルトだったがチーラの言葉にとてとてと来た道を引き返し、付いて来てと言う様に手を振る。
チーラはそんなコボルトに付いて行き、コボルトが牧場内で家と思われる建物のドアを開けて入り…
「ワウッワウッ!!」
「あら?冒険者の方が来たの?」
中からコボルトの声の後にした女性の声にチーラは牧場の主だと判断した後にどうぞの了承の声が来る。
「失礼する」
答えた後にチーラは建物に入ると驚いた。
案内してくれたコボルト以外に沢山のコボルトがいたのだ。
数は案内したのを含めて18人もいた。
「あら?妊婦さんですか?」
そして声の主は椅子に膝に小さいコボルトを乗せて座っていたのだがマタニティウェアで覆ったお腹は大きく膨らんでいて妊娠してるのが分かった。
「俺は依頼で来た冒険者のチーラだ」
「あなたが?私が牧場を経営しておりますドーラと申します」
気を取り直して言うチーラにドーラと名乗った女性は少し驚いた後に名乗って乗せていたコボルトを降ろして立ち上がる。
「別に座ってても良いんだぞ」
「いえ、依頼した者として、特に私と同じ妊婦さんですし」
それにチーラは慌てて言うがドーラは微笑んで言う。
その言葉に思わずチーラは目を逸らす。
妊娠してると言ってもドーラとチーラとでは全然違うからだ。
なぜ目を逸らすのかに疑問を感じてるのかドーラはコボルトともども首を傾げる。
「そっ、それよりコボルトがこんなに多いのはもしや…」
「はい、この子達は私と主人の子供たちです」
「ワウッ!」
「ちなみに彼が主人です」
話題を逸らそうとチーラは気になった事を聞くとドーラは笑顔でお腹を撫でるとコボルトの中で少し大きめのが手を上げてドーラがそう言う。
子供たちと分かりやすい様にしてるのか頭に帽子をかぶっている。
そんな夫コボルトと子供コボルトと分かる様になのかオスにはスカーフを、メスにはリボンを付けていた。
「凄い大家族だな」
「はい、頑張りましたからね///」
「わう///」
チーラの言葉に夫コボルトを抱き上げてドーラは顔を赤らめて言い、夫コボルトも同じ様に顔を赤らめた後にドーラの頬を舐める。
「コボルトを妊娠すると多児と聞いていたが…一度にか?」
「流石には無理ですよ~3回で1回目が7匹で2回目と3回目が5匹産んだんですよ~」
気になったので聞いたチーラにドーラはふふふと笑って否定するとそう言う。
「まあ軽い話は此処までにして依頼の詳しい内容を聞かせて欲しい」
「分かりました…っ」
チーラの言葉にドーラは説明しようとした瞬間にしゃがみこむ。
「どうした!?」
「!ワウワウ!!」
それに慌てるチーラに夫コボルトは吠えて首をしきりに別の部屋に向ける。
何の行動かにチーラは疑問を感じたがドーラを連れて行けと言うのだけ分かるとドーラをお姫様抱っこして夫コボルトに付いていくと1つのベッドが置かれておりチーラはその上にドーラを寝かせるとドーラのマタニティウェアが捲れて出て来た下半身は何も着てなくて見えてる膣から粘ついた液体はプシュッと噴出する。
「まさか破水か!?」
「ワウ!」
「ええ、頑張るわあなた…ん!ああああ!!」
ブジュゥ!!!
それを見て気づいたチーラの後の夫コボルトの励ましにドーラは答えた後に1匹の赤ちゃんコボルトが出て来る。
「生まれた!」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ブジュゥ!!!
チーラが声を上げた後に続けて2匹目が出て来て、慌てるチーラだがコボルト達は慣れてるのかテキパキと処置をして行く。
その後、ドーラは生まれたのも含めて8匹出産したのであった。
「すいません。こちらが依頼を出したのに無償で母乳を分けて貰って…」
「いや、こちらこそ暖かい生命の誕生を見せて貰ったからな」
数分後に生まれた内の2匹に母乳を上げながら同じ様に2匹に母乳を上げているチーラに上半身だけを起こしたドーラは頭を下げてお礼を言い、チーラは笑って言う。
他の4匹は事前に用意していた哺乳瓶に母乳を注いであげている。
そのままの状態でドーラはさてと…前置きした後に本題を言う。
「それで言おうとしていた依頼の詳しい内容ですが…内が牛を育ててる牧場なのは知ってますよね?」
「ああ、此処の牛乳は美味しいと内の妻も言ってるな」
ドーラの問いにチーラはそう言う。
ちなみに最近はチーラの母乳も入っている。
妻と言う言葉に目を丸くしたドーラだが気を取り直して言う。
「そんな皆様に最高の牛乳を届けるのを志している私達なんですが少々困った事が…」
「確か簡略に襲われたと聞いたが…牛が殺されたか奪われたのか?」
顔を暗くするドーラにチーラはそう聞く。
「いえ…そんなに酷いのではないんですが…ただ牛を傷付けたり、ストレスを与えたりしてるんですよ。最高の牛乳を志している我々としては困ってるんです」
「ワウゥ…」
「聞いた話だと牛は程よい環境で良い牛乳を出すって聞くからな…分かった。依頼を受けよう。それで大体どんな時に襲われるんだ?」
困った顔をする夫コボルトとドーラに母乳を与え終えて手短にいたコボルトに赤ちゃんコボルト2匹を預けて了承した後に聞く。
「はい、半月の夜に牛舎に忍び込んでる様で…夫と子供たちが交代で見張っている時は来ないみたいです」
「姿はどんな感じで見つけた時はどうしたんだ?」
「人型なのは分かるんですがそれ以外は、夫は少しはコボルト内では戦闘経験はありますが相手がもしゴブリン位だったら無理なんです」
それを聞いたチーラはふむ…と顎を摩りながら考え…
「では…こうしたらどうだ」
夫コボルトとドーラに自分の提案した事を言う。
☆
翌朝、チーラは牛舎内で剣を振っていた。
今は牛達は外に放牧されていてガランとしている。
「ん、今日は良い朝だな」
「おはようございます。早起きなんですね」
素振りを止めるとチーラは布で汗を拭うと卵を乗せたパンと牛乳が乗ったお盆を持ったドーラが来る。
「ああ、修練する為に早めにな」
「そうなんですか…」
お盆を受け取りながら答えるチーラにドーラはちらちらとある所を見る。
「?」
「いえ、依頼してる立場なのでお願いされた時はホントに驚きまして…」
それにパンを食べながら首を傾げるチーラの視線にドーラは困った笑顔で言う。
首を傾げながら食べてるチーラの胸に搾乳機が付いていて随時母乳を搾っているのだ。
ドーラが何を見ているかに気づいたチーラはパンを食べ終えると牛乳を飲み干して一息付いた後に言う。
「ああ、常備作られてるからパンパンになるんだよ。だからこれは大助かりなんだよ」
「はぁ、そうなんですか…」
笑顔で言うチーラにドーラは脈打つチーラの妊婦腹を見ながらお盆を持って赤ちゃんコボルト達の所へ行く。
チーラが提案したのは自分が牛舎内にて待ち伏せすると言うシンプルな事であった。
牛舎への進入口は入り口だけでそれ以外に忍び込む場所がないのだ。
日を入れる為に天井には網を張った天窓、壁に空気を換える為の風機構が付いていてそこから進入は出来ない。
しかも多く牛を入れる為に広く設計されているので何かで体を隠せば見つからないのだ。
「さてと…修練しますか」
チーラは立ち上がった後に搾乳機を付けたまま剣の素振りをする。
搾られる中でチーラはレーヴィの母乳の味はどんな感じかなと考えながら振った。
何時もはレーヴィに搾乳して貰っているのでもし彼女が母乳を出したら自分も搾ろうと考えてるのだ。
そう色々と膨らませながら剣の修練をしたり、休憩で来るコボルト達とワイワイしながら明日の夜を待つのであった。
☆
日にちが丁度過ぎた頃、牛舎で隠れながらまだ胸に搾乳機を付けて眠っていたチーラだったが足音に気づき、目を覚まし、搾乳機を止めて外し、ビキニを装着して身を潜め、入り口を見る。
しばらくしてると入り口が開いて、5人の人影が来る。
「(
月の光で照らされて見えたのにチーラはそう判断する。
悪戯ゴブリンとはその名の通りに悪戯が大好きなゴブリンで良く村などに襲撃して食べ物を奪ったり、自分達より大人しい動物を苛めて楽しんでいるのだ。
ちなみに普通のゴブリンと違うのは悪戯ゴブリンは顔がサーカスのピエロの様な赤い鼻とへにょへにょな感じの2本角を持っているのだ。
文章でならそんなに大した被害じゃないと思われるが彼らの悪戯によって動物が死んで大変な状況になった事もあるのだ。
悪戯ゴブリン達は話し合いをした後にそれぞれ分かれて牛達を苛めようとする。
「待て!」
それにすぐさまチーラは飛び出して入り口の前に立つ。
いきなりの事に悪戯ゴブリン達はぎょっとしたが女で妊婦が相手と分かるとその顔をニヤリと笑わせてチーラを囲む。
「成る程、妊婦だから弱いと思っているのか」
悪戯ゴブリン達の様子を見て不敵に笑うと左手で腰の剣を抜き取り、構える。
「かかって来な、俺を甘く見てると死ぬぜ?」
空いた右手の人差し指でくいくいっと挑発するとそれに怒ったのか悪戯ゴブリンの1体が棍棒を持って襲い掛かる。
「甘い!!」
それにチーラは短い動きで悪戯ゴブリンの振るった棍棒を避けると一刀両断する。
振って斬った際の悪戯ゴブリンの血を掃うと他の4体を見る。
それを見た4体は一斉に襲い掛かる。
「1人は無理だから4人か…だけど、それも甘い!」
チーラは次々と来る攻撃を避けながらすれ違い様に悪戯ゴブリン達を切り裂いて行く。
お互いに立ち止まった後に悪戯ゴブリン達は断末魔を上げた後に死に絶えた。
ドクンッ!
「!?はっ!」
剣を仕舞おうとして妊婦腹が強く脈打った事にチーラは横へ飛ぶ。
するとチーラのいた場所にデカイのが振り下ろされる。
お腹に注意しながら仰向けに倒れた後にすぐに起き上がって見ると悪戯ゴブリンを大きくしたのがいた。
「大悪戯ゴブリンもいたのか…」
大悪戯ゴブリンは悪戯ゴブリンのボスで悪戯ゴブリンの違いは女を連れ攫い、産ませようとするのだ。
自分を見る大悪戯ゴブリンを見て、チーラは気を引き締める。
向かって来た大悪戯ゴブリンの棍棒をステップで避けて行き…
「此処だ!!」
大振りで隙が出来た瞬間にチーラは一刀両断した。
それに大悪戯ゴブリンは悲鳴を上げながら死んだ。
チーラ「ふぅ…」
今度こそ終ったとチーラは剣を仕舞い、そんなチーラを労うみたいに脈打つお腹を微笑みながら撫でた。
☆
「本当にありがとうございます」
『ワウワウ!!!』
朝になり、チーラは牧場の入り口前でドーラとコボルト達にお礼を言われていた。
「いや、こっちとしては牛舎内で戦った事に申し訳ないんだが…」
「大丈夫です。壊れた物はありませんし、あの悪戯ゴブリン達も埋葬してあげましたし…それとこれが依頼料です」
申し訳なく頭を掻いて言うチーラにドーラは言った後にチーラに皮の小さい袋を渡す。
「中に書いていた通り、500G入ってます」
「…ああ、確認した。それじゃあ良い牛乳作りを頑張れよ」
「ワウワウ」
帰ろうとするチーラに夫コボルトが呼び止める。
呼び止められたのにチーラは首を傾げてるとそんな夫コボルトの言いたい事を理解したのかドーラが言う。
「チーラさんが搾った母乳はどうすれば良いか?と主人は聞いてるみたいです」
「ああ…そちらの好きな様にしてくれ」
それじゃあとチーラは帰って行った。
「そうは言われましても…」
「ワゥゥ…」
そんなチーラの背を見送りながらドーラと夫コボルトは困った顔をする。
待っている間に常備搾っていたので沢山出来たのだ。
どうしようかとドーラとコボルト達は考えた後…
「…売って見る?」
「ワウ」
ドーラの言葉に夫コボルトは頷いた。
その後、チーラの母乳は牧場の売っている牛乳と共に大好評で売られたので依頼以外にチーラはレーヴィと一緒に牧場に赴く様になったのであった。
キャラ紹介
ドーラ
外見:背中まで来る茶髪に緑色の瞳、マタニティウェアを着ている
牧場を経営してる女性
コボルトの夫と子供たちを持っていて100人家族を目指そうか考えている。
人々に最高の牛乳を送るのを志している。
ちなみにチーラの母乳を売った際には売り上げの8割チーラ達に送っている。
コボルト
外見:成人女性の太もも位の大きさで体を青い毛並みで覆っている
犬の獣人で比較的人と共存してるモンスターの1種
同種以外に良く人や人型のモンスターと夫婦になっている事が多い。
生まれてくる子は多児で5~8匹、多い時は10匹と生まれて来る。
生まれて来るのはコボルトが多いが同種以外のでまれに相手側のを多めに受け継いだのが生まれる事がある。